お店作りの際に、店舗什器はどんなものにしようか悩みますよね。
商品を並べる陳列棚やショーケース、お会計の際のカウンターなど、様々なアイテムがあるうえに、それぞれデザインのバリエーションも豊富でどう選べばいいか分からない!
そんな方のために、この記事では店舗什器についてイチから丁寧に解説しました。
お店の雰囲気作りを意識した選び方から、売上アップにつながる戦略的な選び方、安心に使える実用面での選び方のチェックポイントも丁寧にご紹介。
この記事を読めば、店舗什器選びから店舗の作り方のヒントが見えてきます!
Contents
店舗什器とは
商品をディスプレイする器財や、店舗の内装をおしゃれに演出する家具など、これらを総称して「店舗什器」と言います。
お店の種類を問わずどんな店舗でも、営業に必要な家具や器具はすべて店舗什器と考えて良いでしょう。
まずは、店舗什器にはどんなものが含まれるのか、おおまかにアパレルショップ・雑貨店・飲食店・理美容店に分類して、それぞれの代表的な店舗什器を見ておきましょう。コーディネートのコツについても簡単に触れるので、これからお店作りをされる方は、お店の内装インテリアの参考にもしてみてください。
アパレル向けの店舗什器
アパレルショップの場合なら、衣料品を並べる陳列棚やハンガーラック、マネキン、全身が映るミラーなどが主な店舗什器として考えられます。
アパレルの世界はブランドごとに明確な世界観が打ち出されていますから、アパレルショップはそのブランドのコンセプトに合ったデザインの什器を選ぶことがとても大切です。
こちらの画像は、メンズスーツショップの内装インテリア例です。気品を感じさせる英国アンティークの木製シャツケースをメインに、シンプルな木製の陳列棚やアイアン素材のハンガーラックを組み合わせ、シューズの試着用チェアには革製ソファを選んでいます。大人の男性が立ち寄るスーツショップにふさわしい洗練された雰囲気が漂います。
アパレルショップのインテリア例はこちらから詳しくご覧いただけます。
雑貨店・アクセサリーショップ向けの店舗什器
ちょっとした小物や雑貨、アクセサリーのお店であれば、陳列棚、ディスプレイテーブル、ショーケース、レジカウンターなどの店舗什器が必要です。
雑貨やアクセサリーは、インテリアやファッションを彩るアクセントのような存在。そんな商品をより魅力的に見せるために、商品の魅力を引き出す什器選びが肝心です。
こちらの例は、木製のアンティーク家具を多用して、あたたかな雰囲気に仕上げたアクセサリーショップです。ネックレスやリングなどの細かな商品は、卓上ガラスケースの中に並べれば、紛失の心配もなく、ホコリを被る心配もありません。ガラスが光を拡散するため、ジュエリーのきらめきを一層引き立てる効果も期待できます。
アクセサリーショップのインテリア例はこちらから詳しくご覧いただけます。
飲食店・カフェ・バー向けの店舗什器
飲食店やカフェ・バーなどでは、テーブルと椅子、食器類をはじめ、調理台やガス台、冷蔵庫、オーブンなど、提供する料理に応じて様々な什器が必要となります。パン屋さんやケーキ屋さんなど、テイクアウト中心のお店では、商品を並べる大型のガラスケースも欠かせませんね。
こちらは木の温もりたっぷりのスイーツカフェ。まるで物語の中に出てきそうな、レトロで可愛らしいインテリアです。大型の木製ガラスケースの中には、焼きたてのケーキやドーナツ、クッキーが並びます。これならお客様もひと目ですべての商品を眺められて、商品を選びやすいですよね。
飲食店のインテリア例はこちらから詳しくご覧いただけます。
理美容室向けの店舗什器
理美容室の店舗什器は、カット用の椅子やミラー、シャンプー台、ワゴン、レジカウンターなどがあります。
基本的に商品ではなくサービスを提供する理美容室では、お客様が癒される雰囲気作りがとても重要になってきます。店舗の雰囲気に合った什器を選びましょう。
ざっと見てきたように、必要な店舗什器はそれぞれのお店で異なります。また、どんな什器を選ぶかによっても、お店の雰囲気は大きく変わってきます。お客様が入りたくなるお店を作るためには、それぞれのお店のテイストに合ったおしゃれな什器をうまく活用したいですね。
ところで、店舗什器はお店の雰囲気作りに効果的なだけではありません。次の章からは、お店の売上を意識した戦略的な店舗什器の選び方についてお話ししていきます。
押さえておきたい!売上を左右する店舗什器の重要性
お店の什器やそのレイアウトが売上に大きく影響する理由についてご紹介するために、ここでは少しだけ専門的なお話をさせてください。
