現役美大生、さらに美大を目指す受験生も気になるであろう、美大の就職事情。「学んできたことに直結する仕事が見つけられない」だったり、「美術に関係のない会社に就職する人も多い」という話も多く、今から不安に思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そんな美大の就職について実情をまとめてみました。 これを読めば、漠然とした不安が解消されるかも。
代表的な就職先一覧
広告
美大のデザイン系学部に人気なのが、広告代理店。 広告代理店とはクライアントの要望に沿って、広告の企画から制作までを手がける会社のことです。クライアントとメディア媒体、時には外部の制作会社などを巻き込んで広告をプロデュースします。そのため、論理的思考力や企画力、デザインセンス、コニュニケーション力など幅広い能力が求められます。
自分の作りたいものというより、クライアントに応じた企画や制作ができる人。誰かに褒められるものを作りたい人。一つのものを作り続けるのは飽きてしまう人。そんな人にピッタリな仕事です。
総合広告会社
総合広告会社は、あらゆる媒体を使った広告の企画から制作までを担います。 クライアントが希望するなら、CM、ポスター、プロダクト、アプリ、サービス、イベント、建築に至るまでなんでも作ることができます。クリエイティブ系職種は、デザイナーやコピーライター、プランナーなど。
クライアントからの急な依頼や修正が入ったり、締め切りギリギリまで完成度にこだわる人は多忙になることもありますが、基本的に忙しさは個人の裁量によるところが大きいようです。 特に大手広告代理店では、最近は労働時間や業務の進捗状況のチェックが厳しくなっていて、長時間の残業はできない仕組みになっています。
(例)
● 電通
● 博報堂
● アサツーディ・ケイ
● 大広 など
専門広告会社
専門広告会社は、インターネット広告専門、新聞広告専門、屋外広告専門など、特定の媒体専門の広告会社です。 1つのメディアを専門に取り扱うためできることは限られますが、特定メディアの広告におけるスペシャリスト的な存在です。
近年は、特にインターネット広告専門の会社が増えています。日々の生活の中でも、リスティング広告や動画広告、SNS広告など目にしない日はありませんよね。インターネット専門広告会社はクライアントの意向に沿いながら、そういった広告の企画や運用、分析、改善までを手掛けます。
インターネット広告におけるクリエイティブ職は、プランナーやデザイナー、クリエイティブディレクターなどがあります。ただ、広告の制作自体は外部の制作会社に依頼することも多いです。
(例)
● サイバーエージェント
● オプト
● セプテーニ など
ハウスエージェンシー
ハウスエージェンシーは、特定の企業や企業グループを専門に担当する広告会社。 基本的には、その企業の関連会社である場合が多いです。先の2つに比べ目新しい案件は少ないですが、企業が属する分野の広告に精通して企画や制作を行うことができます。広告媒体は特に決まりはなく、あらゆるメディアを用いた広告プロモーションを行います。
(例)
● 東急エージェンシー
● ジェイアール東日本企画
● ジェイアール東海エージェンシー など
デザイン
広告代理店と並び人気なのが、デザイン事務所やメーカーのデザイナー職。グラフィックやプロダクト、インテリア、WEB、アパレル、イベントなど、企業によって様々なデザイン業務を手がけます。デザイナーはアーティストではなく、あくまでも問題に対して解決策となる企画を提案する職業なので、発想力や造形力に加え論的思考力が必要とされます。
デザイン事務所
デザイン事務所は、クライアントからの依頼でデザイン業務を行う企業のこと。 事務所によって受注する仕事はさまざまで、グラフィックやWEBなど特定の分野を得意とするデザイン事務所もあれば、グラフィックからインテリアまで横断的に手掛ける事務所もありますよ。
2021年の経済センサスによると、平均従業員数は約4人とかなり小規模の事務所が多く、ギリギリの人数で多忙な業務を回している事務所も。やりがいと引き換えに最低賃金並みの給与で激務を強いる、いわゆるブラック企業もあるので、事前に実情をチェックしておきたいところです。
(例)
● DRAFT
● GKデザイン
● HARA DESIGN INSTITUTE
● KASHIWA SATO
● TSDO など
メーカーのインハウスデザイナー
