おしゃれなチェアといえば「アーコール」と言っても良いくらい、素敵なインテリアには大抵アーコールチェアが置かれていますよね。北欧家具にも通じるシンプルで洗練されたデザインや、見ているだけで温かみが伝わってくるような木肌の風合い…。意識せずとも感覚的に心を奪われてしまうようなアーコールチェアに、「自分も欲しいな」と憧れている方も多いはず。そこでこの記事では、雰囲気たっぷりで大人気のアンティークのアーコールチェアの定番デザインを紹介したいと思います。
目次
フープバックチェア
アーコールチェアの中でも定番中の定番といえるのが、こちらの「フープバックチェア」。シンプルでオーソドックスな形でありながらも、背もたれの丸みがほのかに可愛らしい印象を与えます。
フープバックチェアとひと口に言っても、実はその中にも様々な種類があるんです。分かりやすい違いといえば、背もたれのスポークの本数。4本・5本・6本の3種類があり、中でも希少なのは5本タイプ。また、画像のような6本タイプも人気です。
スポークの本数以外にも、いくつか異なるバリエーションが存在します。たとえば、こちらのフープバックチェア。先ほどと少しデザインが異なるのですが、どこが違うか分かりますか?
正解は、背もたれのフープの太さと脚の開き具合です。脚の開き具合は、比較的分かりやすいかもしれませんね。フープバックチェアの脚のデザインは、先ほどの画像のようにハの字に開いているものと、こちらの画像のように真っ直ぐなタイプの2種類があります。
フープの太さはお分かりいただけるでしょうか。先ほどのタイプだと、根元に向かって細く流れていくような形状ですが、こちらは根元の部分までしっかりとその幅を保持して、よりくっきりとした印象です。心なしか、こちらの方がやや平たくも見え、そのフラットな雰囲気が可愛らしさをより高めているように感じられます。
こちらの画像のようなデザインは、当時は「キッチンウィンザーチェア」とも呼ばれていたようです。
すっきりとしたスポークが並ぶデザインの他に、このような透し彫りが施された背もたれもあります。透し彫りのモチーフは、アザミの花(thistle)。スコットランドの国花でもあり、イギリス生まれのアーコールを象徴する花でもあります。
この「シスルバック」のデザインは、フープバックチェアの他にも、後でご紹介する「グランドマザーズチェア」や「グランドファザーズチェア」でも見つけることができますよ。
また、こちらのシスルバックのデザインに限らず、フープバックチェアにはアーム付きのものもあるので、お好みでアームの有無も選んでみてください。
クエーカーチェア
潔いカーブを描く背もたれが美しい、「クエーカーチェア」。伝統的なウィンザーチェアをデフォルメして、ここまでシャープな角度にしてしまうとは、と驚いてしまうほど、一度見たら忘れられないデザインのチェアです。アーコールお得意の、スチームで木材を湾曲させて成形する「曲げ木」の技術が存分に発揮された一脚です。
アーコールチェアの中でも人気が高く、他のモデルが廃盤となっていく中、現代でも発売されているロングセラー商品でもあります。
こちらもフープバックチェアと同様、アーム付きのデザインもありますよ。
クエーカーチェアのことをお話しするなら、あわせて忘れずにご紹介しておきたいのが、こちらの「スワンバック」デザイン。
先ほどフープバックチェアのところでお話ししたシスルバックと同様の透かし彫りですが、モチーフはアザミの花ではなく白鳥になっています。ウィンザー城の湖畔に舞い降りる白鳥をイメージしているそうで、こちらもアーコールらしい上品なデザインですね。
このスワンバックの登場は、アーコールの歴史の中でも比較的新しく、1990年頃です。そのため、他のデザインに比べると数が少なく、お探しの方にとってはまさに見つけたときがチャンスだと言えるでしょう。
ゴールドスミスチェア
ゆるやかな波を描くトップレールから、真っ直ぐなスポークが広がりをもって伸びていく「ゴールドスミスチェア」。無駄のないすっきりとしたデザインでありながらも、他にはない風格や特別感が漂います。
このゴールドスミスチェアのデザインの原型となったのは、今から250年以上も前に作られていた一脚の椅子です。その椅子は、18世紀の詩人/劇作家のオリバー・ゴールドスミスが所有していたことから「ゴールドスミスチェア」と呼ばれており、アーコールでもそのままその名前を採用したようですね。
アーム無しのデザインはすっきりとして、ダイニングチェアとしておすすめです。背もたれは首下までしっかりと支えてくれる高さなので、ダイニングでもゆったりとくつろぎながら過ごせます。
すでに廃盤となっているデザインですが、アンティークやビンテージでも比較的見つけやすく、このように何脚かそろえることも可能ですよ。
