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ラフジュ店長がリアルな声をお届け!~過去にあったこんなお叱り その③~「どうしてリペアの方法を教えてくれないの?不親切じゃない!」

こんにちは!ラフジュ工房店長の岩間守です。

今回の店長ブログも前回に引き続き、お客様から実際にいただいたお叱りの声を一つ、テーマに取り上げさせていただきました。

5年ぐらい前にそちらで買ったテーブルなんですけど、最近傷んできたので自分で直したくて。リペア方法を教えてもらっていいですか?

始まりはそんな1本のお電話からで、昔当店でご購入いただいたお品をご自身でリペアしたい、そういった内容のお問い合わせでした。

しかしながら当店ラフジュ工房では、お客様にリペアの方法をお教えするようなことはしていません。

というのも、お客様ご自身でのリペアは端的にいって非常に難しく、また失敗してしまう危険性が極めて高いため、お控えいただくことをおすすめしているんです。

基本的には、ご購入後1年間のアフターメンテナンス(リペア無料・送料のみお客様負担)の期間を過ぎてしまったお品物については、もしも修理を要する状態となってしまった場合には有料にて、リペアを行わせていただいています。

お問い合わせをいただいたお客様にも、同様のことをお伝えさせていただきました。

その結果、

なんで自分でできるって言ってるのに教えてくれないの?もういいです!こんな不親切な対応の店、二度と利用しません。

とタイトルのように激怒されてしまった、というのがことの次第です。

そこで今回のブログでは、なぜ当店ではリペアの方法をお客様にお教えしていないのか、その理由を正直に書かせていただきました。

リペア方法も教えてくれない不親切な店!

と思われた方がもしいらっしゃったら、ぜひこのまま続きも読んでみてもらえるとありがたいです。

リペア方法を教えられない理由(1) 家具のリペアは「抽象的」?

実はお叱りをいただいた件のお客様以外にも、「リペア方法を教えてほしい」というお問い合わせ自体は、これまでにもちょこちょこいただいています。

一例を挙げると、

ラフジュさんで以前買った商品、どこをどんな風にリペアしたのか具体的に教えてもらえますか?主人が、もし今後傷みが目立ってきたら自分で直す!って。そのときの参考にしたいらしいんです。

サイトに載っている『時代の味』の箪笥がほしいんですけど、リペアってどうやればいいんですか?リペアは有料って書いてあったから、自分で直したいんですよね。

セルフリペアしようと思って、メルカリで中古の座卓を買ったんです。ラフジュさんではリペアも自分たちでやってるんですよね?どんな方法でリペアしてるのか、参考に教えてください。

ざっとこんなところでしょうか。

しかしながら先ほどお伝えした通り、上記のようなお問い合わせに対してはいずれも「リペアの方法をお教えすることは出来かねます」と、一貫してお断りさせていただいてるのが現状です。

その大きな理由の一つが、家具のリペアは数ある仕事の中でも非常に抽象度の高い分野であり、そもそも詳細を分かりやすく言語化することが極めて困難だから。

料理のレシピのように、それを見ながらやれば比較的大多数の人がある程度のクオリティのものをつくることができる、そういったマニュアルは残念ながらありません。

例えば、「塗装」を例に考えてみましょう。

工程だけを見れば割合シンプルで、要はヤスリがけ→色入れ→クリア塗装・ワックスなどの塗装という手順の繰り返し…なのですが、じゃあどんなヤスリでどこをどれぐらい削ったらいいのか?削り過ぎたらどうすればいいのか?色はどの色をどんな風に、どの程度塗ったらいいのか?などなど、全てをメール・あるいはお電話でお伝えするのは至難の業です。

正直なところ、常日頃から木工家具に触れている我々プロどうしですら、その微妙な加減を言葉で的確に言い表し、相手に誤解なく伝えることの難しさを日々痛感させられています。

これが対お客様、しかも我々は実際に現場にいるわけでもないとあっては、もはや無謀といっても過言ではありません。

だからこそ、当店ではお客様に簡単にリペアの方法を教えます、とはいえないんです。

リペア方法を教えられない理由(2) リペアには経験値とセンスが不可欠!

