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イギリス

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ラフジュ工房で取り扱うイギリスのアンティークやヴィンテージのお品は、直接イギリスで買い付けたものばかりです。
そのため一点ものが多く、二度とお目に掛かれない希少品の多数御座います。
現地買付のため、日本では流通していない掘り出し物もありますので、ぜひイギリスアンティークファンの方は注目してみて下さいね。
不定期入荷・出品ですので、どのようなお品がいつ出品されるかは事前にお知らせできませんが、スタッフから見た出品頻度として、イギリスアンティーク品が新着情報に1つ出ると、更に続けて何点かイギリスアンティークが出品される傾向があるので、商品チェックの目安にしてみて下さいね。
勿論、全てのお品を検品・リペアしておりますので、強度等にも問題ありません。
伝統あるイギリスアンティークを取り入れて、優雅な気分をご自宅でも楽しんで下さいね。

イギリスのアンティーク・ヴィンテージについて詳しく知りたい方はこちら



3色の商品タイプのマークについて

イギリス

 

 

 

 

イギリスアンティークのTOP画像

イギリスのアンティーク家具に秘められた魅力

15世紀から綿々と引き継がれてきた英国家具の歴史を感じるアンティーク家具は、その背景の厚みも人気の高さのひとつです!
ここでは英国家具の持つ厚みを感じてもらうために、イギリスの家具が辿ってきた時代背景や、時代背景に密接に結びついているデザインの数々を紹介していきます。
読み終える頃には「このデザインはこの時代のイギリス家具っぽい!」と分かるようになっているかも?

さらには当店で扱っているイギリスの有名なヴィンテージ家具ブランドにも触れているので、英国モダン家具に興味がある方はPoint.4 イギリスはアンティークだけじゃない!有名な英国モダン家具メーカー4選からお読みください。

イギリスアンティーク家具を選ぶ前に、好みのテイストを知ろう!

イギリス家具が培ってきた長い歴史の中では、時代ごとにいろんなテイストが流行したり廃れたりを繰り返してきました。ヨーロッパ全土の流行も出たり入ったりと目まぐるしい変化を遂げて、現代まで受け継がれています。
細かく分類すると、後に登場する「様式」ごとに特色があるのですが、ここでは大まかに3つに分けてご紹介しましょう!

クラシカルテイストのイギリスアンティーク家具

クラシカル

堅く重いオーク材が使われた重厚な印象は、直線的なフォルムによってさらにその印象を強めて悠然とした佇まいを見せてくれます。長い時間が染み込んだ深い色に触れていると、あわただしい日常から切り離してくれるようです……。そんな英国クラシカル家具を取り入れる際に注目すべきポイントは次の3つ!

  • 濃い茶色
  • 濃い茶色

    重厚な雰囲気を晒すダークブラウンはクラシカルなイギリス家具の定番カラー!特にオーク材は年月が経つほどに色味を濃く変化させていくので、格調高く落ち着いた雰囲気を作り出すにはもってこいな木材です。

  • 浮き彫り(レリーフ)
  • 浮き彫り(レリーフ)

    扉や引き出し、脚など、あらゆるところに散りばめられる美しいレリーフは、アンティークらしさを語る上では外せない装飾です。草花や動物、時には風景まで、職人の手によって細やかに彫りだされたレリーフは、眺めているだけで贅沢な気分にさせてくれます。

  • ターニングレッグ
  • ターニングレッグ

    これぞイギリスアンティーク家具の代名詞!ともいえるほど、英国家具を象徴する装飾ですね。小さな球が連なった形のボビンターニングレッグや、棒を何度もねじったような形のツイストレッグなどがあります。同じ種類のターニングレッグでもよく見れば形や大きさなどが違っていたり。当時の職人一人一人が宿したセンスを楽しめます!


エレガントテイストのイギリスアンティーク家具

エレガント

気品のある佇まいは、家具を飾る曲線のしなやかさや繊細な細工からもたらされています。高級材のマホガニーを使った家具はより艶めかしく、芸術的な杢目の模様さえ鑑賞に値する美しさ!曲面に映る自然な光沢にうっとりと酔いしれてしまいます。そんな英国エレガント家具を取り入れる際に注目すべきポイントは次の3つ!