スモーカーズチェア(カウホーンチェア)
背もたれのトップレールとアームがひと続きになったデザインの「スモーカーズチェア」。このくるりとカーブした独特の見た目は、まるで牛の角のよう。そのため、別名「カウホーン(=牛の角)チェア」とも呼ばれています。
実はこのスモーカーズチェア、数が少なく、なかなか見つけられないデザインなんです。その希少性から、様々な種類があるアーコールチェアの中でも大変な人気で、どのアンティークショップでも入荷するとすぐに売り切れてしまうほど。
画像では背もたれの中央に背板が1本通っていますが、背板がなく全てスポークになっているデザインの方が主流です。背もたれの高さも、こちらの画像より低いつくりで、腰を支えてくれるようなローバックのデザインが多いですよ。
スティックバックチェア
スモーカーズチェアに続いて、こちらも最近では見かける機会が減ってきている「スティックバックチェア」。先ほどご紹介したゴールドスミスチェアと通じるような印象もありますが、ゴールドスミスチェアと違うのは、トップレールを含めて全体的に直線的なデザインであるということ。そのためオーソドックスな印象も強く、どんなインテリアにも合わせやすいと言えるでしょう。さらに、軽さで知られるアーコールチェアの中でも一番の軽さを誇るのが、このスティックバックチェアなんです。軽量で扱いやすいというのも、日々の暮しには嬉しいですね。
一見シンプルなデザインのスティックバックチェアですが、ぜひ注目して欲しいのが、その後ろ姿。背もたれのスティックが座面の下の方にまで伸びて、独特なアレンジの効いたデザインとなっているんですよ。
アーコールらしいシンプルさと他にはない個性がさりげなく共存している、見事なバランスのアーコールチェアです。
エックスバックチェア(クロスバックチェア)
ひねりの効いたデザインが魅力の「エックスバックチェア」。ウィンザーチェアのスポークをクロスさせることで、おしゃれで現代的な見た目に仕上がっています。その見た目から「クロスバックチェア」と呼ばれることもありますよ。
さらに、この背もたれのX字型のデザインに合わせて、座面下の貫もクロスしたデザインになっているんです。他のアーコールチェアの貫はH型が基本という中で、このように気の利いたはからいには、アーコールの粋なセンスを感じますね。しかし、初期のエックスバックチェアはまだ通例どおりのH型の貫もあるようで、エックスバックチェアに限っては、H型の貫の方がレアということになります。お好みの方を探してみてくださいね。
シスルバックウィンザーチェア
ウィンザーチェアをさらにアレンジして、他の追随を許さないオリジナルなデザインとなったのが、こちらの「シスルバックウィンザーチェア」。単に「シスルバックチェア」と呼ばれることも多いようです。
アーコールはイギリス生まれのブランドですが、その洗練されたデザインから北欧家具と思われていることもしばしば。その点でいうと、こちらのシスルバックウィンザーチェアは、まさにイギリスと北欧の良いところ取りをしたようなデザインです。イギリスアンティークのような上品さを感じさせつつも、北欧家具のような温もりと程よい静けさが感じられますね。3本の背板にそれぞれアザミの花の透し彫りが施された贅沢なつくりは、お部屋の中でもパッと目を惹きます。こだわりのインテリア作りには、このようなデザイン性の強いアーコールチェアを取り入れてみるのも良いですね。
グランドマザーズチェア(ウィンザータブチェア)
さて、ここからはリビングでくつろぐのにぴったりなアーコールチェアもご紹介していきましょう。まずは、こちらの「グランドマザーズチェア」。当時のアーコールのカタログには「ウィンザータブイージーチェア」という名前で掲載されていますが、次にご紹介する「グランドファザーズチェア」よりもワンサイズ小さなつくりのため、このような呼び名が広まったようです。
座面が低く、広さもあるため、全身をあずけてのんびりとくつろぐことができるチェアです。
画像はシスルバックのデザインですが、シンプルにスポークだけのデザインもあります。比較的大きさはありますが、アーコールらしい主張の強くないデザインなので、すんなりと空間に馴染んでくれますよ。上質な空気が漂うリビングにぜひ取り入れたい一脚です。
グランドファザーズチェア
先ほどのグランドマザーズチェアよりもひと回り大きなサイズなのが、こちらの「グランドファザーズチェア」。こちらは当時のカタログにも「グランドファザーズチェア」の名前で掲載されています。大きくゆったりと構えた姿で、まさに名前のとおり優しく包み込んでくれるような大らかさが魅力です。座面も背もたれも広々と大きく、男性でも体を伸ばしてくつろげますし、赤ちゃんや小さなお子さまを抱きながら座っても窮屈さを感じないつくりが嬉しいですね。きっとお部屋の中でも特別な場所となりますよ。