お店作りの際に次のような視点を持つと、お店の売上につながる店舗什器選びができます。その視点とは、「お客様が店頭で商品を購入するとき、いったいどのような理由でその商品を手に取るのか?」です。
マーケティングの世界では、お客様の購買行動は「計画購買」と「非計画購買」の2つに分けて考えられています。
「計画購買」は、事前に何を買うのか決めている購買行動のことです。入店前の意向と実際に購入したものが同じになるもので、とくに自分の欲しいものを検索して購入するというECサイトにおける購買によく見られます。
これに対して「非計画購買」は、予定していなかった購買行動のことを指します。A社の商品を買おうと思っていたが実際にはB社の商品を買ったという場合や、そもそも買うつもりのなかったものを店舗で見かけて購入したというケースです。
(「非計画購買」は、さらに「純粋衝動購買」「想起衝動購買」「提案受入衝動購買」「計画的衝動購買」という細かな分類がされています。詳しく知りたい方はぜひ調べてみてください。)
実店舗の場合、約7〜8割が「非計画購買」であると言われています。これは大きな数字ではないでしょうか。
要因としては、タイムセールなどの割引や、限定商品などの希少性、店内POPや店員さんに勧められて、など様々なことが考えられますが、いずれにしても、お客様にできるだけ長く滞在してもらい、多くの商品を目にしてもらうことで、このような「非計画購買」による売上アップを期待することができます。
そのため、店舗什器のデザインや商品陳列、店舗全体のレイアウトは、お店作りにとって非常に重要なポイントなのです。どんな什器を選ぶかによって、商品の陳列方法や店内のレイアウト、そしてお店の雰囲気や居心地の良さも変わってくるので、店舗什器は蔑ろにできません。
自分のお店に来てくれるお客様は、いったいどんな理由で自分のお店に来てくれるのか、どんな理由でその商品を選ぶのか、と考えながら、次の章でご紹介する内容を意識して店舗什器を選べば、ただなんとなく選ぶよりも、お店の売上に良い影響が出ると期待できます。
売上アップにつながる!店舗什器の効果的な取り入れ方
それでは、いよいよ具体的な店舗什器の選び方について見ていきましょう。
①店舗のコンセプトを意識して店舗什器を選ぶ、②商品の魅力を引き立てる店舗什器を選ぶ、③配置や導線を意識して店舗什器を選ぶ、の3つを順番にご説明します。
店舗のコンセプトを意識して店舗什器を選ぶ
1章で見てきたように、店舗什器はお店の雰囲気を左右する演出としての役割を持っています。そのため、お店のコンセプトやブランドイメージなどに合っているデザインを選ぶことが大切です。また、什器選びの際に悩まないよう、事前にしっかりとお店のコンセプトを打ち出しておいてください。
たとえば、「のんびりできるカフェ」を作りたいと思ったら、どのような内装にしたらお客様がのんびりできるだろうか? という視点で考えてみます。
お客様の目に入る内装や店舗什器のデザイン傾向があまりにもチグハグだったりカラフル過ぎたりすると、情報過多で落ち着かなくなってしまうかもしれません。上の画像のように木製のシンプルな什器で統一すれば、お客様がほっとくつろげる温かみのある空間を演出できますよね。のんびりゆっくり過ごしてほしい、そんなコンセプトのカフェにぴったりの、レトロで落ち着く雰囲気が漂います。
一方、同じく「のんびりできるカフェ」というコンセプトでも、さらに「和風」というコンセプトが加わった場合はどうでしょうか。テーブルと椅子ではなくて、思い切って畳にちゃぶ台にしてみたり、サイドボードや建具、照明など、細部に至るまで昔懐かしい和のアイテムで統一すれば、お店のコンセプトがグッと前面に表れてきます。もともと和風テイストが好きな方や、普段とは趣向を変えて今日は和の雰囲気を楽しみたいといった方々に刺さる内装になります。
コンセプトが曖昧な店舗よりも、内装の隅々まで行き届いたコンセプトの立ったお店のほうが、来店客数は多くなります。
どんなお客様に来てほしいかをイメージしながら、店舗のコンセプトを代弁するような統一感のある什器を選択することで、お店の世界観を的確に伝えられる内装を目指しましょう。
商品の魅力を引き立てる店舗什器を選ぶ
実際に商品を並べる陳列棚やガラスケースなどは、商品を売るための器財であるということも忘れてはなりません。什器そのもののデザインが良くても、商品のディスプレイに適さないものや、店舗全体の雰囲気に合わないものであれば、適切な店舗什器であるとは言えません。
