着物箪笥といえば、着物や袴など和服を保管する箪笥のこと。着物好きの人なら、一度は桐箪笥などの上質な着物箪笥に憧れたことがあるのではないでしょうか。作りの良い着物箪笥は、和服をきれいな状態で長く保管することができるので、大切な訪問着などはぜひ着物箪笥に収納したいところですよね。
ただ、着物箪笥は、総桐材製の上等なものだと価格が高すぎたり、サイズが大きすぎて置き場所に困ったりと、なかなかちょうど良いものが見つからない、と感じている人が多いのでは?特に着物箪笥を買うのが初めての方だと、どんな着物箪笥が使い勝手がいいか、どんなことに気をつけて選べばいいかわからない、という人が多いかと思います。
そこで今回は、自分にぴったりな着物箪笥を選ぶ方法をお話ししていきますよ。桐材製が良いと言われる着物箪笥ですが、使い方を工夫すれば、桐材でない箪笥や衣装ケースなどでも、十分着物箪笥として使えます。また、もし実家に眠っている和服箪笥がある、自宅に古い婚礼タンスがあるといった人なら、それをリペア・リメイクして使うという方法もありますよ。ぜひ、この記事を参考に、自分に合った着物箪笥を探してみてくださいね。
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着物箪笥は桐箪笥にすべき?良質な和服箪笥の選び方
着物箪笥というと、昔から桐箪笥がいいと言われていますよね。では、なぜ桐箪笥がいいのか、もしくは桐箪笥以外に着物を収納するとどうなるのか知っていますか?これを知っておくと、自分に合う着物箪笥を見極める大きなヒントになりますよ。ということで、まずは桐箪笥の基本知識から押さえていきましょう。
着物箪笥は防湿性・防虫性が大切。ベストなのは総桐材製の和服箪笥
着物は、なんといっても湿気が大敵です。着物を湿気の多い環境で保管すると、カビや虫が生じる原因になります。そこで、強い味方となるのが桐箪笥。防湿性や防虫性に優れた上質な桐箪笥は、着物を湿気から守ることに長けていて、着物を何十年と長持ちさせる助けとなります。
桐材は、湿気が多いと膨張し、乾燥すると収縮します。そのため、湿気が多い日には、箪笥の隙間がぴったりと塞がり、湿気が引き出し内に入るのを防ぎます。反対に、湿気が少ない日には、引き出しなどに隙間ができ、通気性が良くなります。そのため、梅雨のジメジメした時期も、冬の乾燥した日も、一年を通して湿度の低い状態で着物を収納することができるのです。
また、桐材は、ノミやダニが嫌う成分を含んでいます。そのため、害虫を寄せ付けない効果もあるんです。着物を収納する際には、防虫剤や防湿剤を使うとしても、桐材製の箪笥ならより高い効果が期待できます。
桐材製の箪笥には、前板など一部のみが桐材というアイテムもありますが、防湿や防虫効果はやはり総桐材製のものが一番高いです。そのため、総桐材製で高い精度で作られた着物箪笥は、特に高級品とされています。
桐材製以外の着物箪笥や衣装ケースでも良い?防湿・防虫対策をするならOK
では、桐材製以外の箪笥では、着物を傷めることなく保管できないのかと言われると、そうでもありません。総桐箪笥は価格が高すぎる、もしくは、デザインやサイズ的に今の家には取り入れにくいといった人も多く、そんな場合は、桐材にこだわらず、コンパクトな整理箪笥や洋タンスを活用していたり、プラスチック製の衣装ケースに着物を保管しているという人も多いんですよ。桐箪笥と比べると、より防湿・防虫対策が必要となるので、多少手間がかかるのがネックですが、きちんと手入れしながら使えば、着物を傷めることなく保管することができます。
桐材製以外の着物箪笥と衣装ケース、それぞれを使う場合に気をつけることは次の通りです。
- 桐材製以外の着物箪笥を使う場合
着物箪笥として、桐材製以外の木製箪笥を使う場合、桐箪笥と比べると、湿気が溜まりやすいというデメリットがあります。そのため、日頃から乾燥剤や防虫剤を入れておくことはもちろん、カラリと晴れた日には、引き出しを開けておいたり、着物を取り出したりして、湿気を逃がすことが大切です。 また、引き出し1杯に着物を詰め込みすぎると、下の方に湿気が溜まりやすくなります。スペースに余裕を持って収納する必要があります。 - プラスチック製の衣装ケースを使う場合
着物箪笥として、プラスチック製の衣装ケースを使う場合は、通気性がないというデメリットがあります。上記と同じ対策を徹底することに加えて、衣装ケース自体もクローゼットの上部など、湿気の少ない場所に置くことが求められます。クローゼット内に除湿剤を置いたり、部屋に除湿機を置くことも有効です。 また、衣装ケースは、日光が当たる場所に置いておくと、着物が日焼けしてしまいます。必ず直射日光が当たらない場所に置くようにしましょう。
安くて良質な着物箪笥を探すなら、中古・アンティーク箪笥に注目!
