近年、若い世代の間でもなにかと話題に上がる地方移住ですが、実際に地方に移り住むとなった際、やはり一番気になるのは“仕事”ではないでしょうか。
地方に移住するとなると、必然的に長年勤めていた職場からの転職や、慣れない土地での就職活動が必須になってきます。せっかく憧れの地方移住を叶えても、働ける場所がなければ暮らしていけませんからね。
『NPOふるさと回帰支援センター』が発表した2017年の地方移住希望者対象アンケート調査によると、『移住先選択の条件』という項目で前年は44%だった“就労の場があること”の回答が60%に大幅アップするなど、地方移住を考える多くの方が移住先での仕事に関心を持っていることが分かります。地方移住を語る上で、もはや「仕事」や「求人」というキーワードは、切っても切れない存在になっているのです。
そこで今回は、地方移住での「仕事」に注目!地方で見つかる求人の種類やその探し方、地方の転職事情など、地方移住を考えている方にとってかゆいところに手が届く情報をお届けしていきますよ。
ぜひこの記事を読んで、理想の地方移住のためのヒントにしてみてくださいね。
Contents
- 1 本当のところどうなの?地方移住での仕事の現実とは
- 2 地方移住先で転職するなら。まずは「雇用」で働くタイプの仕事をチェック
- 3 地域に根差した仕事がしたい。地方移住ならではの働き方ができる求人
- 4 地域移住先でも自分のペースを守って働く。自分で活躍の場をつくっていく仕事
- 5 地方で仕事を見つけるには?移住者が押さえておきたい求人の探し方
- 6 こんな働き方もある。地方移住で考えておきたい、新しい仕事のカタチ
- 7 最後に
- 8 番外編:茨城県に地方移住して仕事を探すなら
本当のところどうなの?地方移住での仕事の現実とは
さて、実際に地方で見つけられる求人の種類などを見ていく前に、まずは地方で働くということはどういうことなのか、地方移住での仕事の実際のところを一度しっかり考えておきましょう。
地方移住に関する情報を集めていると、よく「地方には仕事が少ない」という話を耳にしますね。この説は間違ってはいませんが、かといって完全な正解でもありません。いわゆる“田舎”と呼ばれるような地域であっても、探せば比較的簡単に求人を見つけることができます。
ハローワークのデータから算出される有効求人倍率(※)は、リーマンショックでガクンと求人が減った2009年以降右肩上がりで、2018年5月の時点で全国平均が1.60。都道府県ごとに差はあるものの、倍率が1を切る地域は0でした。これはつまり、求人数が求職者を上回っているということを意味しています。ハローワークのデータのみで構成されている数値なので一概に言い切れないものの、どこの都道府県でも、働き手が足りていないというのが日本の現状です。
そんな空前の“売り手市場”であり、地方にも十分仕事が溢れている現代ですが、しかしながら都心と比べてしまうと、地方で見つけられる業種の幅はぐっと狭くなるということは覚えておきたいところ。仕事内容を選ばなければすぐに仕事を得ることができるでしょうが、どうしても地方は市場が小さく、求人として募集がかかる仕事が限られてきます。
好きな仕事がしたい、面白い仕事がしたいという願望をお持ちの方にとっては、圧倒的に都会の方が希望の求人は探しやすいでしょう。
また、地方移住で仕事をしていくにあたり、どうしたって無視はできないのが給与の話。
都道府県年収ランキング不動の首位である東京都の平均年収が約615万円であるのに対し、最下位の青森県は約359万円と、なんと同じ日本国内でも250万円以上の年収の差があるのです。
地域によってこの平均年収は様々ですが、地方に移住してくる場合、いままでと同じような額の年収はもらえないということは重々覚悟しておいた方がいいでしょう。
憧れだけを胸に行き当たりばったりで地方移住してきても、現実はそう甘くありません。理想とのギャップに苦しまないよう、移住を決める前にしっかり地方の現実と向き合っておくのが大切ですよ。
こんな脅すようなことばかり言っていますが、要は「いいところばかりではなく、リスクもちゃんと確認しておきましょうね」ということ。地方には地方の働き方がありますので、リスクをしっかり把握した上で、自分の理想に近い仕事を探していきましょう。
いよいよ次の章では、地方で見つけられる求人の種類や待遇などをお話ししていきますよ。
有効求人倍率とは、「求人数」を「求職者数」で割った数値のことを指します。全国のハローワークのデータから厚生労働省が算出しており、倍率が1より大きければ求人数が求職者を上回っている(働き手が足りない)、1より小さければ求職者が求人を上回っている(仕事が足りない)ということになります。
地方移住先で転職するなら。まずは「雇用」で働くタイプの仕事をチェック
前章では少々厳しい地方の現実のお話しをしましたが、とはいえもちろん地方に仕事がないわけではありません。ここ近年の地方移住ムーブメントにより、地方移住者の働き方にも様々な広がりが生まれている印象です。
この章でご紹介するのは、「雇用」での仕事。多くの地方移住者にとって、このタイプの働き方が一番馴染み深いのではないでしょうか。一般企業などに雇用してもらう、いわゆる“会社員”としての求人です。都会ではできないような地方ならではの仕事もあるので、手始めにチェックしておきましょう。
気になる給与や待遇の話も併せてお伝えしていきますので、地方で仕事を探そうと考えている移住希望の方は必見ですよ。
地方移住後の仕事といえばこれ!田舎暮らしの代名詞・第一次産業
第一次産業とは、農業や漁業、林業など、自然から資源を採取して収入を得る仕事を指します。自然に近い場所で生きていきたい、自分が作ったものを誰かに食べてもらいたい、そんな思いを抱えて、都心から心機一転地方に移住してくる方も一定数存在します。
さて、自然と共に在る第一次産業ですが、待遇や仕事内容は実際のところどうなのでしょうか?
地方移住者必見!第一産業求人の待遇は?
