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アーコール(ERCOL)

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アーコール(ERCOL)はイタリア系移民のデザイナー、ルシアン・アーコラーニ(Luciano Randolfo Ercolani)によって1920年に設立されたイギリスを代表する老舗家具メーカーです。
アーコールの家具はシンプルで実用的。どんなインテリアにも合わせやすく、飽きの来ないデザインが魅力です。そのデザインはルシアンから息子へ、更に孫へと受け継がれ、100年以上経った現在もイギリスのトップ家具メーカーとして家具作りを続けています。
特にアーコールの人気を今も支えているのが豊富な椅子のラインナップ。アーコールチェアは半世紀以上デザインが変わらず現行品として今も販売されているものもあり、その普遍的デザインが日本人の感性にフィットし人気を博しています。
古い家具をインテリアに取り入れてみたいと思ったら、先ずはアーコールのチェア1脚から始めてみると間違いなしです。洋風にも和風にも良く似合うので、今お使いの家具とも違和感なく馴染み、まるでずっと一緒にいたかのような心地良さを感じさせてくれることでしょう!
ラフジュ工房では人気のアーコールチェアだけでなく、テーブルやカップボード、サイドボードにソファなど、アイテム数豊富に取り揃えております。大振りなものが多い海外ヴィンテージ家具の中、ことアーコールに関しては日本の暮らしに合うコンパクトサイズのものが多いのも嬉しいところ。そんなサイズ感にもぜひ注目してみてくださいね!
         

アーコールチェア(ERCOL Chair)の商品一覧はこちら


アーコール(ERCOL)以外のヴィンテージ家具の商品一覧はこちら


とことんくわしく解説!アーコール(ERCOL)ってどんなブランド?



3色の商品タイプのマークについて

アーコール(ERCOL)

 

 

 

           

「アーコール(ERCOL)って椅子なら知ってる!」

ヴィンテージ家具を詳しく知らずとも、アーコールチェアを一度は目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?あまりに椅子が有名なので他のアイテムは意外と知られていませんが、実は椅子以外にも完成度の高い真面目な家具を作り続けている現役のブランドなんです。
ここではそんな人気のチェアや他のアイテムにもスポットを当てながら、今までふんわりとしかアーコールを知らなかった方も、すでにアーコールを使っているという方も、これを読めばアーコールの全てが分かる!というくらいにまで深掘りしていきますよ!英国家具ブランドなのに創設者は実はイタリア人というちょっと驚きの事実から、人気のアイテム、製作年代を知る方法、さらには偽物の見分け方やコーディネート実例まで、とことんお伝えしていきます!

先ずはアーコール(ERCOL)の歴史から

アーコールの歴史を語る上で絶対に外せない人物がいます。その人物の名は、ルシアン・アーコラーニ(Lucian Ercolani)。一代でアーコールを英国家具のトップブランドへと成長させた、アーコールの創業者です。アーコールの歴史はルシアンの人生そのもの。そんな彼の生い立ちから見ていきましょう!

アーコール(ERCOL)の創業者、ルシアン・アーコラーニ(Lucian Ercolani)の生い立ち

  • 後にアーコールの創業者となるルシアン・アーコラーニは、1880年、イタリアのトスカーナ州サンアンジェロという小さな町で生まれました。男ばかりの4人兄弟の長男です。
    ルシアンの父親、アブドン・アーコラーニはイタリアのウフィツィ美術館から仕事を請け負うような腕のいい額縁職人でしたが、その父アブドンが、カトリックからプロテスタントに改宗したことで町の人達から敬遠されるようになり、一家は引っ越しを余儀なくされました。こうしてルシアンが10歳の時、住み慣れた町から遠くイギリスのロンドンに移り住むことになります。

~ イタリアの小さな町からロンドンへ ~

  • 移住こそ無事に済んだものの、ロンドンでの生活は順風満帆ではありませんでした。
    アーコラーニ家の生活は常に困窮していましたし、言語の違いから学校に馴染めませんでした。
    学校から逃げたい気持ちと生活の為、早退してメッセンジャーボーイの仕事をしながら父が信仰していた救世軍のブラスバンド部に所属。そこが彼の拠り所となり、音楽が生涯の趣味となったそうです。
    卒業後は、その救世軍の組織でドアや階段などを製作する仕事に就きます。ここでの経験が家具に興味を持つきっかけとなります。
    ルシアンが18歳の時、優れた木工技術者であった父の勧めもあり、ロンドンにあるショーディッチ工科大学の技術研究所の夜間クラスに通い始めます。昼は仕事、夜は家具の製図とデザインの勉強をし、家具デザイナーへの道を歩み始めました。

~ ロンドンから家具作りの町、ハイ・ウィカム(High Wycombe)へ ~

  • 1910年、ルシアンが22歳の時、大きなチャンスが訪れます。
    それは、後にイギリス三大高級家具ブランドとして名を馳せるパーカーノール(Parker Knoll)の創業者、フレデリック・パーカーから、家具の製図者とデザイナーのポストをオファーされたことです。
    これをチャンスと捉えたルシアンは、フレデリックの会社があるハイ・ウィカムに移り、夢だった家具デザイナーとして働き始めることになります。
    ハイ・ウィカムは家具作りの資源に恵まれている上、流通の便も良かったことから家具の製造、特に椅子の製造が盛んな地域でした。

  • ルシアンはフレデリック・パーカーの息子の下で、昼は製図やデザインの仕事をし、夜はハイ・ウィカム技術研究所で家具デザインの夜間クラス講師として指導に励みました。
    ルシアンの生徒の中には、後にジープラン(G-PLAN)というブランドで有名になるイー・ゴム(E.Gomme)社の経営者の息子、エドワード・ゴムもいました。(その後エドワード・ゴムとは友人になり、その関係は生涯続きます。)
    ゴム家に気に入られたルシアンは、ゴム家の養子となり、イー・ゴム社で働くことになります。
    生活が安定してきたことで、ルシアンは26歳の時に結婚し、家を建て、3人の子供を授かりました。

  • 暮らしこそ裕福にはなったものの、イー・ゴム社での仕事は彼の望むものではありませんでした。
    デザイナーとして採用されたはずが実際の仕事は現場マネージャーの仕事だったこと、取締役会から外されたことなどから、ゴム家との間に一時的に亀裂が生じ、ルシアンは第一次世界大戦後にイー・ゴム社を退社します。
    退社した当初は、イー・ゴム社の工場を見るのも辛かったといいます。ですがこの悔しい経験がルシアンを動かすこととなります。
    1920年、ついに独立を決断!ルシアンは32歳でアーコール(ERCOL)社の前身となる会社、ファニチャー・インダストリーズをハイ・ウィカムで設立しました!