  • 暖色系の茶色
  • 暖色系の茶色

    優美なエレガント家具には暖色系の色味が良く似合います。高級材のマホガニーは経年すると深い赤褐色へ変化していくので、より高級感を増していきますよ。磨くほど美しく艶を出してくれるので、愛着もひとしおですね。

  • マーケットリー(象嵌細工)
  • マーケットリー(象嵌細工)

    木材にモチーフを象った彫り込みを入れて、色の違う木材や、木材とは別の素材をはめ込むことで模様をつくる技法のことをいいます。日本だと漆工芸に使われる螺鈿細工が有名ですね!自然物を象った有機的なデザインがよりエレガントな印象を与えてくれます。

  • カブリオールレッグ(猫脚)
  • カブリオールレッグ(猫脚)

    フランスのロココ様式を象徴するカブリオールレッグは、ゆるやかなS字カーブを描く脚のデザインのことを指します。動物の脚をモチーフにして誕生したフォルムなため、足先のデザインも蹄(ひづめ)やボールを掴む龍の脚など、動物を象ったものが多いです。シンプル派には単純な丸い形がおすすめ!足先にもよく注目して選んでくださいね。


モダンテイストのイギリスアンティーク家具

モダン

アンティーク家具に絞るとここまでで挙げた「クラシカル」「エレガント」で大別されますが、近代に入るとまたひとつ、モダンテイストの家具が登場します!機能の中に美しさを見出して、機能性から離れた装飾をそぎ落とした家具の形は洗練しています。生活の質を重視する現代の感覚に一番合っていて、人気の高いジャンルですね。そんな英国モダン家具を取り入れる際に注目すべきポイントは次の3つ!

  • 直線と丸みのバランス感
  • 直線と丸みのバランス感

    北欧モダンデザインからくる英国モダン家具は、直線をベースにしたフォルムで非常に収まりがいいです。そして取っ手や脚、背板など、どこかしらに丸みを持たせることで、直線的な印象を和らげた親しみやすさがあるんですよね。

  • 均整な木目
  • 均整な木目

    装飾を取り払ったからこそ木目が目に留まるようになったモダン家具。それを良しとして木目さえデザインの中に落とし込みました!均整に並ぶ木目の美しさ、切り替えを感じない木目の繋ぎ方など、自然素材を使っていることさえ忘れかけるほど丁寧に作りこまれた技には感嘆します。

  • テーパードレッグ
  • テーパードレッグ

    脚の付け根から先端に向かって細くなっていくテーパードレッグ。日常の中でも“テーパードパンツ”などでよく耳にする言葉ですね。英国モダン家具にもよく使われるデザインで、すらっと伸びる脚がシンプルな家具にデザイン性とスタイリッシュさを与えてくれます。

イギリス家具の発展は平和を取り戻すことから始まった

  • 薔薇戦争の画像
  • わたしたちがイメージするイギリス家具は、1485年に始まったチューダー様式あたりから形づくられていきました。

    それ以前は百年戦争やペスト、薔薇戦争と呼ばれる内乱などによって混乱する社会情勢の中で経済的な豊かさに恵まれることはなく、さらには不安定な生活が続くことで人々は疲弊しきっていました。
    そうした環境下でインテリアにまで気を配る余裕なんてあるはずもないですよね……。

7年にわたる薔薇戦争を終結させたヘンリー・テューダーことヘンリー7世が国を治めた時代に、平穏を取り戻した人々はようやく暮らしの中に目を向けることができるようになったんです。

ところでチューダー様式はこのヘンリー7世の頃に誕生したものではありません。ヘンリー7世ことヘンリー・テューダーが起こしたチューダー(テューダー)朝のなかで、チューダー様式が誕生したのは彼の息子であるヘンリー8世へ王権を渡してからのこと。
絶対王政を確立させて宗教改革を成し遂げたことにより、自分の懐にお金がガッポリ入るようになったヘンリー8世は、それまで国内に根付いていた宗教色の強いゴシック様式と、国外から新しく流入してきた煌びやかなルネッサンス様式を織り交ぜた建物やインテリアを国内に増やしたといいます。
これが『チューダー様式』と呼ばれるようになり、英国独自の様式の原初となりました。

それでは、次の章からはこのチューダー様式から始まるイギリスの代表的な家具様式をご紹介していきます!