企業に属するインハウスデザイナーは、企業の商品や広告などにおいて、あらゆるデザイン業務を担います。 企業内のインハウスデザイナーの人数が少ない場合、WEBや印刷物、プロダクトなど幅広いデザイン業務を一人で担当することもあります。そのため、自分の時間を使って勉強したり、展示会に足を運んだりして知見を広げる人が多いです。
ホワイトな大企業に属する場合も多く、デザイン事務所と比べると給与や休日、福利厚生などの待遇は良好です。 企業によっては、多くの人の目に触れるような大きな仕事を担当するチャンスもあり、作り手としてのやりがいも大きいと言えます。デメリットとしては、企業によってはデザイン部の立場が弱かったり、企業内のしがらみがあったりすること。 他部署への根回しなど、良好な関係づくりに時間を割かなければ提案が通らないこともあります。
(例)
● 資生堂
● ソニー
● パナソニック
● トヨタ
● サントリー など
建築
建築学科卒業生の就職先としては、建築設計事務所やゼネコン、ハウスメーカー、ディベロッパーなどが多いです。 住宅や商業施設、文化施設、公共施設、ビル、公園、街路、都市計画まで幅広い分野があり、企業によって得意とするものはそれぞれです。また、設計一つとっても構造設計や設備設計、意匠設計など多様な業務があります。建築学科の場合は、建築のデザインを決める意匠設計を目指す人が多いですね。
建築よりインテリアや家具に興味がある場合は、インテリアデザイン会社やディスプレイ会社、家具メーカー・工房といった選択肢もあります。 基本的には内装や家具の企画、デザイン、設計などを手掛ける場合が多いですが、作り手になる人もいますね。また、古い家具が好きな人はアンティーク家具のリペア職人を目指し、家具修復に従事するケースも。
(例)
● 建築設計事務所:日建設計・三菱地所設計・隈研吾建築都市設計事務所 など
● ゼネコン、建設会社:大林組・大成建設・清水建設・鹿島建設 など
● ハウスメーカー:積水ハウス・ダイワハウス・住友林業 など
● ディベロッパー:三井不動産・住友不動産・森ビル など
● 家具、インテリアメーカー:良品計画・コクヨ・飛騨産業・柏木工 など
● ディスプレイ会社:乃村工藝社・丹青社・スペース・エイムクリエイツ など
ゲーム
イラストやゲーム、CG制作が好きな美大生の就職先として人気なのが、ゲーム制作会社。 ゲーム制作会社には基本的にプランナー、デザイナー、プログラマーがおり、デザイナーがCGを駆使してキャラクターや背景、コンセプトアート、ユーザーインターフェースなどビジュアル面の制作を行います。
ゲーム業界におけるデザイナーは、会社によっては企画やシステム構築など、より広い分野にまたがって業務を担当する場合もあります。 また、プログラマーとチームを組む場合も多く、プログラミングの知識を身につけていると有利な職種です。
ただ、会社によっては多忙を極めるため、やりがいを重視して働きたい人向きです。ゲームが大好きで、チームでの制作が得意な人でないと続けていくのは難しいでしょう。
(例)
● ソニー
● 任天堂
● バンダイナムコホールディングス など
映像・放送・演劇
映像や放送、演劇などの美術を作りたいという人は、テレビや映画、舞台制作会社の美術スタッフを目指す場合が多いです。 美術スタッフは、監督やプロデューサーが持つ作品のイメージを形にする仕事。小道具から衣装、大道具まであらゆる美術の制作・準備をします。テレビの場合は、ドラマの一室やスタジオの撮影セットを作ったり、大規模な映画では街全体を作るなんてことも。作品の世界観を聞き出して表現する力、イメージ通りのものを作る造形力が必要とされます。
映像・放送業界は華やかな一方、大変多忙で生活が不規則になるのがネック。強い気持ちと体力がないと続かない、入れ替わりの激しい世界と言われています。
(例)
● テレビ朝日
● 日本テレビアート
● フジテレビアート
● 東宝映像美術
● グレイ美術
● 劇団四季 など
出版
雑誌や書籍などの企画から制作、発刊、宣伝広報などを担う出版社の仕事。 美大からは編集者やデザイナーとして就職する人が多いです。
編集者は企画の立案に始まり、企画に沿ったライターやイラストレーター、カメラマン、デザイナーなどの手配、取材の手配、編集、校正、印刷、製本、広報まで幅広い業務に関わります。 場合によっては編集者がライターを兼ねていたり、社内にデザイナーを抱えていたり、いろんなパターンがあります。
