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アーコール(ERCOL)

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アーコール(ERCOL)は1920年にイタリア系移民のデザイナー、ルシアン・アーコラーニ(Luciano Randolfo Ercolani)によって設立された、イギリスを代表する老舗家具メーカーです。
シンプルでどんなインテリアにも合わせやすく、丈夫で飽きの来ない家具を作り続けたアーコール社は、ルシアンから息子へ、さらに孫へと受け継がれ、100年以上経った現在もイギリスのトップ家具メーカーとして家具作りを続けています。
そんなアーコールの代名詞とも言われる椅子は、半世紀以上デザインが変わらず現行品として今も販売されているものもあり、洋風にも和風にも良く似合う普遍的デザインが日本人の感性にフィットし人気を博しています。
古い家具をインテリアに取り入れてみたいと思ったら、先ずはアーコールのチェア1脚から始めてみると間違いなしですよ!今お使いの家具とも違和感なく馴染み、まるでずっと一緒にいたかのような心地良さを感じさせてくれることでしょう。
ラフジュ工房では人気のアーコールチェアだけでなく、テーブルやカップボード、サイドボードにソファなど、アイテム数豊富に取り揃えております。
大振りなものが多い海外ヴィンテージ家具の中、ことアーコールに関しては日本の暮らしに合うコンパクトサイズのものが多いのも嬉しいところ。そんなサイズ感にもぜひ注目してみてくださいね!

アーコール(ERCOL)以外のヴィンテージ家具の商品一覧はこちら


とことんくわしく解説!アーコール(ERCOL)ってどんなブランド?



3色の商品タイプのマークについて

アーコール(ERCOL)

 

 

 

           

「アーコール(ERCOL)って椅子なら知ってる!」

ヴィンテージ家具を詳しく知らずとも、アーコールチェアを一度は目にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか?あまりに椅子が有名なので他のアイテムは意外と知られていませんが、実は椅子以外にも完成度の高い真面目な家具を作り続けている現役のブランドなんです。
ここではそんな人気のチェアや他のアイテムにもスポットを当てながら、今までふんわりとしかアーコールを知らなかった方も、すでにアーコールを使っているという方も、これを読めばアーコールの全てが分かる!というくらいにまで深掘りしていきますよ!英国家具ブランドなのに創設者は実はイタリア人というちょっと驚きの事実から、人気のアイテム、現行品とヴィンテージ品の違いやロゴマーク、さらには偽物の見分け方までとことんお伝えしていきます!

先ずはアーコール(ERCOL)の歴史から

アーコールの歴史を語る上で絶対に外せない人物がいます。その人物の名は、ルシアン・アーコラーニ(Lucian Ercolani)。一代でアーコールを英国家具のトップブランドへと成長させた、アーコールの創業者です。アーコールの歴史はルシアンの人生そのもの。そんな彼の生い立ちから見ていきましょう!

アーコール(ERCOL)の創業者、ルシアン・アーコラーニ(Lucian Ercolani)の生い立ち

  • 後にアーコールの創業者となるルシアン・アーコラーニは、1880年、イタリアのトスカーナ州サンアンジェロという小さな町で、4人兄弟の長男として生まれました。
    ルシアンの父親、アブドン・アーコラーニはイタリアのウフィツィ美術館から仕事を請け負うような腕のいい額縁職人でしたが、ルシアンが10歳の時、父アブドンの信仰上の理由から引っ越しを余儀なくされ、住み慣れた町から遠くイギリスのロンドンに一家で移り住むことになります。

~ イタリアの小さな町からロンドンへ ~

  • 移住こそ無事に済んだものの、ロンドンでの生活は順風満帆ではありませんでした。
    アーコラーニ家の生活は常に困窮していましたし、言語の違いから学校に馴染めませんでした。
    学校から逃げたい気持ちと生活の為、早退してメッセンジャーボーイの仕事をしながら父が信仰していた救世主軍のブラスバンド部に所属。(そこが彼の拠り所となり、音楽は生涯の趣味となったそう。)
    卒業後は、その救世主軍の組織でドアや階段などを製作する仕事に就きます。ここでの経験が家具に興味を持つきっかけとなります。
    ルシアンが18歳の時、優れた木工技術者であった父の勧めもあり、ロンドンにあるショーディッチ工科大学の技術研究所の夜間クラスに通い始めます。昼は仕事、夜は家具の製図とデザインの勉強をし、家具デザイナーへの道を歩み始めました。