初任給は10万円~20万円前後の募集が多く見られる第一産業の求人ですが、給与に関しては雇用主によってかなりマチマチです。扱っているものの違いなどによっても収入が大幅に変わってくるので、第一次産業の仕事を探す際は入念に雇用条件を見比べるようにしましょう。
ちなみに、自分で畑や機材を購入して開業するいわゆる個人事業主としての働き方のイメージが強い農業ですが、農業法人に就職するという方法もあります。農業法人で農業をやっていく場合、毎月決まった金額の給与をもらうことになるので、肩書きとしては「会社員」と同じですね。
もちろん農家を開業するのもひとつの手ではありますが、初期投資が高額な上、なんのツテも実績もない新人農家がまともに市場で戦えるかというと答えはNOです。まずは法人農家に就職して、農業のノウハウといった基礎を学んでいくのがベターでしょう。
農業だけに留まらず、漁業、林業の求人募集を取り扱っている第一次産業専門の求人サイトなどもありますので、地方移住先で第一次産業を営んでいきたいと考えている方は、まずはそういったところで情報収集していくのがおすすめですよ。
地方移住の転職前に確認。第一次産業のリスクとは
朝から晩まで身体を動かして働く第一産業は、どうしてもその過酷さに付いていけず、挫折する人も多い業種です。
2017年時点で、第一次産業就業者の平均年齢はいずれも50歳以上となっており、若い働き手が足りていないのが現状です。若い第一産業従事者を育てるために国から給付金が支給されるなど、近年は支援にも力が入っていますが、それでも辞めていく人たちは後を絶ちません。厳しい労働条件や閉鎖的な人間関係など、第一次産業を営んでいくには様々な壁が立ちはだかっているのも事実なのです。
さらに言うのであれば、第一次産業は自然と歩んでいく仕事です。大地や海の恵みを得ることは素晴らしいことですが、気温や降水量の変化、台風や水害といった災害に収益を左右される、リスキーな面も孕んでいるということは忘れてはいけません。その年の環境によっては経営状況が極端に悪化する可能性もありますので、転職前に貯蓄ができる環境であるなら、いざというときの蓄えは持っていた方が安心ですよ。
決して簡単な仕事ではない第一次産業ですが、近年地方移住への関心が高まっているのと比例するように、第一次産業への関わり方も様々な広がりを見せています。
例えば第一次産業の中では最も就業人口の多い農業では、平日は会社員として都心で働き週末だけ農作業を行う「週末農家」「兼業農家」、自分や家族の食べる分だけの食糧を自給自足し、他の時間を自分のやりたいことに使って精神的な充実感を高める「半農半X」など、農業に費やす時間もライフスタイルも多種多様です。
様々な選択肢を検討して、自分の理想に近い第一産業への関わり方を探してみてくださいね。
移住者向けの体験ツアーなども。地方の森を守る自伐型林業の仕事
「自伐型林業」というものをご存知でしょうか?
自伐型林業は、地方移住をしてきて第一次産業に関わりたい、と考えている方にはぜひ覚えておいてほしい働き方のひとつです。
現行の林業は、高性能機材を導入した大規模林業が主流です。このような大規模林業は高投資・高コストで、採算を合わせるために樹木を全て伐採してしまう皆伐や過伐採がいたるところで行われています。加えて、現代は木材の輸入自由化などにより、国産の木材よりも外国産の木材の方が安く購入できる時代。
売れない木材に、高額な資金が必要な大規模林業…こういった背景が原因となり、林業はいまや「儲からない仕事」として広く知られています。前章で紹介した第一次産業従事者の中で農業人口は約181万人、漁業人口が15万人ほどですが、林業人口はわずか6万人。年々減少傾向にある林業産業は、不毛の産業として長い間苦しい状況が続いていました。
しかしながら、近年、若い世代を中心に再び林業にスポットライトが当たっています。
そのキーパーソンが「自伐型林業」。従来とは違う林業の取り組み方が、林業産業に新たな風を呼び込もうとしています。
自伐型林業とは、現状の林業と違い、1世帯、1集落といった少人数で行う小規模林業のこと。最低限の機材で伐採を行うためコストが低く、新規参入がしやすいという特徴があります。
低予算・低コストで行われる自伐型林業はそのぶん手元に残る収益も多く、中には年収1千万円近くを稼ぐ猛者も存在するのだとか。
また、自伐型林業は高額な予算を賄う必要がなく、現状で横行している皆伐や過間伐がなくなり、環境保全につながるという側面も持っています。森林の健全な育成にも繋がり、継続的な森林経営が望めるのも自伐型林業の魅力ですね。
そんな自伐型林業について、少し詳しく見ていきましょう。
地方移住者の間で話題の「自伐型林業」、気になる給与や仕事の学び方は?
林業の平均年収は330万円~440万円ほど。初任給は15万円前後~20万円前後の企業を多く見つけることができます。技術を学んで独立すれば、得られる収益も上がっていきます。現在は副業として営むことが多い自伐型林業ですが、今後は本業として林家の道を究める人も増えていきそうですね。
自伐型林業を仕事にしたいのなら、自伐型林業を取り入れている民間の林業専門会社に入社するか、自伐型林業を推し進めている自治体に所属するなどの方法があります。
自伐型林業はまだ始まったばかりの事業で、なかなかノウハウを学ぶ場所が少ないのが悩みどころ。最近では自伐型林業に積極的に取り組む自治体も徐々に増え始め、地方移住希望者向けの自伐型林業体験プログラムなども見つけやすくなったので、まずはこういった自治体のイベントに参加し、自伐型林業の仕事を自分の肌で体験してみるのがおすすめですよ。
安全管理が重要。地方移住で自伐型林業の仕事に就いて気を付けるべきこと
低予算で低コスト、なおかつ環境保全にもつながる、「儲かる林業」。
こう並べてみるといいことずくめのような気がする自伐型林業ですが、その仕事は深い森に入り、自分の上背よりも何mも高くそびえたつ木を切り倒す作業です。相応の危険が付きまとうことも覚えておかなければなりません。
