「家具製作の仕事をやってみたい!」と思ったは良いけれど、いかんせん情報が少なくて実情がよく分からない。
そんな方のために、今回は家具職人を目指すなら知っておきたい待遇面のお話、求人探しのコツに至るまで、大事なところをギュギュっとまとめてみました。 厳しいことも書いてありますが、現実を知った上でそれでも家具職人を目指すのか、考えるきっかけになったら嬉しいです。
Contents
趣味とは違う。家具製作を仕事にするということ
家具職人を志す方にまずお伝えしておきたいのが、趣味と仕事は違うということ。好きなことで食べていけたら幸せですが、家具職人の世界はそう甘くはありません。 大手の会社ならばいざ知らず、個人でやっているような小さな工房や木工所の場合、給与は低く休みも少ないのが現状です。独立を夢に思い切って飛び込んだは良いものの、そうした現実の厳しさに耐えられず、志半ばで退職してしまう方も多いです。
また、自分の理想とするデザインの家具を作りたいと思っても、雇われの身ではデザインや仕様、予算や納期など、全てにおいてクライアントの意見が絶対です。場合によっては規格化された同じような家具ばかり製作することもあり、家具作りの面白みや新鮮さを感じなくなってしまう可能性もあります。
自分の作りたいものを作って生活できるのは、限られたごく一部の人だけです。それでも家具製作を仕事としてやっていきたいのか、やはり趣味にとどめておくのか、後悔しないようじっくり考えてみた方が良いでしょう。
家具職人に向いている人
家具職人を目指すなら、家具作りに対する熱意・学び続ける向上心はもちろんのこと、手先の器用さや体力といったフィジカル面での適性も重要です。
熱意・向上心がある人
「家具製作を仕事にしたい」と思う人なら、家具作りに対する気持ちは並々ならぬものがあることでしょう。技術を磨いて良い製品を作りたいという想いが強い人は、自ら学ぼうとする意欲も高いです。 だから指示待ちではなく、積極的に考え行動する。結果として、成長も早いわけです。また、住環境の変化・流行の変遷などにより、お客様が求める家具は常に変化しています。何が求められているのかを正しく把握し、ニーズに合った家具を作り続けるには、向上心がなければやっていけません。
手先が器用な人
家具製作の工程において、大部分を占めるのが木材加工です。加工にはさまざまな機械や道具を使用するため、ケースバイケースで使い分ける器用さが必要です。 また、家具は生活の中で使用するものですから、例えば引き出しの開閉がスムーズであることや、椅子にガタつきがないことなど、細部にわたる丁寧な作り込みが求められます。ときには、手触りだけでミリ単位の誤差を判断することもあります。隅々まで目を向け、ちょっとした違和感にも気付くことができるという方は、家具作りに向いているかもしれません。
体力・集中力がある人
細やかさが求められる一方で、家具製作の仕事には体力も不可欠です。現場は基本的に立ち仕事ですし、必要に応じて大型家具の運搬など行う場合もあります。家具職人はどうしても労働時間が長くなりがちなので、長時間にわたる体力仕事をこなせるだけのタフさが求められます。 また、木材を加工する際など大型の機械を使用することも多々あります。作業への慣れや一瞬の気の緩みが大ケガに繋がる、危険と隣り合わせの仕事ですので、注意力散漫で目の前の仕事に集中できない人は向いていないと言えるでしょう。
未経験から家具職人になるには
家具職人を目指す人の中には、家具製作未経験という方もいらっしゃるかもしれませんね。未経験の場合は、基本的に研修期間のある会社に入って技術を磨くか、学校で学んだ上で就職活動に臨むかの2択になります。
研修期間のある会社に入る
家具製作の仕事と言うと、なんとなく未経験は相手にされないのでは…と思うかもしれませんが、未経験可としているところは意外にも多くあります。 ほとんどの場合、入社して数ヶ月~半年程度は試用期間や見習い期間扱いになるので、なんでも前向きにこなし、積極的に技を身に付けましょう。