先にお話ししたとおり、着物の保管は、桐箪笥以外でもできますが、大切な着物を収納するなら、できればやはり手入れが楽で着物が傷むリスクの少ない上質な箪笥を使うのがおすすめです。しかしながら、良い箪笥は価格が高いのがネックなところ。もう少し手頃な価格の箪笥を探すなら、ぜひ中古品やアンティーク品の着物箪笥もチェックしてみてください。
中古やアンティークの着物箪笥は、桐材製の良質なものでも新品よりも価格が安く、きちんとリペアされたものなら機能性も抜群です。例えば、ラフジュ工房のアンティーク着物箪笥は、木材の割れや隙間などを修理していることはもちろん、引き出し内まで丁寧にクリーニングしているので、安心して着物を収納できます。また、アンティーク箪笥以外にも、展示品として使われていた新古品の箪笥や、ほとんど使用感のない中古美品なども多く取り扱っていますよ。和風から洋風まで、様々なサイズの着物箪笥がありますので、よければ一度オンラインショップを覗いてみてください。
1点、アンティーク着物箪笥で気をつけたいこととしては、あまりリペアをしていないものだと、多少の隙間や歪みなどが生じているものもあること。それでも着物を収納できないことはありませんが、新品と比べると防湿性は低下してしまっています。少しの傷みの気になってしまうかもという方は、新品を選ぶ方が無難ですよ。
既製品で好きな着物箪笥がなければ、オーダーメイドを検討!希望の寸法で製作可
もし、既製品で欲しい着物箪笥が見つからなかったら、オーダーメイドで注文するのも一つの方法です。オーダーとなると既製品よりも価格が高くなりますが、サイズや収納部の作り、仕上げ方法など、希望に応じて対応してもらえますよ。
オーダーメイドの着物箪笥は、箪笥屋に一から製作する方法が一般的。ただ、こちらは良質なものほど、かなり高価です。
そこで、もう一つおすすめなのが、アンティーク家具屋で、古い箪笥をリメイクしてイメージの形に近づけるというオーダー方法。例えばラフジュ工房では、販売中のアンティーク箪笥や、お手持ちの箪笥について、リメイクを受け付けています。古い味わいを生かしてアンティークらしく仕上げたり、傷を補修してきれいに塗装し直したり、好みのサイズにリメイクしたりと、様々なリメイクができますよ。特にアンティークの風合いが好きな人や、持っている箪笥を再利用したい人におすすめです。具体的なリメイク例については、4章でご紹介しますので、そちらも合わせてご覧ください。
着物箪笥・和服箪笥を選ぶときのチェックポイント
次は、着物箪笥を選ぶ際に、チェックしておきたいポイントを見ていきましょう。大きく次の4点を確認しておけば、失敗しないはずですよ。着物箪笥をどんな風に使いたいか、想像しながら検討してみてくださいね。
衣装盆付きの和服箪笥にするか、引き出しタイプの整理箪笥にするか
着物箪笥は、衣装盆付きの和服箪笥(和タンス)と、引き出しが付いた整理箪笥と、大きく2つに分かれます。まずはそれぞれの特徴を押さえて、自分の場合はどちらが使いやすそうか、検討してみましょう。
着物をよく着る人には、衣装盆付きの和服箪笥がおすすめ
衣装盆付きの和服箪笥(和タンス)は、上部に衣装盆入りの観音扉、下部に引き出しが2〜3杯付いたものが主流です。衣装盆は、着物を2〜3枚重ねてきれいに収納することができ、シワになりにくいのがメリットです。また、扉を開ければ、どこに何があるか一目で見渡すことができますよ。和服を着る機会が多い人、たくさんの着物を持っている人なら、衣装盆がたっぷり付いた和服箪笥の方が使いやすいでしょう。