ルシアンが独立を決意。ここからがアーコール(ERCOL)の始まりです!

  • ルシアンを知る人は皆、彼をエネルギーに溢れた人だと言います。
    最初こそ小規模で始まった彼のビジネスは、その溢れるエネルギーによって10年後には、数百人を雇用するまでに急成長しました。
    第一次世界大戦と世界恐慌のためハイ・ウィカムでは次々と家具メーカーが倒産していく中で、ルシアンは経営危機に陥った老舗メーカーを買収し、そこで働いていた熟練の職人を雇用。更に生産の機械化を進め、どこよりも高い生産力を武器に『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作る』という信念を持って猛進していきます。

  • ルシアンの長男(ルシアン・ブレッド・アーコラーニ)が父に憧れ共に働きはじめた頃、第二次世界大戦が勃発。長男と次男は空軍に入り、戦地に赴きます。
    英国内の家具生産は政府によって規制されていましたが、アーコールは弾薬箱や軍事用テントのペグ製作の依頼を受けます。更には物資不足、職人不足でも、効率良く作れる生産ラインを構築したことで、軍用ベットや防空壕用の椅子なども大量に請け負うことができました。
    戦前から木工加工の機械化を進めてきたアーコールだからこそ、激動の時代に対応できたのです。

  • 1941年、政府よりユーティリティー・ファニチャー・スキーム(統制家具計画)という物々しい政策が始まります。
    ユーティリティー・ファニチャー・スキームとは、戦争により貴重な資源となった木材を有効活用するための政府主導の規制で、イギリス家具の伝統だった豪華な装飾を限りなく抑え、無駄のないシンプルな家具作りしか認めないというものです。
    1951年まで続いたこの規制は他の家具メーカーを困惑させました。
    しかしルシアンは、「この制度がデザイン改革のチャンスだ!」と歓迎したのです。

  • ルシアンは戦前、ニューヨーク旅行でメトロポリタン美術館を訪れた時にとてもシンプルなシェーカーデザインの椅子に深く感銘を受けていました。
    無駄のない美しいデザインと目につかないところまで精巧なつくりのこの椅子は、ルシアンの考える家具デザインを根底から覆すものだったのです。
    あの時見た椅子の様に、シンプルを評価される時代がやってきたことにルシアンは熱狂します。
    『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作りたい』と願っていたルシアンの想いに、時代の流れがぴたりと嵌まったのです。

「ウィンザーチェアといえばアーコール(ERCOL)」と言われるようになったのはここから

  • 1944年終戦目前。アーコールは政府貿易委員会から食堂で使用するための椅子として、ウィンザーチェア10万脚を委託されます。
    10万脚というだけでも途方もない数なのに、短納期、さらに安価で質の良い椅子という無理難題を突きつけられたのです。
    このミッションをクリアする唯一の方法は、製造プロセスを工業化すること。ルシアンはこの挑戦は今後のアーコールに有益だと判断し、この依頼を引き受けます。
    選ばれた木材はニレ材(エルム材)で、イギリス国内に豊富にあるものの、乾燥させにくく歪んでいるため家具の使用は不可能と考えられていました。

  • アーコールはこの厄介者と言うべきニレ材を有効活用し、同業者を驚かせました。
    従来の加工では扱い難いニレ材が、曲木加工には最適な材料であるとルシアンは気が付いたのです。
    材料を蒸気で蒸し、型でプレスして曲げるという曲木の技術を使い、ニレ材の曲木を背もたれに使うというウィンザーチェアのデザインを設計。
    蒸すための大型の窯と多くのプレス機を導入し、製造ラインを整えて、曲木のウィンザーチェアの大量生産に成功したのです!

  • 戦後の復興と共に家具の需要は一気に高まります。
    ユーティリティー・ファニチャー・スキームの流れもあり、イギリス国内ではシンプルで実用的な北欧デザインが流行し始めました。
    アーコールにはシンプルを追及したデザインがあり、安く大量に作れる設備、そしてそれを扱える技術者もいる。アーコール家具が市場を席巻するための機は熟したのです。
    1945年、ルシアン57歳の時にアーコールのウィンザーチェアシリーズの最初のモデルとなる、4aキッチンチェア(4a Kitchen Chair)の大量生産に成功!ウインザーチェアがアーコールの代名詞とまで言われるようになったのは、このはこのモデルがきっかけでした。

  • 戦争から無事戻ってきた二人の息子(ブレッドとバリー)もアーコールの第一線で活躍するようなり、アーコールの事業規模は益々勢いを増して拡大していきます。
    4aキッチンチェアの成功を皮切りに、ルシアンは伝統的なウィンザーチェアの構造にモダンデザインを融合させた、軽くて持ち運びもしやすいウィンザーチェア次々と発表します。このウィンザーシリーズはダイニングチェアの定番となり、「ウインザーチェアといえばアーコール」と世界に印象付けていったのです。

  • 1956年、ルシアンが68歳の時に、移動しやすく重ねられるように設計されたスタッキングチェア、二人掛け用ウィンザーチェアのラブシート、ソフベットのスタジオカウチなどを発表!1958年、ルシアンが70歳の時には積層合板を曲げて組み合わせるという革新的なデザインとして話題になったバタフライチェアを発表!(これらは全てアーコールの代表作となり、半世紀後に訪れるアーコール再ブームのきっかけともなります。)
    スタッキングチェアは1963年にイギリス全土の学校の椅子として採用されました。こうしてアーコールチェアは大人から子供まで誰しもが座ったことのある椅子となっていったのです。

ルシアンのつくったアーコール(ERCOL)は息子達に引き継がれ…

  • ルシアンは椅子以外にもダイニングセット、ソファ、キャビネット、ローボードとシンプルで実用的な様々なアイテムをデザインし、その度にアーコールは成長し続け、1975年には実に790名ものスタッフを雇用する大企業となったのです。
    晩年のルシアンはアーコールの会長職を続けながら自宅で回想録や執筆活動をし、自伝を書き上げた翌年の1976年、88歳でこの世を去りました。
    その後、彼の残した数々のデザインと意思は息子達へ、更にその孫へと引き継がれていくことになります。

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    時は流れアーコール(ERCOL)は…
    イギリス国内の物資も安定し「再びイギリスらしい家具を持とう」という動きが出てきた20世紀後半、英国内の北欧デザインを手掛けていた家具メーカーは次々と倒産していきました。それはアーコールも例外ではなく、事業を縮小し、ミッドセンチュリー時代に人気だったシンプルな椅子や家具は次々と廃盤になりました。アーコールは大量生産できない高級クラシック家具を作り、アーコールチェアは人々から忘れられていきました。
    しかし、そんなアーコールが再び脚光を浴びることになります!