イギリスの代表的な様式を紹介!あなたの心を動かす流行デザインはどれ?

時代ごとに表現の流行は変わり、その流行りの表現ごとに様式があります。 ここでは近代から現代まで続くイギリスインテリア史の中から、先ほど触れたチューダー様式からはじまるイギリスの代表的な様式と、各様式を代表するデザインについてご紹介します。

チューダー様式

チューダー様式

それまで主流になっていた重苦しいゴシック様式を伝統として残しながら、イタリアからやってきたルネッサンス様式の軽やかさをうまく組み合わせました。それまでは権威を示すための道具として扱われてきた装飾だけが立派な家具が、人々の暮らしに合わせた形へ徐々に変わっていきます。
ゴシック様式の家具は教会建築のために発展したデザインをそのまま家具に当てはめていったので、垂直を意識したシルエットで高さがあり、さらには宗教色がありありと現れています。 その影響を引き継いで、チューダー様式にも宗教色の強い装飾が多く残っていたようです。少しとっつきにくさもありますが、逆に言えばその人を寄せ付けない堅牢さが魅力だともいえますね。

この様式のトレードマーク

  • リネンフォールド
  • リネンフォールド

    すでにゴシック様式のなかで生まれていた装飾ですが、チューダー様式でより人気を集めました。柔らかなリネン布のひだに似た模様を彫刻たもので、オーク材のチェストやキャビネットの鏡板などによく付けられたようです。

  • チューダーローズ
  • チューダーローズ

    一般的なバラ模様とは一風変わったチューダーローズ。なんだか別の花のようにも見えますが、これは薔薇の花を2つ重ねたものをモチーフにしているから!長く続いた内乱「薔薇戦争」を起こした2つの貴族の紋章、「白薔薇」と「赤薔薇」をひとつにすることで戦争の終わりを意味したんです。

エリザベス様式

エリザベス様式

この頃になると人々の生活も安定して、住居にゲストを招待することも当たり前になっていました。 特に王族や貴族は「誰が来ても恥ずかしくない部屋にしよう!」と、住居にインテリアにたくさんのお金を投じたそうです。
富の象徴とまでされた家具は、細やかな彫刻を備えてより豪華さを増していきます。確かに写実的なモチーフで埋め尽くされた大迫力の家具は、威嚇されているのかと思うほどの存在感… 子孫へ引き継ぐ財産としての価値を持つほどですから、よほど贅が尽くされたものだったんでしょうね。

この様式のトレードマーク

  • バルボスレッグ(ブルボースレッグ)
  • バルボスレッグ(ブルボースレッグ)

    この時代に大人気だった装飾はなんといってもバルボスレッグです。どっしりと重量感のある球体は、球根のようだとも、メロンやパイナップルのようだとも聞かれます。テーブルからベッド、椅子に至るまで、脚の付いた家具にはとにかく付いていました。なかでもテーブルは先のチューダー様式でシンプルにつくられていたこともあり、かなりの変容を感じます。

ジャコビアン様式(前期ジャコビアン様式)

ジャコビアン様式(前期ジャコビアン様式)

ジェームズ1世から息子のチャールズ1世が統治した時代に生まれた様式で、エリザベス様式からの連続性は宿していますが、角張っていてずしりと重さを感じるデザインのエリザベス様式に比べると、よりルネサンス様式に近い軽やかさがあります。
ギリシャ・ローマ時代を感じる円柱や半円をデザインに取り入れて堅い印象を軽減しながら、挽き物技術の導入によってさらに表現の幅を広げました。 それでいてシンメトリー(左右対称)なプロポーションが程よい緊張感を与えているバランスの取れた様式ですね。

Point1 ルネサンス様式がどうして「軽やか」なの?