林業での死傷者数は1000人あたり約32.9人と、全産業の平均死傷者数である2.2人をはるかに上回っています。ありとあらゆる職業の中でも、林業は最も危険な職業のひとつであると考えていいでしょう。
だからこそ教育体制が整った場所で、しっかりと林業の技術を学ぶ必要があります。
また、「儲かる林業」と謳われている自伐型林業ですが、就職するぶんには給与はその他の林業とあまり変わりのない印象です。有給や労災などの社会保障制度が整備されていないような会社も決して少なくはありません。
自伐型林業を含めた林業の仕事は、インターネットなどで探してもその他の職業よりも情報が乏しく、現場の声が聞こえづらくなっているのもまた事実です。地方移住をして自伐型林業を始めたいと考えている方は、いっそう念入りな情報収集が必要なことは肝に銘じておきましょう。
スキルを活かして移住先での転職。地方会社員
地方移住での仕事探しの場合、この選択肢が最も馴染みが深い方法でしょう。移り住んだ地方企業の求人に応募し、転職するルートです。いままで働いていた業種で求人を探すのもよし、地方移住をきっかけに全く異なる業種に挑戦するもよし。就職活動は全国どこでもあまり様相は変わりませんので、転職へのハードルが低いのが魅力ですね。
都会の仕事は違う苦労も。移住前に確認しておきたい地方会社員事情とは
とはいえ、地方での就職はやはり都心での就職とは違った苦労があるのです。
1章の「本当のところどうなの?地方移住での仕事の現実とは」でもお話ししたように、地方では見つけられる仕事の種類が都心に比べてぐっと少なくなることは肝に銘じておきたいところ。特にメディア系・クリエイティブ系といった仕事は見つけるのがかなり難しい業種です。
仕事を選ばなければ地方にも求人は数多くありますが、求人を見つけにくい業種が都心よりも多いということは、ひとつ覚えておきましょう。
また、都心に比べると全体的に地方会社員の給与が低いのは言わずもがなで、月の手取りが20万円以下という地方企業は決して少なくありません。地方移住先の企業に就職するのであれば、大なり小なり収入減は覚悟しておかなければいけませんよ。
中には地方移住をきっかけに転職し、年収が前職の4分の1まで落ち込んでしまったという移住者も。
地方は都会に比べて生活費が安くなると思われがちですが、都心では必要のなかった車の維持費や光熱費などがかさむ場合も多く、必ずしも少ない生活費で暮らしていけるとも限りません。
苦痛な満員電車からの解放や自然に囲まれた労働環境など、地方でしか受けられない恩恵もたくさんありますが、当然いいことばかりではありません。地方移住先で一般企業への就職を考えている方は、ここらへんの地方の会社員事情はしっかり理解してから、地方移住を決めることをおすすめします。
移住後の仕事のネックを解消。安定した業務と給与が魅力の地方公務員
給与の低さが大きな壁として立ちはだかる地方移住の転職ですが、地方公務員はそのネックを解消してくれる仕事のひとつです。
地方公務員と聞いてぱっと思い浮かぶのは役所の窓口対応などの業務ですが、実際には様々な業種があり、それぞれで必要な資格や仕事内容なども変わってきます。
上記のような役所での事務職は「行政職」と呼ばれるもので、その地域の生活の行政に関わる業務を行います。この章では、多くの方が“地方公務員”として想像するこの行政職について見ていきましょう。
地方移住での仕事の中では給与トップクラス。競争率の高い地方公務員求人
地方公務員の平均年収を都道府県で比べてみると、他の業種同様東京都や神奈川県といった大都市が上位を占めているとはいえ、平均年収が最下位である沖縄県ですら地方公務員の平均年収は約575万円。通常の沖縄県平均年収と比べると200万円以上の差があります。地方移住後、「雇用」で働く仕事の中では、地方公務員は給与という観点から見れば間違いなくトップレベルといえるでしょう。
地方公務員になるためには、各自治体で実施する地方公務員採用試験に合格する必要があります。難易度は級(※)の違いや志望する配属先などにもよりますが、全国の平均倍率が10~15倍といわれる狭き門。一般教養から小論文、世界史や数学といった学力に法律の知識など、幅広い分野の見識が必要になります。
もちろん独学で勉強を進めることも可能ですが、地方公務員採用試験合格者の8割以上が専門のスクールや通信講座を利用したと答えているところを見ると、堅実な合格を狙うのであれば素直に対策講座を受講するのがベターでしょう。
移住者ならではの注意点も!?地方公務員の仕事のリスクとは
「安定していて仕事が楽」というイメージが根強く残っている地方公務員の仕事ですが、実際はあながちそうとも言い切れません。繁忙期には月に100時間以上残業するような部署もあるため、地方公務員の仕事は楽、と舐めてかかると痛い目を見ることも。
また、給与が他の業種に比べて高いのが魅力である地方公務員ですが、これはあくまで長く働いているベテランの話。公務員になりたての頃の給与は20万円弱の地域も多く見られます。長く働いているうちに次第に金額は上がっていきますが、初任給から高額な給与を期待していると、悲しい現実を突きつけられるかもしれませんね。
さらに地方移住者に限っては、地元住民からの人気が高い公務員職に就くリスクを考えておくことも重要です。おそろしいことに、中には地方移住先で採用枠の少ない地方公務員に合格してしまったがために地元住民の顰蹙を買い、最終的に退職まで追い込まれてしまったような移住者の体験談も見つかります。
これはかなり極端な例ですが、地方公務員が他の仕事よりも優れているかと言うと、一概にはそうとも言えないということは覚えておきましょう。
地方では引く手あまた。需要が高く移住者が転職しやすい介護福祉系の仕事
どこの地域でも需要が高いのが、ホームヘルパーや介護福祉士といった高齢者向けの社会福祉職。介護系の仕事はどこも人手不足で、地方移住先で必ず求人募集を見つけることができる仕事のひとつです。特に地方は高齢者が多いため、都市部よりもニーズが高い業種でもあります。介護福祉系なら、比較的短期間で転職先を見つけることができるでしょう。
地方移住者でも仕事が見つけやすい介護福祉系の求人。仕事内容や必要な資格は?