たとえば、お客様の目を引く売り場を作りたいからといって、店舗什器が商品よりも目立ってしまうことになれば本末転倒です。什器のデザインを気にしすぎて商品との関係をおざなりにしてしまわないように注意しましょう。
店舗什器を選ぶ際には、「商品を売るのに適しているか」「商品の魅力を引き立ててくれるか」という視点で考えてみると良いですよ。
たとえば、和食器ギャラリーの場合、お客様が手に取りやすいように、作品を大きなテーブルに並べておく方法はよくありますよね。購入後の使用感をよりリアルにイメージしてもらうために、あえてテーブルコーディネートのように並べるといった工夫をしてみてもおもしろいと思います。
一方、破損や盗難が心配な高価なアイテムは、全面がガラスになっているショーケースを活用すれば、手を触れずとも作品の全貌を見ていただくことができます。ガラスケースに入れることで、商品の高級感を高める効果も狙えます。
また、こちらの画像のように壁一面の大きなマス目棚を活用して、一マスごとに作品を並べるのも圧巻でインパクトがありますよね。あまり見かけないディスプレイの仕方は、それだけで注目を浴びやすくなります。他のお店では見られないような、独自のディスプレイ方法を模索してみるのも良いでしょう。ただし、その場合も「商品を売るのに適しているか」という視点は忘れずに。実際に店舗で商品をディスプレイした際のイメージを頭に浮かべながら、商品をより魅力的に見せ、売れ行きアップにつながるような什器を見つけましょう。
配置や導線を意識して店舗什器を選ぶ
店舗什器を選ぶ際には、売りたい商品の配置や、お客様やスタッフの導線を考えておくことも大切です。
おすすめ商品や人気商品など、目立たせたい商品は、入り口付近やレジの周囲、フロアの真ん中と四隅、棚に置くなら目線の高さなどを意識して配置すると効果的です。これらの目に付きやすい場所にお店の一押し商品を置くことで、お客様は自然とこれらのポイントを追いかけ、店舗内を回遊することにつながります。こうして導線がつくられ、お客様が見て回りやすいお店になります。
どこに何を置くか、お店全体のレイアウトをイメージしながら、その場所に合う什器を選びたいですね。
これらのポイントに具体的にどんな什器を置くかというと、マネキンやトルソー、ワゴン、レジ横のちょっとしたお菓子やグッズ置き場などが挙げられます。視覚的に訴求できるよう、大きめのディスプレイを心がけたり、カラフルなPOPなどで目を引く工夫をしているお店も多いですよね。
先ほども述べたように、お客さまにできるだけ長くお店に滞在してもらうことが、結果的に売上アップにつながります。お客様が見て回りやすい導線や、居心地の良さを考えながら、「見やすく、選びやすく、手に取りやすく」を意識して店舗什器を選んでみてください。
この章でご紹介したような「お客様が商品を購入しやすい売り場作り」の考え方は、専門用語で「VMD(Visual Merchandising/ヴィジュアルマーチャンダイジング)」といいます。より詳しく知りたい方はぜひこの言葉で調べてみてください。
雰囲気だけで選ばない!実用的な店舗什器の選び方
ここまで、お店の雰囲気に合った店舗什器を選ぶこと、販促効果のある店舗什器を選ぶことについてお伝えしてきました。続いて「その什器は安心して使えるのか?」という実用面についてのチェックポイントをご紹介しましょう。
店舗什器の耐荷重を確認する
商品を陳列するための什器を選ぶ場合、その什器が商品の重さに耐えられるかという点を考えなければなりません。具体的にどれくらいの重さの商品をどれだけの数並べるのか、シーズンごとの商品の入れ替え等を含めて、考慮しておく必要があります。
店舗什器の安全性を確認する
什器の安全性も見逃せない大切なポイントです。たとえば、ガラスや陶器でできている什器は、ちょっとした人為的な負荷や災害時の落下などで破損しやすいです。ガラスケースなどは、人が寄りかかって体重を乗せても割れないような丈夫なものを選ぶと安心です。小さなお子さんが来店する店舗などでは、むやみに触れても怪我をしにくい素材や形状の什器を選ぶといった配慮も必要でしょう。また、地震などの災害に対しても安全な設計の什器を選んだり、配置にも気を配っておくと、より安心できる店舗環境につながります。
店舗什器は移動しやすいものを選ぶ
季節の移り変わりや販売する商品の変化によって、店舗内装のレイアウトを変更することもありますよね。移動のしやすい店舗什器を選んでおけば、そんなときでもスムーズに店舗の模様替えを行うことができます。ぜひ初期段階から、将来的な使いやすさも見据えて、可動性の高い什器選びを心掛けておきましょう。
自分のお店にぴったりの店舗什器はどこで買う?