衣装盆付きの和服箪笥のデメリットは、桐箪笥でない場合、引き出しタイプの着物箪笥よりも気密性が低く、湿気が入りやすいこと。着物を頻繁に着る人なら、着物を着たり、扉を開け閉めすることが防湿対策になるのでそれほど気にする必要はありませんが、あまり和服を着ない人の場合は、晴れた日に扉を開けておくなど、こまめに気遣う方がベターです。
着物をそれほど着ない人は、引き出しタイプの整理箪笥の方が便利
2つ目は、洋服箪笥のように大きめの引き出しがたっぷりと付いた整理箪笥。上部には、一回り小さい小引き出しや、引き戸などが付いているものが多いです。整理箪笥のメリットは、和服も洋服も1竿にまとめて収納できるため、着物をあまり持っていない人でも取り入れやすいこと。また、桐箪笥なら特に調湿性に優れているため、頻繁に和服を着ない人でも、頻繁に手入れをせずとも、良い状態で着物を保管しやすいです。
引き出しタイプの整理箪笥のデメリットは、衣装盆と比べると引き出し1杯が深いため、下側に収納する着物が湿気や重みで傷みやすいこと。1杯に着物を詰め込みすぎないことに注意し、上質な着物は引き出しの上の方に収納したり、下になる着物を順番に入れ替えたりといった配慮をする必要があります。
さて、衣装盆付きの和服箪笥と、引き出しタイプの整理箪笥、どちらが良さそうかわかったら、次はサイズについて検討していきましょう。
着物箪笥のサイズは?クローゼットに収めたい場合は寸法に注意
着物箪笥は、着物の量や箪笥を置くスペースの大きさを把握し、それに見合うサイズのものを選びましょう。引き出し1杯に入る着物の量は、15cmほどの引き出しで3〜4枚、20cmほどで5〜6枚が目安です。これからまだ着物が増える可能性のある方は、余裕を持って選んでおくと安心ですね。
また、最近ではクローゼット内にちょうどよく収まる着物箪笥が欲しいという人も増えています。そんな場合は特に、高さや奥行きなどの寸法をよく確認しておきましょう。
さらにもう一つ注意したいのが、着物箪笥の搬入経路の広さについて。着物箪笥は、基本的に分解して運べるものが多いですが、搬入経路が狭いと部屋まで箪笥を運べないという場合も稀にあります。部屋のドアや廊下、階段など狭い場所を通る場合は、事前に通れるサイズかどうか確認しておきましょう。
着物箪笥の引き出しの寸法は?たとう紙ごと綺麗に収納できるものを選ぶ
続いては、引き出しの幅と奥行きの寸法について確認していきましょう。着物を箪笥に収納する際は、着物を「たとう紙」という和紙に包んで保管します。たとう紙とは、通気性や吸湿性に優れ、着物をカビや虫から守ってくれる効果がある和紙のこと。着物箪笥を選ぶ際は、たとう紙がすっぽりと収まるサイズの引き出しを選ぶのがベストです。
たとう紙は、着物の大きさや折り方によってサイズが異なります。一般的なサイズは次の通りです。
- 二つ折り:約83cm × 35〜37cm
- 二つ折り(特大):約87cm × 35〜37cm
- 三つ折り:約64cm × 35〜37cm
着物箪笥を選ぶ際は、事前にお手持ちのたとう紙のサイズを確認してから選ぶと確実ですよ。
着物の帯や小物はどこに収納する?小引き出し付きの着物箪笥だと便利