  • イギリス出身の有名ファッションデザイナー マーガレット・ハウエル(Margaret Howell)が、生産を中止していたアーコールチェアの復刻を申し入れたのです。彼女は子どもの頃から日常の中にアーコールの家具が当たり前のようにあり、大人になってからもキッチンチェアを大切に使ってたそう。
    そんな彼女がデザイナーとして活動する中で、アーコールの創業者ルシアン・アーコラーニのデザインとビジネスに深く共感し惚れ込み、2003年にスタッキングチェアとバタフライチェアの復刻が実現しました。

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    こうして再び脚光を浴びることになったアーコール(ERCOL)
    スタッキングチェアとバタフライチェアの復刻を皮切りにラブシートやスタジオカウチなど次々と復刻され、世界中で再び注目されるようになったアーコールブランド。2000年に入ってから北欧デザインブームがまたじわじわと流行り始めたこともあり、忘れ去られていたアーコールの家具達が再び人々に求められる時代がやってきたのです!
    こうしてアーコールは現行品とヴィンテージ品の両方を楽しめるという稀有なブランドとなりました。
    シンプルで実用的な普遍的デザインは日本人の感性にもマッチし、近年では復刻版だけでなく、かつて生産されたヴィンテージのアーコール家具までも大人気です。
    アーコール創業時から守ってきたルシアンの信念、『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作る』という想いから生み出された家具達は、今日も私たちの日常の中でさりげなく輝き続けています。

アーコール(ERCOL)が現代でも愛される理由

およそ100年前から作り続けられ、現行品からアンティーク品まで未だ人気の衰えることないアーコールが、今も尚、人々を魅了し続ける理由とはなんなのでしょうか?アンティークのプロである当店の見解も交えながら解説します!

アーコール(ERCOL)家具の 完成度の高い究極デザイン

アーコールの魅力として先ず1番に挙げなくてはいけないのがやはりデザインでしょう!
アーコール家具がデザインされた1950〜60年代は、世界中で北欧デザインの家具が大流行していました。他の家具ブランドがイギリスの伝統的なデザインを捨て、こぞって北欧デザインに移行する中、アーコールは伝統的なデザインに敬意を払いながら、シンプルな北欧デザインとの融合に成功します。そのアーコール独特のイギリス・モダンプロポーションは、北欧家具とは違う「格式」のような雰囲気を放ち、シンプルなのに存在感があり、椅子を1脚置いただけでも絵になります。
また、アーコール家具はクラッシックからモダン、ゴシックからナチュラルまで、あらゆるテイストのインテリアにも不思議とマッチしてしまいます。洋風だけでなく、和風インテリアにも良く似合うという、こんなブランドが他にあるでしょうか?これはもはや発明です…!

アーコール(ERCOL)チェアの豊富なラインナップ

アーコールといえばチェアを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
事実日本においては、アーコール家具の中でもアーコールチェアの人気が絶大で、様々な場面で有名人がアーコールチェアを紹介したり、雑誌やテレビなどでも取り上げられ注目されています。特にファッションモデルである雅姫さんが、愛用のアーコールのスタッキングチェアを紹介してから日本での知名度が一気に上がりました。更にこのスタッキングチェアは、イギリス出身の人気ファッションデザイナー、マーガレット・ハウエルが復刻を申し入れたことで、世界中でアーコールの再ブームが起きました。
アーコールチェアは他にも、バタフライチェア、フープバックチェア(ウィンザーチェア)、ゴールドスミスチェア、クエーカーチェア、ボウバックチェア、スティックバックチェア、エックスバックチェア、ホイールバックチェア、スモーカーズチェア(カウホーンチェア)などなど大人気商品が盛り沢山!ヴィンテージのアーコールとは少々仕様や名前が変わったりしているものの、現行品としては上記のうち5種類が販売中です。
一方ヴィンテージ品は11タイプあり、それぞれにアーム付きやロッキングチェア式になっているものがあり、更に製造年代によってデザインや特徴に違いがあるなど、アーコールチェアはとにかく種類が多いのです。その中からとっておきの一点を見つけるというのは、まるで宝探しのよう。出会えたことに運命を感じてしまう椅子、それがアーコールチェアです。

アーコール(ERCOL)のちょうどいいサイズ感

アーコールの家具はどのアイテムも比較的コンパクトに作られていて圧迫感がなく、日本の住宅にもよく馴染みます。特に椅子に関しては、海外ものだと座面が高すぎるものが多く、女性が座ると足が床につかずプラプラしてしまうことも少なくありません。そんな中、アーコールの椅子の座面は42センチほどで作られているものが多く、日本人女性にも座りやすいサイズになっています。
また、椅子に限らずテーブルやキャビネット、サイドボード、ソファに関しても小ぶりに作られており、どんな住宅事情でも配置がしやすいのが特徴です。更に女性でも簡単に動かせるキャスター付きのサイドボードもあり、機能性にも富んでいますよ。アーコールがいかに使い勝手にこだわって設計されているのかが分かります!

アーコール(ERCOL)家具ならではの素材

当時のイギリスでは、スカンジナビアデザイン(北欧デザイン)の流行により、資源の有効活用というスローガンで無垢材を使用するということが避けられた時代でもありました。そんな時代においても、アーコールが無垢材にこだわり使い続けられたのは、ニレ材(エルム材)の有効活用に成功したのが理由の一つです。 無垢材は木目の美しさや質感の良さだけでなく、リペアがしやすいということで末長く使えますし、もしリペアしなかったとしても、突き板とちがって傷も味として楽しめます。ニレ材の有効活用に成功したおかげで、あの時代のヴィンテージ家具には少ない「無垢材を使用している家具」という付加価値でアーコールは他ブランドと差をつけたのです。
当時使われていたエルム材は今では希少な木材となり、現行品ではアッシュに取り変わっています。エルム材(イングリッシュエルム)を使用したアーコール家具は、ヴィンテージでしか存在せず、ヴィンテージの人気が高まっている理由のひとつでもあります。