~ ロンドンから家具作りの町、ハイ・ウィカム(High Wycombe)へ ~

  • 1910年、ルシアンが22歳の時、大きなチャンスが訪れます。
    それは、後にイギリス三大高級家具ブランドとして名を馳せるパーカーノール(Parker Knoll)の創業者、フレデリック・パーカーから、家具の製図者とデザイナーのポストをオファーされたことです。
    これをチャンスと捉えたルシアンは、フレデリックの会社があるハイ・ウィカムに移り、夢だった家具デザイナーとして働き始めることになります。
    ハイ・ウィカムは家具作りの資源に恵まれている上、流通の便も良かったことから家具の製造、特に椅子の製造が盛んな地域でした。

  • ルシアンはフレデリック・パーカーの息子の下で、昼は製図やデザインの仕事をし、夜はハイ・ウィカム技術研究所で家具デザインの夜間クラス講師として指導に励みました。
    ルシアンの生徒の中には、後にジープラン(G-PLAN)というブランドで有名になるイー・ゴム(E.Gomme)社の経営者の息子、エドワード・ゴムもいました。(その後エドワード・ゴムとは友人になり、その関係は生涯続いたそう。)
    ゴム家に気に入られたルシアンは、ゴム家の養子となり、イー・ゴム社で働くことになります。
    生活が安定してきたことで、ルシアンは26歳の時に結婚し、家を建て、3人の子供を授かりました。

  • 暮らしこそ裕福にはなったものの、イー・ゴム社での仕事は彼の望むものではありませんでした。
    デザイナーとして採用されたはずが実際の仕事は現場マネージャーの仕事だったこと、取締役会から外されたことなどから、ゴム家との間に一時的に亀裂が生じ、ルシアンは第一次世界大戦後にイー・ゴム社を退職します。
    はじめはイー・ゴム社の工場を見るのも辛かったといいます。ですが結果、この悔しい経験がルシアンを動かすこととなります。
    1920年、ついに独立を決断!ルシアンは32歳でアーコール(ERCOL)社の前身となる会社、ファニチャー・インダストリーズをハイ・ウィカムで設立しました!

ルシアンが独立を決意。ここからがアーコール(ERCOL)の始まりです!

  • ルシアンを知る人は皆、彼をエネルギーに溢れた人だと言います。
    最初こそ小規模で始まった彼のビジネスは、その溢れるエネルギーによって10年後には、数百人を雇用するまでに急成長しました。
    第一次世界大戦と世界恐慌のためハイ・ウィカムでは次々と家具メーカーが倒産していく中で、ルシアンは経営危機に陥った老舗メーカーを買収し、そこで働いていた熟練の職人を雇用。更に生産の機械化を進め、どこよりも高い生産力を武器に『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作る』という信念を持って猛進していきます。

  • ルシアンの長男(ルシアン・ブレッド・アーコラーニ)が父に憧れ共に働きはじめた頃、第二次世界大戦が勃発。長男と次男は空軍に入り、戦地に赴きます。
    英国内の家具生産は政府によって規制されていましたが、アーコールは弾薬箱や軍事用テントのペグ製作の依頼を受けます。更には物資不足、職人不足でも、効率良く作れる生産ラインを構築したことで、軍用ベットや防空壕用の椅子なども大量に請け負うことができました。
    戦前から木工加工の機械化を進めてきたアーコールだからこそ、激動の時代に対応できたのです。

  • 戦争の終了間際の1942年、政府よりユーティリティーファニチャースキーム(統制家具計画)という物々しい政策が始まります。
    ユーティリティーファニチャースキームとは、貴重な資源となった木材を有効活用するための政府主導の規制で、イギリス家具の伝統だった豪華な装飾を限りなく抑え、無駄のないシンプルな家具作りしか認めないというものです。
    1952年まで続いたこの規制は他の家具メーカーを困惑させました。
    しかしルシアンは、「この制度がデザイン改革のチャンスだ!」と歓迎したのです。

  • ルシアンは戦前、ニューヨーク旅行でメトロポリタン美術館を訪れた時にとてもシンプルなシェーカーデザインの椅子に深く感銘を受けていました。
    無駄のない美しいデザインと目につかないところまで精巧なつくりのこの椅子は、ルシアンの考える家具デザインを根底から覆すものだったのです。
    あの時見た椅子の様に、シンプルを評価される時代がきたことにルシアンは熱狂します。
    『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作る』というルシアンの信念に、ピタリとはまる時代がきたのです。