ルネサンスというのは「再生・復活」という意味。ただ、単純にローマ文化に起こった様式を復刻しよう!というだけのものではなく「人間性の再生・復活」という意味合いがあったんです。それまで宗教によって人間性を押し込められていた人々に「人間らしい精神を解放しよう!」と働きかけたのが始まりでした。だからこそ、軽やかな表現が好まれたんですね。

この様式のトレードマーク

  • ボビンターニングレッグ
  • ボビンターニングレッグ

    挽き物技術の中でまず初めにつくられたのが、脚の途中に小さな球体がぽこぽこと付いている形のボビンターニングレッグです。名前の由来はボビン(糸巻)から取られたものですが、ミシンに使われるあの平べったい形とは似ても似つかないですよね。これは昔ボビンと呼ばれていたものの形状が違うからです!この昔のボビンの形なら、由来にも納得です。

  • 幾何学模様
  • 幾何学模様

    エリザベス様式までのチェストのパネルデザインは贅沢な彫刻が当たり前でしたが、ジャコビアン様式ではもっとシンプルな装飾が好まれました。自然物をモチーフとした流動的なデザインとは打って変わって、幾何学模様の形を取り付けた単純で法則的なデザインは、軽やかさとはまた別種の不思議な印象を持っています。

カロリアン様式(後期ジャコビアン様式)

カロリアン様式(後期ジャコビアン様式)

実はジャコビアン様式からカロリアン様式に移るまで、10年以上王のいない時代が続きます。これはチャールズ1世親子によって敷かれた絶対王政に反発した市民が王政を打倒したためですが、やはり王は必要だとジェームズ2世が即位して、王政復古が叶います。 この王が居ない時代、ジェームズ2世はフランスのルイ14世の宮廷やオランダへ亡命していました。
その時に触れた大陸の芸術文化をイギリスへ持ち込み、華やかなバロック様式がこの地で花開いたというわけです! 王がいない間に贅沢な暮らしを抑圧されていた貴族も、この時代にダイナミックで華麗な装飾が特徴のバロック様式を好んで取り入れたそうですよ。

この様式のトレードマーク

  • ツイストレッグ
  • ツイストレッグ

    バーリー・シュガー・ツイストとも呼ばれる、棒を何度もねじったような螺旋の形が特徴的な挽き物加工です。挽き物技術のパイオニアでもあったベルギーとオランダにまたがった地域“フランドル”から発祥したと言われています。

  • ビロード張り
  • ビロード張り

    ビロードというのは毛足の長いパイル織物の一種です。ベルベットの名称の方が有名かもしれませんね。美しい光沢が非常に美しく、バロックの荘厳な雰囲気によく似合った素材でした。

ウィリアム&メアリー様式

ウィリアム&メアリー様式

実3年という短い王座で終わったジェームズ2世を父に持つメアリー2世と、その夫ウィリアム3世が共同で築いた王政に誕生した様式で、政略結婚によりウィリアム3世の祖国オランダで約10年間を過ごした2人が持ち込んだオランダの文明がイギリスに強く影響しました。
贅沢なバロック様式の中に女性的な曲線と軽やかさが混じりあう、まさにバロックからロココへの過渡期を思わせるデザインです。 余談ですが、18世紀に人気を集めるシノワズリ(中国趣味)が初めてイギリスに伝わったのもこの頃なんですよ。

この様式のトレードマーク

  • 象嵌細工
  • 象嵌細工

    ウィリアム3世と一緒にオランダからやってきた家具職人によって象嵌細工と呼ばれる技術がイギリスでさらなる発展を遂げました。ベースの木材に色の異なる木材や貝をはめ込むことで模様を描き出す装飾技法で、模様を象(かたど)り嵌(は)めこむことから由来しています。

  • 籐張り
  • 籐張り

    1666年に起こったロンドン大火によって、椅子張りに使われていたビロードが品薄となりました。元々高かったビロードの価格が跳ね上がったので、代わりに使ってみようと白羽の矢が立ったのが当時籠によく使われていた“籐”でした。木材とよく調和する自然由来の籐は、涼やかな見た目が特に夏に似合うと人気を集めたそうです。

クイーン・アン様式

クイーン・アン様式

子供が生まれなかったウィリアム3世とメアリー2世の後を継いで女王となったのが、メアリー2世の妹であるアン女王です。アン女王と言えばイングランドとスコットランドを合併してグレートブリテン王国を成立させた初代君主でもあります!
この合併によって国内の生活水準が上がって、中流階級に向けた良質な家具の流通も始まりました。貴族が権威のために装飾美を競っていた家具は、次第に生活道具としての機能性を備えるようになって、軽快なデザインへと変わっていきます。ヨーロッパ全土でロココ様式が流行り始めていた時代なので、イギリスでもロココらしいデザインがたくさん見られるようになります。