アーコール(ERCOL)家具の圧倒的に優れた品質

ラフジュ工房でも、アーコールの製品は数多く扱ってきましたが、その中で仕入れるたびに驚かされるのはそのコンディションの良さです。一度設置すれば動かすことの少ないキャビネットやサイドボードのコンディションの良いものはよく見かけますが、椅子は全く話が違います。椅子は家具の中でも最も過酷な使い方をされるアイテムで、何十キロもある人を毎日支えています。支えるだけならともかく、椅子に座ったあとも頻繁に体重移動をするため、接合部に絶えず負担がかかり続けます。そんな理由から椅子は家具職人にとって、最も難しい家具づくりの一つと言われています。アーコールの家具はそんな過酷な環境下で使い続けられてきたであろう椅子までも、構造的な強度が落ちておらず、痛みも少なく、点検と塗装だけで販売できるものも少なくありません。数多くのアンティークチェアやヴィンテージチェアをリペアしていると、いかにアーコールの技術が突出しているか思い知らされます。更に言えば、このクオリティーで大量生産に成功したのですから、感嘆する以外ありません。木材の乾燥の技術、製材の技術、曲げ木の技術、組み立ての技術…全てが相まってアーコールの品質を作り出しているのです。

アーコール(ERCOL)が今でも愛される理由は用の美の追求にあった

いかがでしたでしょうか?
アーコールの魅力をラフジュ工房の視点で解説させていただきましたが、思いの外、長くなってしまいました。(それほどアーコールが魅力の多いブランドということですね!)
同じ時代を駆け抜けた他の家具ブンドがこぞって姿を消す中、アーコールが今現在でも世界中から愛されているのは、「日常で使う」ということを一番に考え抜いた『用の美』が追求されたデザインであるところだと総じて言えるでしょう。
ただシンプルなだけじゃない。ただ実用的なだけじゃない。唯一無二のアーコールクオリティにあなたも魅了されるはずです!

アーコール(ERCOL)のシリーズや色を解説!

長年の歴史を積み重ねてきた老舗ブランド、アーコール。
その長い歴史ゆえにアイテムが豊富で、どんなラインナップがあるのか分かりにくく、アーコール家具で揃えようと思っても漠然と探すのはなかなか骨が折れます。そこでここでは、当店の長年の経験を踏まえながら、なるべくわかりやすくアコール家具を解説していきますのでぜひお役立てくださいね!

アーコール(ERCOL)家具のシリーズはざっくり分けると2種類!

シリーズは細かく分ければ多数ありますが、大きく分けると2種類に分けられます。
丸みを帯びたシンプルなフォルムの『ウィンザーシリーズ』と、クラシックの雰囲気漂うダークブラン系の色で統一された『オールドコロニアルシリーズ』の二種類です。(この二つのシリーズについては後ほど下で詳しく解説します!)

アーコール(ERCOL)家具の色は3色展開!

ヴィンテージのアーコール家具の基本的なカラーは、木肌の色を生かしたナチュラル色、ミディアムブランのゴールデン ドーン色、ダークブラウンのオールドコロニアル色の3色展開となります。(この3色についても後ほど下で詳しく解説しますね!)
3色展開とは言ったものの、実際にヴィンテージのアーコール家具を見てみますとこの3色以外にも存在しています。それは塗料の色が年代によって若干違っていたり、特注のオーダーカラーがあったり、素材の色の違いが出ていたり、経年変化で色味が変化していたりするのかもしれません。そういった理由から、全く同じ色で揃えようとするとなかなか難しく悩ましいところではありますが、色味一つとっても一期一会の出会いになるからこそ、アンティークやヴィンテージ家具は面白いのだと思います!

同じ形のアーコール(ERCOL)チェアでも色が変われば別物に…

ウィンザーシリーズとオールドコロニアルシリーズは家具の形は一緒で、色だけが違うものもあります。
例えばゴールドスミスチェアはナチュラル色であればウィンザーシリーズ、オールドコロニアル色であればオールドコロニアルシリーズに属します。その辺がちょっとややこしいですね。ですが同じ形の椅子一つ見ても、色が変わるだけで北欧モダンテイストになったり、英国クラシックテイストになったりと、アーコールのデザインがどんなものでも受け入れる懐の深いデザインであることが分かります。

それではアーコール(ERCOL)の代表的なシリーズについて解説!

  • 人気絶大のウインザーシリーズ(Windsor series)
    アーコールといえばこのシリーズ! 特に曲木を使ったチェアシリーズは約70年前のリリースから今日まで売れ続け、世界的なベストセラー商品になっています。
    ウィンザーシリーズの家具は木材不足の時代に無垢材を使い、滑らかな曲線と美しい木目が引き立つようデザインされています。シャープでありながら温かみも感じられるそのデザインは、どんなインテリアにも合わせやすく飽きることがありません。
    伝統的な職人技とモダンデザインの見事な融合で、今日までアーコールを象徴するシリーズとなっています。

  • 格式高いオールドコロニアルシリーズ(Old Colonial series)
    イギリスによるアメリカ入植時代の家具スタイルを参考にデザインされたクラシックなシリーズ。アーコールらしい温かみのあるシャープさの中に、古典的な装飾を適度に加えた格式の高いデザインで、ユニット式に組み合わせて壁面いっぱいに展開できるアイテムがあるのも特徴です。
    戦後の北欧デザインブームの最中に時代遅れともいえるシリーズを展開させたアーコール。それは万が一ウィンザーシリーズが売れなかった時の保険としてクラシックデザインを同時展開したそう。その結果一定の需要があり、北欧デザインブームが去った後のアーコールブランドを支えました。

  • その他のシリーズとして
    1971年にパインライン(The Pine Line)というパイン材を使ったカントリー調のシリーズを発表しています。これまでパイン材を扱ったことがなかったアーコールの新たな挑戦でした。
    駆け出しこそ順調だったものの、1980年頃にはパイン材家具市場が膨れ上がり価格競争で苦戦。アーコールのパインラインはどこよりも高品質でしたが、価格では太刀打ちできず、廃盤となりました。販売期間も短いことからレア度の高いシリーズとなっています。

続いてアーコール(ERCOL)の基本3カラーを解説!

  • 一番人気のチュラル(natural)色
    ラインナップの中でもっとも明るいライト色がこちらです。アーコールと言えばこの色を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
    ナチュラルポリッシュとも呼ばれ、ポリッシュというのは磨くという意味があり、木材を磨くことによって木肌本来の色を生かし、着色は最低限にとどめています。
    アーコールといえばエルム材ですが、このエルム材の木目を最も美しく引き立てるのがこの技法です。

  • ロマンチックな琥珀色のゴールデン ドーン(Golden dawn)色
    美しいミディアムブラウンのゴールデン ドーン色。こちらは1982年頃に追加され、イギリスで一番の人気色とも言われています。
    美しい琥珀色はまるで経年変化によって自然に生まれた色合いのよう。軽くもなく重くもない絶妙な色加減なので、ウィンザーシリーズとオールドコロニアルシリーズのどちらにも馴染みます。和風から洋風、ナチュラルからシックまで、幅広インテリアに似合いますよ!