ここまで、様々な視点から店舗什器の選び方についてご紹介してきました。選び方を押さえたところで、最後に店舗什器を買える場所についても見ておきましょう。
店舗什器を揃えるには、①専門店で購入する、②オーダー製作する、③中古・アンティークショップで購入する、④居抜き物件を活用する、⑤レンタルする、などの方法があります。
店舗什器を専門店で購入する/オーダー製作する
最近では多くの店舗什器専門店が登場し、ネット通販でも購入できて大変便利になりました。バラエティに富んだアイテムがたくさん見つかるので、それぞれのウェブサイトを見比べて、自分のお店の雰囲気に合う什器を探してみましょう。
また、既製品だけでは、店舗の設置場所に合う形やサイズ、使用用途に合うデザインが見つからない場合もあるかもしれません。そんなときは、オーダー製作できる業者を探してみてください。店舗什器のオーダー製作を承っている業者もたくさんあります。店舗什器専門店のほか、店舗の内装業者に相談してみるのも良いですね。
この記事を運営するアンティーク家具ラフジュ工房では、オーダー家具製作を行っています。アンティーク風のおしゃれな店舗什器をお探しの方は、ぜひこちらのページも覗いてみてください。
店舗什器を中古・アンティークショップで購入する
店舗什器を揃えるといっても必要なアイテムがたくさんあるので、できるだけコストを抑えたいという方も多いですよね。そんな場合には、中古のアイテムに目を向けてみるのもひとつの手です。実際にオークションサイトやフリマアプリなどを活用して店舗什器を集めている方も多くいます。ブランドもののアイテムが掘り出しモノのように見つかることもあり、運が良ければ素敵な店舗什器が安く手に入るかもしれません。
他にも、アンティークショップも人気があります。アンティークなので中古品ですが、しっかりとメンテナンスされているものを選べば、今でも十分使えるものもあるんですよ。
いずれにしても、中古のアイテムは汚れや強度が心配という方は、販売元にしっかりと確認をとることが大切です。
この記事を運営するアンティーク家具ラフジュ工房では、店舗什器におすすめのアンティーク家具を多数販売しています。気になる方はぜひ一度覗いてみてください。
店舗什器のある居抜き物件を活用する
先ほどと同様になるべくコストをかけずに店舗什器を揃えたい場合には、居抜き物件を活用するという方法もあります。居抜きであれば、以前テナントに入っていたお店が使った中古の什器を使うことができるため、新品で買うよりも安く、設置などの初期費用も少なく済むので、開店にかかるコストを抑えられます。
ただし、経年劣化の可能性もあるので、まだ使える状態にあるかどうか、契約前にしっかりと確認しておきましょう。
店舗什器をレンタルする
あらかじめ期間が決まっている店舗の場合は、店舗什器をレンタルで済ませるのも良いですね。また、高価な什器であれば、新品や中古品よりもレンタルのほうがコストを低くできる場合もあります。
店舗什器のレンタル業者も今ではたくさんあり、それぞれに得意とするテイストや雰囲気が違ったり、オリジナルアイテムを揃えているなどの特色があるので、ぜひ色々と見比べてみてください。
最後に
店舗什器の重要性や選び方についてご紹介しました。
お店の雰囲気や商品の見え方までも左右してしまう店舗什器は、じっくり吟味して選びたいもの。この記事でご紹介した内容を踏まえて店舗什器を選べば、きっとあなたのお店の売上アップにもつながるでしょう。ぜひ素敵な店舗什器を見つけて、お店作りを楽しんでくださいね。