この様式のトレードマーク

  • カブリオール・レッグ
  • カブリオール・レッグ

    S字に湾曲した脚は言わずと知れたロココ様式を象徴するデザインで、日本では猫脚の名称の方がなじみ深いですね。前側に張り出した部分を“膝”と呼び、クイーン・アン時代にはここに貝殻やアカンサスの葉を彫刻したものが多くみられました。

アーリー・ジョージアン様式

アーリー・ジョージアン様式

ジョージアン様式はイギリス史の中でも最も長く続いた様式で、ジョージ1世からジョージ4世まで続く100年余りの流行を占めました。その中でもジョージ1世が治めた時代に流行ったジョージアン様式をアーリー・ジョージアンと呼びます。
貴族の間でパラディアン様式とよばれるイタリア式ルネサンスが流行したため、クイーン・アン様式の時に落ち着いた豪華な意匠が、再び息を吹き返しました。バロック様式のダイナミックさも取り入れられて、より豪勢に彩られた家具は、後のジョージアン様式ですっかりなりを潜めるので、クイーン・アン様式からジョージアン様式への過渡期だとも言われます。

ジョージアン様式

ジョージアン様式

アーリー・ジョージアン様式で装飾性を重視された家具は、この時代に再び機能性へと視点を移していくことになります。ロココ様式が本格的に取り入れられた時代ですが、他国のロココ様式とは違ってシンプルにつくられているのが特徴です。
国民のライフスタイルに寄り添った機能性と、木材の材質を活かした装飾に取り組んだことで、イギリス独自のデザインを生み出したのです。さらには、イギリス家具製作の黄金期とも言われるほど、才気あふれる家具師がたくさん登場した時代でもあります!

Point2 稀代の天才デザイナー・チッペンデール

ジョージアン様式の時代に頭角を現した多くの家具デザイナーの中でも、ひときわ異彩を放っていたのが“トーマス・チッペンデール”でした。 チッペンデールがつくった家具を持っている=社会的地位が高いとされるほどの影響力を持っていたのですから、その人気の高さが伺えます……。クイーン・アン風、ゴシック風、ロココ風、中国風の4タイプを自在に操った意匠は、他にない「特別感」を人々に感じさせたのでしょうね。

この様式のトレードマーク

  • リボンバックチェア
  • リボンバックチェア

    リボンを絡ませたような立体的な背面デザインが美しい、トーマス・チッペンデールの作品群のなかでもひと際有名な椅子。18世紀イギリスでの3大流行様式と並び称されるトーマス・シェラトンのシェラトン様式、ジョージ・ヘップルホワイトのヘップルホワイト様式の椅子と並んで紹介されるのをよく見ます。

リージェンシー様式

リージェンシー様式

フランスでの地でナポレオンが起こしたアンピール様式に強く影響を受けた直線的でシンプル、そしてシンメトリーなデザインが特徴です。
ナポレオンが遠征中に発見した古代エジプトの建築様式からくるエジプト趣味や、先の時代から続く中国趣味も好んで受け入れたジョージ4世が生み出した折衷スタイルは、古典的なプロポーションの中に異国情緒も見つけられる新しい様式を生み出しました。

この様式のトレードマーク

  • サーベルレッグ
  • サーベルレッグ

    剣(サーベル)のようにカーブを描いた脚が、外側に向かって開いている形のシンプルな意匠です。元々は古代ギリシャの時代に誕生したデザインですが、リージェンシー様式の時に改めて取り出されてきました。

  • シェーズ・ロング(安楽長椅子)
  • シェーズ・ロング(安楽長椅子)

    リージェンシー時代に特に人気が高かったギリシャの寝椅子に似た形のソファ。長いシートの端は斜めに傾いていて、寝そべるような姿勢でくつろぐことができます。頭置きになった先端はくるっと巻き上がった形をしていて、それがまた優美な雰囲気を醸し出しています。