ただ、職場によっては研修期間中の給与が極端に安いこともある ので、その点は注意が必要です。中には、衣食住保障で給与なしなんてケースもあったりするので、その条件で本当にやっていけるのか?応募する前に一旦考えてみた方が良いかもしれません。
専門の学校に通う
「良いなと思った求人が経験者採用のみだった」「基礎を学んだ上でより良い就職先を探したい」という場合は、手始めに学校へ通うのもアリです。例えば下記で紹介するような木工学校や、国や県が運営する職業訓練所など、家具製作について学べる場所は色々あります。それぞれの特徴をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
木工学校
家具作りなど、木工に関するあれこれを専門的に学ぶことができる木工学校。数は多くありませんが、例えば下記の学校が有名ですね。
<例>
・森林たくみ塾:ホームページはこちら
・飛騨職人学舎:ホームページはこちら
・岐阜県立森林文化アカデミー:ホームページはこちら
木工学校は、学校によってカリキュラムや授業料が大きく異なるのが特徴です。学費に関しては、概ね芸術美術系の学校よりも安価なようです。 ただ、専門学校や短大同様に卒業まで2年を要するところがほとんどなので、より早く現場に出たい方は職業訓練所や技術専門校を検討した方が良いかもしれません。 (飛騨職人学舎のように、卒業後は社員になる道を選べるスクールもあります。)
職業訓練所・技術専門校
国や県などの自治体が運営する職業訓練所や技術専門学校は、失業中あるいは休職中の場合に利用できる学校です。 授業料が不要なケースや、失業中の場合は雇用保険失業給付や訓練手当、訓練受講給付金などを受け取れるケースもあり、金銭的な負担が軽いのが大きなメリット。また、カリキュラムがおおよそ1年という短期集中型なのも大きな特徴です。
ただし、あくまでも職業訓練を目的としているため、授業内容は家具量産の工場向けであることが多いです。 自分が学びたい内容とカリキュラムが合致しているか、必ず確認しましょう。
<例>
・東京都立城東職業能力開発センター:ホームページはこちら
・岐阜県立木工芸術スクール:ホームページはこちら
・長野県立上松技術専門学校:ホームページはこちら
求人情報、ここは要チェック!
家具職人の求人を探す際には、注意して見ておきたいポイントがいくつかあります。いざ入社してから「こんなはずじゃなかったのに…」とならないためにも、できるだけ応募する前段階でミスマッチ求人を潰していきましょう。
業務内容は?
同じ家具製作の仕事でも、作るものや作る工程によって実際の作業内容は異なります。手仕事にこだわるのか、機械作業でも構わないのか、自分の目指す形をしっかり整理しておくことをおすすめします。
例えば、大手家具メーカーや家具製造会社では、製作工程の大部分が機械化されています。 フラッシュ家具をメインに扱う企業も多く、無垢材を使って自分の手で家具を作り上げたいという方だと、作業内容にガッカリしてしまうかもしれません。
中小規模の工房や木工所などでは、木材の切り出しから仕上げまで、一人の職人が担当しているところも未だ多くあります。 一人一人の職人が高い技術を備えているため、家具製作に関する知識や技術をより早く深く習得できるのが魅力です。自らの手を動かして、画一的ではないオーダーメイドやオリジナルの家具を作りたい方は、こういった職場をあたってみると良いでしょう。
給料は?
インターネットで家具職人求人の月給を調べてみると、地域差はあるものの、正社員の場合は20万円前後からスタートというところが多いようです。 最初の数年間は食えないわけではないものの、カツカツの生活を強いられるかもしれません。中には16万円など、このご時世1人暮らしではキツすぎる金額も見受けられました。
また、未経験者と有経験者で月給に差があったり、正社員としての採用であっても入社後数ヶ月は試用期間につき待遇が変わるなど、条件はさまざまです。 特に試用期間は数ヶ月、長ければ半年ほどという職場もあるため、期間中の給与が記載されていない場合は必ず事前に確認しておくことをおすすめします。
休日数は?