また、これもそもそも論になってしまいますが、仮に完全なマニュアルがあったとしてもそれを再現できるだけの非常に優れた能力がなければ、ハッキリいって何の意味もありません。

ここでいう能力とは、「経験値」「センス」に裏付けされた技術力・対応力のことです。

これが、お客様ご自身でリペアを行っていただくことはオススメできない=リペアの方法をお教えできない二つ目の理由です。

そんな大げさな!教えてもらった通りにやればいいんでしょ?ちょっとしたDIYもやったことあるし、手順さえ分かっていればなんとかなるって。

もしもそんな風にお考えの方がいらっしゃったら、声を大にしてお伝えしたいです。

失礼を承知でいわせていただきますが、たとえ万が一完全なマニュアルがあったとして、その通りに作業を進めていただいたとしても、お客様が自他共に認める経験とセンスの持ち主ということでもなければ、思った通りの仕上がりにすることはまず不可能とお考えください。

なんとかなる・なんとかできるのは、プロだからこそです。

先ほどは塗装を例にとってご説明しましたが、もっと細かいことをいうと色を一色つくるのだって、経験に基づく勘がなければできないことなんですよ。

なにせ配合のちょっとした違いによっても、木部に色を載せたときの馴染み方はまるで違います。

さらに、土台となる木材の種類や状態によっても色の定着度合い・吸収のされ方は違ってきますし、たとえ同じ木材を使っていたとしても全ての部位に全く同じように色が入ってくれるかというと、そんな単純なことでもありません。

紙に絵の具で絵を描くのとは、全く勝手が異なります。

そういったことは全て、何度も何度も失敗を経験し試行錯誤を繰り返しながら、少しずつ技術を習得してきた者だからこそ分かることです。

それがない、つまり積み重ねてきた経験も磨き上げられたセンスもないということであれば、セルフリペアは全くもっておすすめできません。

ちょっと自分でやってみようと思っただけなのに、何もそこまでいわなくたって…。

不快な気持ちにさせてしまっていたら申し訳ありません。でも、リペアに最も大切なことは経験値とセンスであるという考えは、長年このラフジュ工房の店長としてたくさんのスタッフと共に働いてきた中で得た、一つの確信でもあります。

ちょっとだけ裏話をさせていただきますと、当店で今現在プロとして働いている職人たちの中にも、実は未経験からスタートしてここまでやってきた者が何名かいるんです。

が、その一方で経験を積む前にどうしても心が折れてしまい、試用期間で辞めていった者も多くいます。

とんとん拍子で実力が身についていくような仕事ではないので、理想と現実のギャップに耐えきれず早々にリタイヤしてしまう人の方が、むしろ多いぐらいです。

自分なりに試行錯誤を繰り返しながら経験を積み重ねてきた者か、あるいはそれに加えて持ち前のセンスが抜群に優れている者。

結果として残ったのはそういうスタッフばかりでしたし、逆にいえばそうでなければ続かないともいえます。

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経験もセンスも、当然ながら一朝一夕に手に入るものではありません。

だからこそ皆さんにはどうか、

リペアなんてちょっとコツをつかめばできる!

なんて思わずに、お困りの際にはリペアのプロである我々へお任せいただきたいのです。

最後に

というわけで今回は、なぜ当店ではリペアの方法をお客様にお教えしていないのか?その理由を深掘りさせていただきました。

お客様からしてみれば、

自分でやるっていってるんだから、渋らずにちゃちゃっと教えてくれればいいのに。

と思われてしまうようなことかもしれませんが、我々がリペアのプロである以上そう簡単にはいかない事情が、何となくでもご理解いただけていたら嬉しい限りです。

最後に!これだけは誤解のないよう念を押させてください。私共も、意地悪や職務怠慢なんかでリペアの方法をお教えしていないわけでは決してありません。ですから当店の商品をご検討いただいている方、そして既に当店商品をご愛用いただいているという方、全てのお客様に「セルフリペア」について、どうか慎重にお考えいただけたら幸いです。

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