ヴィクトリアン様式

ヴィクトリアン様式

ヴィクトリア女王が即位したこの時代には、かの有名な産業革命が起こった時代でもあります。機械による大量生産が可能になって、国民の賃金も右肩上がり!さらに蒸気機関車が配備されたこともあって長距離の移動手段を得た人々は、さらなる稼ぎを求めて田舎から都市部へと移っていきました。 ただし同時に生み出された貧民街が都市部に現れたので、ブルジョワ階級の人々はむしろ郊外へと移動。都市部の中心は中流階級の人々が占めるように。
この人々がそれまで上流階級の間で流行っていた過去の様式の家具をリバイバルして、大量生産します。かつて憧れた家具が多くの家庭に行き渡ったことで、おおいにインテリアを楽しんだみたいですね。

この様式のトレードマーク

  • チェスターフィールドソファ
  • チェスターフィールドソファ

    工業の発達によって新しい素材を加工する技術も上がりました。濃いリングマシンと呼ばれるコイルばねを巻く機械も登場して、ソファの座面に仕込むスプリングも大量生産が可能に!これに詰め物をして、さらにボタン留めを施したチェスターフィールドもこの頃に誕生しました。

  • ベントウッドチェア
  • 曲木(まげき)

    蒸気でやわらかくした木材を型に沿って曲げる技術で、ドイツの家具デザイナーミハエル・トーネットが最初に発案しました。それを世に知らしめたのは、彼のつくったベントウッドチェア!それまで削りだしてしか作れないと思われていた曲線を新しい発想で覆しただけじゃなく、6本の曲木と10個のねじのわずかなパーツだけで組み立てることができた大量生産向きのデザインだったんです。

エドワーディアン様式

エドワーディアン様式

ヴィクトリアン様式から引き続き、過去の様式のリバイバルを中心にした様式です。約70年続いたヴィクトリアン様式と違い、エドワード7世が在位した10年の間だけで流行った短命な様式なんです。
それでも、ヴィクトリアン様式の時代にいろんな様式からインスパイアを受けたことで混沌としてしまった家具デザインから「脱却しよう!」と志した中で生まれたフォルムは、シンメトリーにすっきりと整えられた洗練さが際立っていて、前様式と一線を画していることを確かに感じられます。

イギリスはアンティークだけじゃない!有名な英国モダン家具メーカー4選

イギリス家具はアンティークだけでなく、ヴィンテージにも注目です! 世界中を席巻した北欧モダン家具によって、モダンデザインが一大ブームになった1950年前後の頃、イギリスもその市場へ乗り出すため様々なメーカーがモダン家具の生産に舵を切りました。 その時代から続くイギリスを代表するモダン家具ブランド4つを代表的な家具も交えてご紹介します。

G-PLAN(ジープラン)

ジープランのFrescoシリーズ

イギリスで1898年創業された大手家具メーカー、イー・ゴム(E.Gomme)社が1952年に発表した家具ブランドで、家具に貼ってある赤い紙のロゴシールがもっとも有名なトレードマーク!1950年~1980年代まで絶大な人気を誇りました。 1987年に売却されてからは勢いを落としてしまったため、勢いのあった当時に製造されたヴィンテージ家具がいまでも高い人気を保ち続けています。

北欧モダンデザインの本場デンマークでも好んで使われていたチーク材を使用する"Frescoシリーズ"は、G-PLANの中でも人気の高いシリーズです。
指が掛けやすい形に加工された取っ手、木目が走る位置まで計算された細やかな意匠は、何百年と高い技術で家具を作り続けてきたイギリスの家具職人たちのプライドを現した傑作ですね…
今回はFrescoシリーズを選ばせていただきましたが、どのシリーズを紹介するか迷ってしまうほどG-PLANで発表されたシリーズは多種多彩なんです!

もっと詳しく知りたい方は「とことんくわしく解説!G-PLANってどんなブランド?」をぜひご覧ください

Nathan(ネイサン)

ネイサンのチークコレクション

ロシア生まれのバーネット・ネイサン(Barnet Nathan)が1916年にロンドンの小さな工房を構えたことからはじまったネイサン社。
伝統ある英国家具を愛するがゆえに、北欧モダン家具への市場参入には一歩遅れを取りましたが、なんと参入してからはその伝統への愛が実を結ぶんです!ネイサン社から発表されるモダン家具デザインは英国家具の輪郭も持ち合わせていて、当時北欧モダンを煙たがっていたイギリス人からの支持を集めました。