  • シックなオールドコロニアル(Old Colonial)色
    イギリスらしい伝統的なクラシックデザインの同名のシリーズ、「オールドコロニアルシリーズ」の色で、チョコレートのような上品で艶のあるブラウン色です。
    濃い色ですが、さすがはアーコール。木目を消すことなく、しっかり際立たせてくれていますよ。
    モダンデザインのウィンザーチェアもこのオールドコロニアル色で塗装すれば、一気にクラシカルな装いになり、英国クラシック家具との組合せはもちろんのこと、和家具と組合せても相性抜群です。

  • その他、1980年代の頃に登場したカラー
    アーコールのヴィンテージの中では比較的新しい年代になる1980年頃には、オールドコロニアル色はなくなり、トラディショナル(Traditional)色という色に変わりました。このトラディショナル色はより黒に近い重厚感のある色で、再びイギリスらしい家具を求められるようになった国内の需要に合わせて誕生しました。また、同時期にブラウンと黄色がかったブラウンがグラデーションになっている塗装のラインナップが出ています。

アーコール(ERCOL)のシリーズやカラーバリエーションは時代と共に移り変わり…

アーコールは1950年~1970年にはウィンザーシリーズをメインで展開、1970年~1980年代にはオールドコロニアルシリーズをメインで展開…と、その時代の流れに合わせて二つのシリーズの比重を変えながら販売してきました。1970年から1990年代にかけては事業縮小をしながら真面目な家具作りを続ける中で、2000年にミッドセンチュリー時代の北欧モダンデザインブームの再燃。オールドコロニアルシリーズは完全に廃盤となり、再び人気となったウィンザーシリーズのチェアが一部復刻され、現在はナチュラルモダン路線に切り替わりました。
よってウインザーシリーズの一部は新品で手に入れることができますが、オールドコロニアルシリーズはアンティークかヴィンテージ品のみでしか出会うことができません。また、日本で出回っている数がウィンザーシリーズに比べるとぐっと少ないので、オールドコロニアルシリーズを集めたい時は常にアンテナを張って、出会いを大切にしましょう!

アーコール(ERCOL)の人気アイテムを紹介!

創業100年以上経った老舗ブランド、アーコール。廃盤になったものから現行品まであり、アイテムが特に多いブランドです。全てご紹介したいのはやまやまですが、途方もないアイテム数になりますので、人気のアイテムと滅多に出会えないレアなアイテムを中心にご紹介します!

アーコール(ERCOL)のダイニングチェア

                  

アーコールの商品を語る上で外せないのが、ダイニングチェアのラインナップです。同じデザインでロッキング仕様だったり、細部のデザイン違いやサイズ違いもあります。


  • フープバック
    チェア

    一番オーソドックスな曲げ木のチェアで、カーブが可愛らしくほっこりするデザイン。ウィンザーチェアという商品名で現行品あり。

  • クエーカー
    チェア

    美しくカーブを描いたアーコールの曲木技術の真骨頂。ハイバックなのでゆったりと座れます。現行品あり。

  • ゴールドスミス
    チェア

    「金細工師」という意味を持つこちらのチェア。波をうったような形の笠木(背もたれ上部の横木)がシンボル。

  • ボウバック
    チェア

    背もたれの横木が背中の丸みに合わせて弓のようにカーブしています。シンプルで飽きのこないデザイン。

  • スティックバック
    チェア

    伝統的なウインザーチェアのコムバック型を、アーコールがモダンに進化させた。背面まで美しいデザイン。

  • スモーカーズ
    チェア

    別名「カウホーンチェア」、まさに牛の角のような肘掛けのカーブが特徴的です。生産数も少なくレアなモデルです。

  • バタフライ
    チェア

    無垢材を使うことが常識だった時代、最先端技術の成形合板を取り入れ、先進的なデザインを実現したことで話題に。現行品あり。

  • エックスバック
    チェア

    背もたれと脚の貫がXに交差しているデザインが特徴。別名クロスバックチェア。ラティスバックチェアとも呼ばれています。

  • スタッキング
    チェア

    〝積み重ねる〟ことが可能でサイズ展開が豊富なモデル。イギリス全土の学校の椅子としても使われていました。現行品あり。

  • ラダーバック
    チェア

    ハシゴをモチーフにデザインされた伝統的なラダーバックスタイルを、アーコールらしくモダンかつシャープにリデザインしたモデル。

  • ボウトップ
    シスルバックチェア

    彫刻入りの三本の背もたれが個性的なデザイン。彫刻部分はスコットランドの国花、シスル(アザミ)の花がモチーフ。

  • スワンバック
    チェア

    クエーカーチェアにスワン(白鳥)のモチーフが透かし彫りされたデザイン。1990年代に誕生したので、ヴィンテージの中では年代が浅い。


その他のアーコール(ERCOL)の代表的なアイテムやレアアイテム

アーコールはダイニングチェア以外のアイテムも豊富です。名作と言われるアイテムから、探してもなかなか手に入れられないレア品までご紹介します。ヴィンテージ品は一点ものなので、見逃すと一生出会えない可能性もありますよ!後悔のないお買い物ができるように、こちらのコンテンツをぜひお役立てくださいね。




チェアメーカーズチェア(Chairmaker‘s Chair)
「椅子職人のために造られたチェア」と呼ばれ、アーコールチェアのなかでも大ぶりで高級なハイエンドモデルになります。 伝統的なダブルボウバックチェアをベースデザインとし、大きな背もたれと背から続くアームのデザインが特徴的。同じタイプのロッキングチェアや、後ほど紹介する超レアな長椅子タイプも存在します。
カラーバリエーションは、ナチュラル色、ゴールデンドーン色、オールドコロニアル色、トラディショナル色と存在していますが、どれもなかなか出会うことはできません。

ラティマーチェア(Latimer Chair)
前述のチェアメーカーズチェアよりさらに珍しい幻のモデルのラティマーチェア。フープバックチェアを大振りにした様な背もたれのハイバック仕様で、1980年~1990年の間に作られたゆったり座れる高級ラインです。9本スポークと貫(ぬき)と呼ばれる脚をつなぐ部分のデザインが特徴的。
カラーバリエーションは、ナチュラル色、ゴールデンドーン色、トラディショナル色が存在していますが、日本だけでなくイギリスでもなかなか見かけません。希少価値が高いので、もし見つけたら即買いをおすすめいたします!