チェアメーカーズチェア
「椅子職人のためのチェア」という名前の、こちらの「チェアメーカーズチェア」。その名前からうかがい知れるとおり、座り心地の良さで人気があります。グランドマザーズチェアやグランドファザーズチェアほど座面は広くないので、その分しっかりと体が包まれているようなフィット感があります。
先ほどご紹介したスモーカーズチェアを大きくしたようなデザインで、より一層の高級感が感じられますね。スモーカーズチェアと同様に、こちらもアンティークでは滅多に出会えない貴重なデザインです。そのため、価格も少し高めに感じられることも多いかもしれませんが、その座り心地の良さと希少さを考えれば、妥当なものと思えるでしょう。また、時代を経る中で少しずつマイナーチェンジを遂げてきた現行品もあります。「アンティーク」にこだわらない方は、現行品にあたってみるのも良いかもしれませんね。
クッション付きラウンジチェア
アーコールチェアは、クッション付きのラウンジチェアもたくさんの種類があります。座面・背もたれ共にクッションがついて、ふっかりと優しく包まれるような掛け心地が魅力です。読書や映画鑑賞など、お部屋でのんびりと過ごす際にぴったりですね。
こちらは、こげ茶色の木肌に上品な花柄のファブリックが映え、クラシカルな雰囲気が漂うデザイン。アーム部分もすっきりとした無駄のないつくりで、すんなりと空間に溶け込んでくれそうです。
一方、こちらのラウンジチェアは、明るい木肌にやわらかなグリーンのファブリックの組み合わせが、なんとも優しい印象です。アームのデザインも先ほどと比べて少し凝っていますね。
アーコールのラウンジチェアは、当時オリジナルのファブリックの柄も注目したいポイントなんです。優雅な花柄や、ポップな単色など、ファブリックによっても印象が変わるので、お部屋の雰囲気に合わせて選ぶことができますよ。
アーコールのラウンジチェアをお好みのファブリックに変更できます!
ラフジュ工房で販売しているアーコールラウンジチェアは、お好みでファブリックを変更することも可能です。ご希望のカラーや柄がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
ペイントのアーコールチェア
最近では、ペイントが施されたアーコールチェアも人気ですよね。白をはじめ、淡い水色や淡いグレーなど、シャビーな雰囲気に仕上げられたものが多く見受けられます。流行のカフェ風インテリアや、シャビーシックインテリア作りにもぴったりの佇まいです。
また、ペイントカラーが異なれば、見た目の雰囲気もガラリと変わります。こちらは、マットな黒色ペイントを施したエックスバックチェア。背もたれと貫のクロス部分にはあえてペイントを施さないことで、モダンな雰囲気のバイカラーデザインになりました。ひと味違ったアーコールチェアを楽しみたいという方は、このようにリペイントされたものを探してみるのもおすすめですよ。
アーコールチェアをお好みのカラーにペイントできます!
ラフジュ工房で販売しているアーコールチェアは、お好みのカラーにペイントすることも可能です。ご希望のカラーがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。
ロッキングチェア
アーコールチェアの中には、実はロッキングチェアタイプのものもあるんです。しかしながら、アンティークやビンテージとなると、ソリの部分の消耗もあり、良い状態で残っているものは少ないのが事実。そのため、通常のアーコールチェアよりもロッキングタイプのアーコールチェアは希少なんですよ。
デザインは、「フープバック」「クエーカー」「ゴールドスミス」「スモーカーズ」「グランドマザーズ」「グランドファザーズ」「チェアメーカーズ」がありますが、やはり「スモーカーズ」と「チェアメーカーズ」は珍しく、出会える機会も少なければ、価格も10万円以上することがほとんどです。
誰もが一度は憧れるロッキングチェア。アーコールであれば飽きのこないデザインで、きっと長く愛用できること間違いなしです。気になる方はロッキングタイプのアーコールチェアも要チェックですよ。
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おわりに
少々長くなりましたが、アンティークアーコールチェアの定番デザインの種類をご紹介しました。人気デザインの大部分は網羅しましたが、実はこの他にもまだ違うデザインのアーコールチェアがあるんです。本当にその種類の多さには驚かされます。気になる方は調べて見てくださいね。