特にブランドの代名詞を飾る"チークコレクション(クラシックレンジシリーズ)"は、ジャコビアン様式に着想を得たクロスバンティング(十字様式)デザインが特徴。実は70種類にも及ぶユニットを組み合わせて作れるユニット家具ということもあり、独自の戦略で人気を博しました。

もっと詳しく知りたい方は 「とことんくわしく解説!Nathanってどんなブランド?」をぜひご覧ください

A.H.McINTOSH(A.H.マッキントッシュ)

A.H.マッキントッシュのダンヴィガンサイドボード

A.H.マッキントッシュはブランド名を同じくしたスコットランドの家具メーカーで、1869年、アレクサンダー・ヘンリー・マッキントッシュ(Alexander Henry McIntosh)によって設立されました。ちなみに、ラダーバックチェアで有名なマッキントッシュとは別人なのでご注意を。
老舗の英国家具メーカーの中でもいち早く北欧モダン家具の製造に取り掛かって、丁寧に北欧モダンの機能美を体現していきました。華奢な丸棒を使用している特徴的で、すっきりと整えられたフォルムが部屋をスタイリッシュに飾ります!

代表的なのはトム・ロバートソンがデザイナーを務めた"ダンヴィガンサイドボード"。最高傑作とも評されるほどA.H.マッキントッシュの洗練された美しさを現した逸品なんですよ。

もっと詳しく知りたい方は「とことんくわしく解説! A.H.McINTOSHってどんなブランド?」をぜひご覧ください

ERCOL(アーコール)

アーコールのウィンザーチェア

アーコールは1920年にイタリア系移民のデザイナー、ルシアン・アーコラーニ(Luciano Randolfo Ercolani)によって設立された、イギリスを代表する老舗家具メーカーです。 ここまでに紹介した3社とはちょっと毛色が違っていて、北欧モダンの潮流を真正面から受けたのではなく、イギリスの歴史から連なって出来たモダン家具を生み出した「イギリスらしい」モダン家具ブランドなんですよ!

アーコールチェアと名称されるほどにこのメーカーを代表する家具"ウィンザーチェア"は、元々イギリスの庶民の間で1800年代に普及した家具でした。 お金持ちのように娯楽として楽しむことはなく、ただただ実用性重視でつくられた形は、モダン家具との相性ばっちり!
曲木技術を取り入れてよりモダンに見せたり、大量生産に応えるために安価なエルム材を使ったりと、世の中の需要に合わせたウィンザーチェアを作っていった結果、ウィンザーチェアと言えばアーコールと言われるほどの看板商品になったんです。

もっと詳しく知りたい方は 「とことんくわしく解説!ERCOLってどんなブランド?」をぜひご覧ください


長い間育まれてきた英国家具に触れて

アンティーク家具は国の数だけ世界中にあるはずなのに、どうしてイギリスアンティークだけ突出して世界中から愛されているのだろう…と不思議に思ったことはないですか? それはやはり現存しているアンティークが多いということが一つだと思います。
じゃあどうして100年以上経った現代まで残り続けたのか。それを実現させたのはイギリス人のものを大切にする姿勢です。

イギリスでは古い家や家具にこだわりを持ち、大切にする傾向が強いのだそうです。大事にしている家財を親から子へ、孫へと代々引き継いで、何世代にも渡る思い出の品にするんですね。壊れれば修理して、また使います。簡単に捨てたりしないのです。
手放すとしても、捨てるのではなく譲るという選択肢が大きく占めています。リサイクルに出したり、古物市に出したり、慈善団体に寄付するなど、「使わないものは、役立ててくれる人に譲ろう」というマインドが昔から継承され続けて当たり前になっているんですよね。

次の人へ使い継がれて“捨てる”選択がなかったからこそ、貴重なアンティーク家具がたくさん現存していて、奥深い歴史に魅了された多くのコレクターたちに愛されているのです。
もちろんこうして使い続けられるのは、頑丈な木材と造りの良さからなる良質な家具だからこそ!多少高価でも世代を渡って長く使える家具を選ぶことが、家具をアンティークへと育てていく大切な考え方なんですね。
あなたも次世代へと歴史を運ぶアンティーク家具をご自宅に加えてみてはいかがでしょうか。


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