「ウィンザーチェアといえばアーコール(ERCOL)」と言われるようになったのはここから

  • 1944年終戦目前。アーコールは政府貿易委員会から食堂で使用するための椅子として、ウィンザーチェア10万脚を委託されます。
    10万脚というだけでも途方もない数なのに、短納期、さらに安価で質の良い椅子という無理難題を突きつけられたのです。
    このミッションをクリアする唯一の方法は、製造プロセスを工業化すること。ルシアンはこの挑戦は今後のアーコールに有益だと判断し、この依頼を引き受けます。
    選ばれた木材はニレ材(エルム材)で、イギリス国内に豊富にあるものの、乾燥させにくく歪んでいるため家具の使用は不可能と考えられていました。

  • アーコールはこの厄介者と言うべきニレ材を有効活用し、同業者を驚かせました。
    従来の加工では扱い難いニレ材が、曲木加工には最適な材料であるとルシアンは気が付いたのです。
    材料を蒸気で蒸し、型でプレスして曲げるという曲木の技術を使い、ニレ材の曲木を背もたれに使うというウィンザーチェアのデザインを設計。
    蒸すための大型の窯と多くのプレス機を導入し、製造ラインを整えて、曲木のウィンザーチェアの大量生産に成功したのです!

  • 戦後の復興と共に家具の需要は一気に高まります。
    ユーティリティーファニチャースキームの流れもあり、イギリス国内ではシンプルで実用的な北欧デザインが流行し始めました。
    アーコールにはシンプルを追及したデザインがあり、安く大量に作れる設備、そしてそれを扱える技術者もいる。アーコール家具が市場を席巻するための機は熟したのです。
    1945年、ルシアン57歳の時にアーコールのウィンザーチェアシリーズの最初のモデルとなる、4aキッチンチェア(4a Kitchen Chair)の大量生産に成功!ウインザーチェアがアーコールの代名詞とまで言われるようになったのは、このはこのモデルがきっかけでした。

  • 戦争から無事戻ってきた二人の息子(ブレッドとバリー)もアーコールの第一線で活躍するようなり、アーコールの事業規模は益々勢いを増して拡大していきます。
    4aキッチンチェアの成功を皮切りに、ルシアンは伝統的なウィンザーチェアの構造にモダンデザインを融合させた、軽くて持ち運びもしやすいウィンザーチェア次々と発表します。このウィンザーコレクションはダイニングチェアの定番となり、「ウインザーチェアといえばアーコール」と世界に印象付けていったのです。

  • 1956年、ルシアンが68歳の時にスタッキングチェア、ラブシート、スタジオカウチなどの 「オリジナルズ」シリーズを発表!
    1958年、ルシアンが70歳の時には積層合板を曲げて組み合わせるという革新的なデザインとして話題になったバタフライチェアを発表!と、現代でも名作として人気の高い作品を次々と生み出していきます。
    スタッキングチェアは移動しやすく重ねられるように設計され、後にイギリス全土の学校の椅子として採用されました。

ルシアンのつくったアーコール(ERCOL)は息子達に引き継がれ…

  • ルシアンは椅子以外にもダイニングセット、ソファ、キャビネット、ローボードとシンプルで実用的な様々なアイテムをデザインし、その度にアーコールは成長し続け、1975年には実に790名ものスタッフを雇用する大企業となったのです。
    晩年のルシアンはアーコールの会長職を続けながら自宅で回想録や執筆活動をし、自伝を書き上げた翌年の1976年、88歳でこの世を去りました。
    その後、彼の残した数々のデザインと意思は息子達へ、更にその孫へと引き継がれていくことになります。

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    時は流れアーコール(ERCOL)は…
    イギリス国内の物資も安定し「再びイギリスらしい家具を持とう」という動きが出てきた20世紀後半、英国内の北欧デザインを手掛けていた家具メーカーは次々と倒産していきました。
    それはアーコールも例外ではなく、事業を縮小し、ミッドセンチュリー時代に流行ったシンプルな椅子達は人々から忘れられていきました。
    しかし、そんなアーコールが再び脚光を浴びることになります!