美大生に特に人気なのは、「美術手帖」などのアート系雑誌を手がける美術出版社。美術を題材にした雑誌や書籍を専門に発刊しているため、好きな分野の知識を深めつつクリエイティブに活躍できます。
(例)
● 集英社
● 講談社
● 小学館
● 美術出版社 など
写真
写真を学んだ人の就職口としては、デザイン事務所やオンラインショップ、新聞社、出版社、撮影スタジオなどのカメラマンがあります。
撮影する対象はそれぞれで、雑誌やWEB・ポスター・カタログなどに掲載する広告用写真を主に手がける商業カメラマンや、事件やニュースなどを撮影する報道カメラマン、ブライダルを撮影するウェディングカメラマン、成人式や家族写真を撮影するスタジオカメラマン、学校行事・卒業アルバム用の写真などを撮影するカメラマンもいます。カメラマンは他の職種と比べて求人が少なめですが、近年はオンラインショップなどの商品撮影を行う企業内カメラマンの求人も増えています。
アシスタントカメラマンとして就職する場合、スタジオの掃除や機材の搬出入、設置、撮影補助、アポイント調整など雑用全般をこなさなければなりません。 企業にもよりますが、基本的には上下関係が厳しい業界。体力や精神的なタフさが必要とされます。
一方、オンラインショップのカメラマンのように撮影量の多い企業では、撮影やライティング、画像編集などを実践的にレクチャーされて、早々に戦力となる場合が多いです。 撮影する対象は企業によって限定されますが、専門的にその分野の技術を磨くことができます。
テキスタイル
テキスタイルを専攻した人の就職先としては、アパレルメーカーや家具メーカー、デザイン事務所などが多いです。 テキスタイルデザイナーとして、テキスタイルの企画から制作までを手掛けます。
制作の段階では、工場にサンプルを発注したり細かな調整をしたりして、イメージ通りの生地に仕上がるよう調整を行い、見本となる商品を作ります。家具やアパレルメーカーの場合はそれを自社商品に使いますが、繊維メーカーなど布自体を商材としている場合は、見本市などでメーカーに売り込みます。
テキスタイルを作るにあたっては、トレンドを読み取る力や企画力も求められます。 また、素材や加工法・染色方法など、身につけなければならない専門知識が多い仕事です。
工芸・陶芸
工芸科卒の場合、人気なのが陶磁器や漆器、ガラス、木工、ファブリックなどの工房・工芸品メーカーといった就職先。 職人やデザイナーとして企画・デザイン・制作に取り組みます。
純粋に手を使ったものづくりに取り組みたい場合は、工房に就職したり、フリーの作家として制作活動をする人が多いです。給与や休日などの待遇よりも、より良い作品を作り工芸を極めたいという職人気質の人に向いています。
工芸関係の工房は規模の小さいところが多く、定期的な求人募集はしていない場合がほとんど。 気になる工房を見つけたら、まずは直接問い合わせてみましょう。大々的な募集はしていなくても、良い人がいれば採用するというケースもありますよ。
絵画
美大生なら一度は考えるであろう、美術館学芸員の仕事。美術品の調査や研究、保管、展示などの業務が主な仕事です。
特別展の企画や実施、運営などにも携わることができ、美術に深く関わりながら、その魅力を人々へ広く伝えるために尽力します。
学芸員は人気の仕事ですが、実際は雑務や力仕事などが多いのも事実。 美術館によっては、雑務に追われて調査や研究などに時間を割けないこともあるのだそう。展示会など華やかな部分もありつつ、美術館運営において必要となる地味な仕事にも進んで取り組める、オールラウンダーが求められます。
教育・研究
美術や芸術の教育・研究に携わりたい場合、大きくは学校の教員になる道と、美術館や博物館などで学芸員になる道があります。 教員の場合、中学や高校、専門学校、予備校、大学、美術スクールなどが就職先になります。中学、高校は教員免許が必須、専門学校や予備校、大学などでは相応の経験や実績が求められます。
美術教師の仕事は日本全国にあるため、地方でも就職口があるのがうれしいところ。ただ、その分人気も高く採用試験は狭き門です。 非常勤講師としてしか働けなかったり、正規職員として雇用されるまで、画材店スタッフや美術教室のアシスタントなどで社会人経験を積む人もいます。一度で合格できずとも、粘り強く挑戦することが大切です。
ズバリ、就活前に知っておきたいこと
就職活動のタイミングは?