家具職人の場合、土日祝日完全休みと謳っているところは少ない です。大体は日曜祝日が休みで土曜日は隔週だったり、土曜日出勤の代わりに平日1日が休みだったり、という感じ。年間にすると100日前後ですので、休日数はあまり期待しない方が良いかもしれません。
ただでさえ拘束時間が長く、体力勝負な仕事ですから、休日があまりに少ないと十分に体を休められない可能性もあります。求人情報に記載されている残業時間等も参考にしつつ、「〇日以下だとちょっとつらいな…」という自分なりの目安を付けておくと良いですよ。
職場の雰囲気は?
職人の世界と言うと、厳しい親方に怒鳴られながら、歯を食いしばってなんとか一人前になるイメージですが、実際は職場によってさまざまです。例えば、20代や30代の若手が主に活躍しているような職場であれば、新しいことをどんどん取り入れるスピード感があったり、風通し良く意見しやすい傾向があります。また、若手からベテランまで幅広い年齢のスタッフが働いているところは、ベテラン勢が若手の面倒を見てくれるような場合も。
仕事内容は魅力的でも、会社のカラーが合わないことで後々辛くなってしまう可能性もあります。 面接時に確認するか、もしくは職場見学や体験入社の機会を設けているところもあるので、機会があれば積極的に参加してみると良いでしょう。
求人情報の探し方
家具職人の求人を探そうと思ったは良いものの、なかなか上手く見つけることができない。そんな方はこちらを参考にしてみてください。ちょっとしたコツを知っておけば、グッと求人情報を探しやすくなるはずですよ。
ネットで調べる
ハローワーク
家具職人の求人をたくさん見たいなら、ぜひおすすめしたいのがハローワークです。というのも、家具職人を募集しているのはほとんどが小規模な工房や木工所。そのため求人にコストを掛けられず、掲載料の掛からないハローワークにだけ情報を載せていることが多いのです。
掲載情報がシンプルで、職場の雰囲気がつかみにくいというデメリットはありますが、たくさんの求人を比較できるのでまずはチェックしてみると良いでしょう。
日本仕事百貨
日本仕事百貨は、「生きるように働く人の仕事探し」がテーマの求人サイトです。ものづくりに関わる仕事が多数掲載されており、家具職人の求人が紹介されることもあります。その会社で働く人の生活を垣間見ることができるので、就職後のイメージがしやすいメリットも。 読み物としても面白いので、定期的に覗いてみると思わぬ出会いがあるかもしれません。
>>「日本仕事百貨」はこちら
直接問い合わせる
もし、既に気になる工房や会社があるのであれば、電話やメールで直接問い合わせてみるのも一つの方法です。
昨今は求人サイトを利用せず、自社のホームページにリクルート関連の情報を掲載している場合も多いので、まずはホームページに情報が載っていないかチェックするのを忘れずに。 掲載がない場合は、思い切って問い合わせてみても良いでしょう。
急に連絡するわけですから、もしかしたら冷たい対応をされることもあるかもしれません。しかし本当に家具を作る仕事をやりたいのなら、諦めないことが大切 です。一社や二社断られたとしても、「求人を出していないんだから断られて当然」ぐらいの気持ちで次を探しましょう。
+ヒント。より多くの求人情報と出会うために
働く地域を限定しない
自分が望む求人情報が見つからない場合には、思い切って働く場所を限定しないで探すか、あるいはもう少し範囲を広げて探してみることも必要かもしれません。例えば、日本の家具の6大産地といわれる地域(北海道 旭川/静岡/岐阜県 飛騨/徳島/福岡県 大川/広島県 府中)は家具製造会社の数も比較的多い ので、こうした地域に一度目を向けてみては。
展示会に足を運び人脈を増やす
家具の展示会など、イベントに足を運ぶのもおすすめです。各地でさまざまな催し物が開催されているので、積極的に出向いて企業や工房の特色を把握したり、実際に家具製作に携わっている方に話を聞いてみるのも良いでしょう。 話をすることで、思いがけず採用に繋がる可能性もゼロではありません。直接採用には繋がらなくとも、家具製作を仕事にするにあたってのリアルな話や、有益な情報を得られる可能性は大いにあります。知見と人脈を広げるつもりで、ぜひ色々と顔を出してみてください。