  • イギリス出身の有名ファッションデザイナー マーガレット・ハウエル(Margaret Howell)が、生産を中止していたアーコールチェアの復刻を申し入れたのです。
    彼女は子どもの頃から日常の中にアーコールの家具が当たり前のようにあり、大人になってからもキッチンチェアを大切に使ってたそうです。
    そんな彼女がデザイナーとして活動する中で、ルシアン・アーコラーニのデザインとビジネスに深く共感し惚れ込み、2003年にスタッキングチェアとバタフライチェアの復刻が実現したのです。

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    こうして再び脚光を浴びることになったアーコール(ERCOL)
    マーガレット・ハウエルによって日本でも注目されるようになったアーコール家具は、その普遍的デザインが日本人の感性にマッチし、近年では復刻版だけでなく、かつて生産されたヴィンテージのアーコール家具までも人気となっています。今では椅子だけでなく家具も次々と復刻され、現行品とヴィンテージ品の両方を楽しめるという稀有なブランドとなりました。
    アーコール創業時から守ってきたルシアンの信念、『高品質かつ実用的、それでいて手頃な価格で買える家具を作る』という想いから生み出された家具は、今日も私たちの日常の中でさりげなく輝き続けています。

アーコール(ERCOL)が現代でも愛される理由

およそ100年前から作り続けられ、現行品からアンティーク品まで未だ人気の衰えることないアーコールが、今も尚、人々を魅了し続ける理由とはなんなのでしょうか?アンティークのプロである当店の見解も交えながら解説します!

1.アーコール(ERCOL)家具の 完成度の高い究極デザイン

アーコールの魅力として先ず1番に挙げなくてはいけないのがやはりデザインでしょう!
アーコール家具がデザインされた1950〜60年台は、世界中で北欧デザインの家具が大流行していました。他の家具ブランドがイギリスの伝統的なデザインを捨て、こぞって北欧デザインに移行する中、アーコールは伝統的なデザインに敬意を払いながら、シンプルな北欧デザインとの融合に成功します。そのアーコール独特の“イギリス・モダン”プロポーションは、北欧家具とは違う「格式」のような雰囲気を放ち、シンプルなのに存在感があり、椅子を1脚置いただけでも絵になります。
また、アーコール家具はクラッシックからモダン、ゴシックからナチュラルまで、あらゆるテイストのインテリアにも不思議とマッチしてしまいます。洋風だけでなく、和風インテリアにも良く似合うという、こんなブランドが他にあるでしょうか?これはもはや発明です…!

2.アーコール(ERCOL)チェアの豊富なラインナップ

アーコールといえばチェアを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
事実日本においては、アーコール家具の中でもアーコールチェアの人気が絶大で、様々な場面で有名人がアーコールチェアを紹介したり、雑誌やテレビなどでも取り上げられ注目されています。特にファッションモデルである雅姫さんが、愛用のアーコールのスタッキングチェアを紹介してから日本での知名度が一気に上がりました。更にこのスタッキングチェアは、イギリス出身の人気ファッションデザイナー、マーガレット・ハウエルが復刻を申し入れたことで、世界中でアーコールの再ブームが起きました。
アーコールチェアは他にも、曲木の柔らかな曲線美を持つフープバックチェア、ゴールドスミスチェア、クエーカーチェア、ボウバックチェア、スティックバックチェア、エックスバックチェア、ホイールバックチェア、スモーカーズチェア(カウホーンチェア)などなど大人気商品が盛り沢山!ヴィンテージのアーコールとは少々仕様は違うものの、現行品としては上記のうち5種類が販売中です。
一方ヴィンテージ品は11タイプあり、その半数以上が廃盤となっていて、その中でも更に製造年代によってデザインや特徴に違いがあるなど、アーコールのウィンザーチェアは細かく分類され、新品ではもちろんのことヴィンテージでもなかなかお目にかかれないレアなチェアもあります。そんなアーコールのウィンザーチェアを選ぶということは、まるで宝探しのようであり、出会えた喜びを感じられるところも魅力となっています。

3.アーコール(ERCOL)のちょうどいいサイズ感

アーコールの家具はどのアイテムも比較的コンパクトに作られていて圧迫感がなく、日本の住宅にもよく馴染みます。特に椅子に関しては、海外ものだと座面が高すぎるものが多く、女性が座ると足が床につかずプラプラしてしまうことも少なくありません。そんな中、アーコールの椅子の座面は42センチほどで作られているものが多く、日本人女性にも座りやすいサイズになっています。
また、椅子に限らずテーブルやキャビネット、サイドボード、ソファに関しても小ぶりに作られており、どんな住宅事情でも配置がしやすいのが特徴です。更に女性でも簡単に動かせるキャスター付きのサイドボードもあり、機能性にも富んでいます。アーコールがいかに使い勝手にこだわって設計されているのかが分かりますね!