大学生の就職活動は、おおむね3年生の3月頃から企業説明会やエントリーなどが始まり、4年生の6月には採用試験が始まるイメージです。
美大生の場合、就職説明会に参加しだす3~4月頃から、早い人では3年次の夏頃からポートフォリオ(作品集)を作り始めるという人が多いです。4年生になると就職活動と卒業制作を並行して進めなければならないため、多くの学生がとても忙しい日々を送ります。だからこそ、ポートフォリオ制作はまだ余裕のある3年生の頃から取りかかって、クオリティを上げておきたいところです。
志望動機はなんて書くのが正解?
志望動機を考える際、「ここで働きたい!」という憧れの企業がある場合は、自然と言葉が浮かんでくるかと思います。問題なのは、「希望の職種に就ければ企業はどこでもいい」という場合。
そこで必要になるのが、業界研究や企業研究です。希望の業界についてネットや本で調べたり、企業のホームページを見るだけでも、志望動機を組み立てるヒントとなるはずですよ。 例えば、その企業が業界の中でどういう立ち位置で、どんなことを得意としているのか?ものづくりに対してどんな姿勢で臨んでいるのか?など、持ち味が見えてくるはず。その持ち味に対して共感する部分や、自分ならこんな風に貢献できる、という部分をアピールするんです。
大切なのは、自分本位にならないこと。企業側の視点に立って、会ってみたいと思わせる志望動機を作りましょう。
美大卒は就職できない?
美大生は就職が難しい。この記事を読んでいる人の中には、そんな話を聞いたことのある方もいるかもしれませんね。正直なところ、就職率は大学によってかなり差があるので、一概に美大だから就職できないとは言えません。
例えば、就職率が高いことで有名な武蔵野美術大学の2023年度実績を見ると、学科全体の就職率は約90%超え。就職希望者のほとんどがどこかしらの企業に入社できています。
また美大の卒業生は、制作や研究により注力するために大学院に進学する人や、就職せずに自営業の作家として制作に取り組む人も多いです。 東京藝術大学などは特にその傾向が顕著ですね。
大学院に進学した方が良い?
美大は学部を卒業後、就職や作家への道を選ぶ人と、大学院へ進学する人がいます。院へ進学するメリットとデメリットは、大体こんな感じ。
メリット
- 制作・研究活動に一層励むことができる。
- 学部以上に専門知識を学べる。
- 自主的に考え、行動する時間がある。
- 専門分野の人脈が広がる。
- 大学の設備やスペースが使える。
- 大学関係の展示会に出展する機会がある。
デメリット
- 社会に出るのが2年遅れる。
- 学内という狭い環境のため視野が広がらない。
- 自分次第では無駄な時間になる可能性も…。
大学院へ行くメリットは、より高度な制作や研究に取り組めること。 将来作家や研究者などを目指す人にとっては、これからの方向性を固める上で有意義な経験になるでしょう。が、自主性や計画性のない人にとっては、ただの学生生活の延長になってしまいます。 貴重な時間と学費を使って自己実現のために学ぶのですから、明確な目標を立てて計画的に行動したいですね。
コネ入社ってアリ?