介護の仕事には、掃除洗濯、料理など身の回りの世話を行う「生活援助」、介護者の身体に触れて食事や入浴、排せつなどを介助する「身体介助」、大きく分けてこの2種類の業務があります。
特に資格などはなくても介護系の仕事に就くことは可能ですが、未経験者の多くは「介護職員初任者研修」の受講を求められます。この介護職員初任者研修に合格すると身体介助が可能になり、正社員への求人も見つけやすくなりますよ。介護士としてのスタートラインとして、まずは取得しておくのに越したことはないでしょう。
さらに上級資格である介護福祉士は、介護福祉系資格の中では現時点で唯一の国家資格になります。介護職の中ではトップレベルの資格とあって他の試験と比べると難易度は高く設定されていますが、試験合格率は60%~70%程度。こつこつ地道に努力していけば資格取得も夢ではありません。
介護福祉士の資格を持っていると介護者の介助を行うだけでなく、ヘルパーへの指導や生活相談員といった管理職を任されることが増えていきます。任される業務の幅も目に見えて広くなるので、介護職でキャリアアップを目指すのであれば必須資格であるといえるでしょう。
介護福祉士の資格を取得するにはいくつかの方法がありますが、未経験で挑戦するのであれば介護の現場で3年以上の実務経験を経て国家試験を受験するか、もしくは時間と経済的な余裕があるなら養成学校を修了して試験を受けるのもひとつの手です。その他にもいくつか条件などがあるので、地方移住先で介護福祉士を目指す方は一度しっかり調べてみてくださいね。
地方移住先で転職する前に知っておきたいこと。待遇面では厳しい部分も否めない介護福祉系の仕事
介護福祉士の月収は10万円~15万円前後。年齢が上がり役職などが付くと金額は上がっていきますが、とはいえ東京都や大阪府といった大都市を抱える地域以外では介護福祉士の平均年収はその多くが300万円前後、そのうち平均年収300万円未満の都道府県は半数以上に上ります。さらに、無資格で働くホームヘルパーに至っては、そのほとんどが非正規雇用。決して割のいい職業とは言えません。
介護職は人の役に立っている実感が得られるやりがいのある仕事である一方で、本当に介護の仕事が好きでなければ続けるのが難しい職種です。介護職を目指すのであれば、充実しているとは言えない待遇面にもしっかり向き合う必要があります。
しかし、長時間労働、重労働、低賃金などが長年問題視されていた介護職にも、近年は待遇改善の兆しが生まれています。2019年10月より、介護離職を減らすための施策として、金属年数10年以上の介護福祉士に対して月8万円程度の処遇改善が決定されました。他にも介護職員処遇改善加算など、介護職を取り巻く環境は少しずつですが改善に向かって進んでいます。介護職を目指している地方移住者にとっては朗報と言えますね。
地域に根差した仕事がしたい。地方移住ならではの働き方ができる求人
新境地を求めて思い切って挑んだ地方移住、せっかくなら地方ならではの仕事がしてみたい!と考えている方も多いはず。
「雇用」で働く仕事の次は、地方移住先でできる地域に密着した仕事を紹介していきますよ。
地方移住の先人多数!地域おこし協力隊の仕事
地方移住での転職と言えばこれ!と思っていらっしゃる方も多いでしょう。地方移住先での仕事探しなら、ここ最近の地方移住ブームの立役者ともいえる「地域おこし協力隊」の求人についてもチェックしておかなければなりません。
地方移住者に人気の高い地域おこし協力隊の求人とは?まずは仕事内容・待遇をチェック!
地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化が進む地方で地域外からの移住者を積極的に受け入れ、地域への奉仕活動を通して定住・定着を図る制度です。
国家予算から給与が支払われ、準公務員として最長3年間その地域で働くことが可能です。仕事は自治体によっても様々で、第一次産業の従事や高齢者の生活サポート、地域行事の運営など、その内容は多岐に渡ります。
給与は月14万円前後~20万円前後と高収入とは言えませんが、自治体によっては住居や車を支給してくれる支援を行っているところもあるので、地方移住者にとってはありがたい待遇ですね。なにより地域に密着した地方移住ならではの暮らしができることから、特に20代30代の若い移住希望者から人気の高い仕事です。
地方移住者の受け入れ体制が万全な自治体を選ぶことが大事。地域おこし協力隊に転職する前に押さえておきたい注意点
充実した地方移住ライフにはぴったりのように思える地域おこし協力隊ですが、しかしながら地域おこし協力隊に従事した移住者のうち、半数近くはその地域に定住せずに去っていくという現実もしっかり見据えておかなければなりません。
年々地方移住者からの人気が高まっている地域おこし協力隊は、所属する自治体によって待遇がピンキリなのが現状です。
移住者の受け入れ体制が十分に整っていない状態で協力隊を募集している自治体も存在し、移住者と行政側の間でトラブルに発展するケースも多数見られます。予算を十分に下してもらえない、地域活性化に対する熱意が低い行政側との連携が取れないなど、ただでさえ慣れない地方でにっちもさっちもいかない状況に陥ってしまう移住者も少なからず存在するので、地域おこし協力隊に申し込もうと考えている方はかなり慎重に自治体選びを行う必要があります。
すでに地域おこし協力隊を受け入れた実績を持っているか、募集内容がしっかり明記されているかなど、事前調査はしつこいほどしておくのが安全ですよ。地域おこし協力隊などですでに地方創生に関わっている方は、ブログやSNSで情報発信を積極的に行っていることも多いので、思い切ってコンタクトを取り、実際のところの話を聞いてみるのもいいでしょう。
また、自治体によって副業可か不可かが分かれるので、ここは事前にきちんと確認しておきたいところです。
地域おこし協力隊の任期は最長で3年。そのあとは自分で仕事を見つけて生きていかなければなりません。
地域おこし協力隊に所属する移住者の間では、副業をしながら生計を立て、協力隊卒業後も本業として働けるよう任期中に仕事を育てていくスタイルが主流です。“副業”という選択肢があるだけで地方移住先での暮らし方も大きく広がりますので、副業可であることに越したことはないですよ。
地域おこし協力隊として充実した地方移住ライフを手に入れるためには、相性のいい自治体を選ぶことが最も重要なタスクといっても過言ではありません。
歴史と想いを引き継ぐ仕事。地方移住先での事業継承という選択
地域おこし協力隊と同じく、「事業継承」も近年地方移住者から注目を集めている選択肢のひとつ。新たな働き方である事業継承という仕事についても触れておきましょう。
経営者に転職?政府も力を入れる、地方移住者による「事業継承」
事業継承とはその名の通り、事業を現在の経営者から丸ごと引き継ぐことを指します。
このような仕事の形は、起業に興味のある地方移住者の大きなチャンスになると同時に、少子高齢化問題で跡継ぎがなかなか見つけられず、泣く泣く会社を廃業せざるをえない高齢の経営者の救済にもつながっているのです。
経済産業省は2018年、地域おこし協力隊に所属する地方移住者が、後継者不足に悩む中小企業を事業継承した場合優先的に補助金を支給し、最大500万円の補助金を交付するという方針を発表しました。