ウィンザー サイドボード(Windsor Sideboard)
アーコールでも定番のアイテムで、ロングセラー商品だったため日本でも比較的入手しやすくなっています。
四角のシンプルなデザインですが、美しい木目と緩やかな丸みがアーコールならでは。手触りも滑らかです。海外もののサイドボードは大振りなものが多いですが、アーコールのサイドボードは小振りで取り入れやすいサイズ感。手軽に移動できるようキャスター付きなのも嬉しいですね!
カラーバリエーションは、ナチュラル色とオールドコロニアル色とありますが、オールドコロニアル色はレアカラーになります。また、こちらのサイトボードは幅が2メートルを超える激レアサイズも存在しますよ。

ウィンザー ディスプレイキャビネット(Windsor Display Cabinet)
ウインザーサイドボードの上部に収納を配置したモデル。日本ではあまり流通していません。
こちらも一見全体的にシンプルですが、木目もデザインの一部として引き立つように設計されていて、側面も無垢のエルム材が使われているので横から見ても絵になります。高さがあるキャビネットですが、キャスター付きなので女性一人でも移動できます。
カラーバリエーションは、ナチュラル色のみ。




ウィンザー ドロップリーフテーブル(Windsor Dropleaf Table)
すらりとした脚に手触りの良い丸い天板のダイニングテーブル。バタフライテーブルとも呼ばれています。
アーコールのアイテムは丸みがあるものが多いですが、こちらのドロップリーフテーブルは脚が角ばった先細りのテーパードになっていて、天板の丸みとの対比が印象的なデザインです。
廃盤となっていましたが2017年に復刻。大きすぎないダイニングテーブルとして人気で、ヴィンテージ品のカラーバリエーションは、ナチュラル色、ゴールデンドーン色、オールドコロニアル色、トラディショナル色と存在していますが、近年はどれも手に入り難くなってきました。

ルームディバイダー(Room Divider)
ルームディバイダーというのは間仕切り家具のこと。だからどの角度から見ても美しく見えるように設計されています。
高さが1900mm程ありますが、背板がないので圧迫感はなくスマートな印象です。壁際において飾り棚や本棚としてもお使いいただいても素敵ですね。
カラーバリエーションは、ナチュラル色とオールドコロニアル色の2色。現在は手に入り難いレアアイテムなので気になる方は見つけた時が買い時ですよ!




エヴァーグリーン ハイバックイージーチェア(Evergreen High Back Easy Chair)
こちらはウィンザーシリーズのダイニングチェアをリビング用にデザインした高級ラインとなります。イージーチェアとはゆったりくつろげる1人用の椅子のことで、ソファと同じようにお使いいただけます。包み込むような扇状のウイングバックの背もたれで、座り心地の良さは間違いなし。イージーチェア以外にも2人掛け、3人掛けがあり、ヴィンテージ品では木製フレームのカラーがナチュラル色とゴールデンドーン色、オールドコロニアル色があります。
現行品も販売されているロングセラーのヒット商品なので、ヴィンテージも新品も選べる比較的手に入れやすいアイテムです。

スプリングタイム イージーチェア(Springtime Easy Chair)
エバーグリーンの背もたれを低くした姉妹モデルで、こちらも高級ラインとなっています。エヴァーグリーンと同じくウイングバックの背もたれでこちらも座り心地間違いなし。
エバーグリーン同様ロングセラー商品でしたが、2000年以降廃盤となり現行品はありません。こちらもイージーチェア以外に2人掛け、3人掛けがあり、木製フレームのカラーがナチュラル色とゴールデンドーン色、オールドコロニアル色があります。




ウィンザー ジュビリー ソファ(Windsor Jubilee Theme sofa)
曲木技術で作られたスクエア型の背もたれとアームが特徴です。「ゆりかごの様に快適な座り心地」をコンセプトに、1980年代のわずかな期間のみで作られた希少モデルです。
イージーチェア、2人掛け、3人掛けがあり、木製フレームのカラーがナチュラル色とゴールデンドーン色、トラディショナル色がありますが、どれもなかなかお目にかかれないレアアイテムです。

ウィンザー ダブルボウ ベルジェール ソファ(Windsor Double Bow Bergere sofa)
イギリス本国でも幻の逸品と言われるソファで、現地のディーラーですら出会うことが難しいと言われています。チェアメーカーズチェアと同デザインの3人掛けベンチソファタイプです。
迫力のある大きなサイズですが繊細でエレガント。腎臓の形をした座面も個性的です。カラーバリエーションはナチュラル色とオールドコロニアル色の2色展開。
1960年代にデザインされたヴィンテージアーコールの中で最も希少な超プレミアアイテムです!




ラブシート/ベンチ(Love Seat)
定番のウィンザーチェアを2人掛け用の長椅子にした、アーコールを代表するアイテムです。ラブシートというネーミングも可愛らしいですね。
1956年発表当時、革新的なデザインとして話題になりましたが時代の流れと共に廃盤。その後2003年にマーガレット・ハウエルによって復刻され、ヴィンテージ品も注目されるようになり再び人気に火が付きました。ダイニングでもリビングでも使え、後ろ姿もシンプルで美しいデザインです。ヴィンテージ品のカラーバリエーションはナチュラル色とオールドコロニアル色があります。

ウィンザー スタジオ カウチ(Windsor Studio couch)
こちらは背もたれを外して使えるデイベッド(ソファにもベッドにもなる家具)仕様です。背もたれにはエルム材の無垢材を、アームはうつくしい曲線を描く曲げ木でできていています。その形はなんとも形容し難く、ベットとしてもソファとしても個性的。他にはないアーコールならではデザインです。
1956年から1990年頃まで長く販売されましたが廃盤となり、こちらもマーガレット・ハウエルによって2003年に復刻されています。
ヴィンテージ品のカラーバリエーションは、ナチュラル色、ゴールデンドーン色、オールドコロニアル色、トラディショナル色が存在していますが、日本での流通量は極めて少なく、レアアイテムとなっています。




ウィンザー ベッド(Windsor bed)
こちらもマニア垂涎と言ってもオーバーではないほどの希少性を誇ります。前述したスタジオカウチと、曲木のフットボードありとなしのタイプの3種類がベット3兄弟として1950年代に発売を開始しましたが、1970年代にはスタジオカウチのみが残り、ウィンザー ベットはカタログから姿を消しています。販売期間が短いことから日本で見かけることはほぼありません。レア度は1、2を争います!
カラーバリエーションは、ナチュラル色とオールドコロニアル色があります。

パンドラボックス(Pandor‘s Box)
「パンドラボックス」というユニークな名前の収納付きコーヒーテーブルです。その名のユニークさの通り、形もユニーク!スクエア型の本体にキャスターが付いていて移動がしやすく、引き出しも棚もついている斬新かつ便利なコーヒーテーブルです。
1970年代から1990年代に作られ、その後廃盤となりました。ナチュラル色、ゴールデンドーン色、オールドコロニアル色、トラディショナル色とあります。

アーコール(ERCOL)を購入する時の不安を解消!偽物はあるの?本物の見分け方は?