コネ入社というとあまり良いイメージはありませんが、就職活動においてコネクション作りは大切な手段。絶対に入りたい企業があるなら、ぜひ人脈作りにも力を入れてみてください。
例えばよくある話だと、学生の時からデザイン事務所でアルバイトとして雇ってもらい、卒業後はそのまま正社員として採用してもらうという流れ。学生側としては実践的に仕事を学ぶことができますし、企業側としては一から教育する手間が省け、人間性もよく分かった上で採用できるので、すんなりいくケースが多いんです。
アルバイト以外でも、就職活動でOB訪問をしたり、インターンに申し込んだり、デザイン系のイベントに足を運んだりと、自ら行動してコネクションを作ることも可能です。OB訪問やインターンなどは緊張しますが、やってみればそのうち慣れてきます。自分の未来を切り開くためにも、ぜひ一歩踏み出してみてください。
中退・留年・既卒でも就職できる?
中退や大幅な浪人、留年などをしていて、ストレートの新卒学生と違う状況で就職活動をする人もいるでしょう。若い人材が欲しい企業だとマイナスのイメージを持つ場合もありますが、どういう経緯でそうなったか、それに対してどう対処しているかを明確に説明できれば、採用されるチャンスは十分にありますよ。
例えば、広告代理店の東急エージェンシーでは、「留年採用」というユニークな採用制度を導入していたりもします。 本人からしてみると大きなハンディキャップに思えるでしょうが、判断は企業によってそれぞれ。ぜひ前向きに取り組んでみてください。
おすすめ就職情報サイト4選
「美大芸大就活ナビ」
「美大芸大就活ナビ」は、新卒美大・芸大生向けのクリエイティブ系求人サイト。 都内の中小企業を中心に、グラフィックやWEBデザイナーの募集が多く掲載されています。
求人情報に限らず、会社説明会やセミナーなどのイベント情報もまとめられていますよ。登録している人の約97%が美大・芸大生のため、美術系学生を採用したい企業が多く利用しています。
>>「美大芸大就活ナビ」はこちら
「CINRA」
「CINRA」もクリエイティブ系の求人に強い新卒・中途向け就職情報サイト。 こちらも東京が中心ですが、グラフィックやWEBデザイナーなどの募集が多く掲載されています。
募集ページは、企業の制作実績やオフォス風景などビジュアルが多く掲載されていて、雰囲気を掴みやすいのが特徴。 また、企業へのインタビュー記事やコラムも充実していて、クリエイティブ業界の人々の働き方や考えについて知ることができます。
>>「CINRA」はこちら
「クリ博ナビ」
「クリ博ナビ」は、ゲーム会社・広告・テレビ局・音楽・マスコミ関係に強い就職サイト。 新卒の就活生向けサイトだけでなく、中途・転職者向けサイトもあります。
メリットとしては、テレビ局やマスコミなど大手企業の求人が多いこと。ほぼ日本全国の求人が掲載されていること、職種を細かく指定して検索できること。 以上3点が挙げられます。また、各業界の特徴やキャリアステップ、ワークフローなど、業界研究に役立つコンテンツが充実しているのもうれしいポイントです。
>>「クリ博ナビ」はこちら
「VIVIVIT」
「VIVIVIT」は、学生が作品やプロフィールを登録し、企業から連絡をもらう逆指名型の就活サイト。 企業からスカウトが来て、学生もその企業の選考を受けたいと思えば、サイト上のチャットルームで自由にやりとりすることができます。気になる企業があれば、学生側からアプローチすることもできますよ。
クリエイティブ系の就活サイトの中でも、掲載社数・登録者数が多いのが特徴の「VIVIVIT」。 マイナー企業から大手まで、幅広い企業が利用しています。逆指名型なので相性の良い企業と出会いやすく、自分からは知りえなかった企業を見つけられる可能性もありますよ。
>>「VIVIVIT」はこちら
これから美大・芸大を目指す人へ
美大の就職率ランキング
何を学べるかで大学を決める人も多いと思いますが、将来企業に就職して働きたいなら、やはり就職率が高い大学を目指すのがおすすめです。
ここでは美大の中でも人気の7校について、就職率をご紹介します。
就職率(%) | |
東京藝術大学 | 約45※ |
東京造形大学 | 約84 |
金沢美術工芸大学 | 約87 |