また、総務省でも地方の事業継承援助に力を入れ始め、小規模事業を引き継いだ若者に最大100万円程度の補助金交付を検討しているのだとか。場合によっては両省の補助を受け取れる可能性もあり、地方移住希望者の間で大きな話題になっています。
さらに政府は、地域おこし協力隊の参加者と後継者を求める企業とをマッチングする仕組み作りにも取り組んでおり、今後地方移住者の事業継承をとりまく動きは、いっそう熱を帯びていくと予想されています。
地方移住先でいつか起業したい、というビジョンを持っている方は、自分で一から会社を立ち上げるだけでなく、こういった選択肢があるということを知っていても損はありませんよ。
情報と求人数が少ないのがネック。地方移住で事業継承するなら、自治体のセミナーなどを活用しよう
地方移住での事業継承のネックは、情報が乏しくなかなか実態が掴みにくいことでしょうか。そもそも上記の事業継承に関する補助金交付の動きも今年発表されたばかりのもので、募集を行っている地方自治体も「ちらほら見かけるようになった」程度の少数しか見つけられません。今後事業継承に取り組む自治体も随時増えていくと予想されますが、その他の移住者向けの仕事に比べて情報が少ないということは踏まえておきましょう。
地方移住先で事業継承を考えている方は、手始めに移住先の自治体に相談してみるのがおすすめです。地域おこし協力隊として事業継承に携われる募集が出ていることもありますので、まずは協力隊として事業継承を行うのもいいでしょう。経営を引き継ぐとはいえ、あくまで地域おこし協力隊として雇用されていることになるため給与は15万円前後のものが多いですが、経営のノウハウを学ぶ見習い時期に安定した収入があるのは安心感がありますね。
また、まだ数は少ないですが、移住者と後継者を探している企業とを結ぶマッチングサイトを利用して事業継承先を探すのもひとつの手ですよ。事業継承系のマッチングサイトの多くは企業情報が非公開になっているので、会員登録をしてじっくり情報を集めましょう。
最近は、地方移住者向けの事業継承に関するセミナーや個別相談会を開催する自治体も少しずつ増えてきました。情報が少なくて不安だという方は、手ならしに参加してみるのもおすすめですよ。
地方移住者のあこがれ。夢がふくらむ古民家活用の仕事
地方に移住してくる方の中には、あんなことがしたい、こんなことがしたいと憧れや希望を胸に移住してくる方も大勢いるでしょう。その中でも人気がある「古民家活用」について、ここで一度お話ししておきましょう。
地方移住者の中には、古民家などを修繕し、カフェや民宿として活用して仕事をする方も一定数存在します。自然に囲まれ、ゆったりとした空気感の中で、自分の感性を詰め込んだ店を気ままに経営…絵に描いたような優雅な田舎暮らしに憧れる方も多いですよね。
しかし、少々お待ちを。悠々自適な暮らしに思われがちですが、そこまで行くには必要経費も自分の店を売り込むための広報力も必要になってきます。憧れに踊らされて痛い目を見ないよう、しっかり現実的な部分も見据えておくべきです。
古民家活用で仕事がしたい地方移住者の味方、「空き家バンク」の利用は慎重に
さて、地方移住先で古民家を活用して仕事を始めようと思ったとき、まずは古民家を探さなくてはなりません。このとき便利なのが「空き家バンク」制度。
空き家バンクとは、持ち主が持て余している古い空き家などを自治体に登録し、空き家を探している移住者に格安で貸出・販売を行う制度です。空き家の管理者としては持て余した物件を活用でき、移住者は格安で一軒家を借りることができるので、両者の利害が一致しているというわけですね。地方移住を考えるにあたって、チェックしておくべき制度のひとつです。
しかしこの空き家バンク制度、一見空き家の持ち主と移住者とを繋ぐすばらしい制度ですが、実はトラブルは少なくないので要注意。
空き家バンクに登録されている空き家は人が住まなくなって久しい物件、持ち主が何の手入れもせずに長年放置した物件なども多数あり、予想以上に荒廃が進んでいるものが多いのです。いくら安く空き家が手に入るとはいえ、修繕費やリフォーム代がそれなりに嵩むことは覚悟しておきましょう。
また、空き家バンクは貸主と借主が直接契約を交わす「直接交渉」が多いのも要注意ポイント。不動産に関して素人である貸主と借主だけで仲介業者を挟まずに契約した場合、お互いの認識の祖語や確認不足から大きなトラブルに発展することもないとは言い切れません。直接交渉の契約書は隅から隅まで確認するか、もしくは不動産仲介業者に依頼をして間に入ってもらうのが安全です。
空き家バンクを利用する際は、物件の下見は念入りに行う、直接交渉は慎重に行うなど、用心深く事を進めていきましょう。
想像以上に儲けが少ない地方移住先での古民家活用。仕事の準備や対策は念入りに
地方移住先で始める事業としては比較的メジャーな民宿やゲストハウス運営ですが、想像よりも儲けが少ないということは覚えておかなければなりません。
多くの駆け出しオーナーたちは宿の稼働率を7割程度に設定しがちですが、何のブランドもない始めたばかりの宿をそこまで繁盛させるのは至難の業です。また、宿を開店する地域の観光客の入りによって、売上が大きく左右されるということも忘れずに。民宿やカフェで生計を立てようと思ったら、観光客が少なくなる閑散期は別の仕事をするなど、ライフラインは複数持っている方が安心ですよ。
民宿やゲストハウス、カフェなどの地方進出はどんどん進んでおり、いまや日本全体が激戦地と考えていいほど競合相手が多い事業です。今の時代、飲食店は2年以内に5割は潰れるのが定説なのだとか。
地方移住先で自分の店を持つ、というのは素敵な夢ですが、どんなに自由気ままな暮らしのように見えてもそれは趣味ではなくビジネスなのです。その他の仕事同様、軌道に乗せるまでには相応の苦労が付きまとうことでしょう。実際に行動に移す前に事業計画をしっかり練るなど、入念な準備が必要なことはくれぐれも肝に銘じておきましょう。
地域移住先でも自分のペースを守って働く。自分で活躍の場をつくっていく仕事
求人に応募して転職する雇用での働き方や地域に深く関わる働き方など、地方移住先でも様々な仕事の選択肢を紹介してきましたが、最後に既存の価値観に囚われることなく働いていく、という仕事の話をしておこうと思います。
求人数や給与面では都心に後れを取りがちな地方ですが、しかしながら自分に合った仕事を選んで、のびのびとその土地の暮らしを楽しんでいる移住者はたくさんいます。多様な仕事が選択できる現代だからこそ、柔軟な考え方で地方移住での暮らしを満喫しましょう。
地方は仕事のチャンスの宝庫?少ない元手で移住後に起業という手も
どうしても“仕事の種類が限られる”というネックが付きまとう地方移住先での転職ですが、しかし裏を返せばそれだけビジネスチャンスが転がっているということ。都会のように娯楽やサービスが飽和していない地方では、「必要とされているけれど仕事として成り立っていない」という仕事が数多く潜在しているのです。