ここまで読んでいただいたことでアーコールの魅力を知っていただけましたでしょうか?
では、「よし!購入しよう!」と思い立ったとして、その人気さ故に「偽物があるのでは…?」と不安になる方がいるかもしれません。またはお手持ちのアーコール家具が本物かどうか気になる方もいるかもしれませんね。ここではそんな方に向けて、偽物は存在するのか?どのように本物を見分ければ良いのか?アンティーク家具の専門店として解説いたします!

アーコール(ERCOL)の偽物はあるの?

アーコールの家具は当時から大変な人気だったため、過去に偽物を作ろうとする不届きものはいたかもしれません。ですがアーコールの偽物を作って利益を上げることは非常に難しかったのではないか?と推察されます。
アーコールの歴史でお伝えしたように、アーコールは当時加工が難しかったエルム材と最先端の機械技術で、価格は安いが高品質な家具を作ることに成功しています。そんなアーコールの模倣品を作ろうとすれば、アーコールと同等の技術力とノウハウが必要だったことでしょう。…もし、そんな高度技術が必要なアーコールの偽物を作ることができたのなら、その偽物はもはや本物と言っても良いくらいです。
それでは、現代においてはいかがでしょうか?ヴィンテージアーコールの人気にあやかって偽物で商売しようとする者が現れるでしょうか?これも可能性は0と言っても良いと考えます。アーコールのヴィンテージ品は数多く流通していますが、そのほとんどは新品に比べればリーズナブルな価格で販売されています。偽物を売って儲けを出すためには、その価格に勝たなければなりません。アーコールに似せたデザインで偽物を作り、安価で大量に売り捌く…そんなことはまず不可能です。当店の経験上でも出会ったことがありません。
もしアーコールブランドを語って偽物で儲けようとするならば、家具に詳しくない人が見てもそれは明らかに粗悪品と分かるクオリティになっていることでしょう。

偽物ではないが、アーコール(ERCOL)の類似品は存在します!

当時イギリスでも絶大な人気を誇ったアーコール。そのアーコールにインスパイアされた家具が生まれてしまうのも当然と言えば当然ですよね。
例えばこの椅子。イギリスの家具メーカーのプライオリー(Priory)社のダイニングチェア。アーコールのクエーカーチェアに非常に似ています。これを偽物と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、どこにもアーコールのタグやサインはないので、アーコールとして販売している訳ではありません。
この事例は特に紛らわしいですが、ほかにもアーコールのデザインに近い家具は存在しています。ショップによっては知らずに販売していることもあるかもしれません。本国イギリスのアンティークショップでは、ユーザーを混乱させないように "similar to Ercol“(アーコールの類似品)と明記されていることが多いようです。
ここは誤解してほしくないのですが、アーコールの類似品であってもそれが粗悪品とは限りません。細部のデザインや、色合い、経年の味わいなどあなたの好みにぴったりの場合もあるでしょう。その場合はアーコールでなかったとしても、せっかくの出会いなので前向きに検討してみてはいかがでしょうか。ただ、手放そうとした時にはアーコールほどの価値がないこともありますので、購入時にはアーコールの相場より安く買えるものであるかどうかも購入の判断基準に入れてみてくださいね!

本物のアーコール(ERCOL)の見分け方は?

アーコールの家具が本物かどうかはタグやシール、ラベルを確認するのが一番です。仮になかったとしてもシールが剥がれているだけの場合もあります。そんな時は信頼できるショップから購入するか、以下のポイントを参考に見極めてみてくださいね!


             

1.ディティールをじっくり確認する
→アーコールの画像はネット上に溢れていますので、様々なアーコールの商品画像と見比べてみてください。
2.エルム材の木目を確認する
→ヴィンテージのアーコール家具は美しいエルム材が特徴です。(年代によってはエルム材以外もあるので注意!)
3.引き出しや扉を動かしてみる
→可動部を動かすと安定感があり質の高さを感じます。
4.接合部の組み方を確認する
→ウィンザーシリーズは本体の枠がダブテールジョイント(アリ組)で組んであります。


             

1.ディティールをじっくり確認する
→アーコールの画像はネット上に溢れていますので、様々なアーコールの商品画像と見比べてみてください。
2.エルム材の木目を確認する
→ヴィンテージのアーコール家具は美しいエルム材が特徴です。(年代によってはエルム材以外もあるので注意!)
3.背もたれのステイックの形状を確認する
→円柱が本物、四角や楕円は避けた方が無難です。
4.座面のクサビ留め、座ぐりの確認
→アーコールチェアは座面に脚を接合した際のクサビ留めや座り心地を良くするための座ぐりがあります。


本物のアーコール(ERCOL)家具はラフジュ工房で!


             

ざっくりと本物の見分け方をお伝えしましたが、実際に素人の方がタグなしで真贋を見極めるのは非常に難しいと言わざるを得ません。プロがタグなしでも見分けられるのは、毎日のようにアンティーク家具に接しているからこそ、数多くのサンプルがあるからこそなんですね。
実店舗にしてもWEBショップにしても、たくさんの家具を取り扱っている経験豊富な信頼できるショップを見つけて購入するのが一番無難であると言えますよ。気になるアーコールのアイテムがございましたら、数多くのアーコール家具を取り扱ってきたラフジュ工房にぜひご相談ください!


制作年代を知るカギ!アーコール(ERCOL)のロゴマークや刻印を紹介

タグの種類や年代によって商品価値が変わるわけではありませんが、どの年代に作られたものか分かることによって、より愛着が沸きますよね。アーコールの制作年代は、時代の移り変わりと共に変化してきたロゴマークを知ることで分かります。できる限り詳しく解説して行きますのでぜひ参考にしてくださいね!