多摩美術大学 | 約89 |
武蔵野美術大学 | 約93 |
大阪芸術大学 | 約93 |
女子美術大学 | 約96 |
※東京藝術大学のみ2022年度卒対象のデータ
(出典)
Kei-Net 大学検索システム
多摩美術大学
武蔵野美術大学
金沢美術工芸大学
大阪芸術大学
東京造形大学
女子美術大学
美大・専門・短大・通信制。それぞれの就職事情
美術を学ぶ場は、美大以外にも専門学校や短大、通信制学校などがあります。それぞれのメリット・デメリットをまとめましたので、学校選びに迷っている方は参考にしてみてください。
【4年制美大】
メリット
- クリエイティブな思考力、表現力、想像力などを多方面から学べる。
- 厳しい入学試験をパスした人が集まるため、基本的に学生のレベルが高い。
- 広告や放送・マスコミ業界、大手制作会社などの大手のデザイン系就職に有利。
- 学歴・出身大学で判断されることも多いため、美大卒だと就職や職場、展示会などで有利。
デメリット
- 学費が高い。(例)東京芸大:約310万円/武蔵美:約700万円(※入学金含め4年間で)
- 受験までには美術予備校代、入学してからも画材代、教材費などがかかる。
- 場合によっては、就職に必要なデザイン系ソフトを独学で学ぶ必要がある。
- 就職に実践的でないがゆえに、卒業後改めて専門学校に入学する人もいる。
【美術系専門学校】
メリット
- 2年間で実践的な知識・技術が効率的に学べる。
- 大学では学べない技術を学べるため、即戦力を必要としている企業に雇われやすい。
- 競争率が高くないため、入学しやすい。
- 学費が安い。(例)東京デザイン専門学校2年制学科:入学金含め2年間で約226万円
デメリット
- 実践技術のみを叩き込むため、人によっては思考力や画力が身につかない場合も。
- 学歴を重視する企業に入社しづらい。
- 入社後も美大卒の人と比べて昇進しづらい場合がある。
【美術系短大】
メリット
- 4年制美大と専門学校の間のような教育内容を2年間で学べる。
- 学費が安い。(例)美術女子大学短期大学部:入学金含め2年間で約200万円
デメリット
- 2年間で学ぶため、カリキュラムが詰まっていて忙しい。
- 早期に就職活動を始める必要があり、業種や職種などの向き不向きが判断しづらい。
【美術系通信学校】
メリット
- 自分の隙間時間を使って美術を学ぶことができる。
- 社会人の場合、仕事のステップアップや転職などに役立つ。
- 定時制と同じく学校側から就職支援が受けられる。
デメリット
- 基本的に1人で課題などを進めるため、自己管理力やモチベーションが低いと留年しやすい。
- 学内での人脈を作りにくい。
就職に有利・不利な専攻とは
実は同じ美大でも、学部や学科によって就職事情が有利に運ぶ場合があるんです。特に就職に強いと言われているのが、デザイン系の学部・学科。反対に就職で活かすのが難しいとされるのが、ファイン系の学部・学科です。
デザイン系
主に学ぶのはグラフィックデザインやWEBデザイン、空間デザイン、プロダクトデザインなど。 厚生労働省による特定サービス産業実態調査によると、デザイナーと呼ばれる人たちの中でも、最も多いのがグラフィックデザインに従事する人なのだとか。それだけに、グラフィックやWEB系の求人は他のデザイン職よりも求人数が多いです。
デザイン系学生は、広告代理店やコンサル会社、メーカーなど幅広い企業に就職する道があります。大学で身につけた問題解決型のデザイン思考は、デザイン事務所や制作会社だけでなく、一般企業でも活かせるでしょう。 万が一、美術やデザインとは違う分野に挑戦したいと思ったとしても、うまく軌道修正できる場合が多いですよ。
ファイン系
ファイン系とは純粋芸術を追求する学部で、油絵や日本画、版画、彫刻、工芸などの専攻があります。 自己表現として作品を制作する学部なので、それをそのまま就職に結びつけるのは難しいです。
卒業後はアーティストとして作品作りを続ける人も多いですが、それだけで生計を立てられるのはほんの一握り。そのため、制作時間が確保しやすい非常勤講師の仕事をしたり、残業のない一般企業に入社する場合が多いです。 せっかく美大に入ったものの、美術と全く関係のない職種に就く人もかなりいます。