4.アーコール(ERCOL)家具ならではの素材

当時のイギリスでは、スカンジナビアデザイン(北欧デザイン)の流行により、資源の有効活用というスローガンで無垢材を使用するということが避けられた時代でもありました。そんな時代においても、アーコールが無垢材にこだわり使い続けられたのは、ニレ材(エルム材)の有効活用に成功したのが理由の一つです。 無垢材は木目の美しさや質感の良さだけでなく、リペアがしやすいということで末長く使えますし、もしリペアしなかったとしても、突き板とちがって傷も味として楽しめます。ニレ材の有効活用に成功したおかげで、あの時代のヴィンテージ家具には少ない「無垢材を使用している家具」という付加価値でアーコールは他ブランドと差をつけたのです。
当時使われていたエルム材は今では希少な木材となり、現行品ではアッシュに取り変わっています。エルム材(イングリッシュエルム)を使用したアーコール家具は、ヴィンテージでしか存在せず、ヴィンテージの人気が高まっている理由のひとつでもあります。

5.アーコール(ERCOL)家具の圧倒的に優れた品質

ラフジュ工房でも、アーコールの製品は数多く扱ってきましたが、その中で仕入れるたびに驚かされるのはそのコンディションの良さです。一度設置すれば動かすことの少ないキャビネットやサイドボードのコンディションの良いものはよく見かけますが、椅子は全く話が違います。椅子は家具の中でも最も過酷な使い方をされるアイテムで、何十キロもある人を毎日支えています。支えるだけならともかく、椅子に座ったあとも頻繁に体重移動をするため、接合部に絶えず負担がかかり続けます。そんな理由から椅子は家具職人にとって、最も難しい家具づくりの一つと言われています。アーコールの家具はそんな過酷な環境下で使い続けられてきたであろう椅子までも、構造的な強度が落ちておらず、痛みも少なく、点検と塗装だけで販売できるものも少なくありません。数多くのアンティークチェアやヴィンテージチェアをリペアしていると、いかにアーコールの技術が突出しているか思い知らされます。更に言えば、このクオリティーで大量生産に成功したのですから、感嘆する以外ありません。木材の乾燥の技術、製材の技術、曲げ木の技術、組み立ての技術…全てが相まってアーコールの品質を作り出しているんです!

アーコール(ERCOL)が今でも愛される理由は用の美の追求にあった

いかがでしたでしょうか?
アーコールの魅力をラフジュ工房の視点で解説させていただきましたが、思いの外、長くなってしまいました。(それほどアーコールが魅力の多いブランドということですね!)
同じ時代を駆け抜けた他の家具ブンドがこぞって姿を消す中、アーコールが今現在でも世界中から愛されているのは、「日常で使う」ということを一番に考え抜いた『用の美』が追求されたデザインであるところだと総じて言えるでしょう。
ただシンプルなだけじゃない。ただ実用的なだけじゃない。唯一無二のアーコールクオリティにあなたも魅了されるはずです!

アーコール(ERCOL)ってどんな種類がある?シリーズや色を解説!

長年の歴史を積み重ねてきた老舗ブランド、アーコール。
その長い歴史ゆえにアイテムが豊富で、どんな種類があるのかが分かりにくく、自分好みのアーコール家具に出会えるまで漠然と探すのもなかなか骨の折れる作業です。そこでここでは、当店の長年の経験を活かしてなるべくわかりやすく、アコール家具にどんな種類があるのかを解説していきますのでぜひお役立てくださいね!

アーコール(ERCOL)家具のシリーズはざっくり分けると2種類!

シリーズは細かく分ければ多数ありますが、大きく分けると2種類に分けられます。
丸みを帯びたシンプルなフォルムの『ウィンザーシリーズ』と、クラシックの雰囲気漂うダークブラン系の色で統一された『オールドコロニアルシリーズ』の二種類です。(この二つのシリーズについては後ほど下で詳しく解説します!)

アーコール(ERCOL)家具の色は3色展開!