ヴィンテージ家具に使われている公式ロゴマークについて

  • ライオンが横向きに座っているアーコールの公式ロゴマーク。このライオンのモデルとなったのが、イギリス・ロンドンの中心部にある「トラファルガー広場」(Trafalgar Square)にあるネルソン記念塔の下の4頭の獅子像です。(ちなみにこの獅子像は日本橋三越本店の入口で出迎えてくれる2頭のライオン像のモデルにもなっています。)
    このロゴマークのライオンはアーコールの創業者ルシアン・アーコラーニ自身も表しているそう。1928年にアーコールという商号が誕生して以来使われていましたが、残念ながら1996年以降このロゴマークは使われなくなってしまいました。

ヴィンテージのアーコール(ERCOL)家具についているロゴマークはこちら

1954年~1970年代の家具に貼られたブルーラベル

  • 市場に出回っているアーコール家具で、最も古いものに貼られているのが、水色とゴールドのライオンロゴマークのメタリックシールです。こちらはウィンザーチェアの大量生産に成功し、アーコールが最も勢いのあった頃の1954年~1957年に作られた家具に貼られています。年代が古いものなので剝がれていたり破れていたりと、きれいに残っているものは稀です。その次に古いものが青色とゴールドのライオンロゴマークのメタリックシール。こちらは1957年~1970年代まで使われていました。水色のシールに比べるときれいな状態のものが多いです。

1970年代~1995年の家具に貼られたゴールドラベル

  • 1970年代後半~1995年までの家具に貼られたのがこちら。丸型にライオンロゴマークが入ったゴールドのメタリックシールです。こちらは1970年代~1981年までのものには製造年代と商品のデザイン番号が入っています。1981年~1995年までに貼られたものは同デザインで、製造年代とデザイン番号なしになりました。このゴールドラベルシールが使われた時代は、アーコールはウィンザーシリーズからクラシカル家具へとデザインを移行した時期であり、年代が浅いものが多いです。

現代物のアーコール(ERCOL)家具についているロゴマークはこちら

1996年~現代の家具についている金属製の丸タグ

  • 1996年~2001年に使われていたのがオークの木がエンボス加工された金属製の丸タグで、家具に埋め込まれています。同デザインのシルバー色のタグあり。この頃はオーク材とアッシュ材がメインの材料として使われていました。2002年~2005年の間に使われていたのが「ERCOL」の大文字アルファベットがエンボス加工された金属製の丸タグです。色はブロンズ色で、こちらも家具に埋め込まれています。

  • 2006年~現在まで使われているのが、「ercol」の小文字アルファベットがエンボス加工された金属製の丸タグです。色はブロンズで、家具に埋め込まれています。2002年~現在まで使われているマーガレット・ハウエルとアーコールのダブルネームの刻印もあります。こちらはマーガレット・ハウエルによって復刻された家具に刻印されています。一度完全に使われなくなっていたライオンのロゴマークがここでは見ることができます。

その他のアーコール(ERCOL)家具についている刻印はこちら

奇跡的な家具の証!ユーティリティマーク

  • このCC41ロゴはCivilian Clothing 1941(シビリアン クロージング 1941年)の頭文字を表し、「ユーティリティマーク」と呼ばれています。第二次世界大戦中の物資不足のため、1941年~1951年にユーティリティ・ファニチャー・スキームという政府主導の規制が行われた際に、厳しい検査を通過した製品にこのロゴマークが押されました。この刻印が押されている家具は戦時中から戦後まもなくという厳しい時代を乗り越えた奇跡的な製品であるということが分かります。

品質と安全性を保障する証!BSマーク

  • 1960年代に製造されたアーコールチェアの座面の下に押されているこちらのハート型が入った刻印はBritish Standardsマークと言います。粗悪品が出回らないようサービスの品質と安全性を保証する認証マークで、刻印中央のハートのようなロゴはその頭文字から「BSロゴ」と呼ばれたり、凧のようなデザインから「カイトマーク」と呼ばれたりもします。「B.S.1960」は1960年代に製造された製品でBritish Standards(英国規格)に認定されたことを表しています。

番外編!アーコール(ERCOL)のマスコットキャラクター

表情豊かなアーコライオン

  • ロゴマークや刻印ではないのですが、こちらもぜひ知っておいて欲しいのでご紹介します!
    1970年頃までアーコールのカタログやチラシの中で、表情豊かに見る人を楽しませてくれていたライオンのマスコットキャラクターです。このキャラクターはアーコライオンと呼ばれ、アーコールの創業者ルシアン・アーコラーニが考えた自身の分身だそう。カタログの合間に登場し、様々な表情やジェスチャーでユーモラスに家具を紹介してくれていますよ。現在はこのアーコライオンは姿を消してしまいましたが、もしこのキャラクターのノベルティグッズがあったら人気が出そうだと思いませんか?

   

【最後に】ヴィンテージからアンティークになるまでアーコール(ERCOL)を使い続けて

   

イギリスの老舗家具メーカー、アーコールを当店なりにとことん掘り下げてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?まだアーコール家具を使ったことがない方には魅力を、実際にアーコール家具を使っている方には今まで以上に愛着を、感じていただけたら幸いです。
アーコールは2020年に創業100年を迎えました。アーコールがここまで長く愛されてきたのは、創業者であるルシアン・アーコラーニのデザインが多くの人に認められているからというのはもちろんですが、一番の理由は、彼の『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作る』という情熱があってこそです。アーコールは大量生産しながらも、品質に一切の妥協をしなかったからこそ、世界中にアーコール家具が行き渡り、親しまれ、半世紀以上経っても現役で使うことができているのです。
本当にいいものは残り続けます。現在「ヴィンテージのアーコール」として流通している家具も、「アンティークのアーコール」となる日が来るでしょう。アーコール家具は100年先まで使える品質で作られているのですから、アーコール家具をお持ちの方は、どうぞこのまま大切にお使いくださいね。

ヴィンテージアーコールの人気は年々高まっていて、ラフジュ工房では年に2回イギリスからアーコール家具の輸入を行っておりますが、手に入り難いアイテムが年々増えてきています。気になるアイテムをみつけたらどうぞお早めにご決断くださいね!
ラフジュ工房のアーコール家具はその品質に甘えることなく、掃除からはじまり、可動部を隈なくチェック、調整、細かい傷消し、仕上げのWAX掛けをして、アーコールを最もベストなコンディションでお客様の元へお届けします。一生付き合う家具として、どうぞ安心してお使いくださいませ。


アーコール(ERCOL)の家具を使ったインテリアコーディネートはこちら!▼


畳で心落ち着く空間に。北欧家具を取り入れた和のリビングダイニング

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