こういった点に着目して、地方で起業をする移住者は年々増えています。東京首都圏から越してきた移住者が地方で起業する場合、最大300万円の補助金が交付される政策が2019年度予算案に盛り込まれたことも相まって、ますます地方起業ブームは過熱していっています。
地方での起業はハードルが低い?地方移住で起業して仕事をつくるメリットとは
地方で起業するにあたってのメリットとしては、「競合企業が少ないこと」「潜在的なビジネスチャンスが多いこと」「土地代・人件費が安く、都心よりも少ない資金で起業が可能」などが挙げられます。地方移住先で起業した仕事の例としては、デザイン会社やコンサルタント会社、前章で紹介したカフェや民宿経営も地方起業のひとつの形ですね。
起業というと膨大な資金がかかるイメージがありますが、2006年に商法が改正されたことにより、なんと1円の初期投資から会社を立ち上げられるようになりました。定款の謄本手数料や収入印紙代など、もろもろの必要経費を考えても最低24万円程度で起業することが可能なのです。いまの時代、起業のハードルはかなり低くなっていると考えていいでしょう。
堅実な一歩を大切にする仕事。地方移住先での起業を成功させる鍵とは
とはいえ、もちろん会社を立ち上げて必ず成功するという保証はどこにもありません。企業生存率は1年で40%、5年で15%、10年単位で見ると約6%程度の企業しか生き残れない厳しい世界です。起業するのは簡単ですが、会社を始めるよりも存続させることのほうがはるかに難しいということは、改めて認識しておくべきです。
また、地方は都市部に比べて人口が少ないというのも覚えておきたいところ。分母が少ない分、単純に都心よりも客数が少なくなるのは自明の理というものです。
空前の起業ブームで会社を作ることに抵抗感が薄れてきた現代、いずれ自分の会社を立ち上げたいと野心を燃やす起業家にとっては動きやすい世の中になったと思いますが、安易な考えで臨むと足元を掬われるのはどの仕事でも同じです。しっかりリスクを見据えた上で、堅実な一歩を進むことが大切ですよ。
地方移住先で起業を考えているのであれば、地方企業や地域おこし協力隊で働く傍ら、空いた時間をうまく活用して少しずつ起業を進めるのがおすすめです。そもそも、起業してすぐに事業が軌道に乗ることの方が少ないのです。作った会社の業績が振るわなくとも、他に収入源があればすぐに生活が破綻するのは避けられますからね。
まずは週末の空いた時間から事業を始める日曜起業など、いまの生活の中で始められる小さな仕事を大事にしてみてはいかがでしょうか。
どこにいても仕事を作れるのが強み。フリーランスで充実した地方移住ライフを
地方移住での仕事において、フリーランスという働き方は最も注目されている働き方のひとつです。毎日会社に出社してあくせく働かずとも、好きな場所で自分のペースを守りながら仕事ができる自由なスタイルに憧れる方も多いですね。
フリーランスとして地方移住後もできる仕事といえば、エンジニアやデザイナー、ライター、ブロガーなどが一般的でしょうか。最近ではクラウドソーシングなどで簡単に仕事が探せるようになったので、フリーランス転向へのハードルもぐっと低くなりました。
低賃金、求人数の少なさは地方移住における転職のネックになりますが、フリーランスであれば地方にいながら都心と変わらない仕事ができるのが大きな魅力です。PCがあればどこでも仕事が可能で、働き方によっては雇用の求人で働くよりもはるかに多い収入を得ることも夢ではありません。多くの移住者向けのコラムなどでもフリーランスとしての働き方が紹介されており、地方移住において現在最も推奨されている職業といえます。
スキルは必要不可欠。地方移住でフリーランスに転職する際の注意点
しかしながら、この選択肢には、当然フリーランスとして生きていけるだけの能力が必要になってきます。現状フリーランスとして地方で活躍している方は都心でそれなりの経験とスキルを身に着け、どこにいても仕事が作れるようなレベルの方ばかり。経験値ゼロの素人が地方に移住していきなりフリーランスを始めても、あっという間に一文無しになってしまうので注意しましょう。
先ほど紹介したクラウドソーシングなら未経験でも仕事を見つけることは可能ですが、やはり何の経験もない状態で挑戦できる案件は低単価のものがほとんどです。もし未経験の方がクラウドソーシング一本で生計を立てようと思ったらひたすら低単価の仕事を受注して数で稼ぐか、努力して高単価の仕事が受けられるレベルになるまでスキルを上げるしかありません。前例がないわけではありませんが、やはりクラウドソーシングを活用する多くの方は、本業の片手間の副業として仕事をしている方が多いですね。スキルがないのであればスピードと量で稼ぐしかないのです。
いずれにせよ、全くの未経験の方がいきなりフリーランスで食べていこうと思ったら、最初に考えていた「毎日会社に出社してあくせく働かずとも、好きな場所で自分のペースを守りながら仕事ができる自由なスタイル」とはほど遠い、常に時間に追われる生活になってしまうということは、きちんと踏まえておいたほうがいいでしょう。
地方ならではの苦労も?移住者がフリーランスとして仕事をするリスクとは
フリーランスというと聞こえはいいですが、つまるところ「個人事業主」と同義。社会保険料や決算など、会社員時代は会社が全てやってくれていたことも全て自分でしなければなりません。こういった点では、起業するのとなんら変わりませんね。フリーランスでやっていくのであれば、最低限の会計知識などを習得する必要があります。
また、フリーランスは社会的信用が会社員に比べてガクンと下がるということも要注意です。例えば賃貸契約やクレジットカード審査など、会社員時代は難なくパスできたものも、フリーランスになった途端一気に難易度が高くなります。会社に勤めているということはつまり、毎月一定の収入が安定して入ってくるというなによりの証拠なのです。この社会的信用がフリーランスにはないという事実は、よくよく考えておかなければいけませんよ。
さらに言えば、地方では都会に比べて、フリーランスという働き方が浸透していないということも覚えておきたいところ。フリーランスとしてしっかり仕事をこなしていても、新しい仕事の形に明るくない地元民からしてみれば、外から突然移住してきた“よそ者”が、一日中家に引きこもって何かやっている、という状況に見えるわけです。これは不信感を抱かれても仕方ありませんよね。
地方移住後フリーランスで働こうと考えている方は、住民同士の交流やイベントに積極的に参加するなど、地元住民との信頼関係の築き方にはいっそう気を配ったほうがいいかもしれません。
ライターやブロガーがスキルを磨くにはひたすらに書いて書いて書きまくるしかありませんが、プログラミングなどは在宅でできるスクールなども数多く存在するので、本業の空いた時間を使って少しずつ必要な技術を学ぶことができますよ。
技術を習得すればそれだけ仕事も取りやすくなり、テレワーク・リモートワークなど、働き方の幅も広がります。
地方移住後にフリーランスへの転職を考えている方は、まずは会社員として働きながら、出来る範囲でスキルを磨いていくのが確実ですよ。
地方で仕事を見つけるには?移住者が押さえておきたい求人の探し方
さて、ここまで地方移住先で見つけられる求人について紹介してきましたが、気になる仕事は見つかりましたか?