着物箪笥に小物を収納する場合は、細かな収納部があるかどうかもチェックポイントです。着物の帯や帯締めや帯揚げ、足袋、下着類、バッグなどの和装小物類は、小ぶりな箪笥や衣裳ケースなどに別に収納するという人も多いですが、それほど量が多くなければ、着物箪笥にまとめて収納できると便利です。着物箪笥には、着物収納用の衣装盆や大きな引き出しのほか、小ぶりな引き出しや引き戸が備わっているものもあります。まとめて収納したい場合は、細かな収納が付いている箪笥を選びましょう。
着物収納におすすめの和服箪笥はこれ!和風から洋風まで幅広くご紹介
さて、着物箪笥を選ぶ際のポイントを押さえたところで、次はおすすめの種類やブランドを具体的にご紹介していきますよ。好みの和服箪笥を探してみてくださいね。
総桐材製の加茂桐箪笥。上質な着物の収納に
1つ目は、日本の伝統工芸品である新潟県の加茂桐箪笥。日本が誇る最高級の桐箪笥として有名なブランドです。国産の良質な桐材を使い、桐の乾燥に3年、製作に1か月と長い月日をかけて丁寧に作られます。熟練した職人の手で高い精度で作られているため、湿気の多い日には桐が膨張して引き出しが開けづらくなるほど。逆に乾燥した日には、引き出しが軽くなって滑らかに開け閉めできます。
加茂桐箪笥は、和風の模様が入った美しい金具が付けられています。まっすぐに伸びる桐材特有の木目も上品で、全体的に高級感のある上質な雰囲気です。
基本的には、明るい木肌のものが主流ですが、中古のリメイク品だとシックな色合いに塗装したものも販売されていますよ。どちらも落ち着いた気品高い佇まいが素敵ですね。
加茂桐箪笥は、手間暇かけて作られている高級箪笥なため、伝統工芸士が製作した一級品の箪笥だと100万円以上するものもあります。もっと安く手に入れたいなら、ぜひ中古品をチェックしてみてください。例えば、ラフジュ工房では、ほとんど使用感のない美品も、新品よりも80〜90%近く安い価格で販売しています。掘り出し物が見つかる可能性大ですよ。
欅材・漆塗りの岩谷堂箪笥。力強い和風の意匠が魅力
岩谷堂箪笥も、日本の伝統工芸品に指定されている上質な箪笥。岩谷堂箪笥の特徴は、分厚く迫力のある金具に、漆塗りの木肌、そして、欅材の力強く美しい木目です。桐箪笥ではないのか…とがっかりされるかもしれませんが、実は岩谷堂箪笥に使われているのは欅材の突き板。つまり、板の表層部は高級木材である欅材、内部には良質な桐材が使われているんです。着物を湿気からしっかりと守ってくれることはもちろん、見た目にも豪華な逸品です。
岩谷堂箪笥は、衣装盆付きの大きな和服箪笥から、サイドボードサイズの整理箪笥、帯タンスにちょうど良い小箪笥まで、サイズが幅広くあるのがうれしいポイント。部屋のスペースや、お手持ちの着物の量に合わせて選べますよ。
岩谷堂箪笥も新品だと、30〜100万ほどのアイテムが多い高級箪笥。サイズが大きいものほど高価です。ただ、こちらも中古品なら60〜80%近く安い価格で販売されていますよ。安く良いものを手にいれるなら、中古品も見逃せません。
アンティークの衣装盆付き着物箪笥。桐箪笥が多数
続いては、アンティークの着物箪笥を見ていきましょう。衣装盆付きの和服箪笥は、昭和期頃に作られた古い箪笥も販売されています。アンティークの着物箪笥は、どちらかというと素朴でレトロな雰囲気のものが多く、味わいのある温かな木肌が魅力。色は暗めのものが多く、落ち着いた和風のインテリアにぴったりです。