関連する職種の求人もチェックする
より可能性を広げるなら、「リペア職」という職種も検討してみると良いですよ。家具職人は基本的に家具を一から作る仕事ですが、リペア職はアンティークなど古く価値のある家具を修理し、再び使える状態にする仕事です。 修理の度合いは家具の状態や元の作りによってさまざまで、使いやすいようにリメイクを加えたり、時には新材を使って、作り直しとも言える大幅な修理を行うこともあります。また、リペア職で求人募集を出している会社が、オーダーメイド家具の新規製作を手掛けている場合もあります。 間口を広げるために、「リペア職」でも求人を探してみてください。
実は、ラフジュ工房でも家具職人募集中です
求人探しのコツ、応募する前に知っておきたいポイントなど、駆け足でお話してきました。少しは参考になったでしょうか?「長くて読むのが大変だった…」という方、すみませんが最後にもうちょっとだけお付き合いください。
実は現在、弊社ラフジュ工房では工房スタッフを募集中なんです!募集している職種は下記の3つ。
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- リペア:
古今東西あらゆる家具や建具の修理・修復、オーダー品の新規製作をお任せします。 - フィニッシング:
完成した商品の仕上げ(塗装)、クリーニング、梱包作業等をお任せします。 - 大工:
弊社所有の投資物件のリノベーション・リフォーム等をお任せします。
- リペア:
ラフジュ工房って?
茨城県の常陸太田市、まわりを田畑に囲まれた場所にある弊社。ラフジュ工房をひと言で表すと、インテリアの総合デパート。博物館級のアンティーク・ビンテージに、名だたる有名ブランドのユーズドまで、国・時代問わずさまざまな商品を取り扱っています。その数、なんと驚きの3万点越え!ラフジュ工房は、そんな多種多様な商品たちの買取仕入れ・再生・販売、そしてオーダー品の製作を自社完結で手掛ける会社です。 近年は空き家や空き店舗のリノベーション・大家業など、不動産事業も開始。外装~内装まで、空間デザインを一手に担います。
どんな仕事?
今回募集するリペアとフィニッシングは、家具や建具の再生を担う仕事です。古いもの特有の味わいを生かしつつ、実用品として申し分ないレベルに修理・修復を施し仕上げる。 単に綺麗に直せば良いというわけではないのが、この仕事の面白くも難しいところです。
一方大工が担うのは、建物の再生。不動産事業部のメンバーとして、弊社所有の投資物件のリノベーション・リフォームのほか、お客様から受注した工事、設計・施工に関する業務を全般的にお願いすることになります。
求めるのはどんな人?
リペアとフィニッシングの場合、相手にする商品は一点一点全て違います。だから、「この通りにやれば大丈夫」というマニュアルもありません。自分の頭で考え、分からなければ都度上司に聞く。 自ら積極的に動く姿勢が求められます。
能動的であることに加え、もう一つ大切なのがプロ意識 です。プロとして、仕事は最後まできっちりやり遂げること。プロとして、常に商品の先にいるお客様のことを考え、自分本位にならないこと。プロとして、技術の研鑽を怠らないこと。良い商品・サービスを提供するためには、どれも不可欠です。これはリペアやフィニッシングに限ったことではなく、ラフジュ工房の全社員に通ずる話です。
求人コンテンツ公開中!
弊社に興味をもってくださった方は、ぜひ公開中の求人コンテンツも読んでみてください。これを読めば、ラフジュ工房がどんな会社なのか?ぶっちゃけ仕事はキツいのか?手に取るように分かるはず。
また、弊社ではリペア・フィニッシング・大工の3職種以外にも、事務など複数の職種で求人募集しています。詳細な求人情報はハローワークに掲載しています ので、もしよろしければそちらもチェックしてみてくださいね。