この章では、地方での仕事の探し方についてお話ししていきます。地方移住を考えている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
地方移住者の心強い味方。仕事を決める前に、まずは地方自治体のHPをチェック
地方移住先で仕事を探すのであれば、やはりまずはその地域の自治体のHPをチェックするのがいいでしょう。
多くの地方自治体では移住者向けの情報をHPで公開しています。ちょっとしたコンテンツなども載っていることも多く、その地域での暮らしが垣間見えるのも嬉しいですね。多くの地域おこし協力隊の募集情報はこういった自治体HPで見ることができるので、地方ならではの仕事がしたいと考えている方は要チェックですよ。
今回の記事の中でも事業継承や起業など、政府から補助金が交付される条件をいくつか紹介してきましたが、この他にも各自治体がそれぞれオリジナリティのある支援制度を設けています。移住を決める前に、様々な自治体の移住者向け支援を見比べてみるのが吉ですよ。
雇用で働くにしろ自分で仕事を作るにせよ、一度はじっくり目を通してみるのがおすすめです。
職業体験ツアーなども。地方移住者向け支援を有効活用して仕事の雰囲気を掴もう
前章でも軽く触れましたが、近年の地方移住ブームの流れで数多くの移住者向けの支援制度が続々と生まれています。これを使わない手はありません。様々な条件を吟味して、自分にとって有益な移住者向け支援を積極的に活用していきましょう。
移住者にとって魅力的な支援制度は数多くありますが、中でも多くの地方自治体で行っている「移住お試しサービス」は一度体験しておいても損はないでしょう。
移住お試しサービスとは、一定期間実際に地方での暮らしを体験し、移住希望者の不安やミスマッチを解消するための制度です。いきなり地方に移住してきたもののうまく馴染めず、「こんなはずじゃなかったのに!」と移住者が都心に戻ってしまうのは、自治体としても移住者としても一番避けたい事態ですからね。
この移住お試しサービス、1泊2日のような短期間なものから数か月滞在できる長期的なものまで様々ですが、中には地方の農家や企業で働きながら移住体験できるという、インターンシップに近い形式のものも。地方での暮らしだけでなく、その土地ならではの働き方や仕事の雰囲気を実際に体験できる貴重なチャンスなので、地方移住を考えている方は要チェックですよ。
“田舎暮らし”というと何だか訳もなく素敵な言葉のように聞こえてしまいますが、地方移住は日常であり、生活なのです。住む場所も働く場所も、いままでとは全く違う場所で一から始めるのですから、大変なことですよね。憧れの地方移住を成功させるためにも、まずはこういったお試しサービスから始めて、地方での暮らしや仕事を自分の肌で体験してみるのもいいのではないでしょうか。
地方移住を決めたら仕事探し。おすすめ求人サイトをピックアップ!
さて、いよいよ地方移住を決めたなら、本格的に仕事を探さなければなりません。転職先を探す分には都心にいようが地方にいようがやることはあまり変わりませんが、地方移住での仕事探しの際に押さえておきたい求人サイトもありますので、一通りチェックしておきましょう。
・大手求人サイト
「マイナビ転職」や「doda」など、大手の求人サイトは目を通しておくに越したことはありません。こういった大手求人サイトの多くは都道府県ごとの求人を広く取り扱っているので、一度は覗いておきましょう。エージェントサービスなど、就職に関するサポートが手厚いところが多いのも大手の嬉しいところですね。
・ハローワーク
求人数では他の追随を許さないハローワークも、地方移住での仕事探しでは心強い味方です。「ハローワークインターネットサービス」を使えば、いつでも勤務地や業種ごとに膨大な量の求人を探すことができますよ。ただし、数が多すぎて理想の仕事を見つけるのに苦労するという側面も。
また、地域によっては「ジョブカフェ」と呼ばれる若者向けの就職支援サービス施設がハローワークと併設されていますので、近場にジョブカフェがある方は一度足を運んでみるのがおすすめです。職業紹介から面接対策まで、様々な就職支援を無料で受けることができますよ。
・第一次産業特化型求人サイト
地方移住後に第一次産業への就職や転職を考えている方は「第一次産業ネット」や「あぐりナビ」など、農業・林業・水産業などといった第一次産業に特化した求人サイトを見てみるのがおすすめです。特に第一次産業ネットは3,000件を超える求人数やユニークなコラムなど、満足度の高い充実した掲載内容が魅力です。第一次産業に興味があるなら要チェックですよ。
稲作や酪農といったメジャーな業種から、競走馬育成などの珍しい業種まで取り扱っているので、「これだ!」とビビッとくる運命の業種に出会えるかもしれませんね。
・フリーランス、リモートワーク向け求人サイト
地方移住先でフリーランスやリモートワークでの仕事を考えている方は、在宅勤務の求人に特化した求人サイトをチェックしておきましょう。
ハイクラス副業をテーマに掲げる「CODEAL」や、幅広い業種を取り扱う「Reworker」、コンテンツが充実していて会社の温度感が掴みやすい「PARAFT」などが有名どころでしょうか。地方移住先で自分のスキルを活かして仕事をしていきたい方は見ておいて損はありません。
しかし、在宅勤務に特化した求人サイトとはいえ、日本ではリモートワークなどはまだまだマイナーな働き方です。その他の求人サイトに比べて求人数が少ないこと、完全在宅勤務は少ないことは覚えておきましょう。
・日本仕事百貨
“生きるように働く”がテーマの「日本仕事百貨」は、他の求人サイトではあまり見かけないような唯一無二の仕事を数多く取り扱っているのが特徴的です。地方移住をして「いままでとは一味違う、心躍る仕事がしたい」と考えている方にとっては、とても魅力的な求人サイトなのではないでしょうか。
ひとつひとつの求人にそこで働いている方の暮らしや生き方が反映されており、読み物としても見ごたえのあるコンテンツが揃っています。全国津々浦々の求人を取り扱っているので、こういった求人サイトで興味のある仕事を見つけてから移住を決めるというのもひとつの手ですよ。
こんな働き方もある。地方移住で考えておきたい、新しい仕事のカタチ
地方での仕事の種類や求人の探し方など、地方移住における“仕事”にスポットライトを当ててきた今回のANTIQUE LOG。最後にお話しするのは、「地方移住先での働き方」です。