アンティークの着物箪笥は、きちんとリペアされたものなら、機能性も衛生面も問題ないので、良質な着物箪笥として使えます。価格も現代物の着物箪笥と比べるとお手頃です。
アンティーク和服箪笥の中には、大正ロマンスタイルと呼ばれる、洋風の優雅さが感じられるデザインのものもありますよ。西洋家具と和家具をミックスしたような、和洋折衷のスタイルです。これなら、和室はもちろん洋室にも似合いそうですね。
アンティーク観音箪笥。引き出しを衣装盆にリメイクした和服箪笥もあり
観音箪笥とは、衣装盆付きの着物箪笥の前身とされる衣装箪笥。かつて、関東を中心に作られていた箪笥だと言われています。観音箪笥は、上段に観音扉、下段に引き出しが付いてして、観音扉の中には、さらに引き出しがぴったりと収まっているのが特徴。総桐材製で作られた上手物もあり、気密性が高く、和服の収納にぴったりです。
現在販売されている観音箪笥は、アンティーク品が中心です。観音箪笥の扉には、無骨な十字金具が付いていて、伝統的な和箪笥らしい貫禄がたっぷり。また、中にはアンティーク観音箪笥をリメイクしたアイテムもあり、ローボードサイズのものや、長い脚を取り付けたものなどがありますよ。引き出しは2〜4杯のものが主流なので、小ぶりな着物箪笥を探している方におすすめです。
引き出しタイプのアンティーク整理箪笥。引き出しが浅いものがおすすめ
次は、引き出しタイプのアンティーク整理箪笥。こちらも桐材で作られた着物箪笥が多数販売されています。アンティークの整理箪笥は、引き出し4〜6杯ほどの作りのものが主流です。引き出しは、現代物の整理箪笥よりも深めのものが多いですが、着物をきれいに収納するなら、引き出しが深すぎず、細かく分かれているものを探すといいですよ。
例えば、こちらは明治大正期に作られたアンティークの秋田箪笥。前板は欅材、その他は桐材で作られています。5杯の引き出しが付いた「五丁引き」と呼ばれる珍しい造りで、上段に浅めの引き出しが3杯付いているのがポイント。大切な着物を良い状態で保管することができますよ。また、下段には、小さな引き出しも付いていて、和装小物もまとめて収納できます。
また、昭和期頃に作られたアンティーク整理箪笥には、こちらのような現代物の整理箪笥と同じような作りの着物箪笥もありますよ。総桐材製、上中下と3段重ねの作りで、細かな引き出しや引き戸なども備えています。上段には和装小物を、中段には着物を、下段には洋服なども含めて収納しやすい作りです。古い木肌にはノスタルジックな味わいがあって、レトロな着物の収納によく似合いそうでうすね。こちらのような昭和期頃の桐箪笥は、流通数も多いため、値段がより手頃なのもポイントです。
和洋折衷スタイルの着物箪笥。人気の民芸家具ブランド
続いては、洋風のデザインを取り入れた、和洋折衷スタイルの着物箪笥を見ていきましょう。人気の民芸家具ブランド3つを厳選してご紹介しますよ。和モダンな部屋や洋風のインテリアにもおすすめのブランドです。
松本民芸家具・北海道民芸家具の着物箪笥。和モダンなインテリアに
1つ目は、松本民芸家具や北海道民芸家具などの、シックな和洋折衷スタイルの着物箪笥。松本民芸家具や北海道民芸家具は、伝統的な民芸家具の中でも特に人気のブランドです。扉のモールディングのような装飾や、シンプルな引き手など、和風の衣装箪笥とは一味違う、新鮮さがありますね。
こちらの着物箪笥は、扉内に衣装盆が付いた作り。衣装盆は、前板まで丁寧に塗装されていて、作り手のこだわりが表れています。