基本的なカラーは、木肌の色を生かしたナチュラル色、ミディアムブランのゴールデン ドーン色、ダークブラウンのオールドコロニアル色の3色展開となります。(この3色についても後ほど下で詳しく解説しますね!)
アーコールのカタログには3色展開とは記載があるものの、実際にヴィンテージのアーコール家具を見てみますとこの3色以外にも存在しています。それは塗料の色が年代によって若干違っていたり、特注のオーダーカラーがあったり、素材の色の違いが出ていたり、経年変化で色味が変化していたりするのかもしれません。そういった理由から、全く同じ色を探そうとするとなかなか難しく悩ましいところではありますが、色味一つとっても一期一会の出会いになるからこそ、アンティークやヴィンテージ家具は面白いのだと思います!

同じアーコール(ERCOL)チェアでも色が変われば…

ウィンザーシリーズとオールドコロニアルシリーズは家具の形は一緒で、色だけが違うものもあります。
例えばゴールドスミスチェアはナチュラル色であればウィンザーシリーズ、オールドコロニアル色であればオールドコロニアルシリーズに属します。その辺がちょっとややこしいですね。ですが同じ形の椅子一つ見ても、色が変わるだけで北欧モダンテイストになったり、英国クラシックテイストになったりと、アーコールのデザインがどんなものでも受け入れる懐の深いデザインであることが分かります。

それではアーコール(ERCOL)の代表的な2大シリーズについて解説!

  • 人気絶大のウインザーシリーズ(Windsor series)
    アーコールといえばこのシリーズ! 特に曲木を使ったチェアシリーズは約70年前のリリースから今日まで売れ続け、世界的なベストセラー商品になっています。
    ウィンザーシリーズの家具は木材不足の時代に無垢材を使い、滑らかな曲線と美しい杢目が引き立つようデザインされています。シャープでありながら温かみも感じられるそのデザインは、どんなインテリアにも合わせやすく飽きることがありません。
    伝統的な職人技とモダンデザインの見事な融合で、今日までアーコールを象徴するシリーズとなっています。

  • 格式高いオールドコロニアルシリーズ(Old Colonial series)
    イギリスによるアメリカ入植時代の家具スタイルを参考にデザインされたクラシックなシリーズ。アーコールらしい温かみのあるシャープさの中に、古典的な装飾を適度に加えた格式の高いデザインで、ユニット式に組み合わせて壁面いっぱいに展開できるのも特徴です。
    戦後の北欧デザインブームの最中に時代遅れともいえるシリーズを展開させたアーコール。それは万が一ウィンザーシリーズが売れなかった時の保険としてクラシックデザインを同時展開したそう。その結果一定の需要があり、北欧デザインブームが去った後もアーコールは生き残ることができました。

続いてアーコール(ERCOL)の基本3カラーを解説!

  • 一番人気のチュラル(natural)色
    ラインナップの中でもっとも明るいライト色がこちらです。アーコールというとこの色を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
    ナチュラルポリッシュとも呼ばれ、ポリッシュというのは磨くという意味があり、木材を磨くことによって木肌本来の色を生かし、着色は最低限にとどめています。
    アーコールといえばエルム材ですが、このエルム材の杢目をを最も美しく引き立てるのがこの技法なのですね。

  • ロマンチックな琥珀色のゴールデン ドーン(Golden dawn)色
    美しいミディアムブラウンのゴールデン ドーン色。こちらは1982年頃に追加され、イギリスで一番の人気色とも言われています。
    美しい琥珀色はまるで経年変化によって自然に生まれた色合いのよう。軽くもなく重くもない絶妙な色加減なので、ウィンザーシリーズとオールドコロニアルシリーズのどちらにも馴染みます。和風から洋風、ナチュラルからシックまで、幅広インテリアに似合いますよ!

  • シックなオールドコロニアル(Old Colonial)色
    イギリスらしいの伝統的なクラシックデザインのオールドコロニアルシリーズのための色で、チョコレートのような上品で艶のあるブラウン色です。
    濃い色ですが、さすがはアーコール。杢目を消すことなく、しっかり際立たせています。
    モダンデザインのウィンザーチェアをクラシカルな装いにしてくれて、英国クラシック家具はもちろんのこと、和家具との相性も抜群です。

  • その他、1980年代の頃に登場したカラー
    アーコールのヴィンテージの中では比較的新しい年代になる1980年頃には、オールドコロニアル色はなくなり、トラディショナル(Traditional)色という色に変わりました。このトラディショナル色はより黒に近い重厚感のある色で、再びイギリスらしい家具を求められるようになった国内の需要に合わせて誕生しました。また、同時期にブラウンと黄色がかったブラウンがグラデーションになっているタイプのラインナップも出ています。

----------------------------------- 以下準備中です