今回ご紹介した仕事の中にも、会社員としての求人や自分で仕事を生み出すフリーランスなど様々な仕事のカタチがありましたが、地方移住の際は業種だけでなく“働き方の選択肢”も考えておきましょう。
地方移住だけが田舎暮らしの方法じゃない!都心と地方で仕事が持てる二地域住居
「二地域住居」という暮らしのカタチは、地方移住を検討している方に覚えておいてほしい選択肢のひとつです。
二地域住居とは、地方と都心に住居を持ち、生活の拠点を複数持つ生活スタイルのこと。都心にも生活拠点があるため、「田舎暮らしには憧れるけど、いきなり地方移住してしまうのはちょっと不安…」と、なかなか地方移住にまで踏み込めない人にも実践しやすいのが嬉しいですね。気軽に地方での暮らしが手に入るということで、地方移住と同じく注目を集めているライフスタイルです。
二地域住居であれば必ずしも地方だけで仕事を探す必要はなくなるので、ぐっと業種の選択肢は広がります。さらに、会社員として雇用で働く場合、地方移住とは違い収入が下がらないのも重要なポイントです。
例えば平日都心で働いて週末地方で過ごすという二地域住居での生活なら、地方で暮らす際の2大ネックである「求人の少なさ」と「給与の低さ」、この両方をどちらもクリアすることが可能です。もちろん地方で過ごす時間を農業や林業といった地方ならではの仕事に充ててもいいですし、長期休暇をとって期間限定で地方で生活しながら何か仕事をするのもいいでしょう。二拠点住居は、自分の理想やキャパシティに合わせて様々な働き方を選べるのが魅力ですね。
二拠点住居でよく上がるデメリットとしては、「地元住民との関係性」が多く見受けられます。地方特有の人間関係の難しさは地方移住者にも言えることではあるのですが、住民票も生活拠点も移さずに都心と田舎を行ったり来たりする二拠点住居者は、「地方と都会のいいところ取りをしている」と特に白い目で見られがちです。住民同士の交流を積極的に持つ努力をするなど、周辺住民との付き合い方はよくよく考えた方がいいでしょう。
また、住居を2つ用意するための資金や定期的に地方に通うための交通費など、地方か都心かどちらか一方に暮らすよりもコストがかかるのは否めません。お金はもちろんですが、地方に移動するための時間的なコストもかかってきます。きちんと調節して生活しないと、経済的・精神的に疲弊してしまうので注意が必要ですよ。
複数の仕事を持つことを考える。収入面に不安が残る地方移住で働くということ
地方で仕事をしていくのなら、複数の仕事で収入を得る「パラレルワーク」という働き方を視野に入れておくのもいいでしょう。
地方は都会と比べると基本的に賃金が低く、収入が心もとないことは否めません。首都圏でバリバリ働いていた頃を考えると、地方での給与はさぞ寂しいことでしょう。だからこそ地方移住者は、本業一本で稼いでいく従来の働き方だけでなく、「複数の本業を持つ」という新たな働き方に目を向けるべきなのかもしれません。
パラレルワークで複数の仕事を持っていた場合、たとえひとつの収入源が何らかの理由で潰れたとしても、別の仕事でその分の収入を補うことが可能です。例えば起業にしてもフリーランスにしても、社会的信用が薄く会社の後ろ盾もない不安定な立場ですので、こういった“いざという時の逃げ道”は作っておくに越したことはありません。季節によって仕事が増減する農家が冬の間は林業に精を出す、民宿オーナーが観光シーズン外にプログラマーに専念するなど、働き方も無限に広がりますね。
また、効率的に収入を稼ぐことができるのもパラレルワークの魅力のひとつ。賃金単価がそもそも低い地方で普通に働いて月30万円の収入を得るのはそう簡単なことではありませんが、これが「月10万円稼げる仕事を3本つくる」ということなら話は変わってきます。収入面ではどうしても都心部に劣りがちな地方において、パラレルワークは地方移住の不安を払拭してくれる救世主になりえる可能性を秘めているのです。
もちろん、全くのデメリットがないわけではありません。
複数の仕事を持つということは、一日決まったオフィスで自分の仕事をしていれば一定の給料が発生する会社員とは、生活スタイルも仕事への取り組み方も全く変わってきます。働き方によっては自分の趣味の時間や家族と過ごす時間がどんどん削られ、心身ともに追い込まれてしまう可能性も孕んでいるということは、きちんと考えておかなければなりません。自分のキャパシティを超えた仕事を抱えて自滅するパラレルワーカーは、決して少なくないのです。
また、フリーランス同様、仕事を回してもらえるだけのスキルは絶対条件になってきます。パラレルワークのような働き方の場合、会社に属して業務を行う雇用としての仕事だけでなく、自分で仕事を取りに行くフリーランス的な仕事も必要になってきますので、仕事を得るための“売り”がなければ話になりません。全く未経験の分野でいきなりパラレルワークを始めるのであれば、収入につながるまでに時間がかかるということはひとつ覚えておきましょう。
インターネット産業が目覚ましい発展を続ける現代、場所を問わずにできる仕事は日々増えていっています。
こんな時代だからこそ既存の考え方に囚われず、柔軟な働き方にシフトしていくのが、充実した地方移住を実現するカギのひとつなのではないでしょうか。
最後に
今回は地方での転職や求人の探し方、働き方の選択肢など、「地方移住と仕事」をテーマにお届けしてきましたが、いかがでしたでしょうか?
どの仕事にも、どんな働き方にも、メリットもデメリットも同じようにセットになって付いてきます。それは都会にいても地方にいても同じこと。大切なのは、自分がどんなふうに働きたいのか、どんな暮らしをしていきたいのか、それを見失わないことですよ。
いいところも悪いところも踏まえた上で自分の理想の仕事を見つけて、あなたにぴったりの“地方移住のカタチ”を模索していってくださいね。
番外編:茨城県に地方移住して仕事を探すなら
「地方移住には憧れるけど、やりたい仕事がない」「田舎暮らしでも、仕事内容は妥協したくない」、この記事にたどり着いた方の中には、そんな風にお考えの方も多いはず。そんな方は、ぜひ当サイトを運営するラフジュ工房で、アンティーク家具を修理するリペア職人として一緒に働きませんか?
私たちラフジュ工房は、豊かな自然を有する茨城県で、古いアンティーク家具を修理して新たな価値を生み出す仕事をやりがいを持って行っています。なにかを作る仕事がしてみたい、地方でもクリエイティブな仕事がしたいと思っている方は、ぜひ下記リンクから詳しくチェックしてみてくださいね。