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ANTIQUEFURNITURE RAFUJU STUDIO MAGAZINE

おしゃれな庶民派。ヨーロッパのシンプルなアンティークカフェチェア

あなたがカフェに通う理由、何ですか?

心が込められた一皿に会いに行くのはもちろんですが、店のドアから空間全体に広がるその素敵な雰囲気に、惚れ込んでしまうのも大きな理由の一つではないでしょうか。

私たちが腰掛ける椅子一つにしても、つい目が行ってしまうもの。シンプルでもきちんと個性を出したインテリア使いに頷きつつも、「自分の家にもこんな家具置けないかなぁ」とそんな憧れを抱いている方もきっと多いはず。でもいざ同じものを探そうとしてみると、どこから手をつけて良いのか分からず、"よく見かけるあのチェア" の名前もあまり知られていないのが現実です。

そこで今回は、おしゃれなカフェでよく見かける、定番のアンティークダイニングチェアをピックアップ!シンプルな見た目でも、ルーツを知ればもっと愛着が湧くはず。本日は "庶民のための" ヨーロッパのアンティークチェアから、ヨーロッパの椅子作りに影響を受けた日本の国産家具メーカーまで、じっくりご紹介していきますよ。

背もたれのポケットがワンポイントのチャーチチェア

アンティークチャーチチェア 「このポケットが付いた椅子、見た事ある!」という方もきっと多いであろうこのチェア。チャーチチェアと呼ばれる、名前の通り元々は教会(church)で使われていた椅子なんです。

実は1860年以前には既にチャーチチェアは存在していました。資金確保にも苦労していた教会は、コストを抑えるために椅子を同じサイズ・形に統一したと言われています。礼拝者の人数は現代でも減少傾向にあり、閉鎖して不要になったものがアンティークとして出回っているようです。

そして気になる背もたれの後ろに付いているポケットは、バイブルポケットといい、聖書などを入れておくものなんだそうですよ。家で使う場合は、雑誌やテーブルマットなどを入れて置くのにも便利そうですね。また、このポケットが付いているものの他には、背もたれに十字架などの透かし彫りが彫られているものもあります。

基本的にシンプルなデザインで、コーディネート面での取り入れやすさを叶えつつも、ポケットがさりげなく個性を添えてくれて良いとこ取りですね。

考え抜かれた使いやすさのアーコール

アンティークアーコールチェア いち早く椅子作りの技術を発展させたイギリスですが、質の良い椅子の大量生産を可能にしたのが、アーコール社。キャビネットやテーブルも作っていますが、何より世界中の多くの人に愛されるのが、美しいフォルムのチェアたちです。

木の繊維を断ち切らない変形技術で、木材の丈夫さを維持しながらも、パーツ製造から組み立ての工程までのスムーズな生産システムを確立させました。まさに買う側にとっては魔法のような椅子を生み出すことに成功したわけです。そして今では製造していないシリーズも含め、修理対応してくれるのが、古い物でも買う人が絶えない理由にも繋がっているのではないでしょうか。

ヨーロッパの家具と聞くと、どうしても豪華絢爛な印象が強いという方も多いと思いますが、アンティークやヴィンテージの家具以外でもしっくりハマってしまう、そんなウィンザーチェアの新旧を織り交ぜたデザイン性にも惹かれてしまいますよね。

ヨーロッパのカフェ文化に根付くベントウッドチェア

アンティークベントウッドチェア アーコールに続き、こちらも「安価」「丈夫」「スタイリッシュ」の三拍子でヨーロッパのカフェ文化に根付いてきたベントウッドチェア。

実はアーコールよりも曲げ木の歴史は、このベントウッドチェアを製造したドイツのトーネット社の方が少し古いです。ヨーロッパにおける椅子は当初、貴族文化に影響されたオーダーメイドが主流でしたが、産業革命を経て、少しずつ庶民の家具として広がっていくようになりました。トーネットは、デザイン、加工技術、生産体制、そして流通に至るまで、後のモダン家具の製造の礎を築いたと言っても過言ではないでしょう。

無駄のないフォルムで取り入れやすさも実現しながら、社交場としての目的も兼ねていたヨーロッパのカフェにもきちんと溶け込むような、優美さも合わせ持っていますね。使い方によって、シックにもモダンにも変わる、そんな柔軟性のあるデザインが大きな魅力ですよ。

曲げ木椅子に影響を受けた秋田木工のウィンザーチェア

秋田木工ウィンザーチェア ヨーロッパを中心に根付いてきた椅子作りですが、日本にももちろん、その後に続けと高い技術が広まっています。

日本で唯一、曲木家具を専門に作り続ける「秋田木工」は、先ほどご紹介したトーネット社からライセンスを取り、曲げ木技術を導入しました。秋田木工が作る椅子もまたモダンなものが多いですが、その中に日本人の暮らし・趣向を捉えた繊細なフォルムが見てとれます。

スタンダードなウィンザーのスタイルをベースにしながら、クラシック好きにもウィンザーチェア初心者にも受け入れられるデザインの的を得てるのでしょう。洋家具ならではの装飾性をほど良く削ぎ落としているので、和な雰囲気のカフェチェアとしても取り入れられますよ。

最後に

カフェで、そして庶民の家で普及した理由は「安さ」と「丈夫さ」と「シンプルさ」。

今の時代の認識で言う「大量生産」はあまり聞こえが良くないかもしないかもしれませんが、人々の知恵できちんと良い物を届ける仕組みを作ったのを知ると、とても納得できますよね。その恩恵によって、椅子が庶民の暮らしの家具になったとも言えるわけです。

ルーツにも目を向けながら、ぜひとっておきの一脚を手に取ってみてくださいね。

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筆者のご紹介

茶園みずき

様々な人との出会いに刺激を受け、専門学校卒業後にデザイン事務所へ。グラフィックデザインに限らず、イベント企画など、人と人がつながる場づくりにも精を出す。仕事をしていく中で、ものづくりについてもっと深く知りたいと思うようになり入社。家具の向こうに見えてくる、インテリアのコーディネートをお届けできればと思います。

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