松本民芸家具や北海道民芸家具の着物箪笥は、他にも中段に衣装盆が付いたものや、すべて引き出しタイプのものなど、バリエーションが豊かです。上質な桐箪笥と同じく、親子三代で使えると言われるほど質が高く、一生ものの着物箪笥としてぴったりですよ。
永田良介商店の着物箪笥。大正ロマン風のクラシックな部屋に
永田良介商店も、歴史ある上質な老舗家具ブランド。西洋アンティーク風のクラシックな家具を製作していて、洋風キャビネットのような優雅な着物箪笥を見つけることができます。上品なベッドルームやドレッシングルームなどに置く着物箪笥として最適です。
永田良介商店の箪笥は、扉のデザインが特徴的。西洋の歴史的な家具様式をお手本にしたデザインで、幾何学的な形や優雅な陰影が印象的ですね。また、引き出しはどれも浅めで、着物や洋服をきれいに保管しやすく、出し入れしやすい作りです。
華やかな彫刻が目を引く、軽井沢彫りの着物箪笥
軽井沢彫りは、軽井沢に別荘を持つ欧米人に向けて家具作りをスタートしたブランド。箪笥全体に広がるダイナミックな彫刻が特徴で、上質な別荘にふさわしい気品を感じさせます。軽井沢彫りは、長野の伝統工芸品に指定されており、家具というよりは美術品のような佇まい。彫刻のモチーフで一番人気なのは、桜ですが、他にも松や竹、梅など日本らしい模様のものが多数ありますよ。
軽井沢彫りの着物箪笥は、衣装盆付きの和服箪笥のほか、引き出しタイプの整理箪笥もあります。どれも足元から上部、側面まで、彫刻が施されていて、どれも軽井沢彫りの魅力をたっぷりと堪能することができます。落ち着きを感じるダークな色合いなので、派手すぎることもなく、部屋に風情ある雰囲気を演出してくれますよ。
少量の着物や和装小物の収納に。衣装盆・衣装箱
さて、最後にご紹介するのは、少量の着物や和装小物を保管するのにぴったりな衣装盆(衣装箱)。衣装盆は、小さくてもしっかりとした作りで見栄えが良く、着付けの際に乱れ盆としても使えます。アンティークの衣装盆なら、価格もお手ごろなので、まだ着物箪笥を買うほどでもないかなという方や、着物箪笥に入りきれない小物を整理したい方などにおすすめです。
嫁入り道具の着物箪笥を買い替えたい…。リメイクして使うという手もあり!
着物箪笥というと、新しく買いたいという人に負けず、家にある古い着物箪笥を買い替えたい、もしくはリメイクしたい、という声もよく聞きます。少し前までは、嫁入り道具として着物箪笥を用意するのが当たり前だったので、「母や祖母が使っていた着物箪笥が実家に眠っている」「結婚時に婚礼箪笥を買ったけど持て余している」という家庭も多いんですよね。そこで、今回は、そんな着物箪笥の活用法について触れていきたいと思います。
婚礼タンスを手放すのはもったいない!プロによる本格リメイクが人気
婚礼タンスは、娘が新たな暮らしで不自由しないよう、両親が愛情をこめて用意してくれたもの。そのため、婚礼家具として贈られた着物箪笥は、作りも立派でサイズも大きいのが特徴です。正直なところ、使っていないから処分したい、新しい家具に買い替えたいと思っても、なかなか踏み切れませんよね。
そこでおすすめなのが、着物箪笥をリメイクすること。もともと良質な素材や作りを持つ着物箪笥は、上手にリメイクすれば、まだまだ使える上質な家具に変身します。DIYが得意な人は自分でやるのもいいですが、自信がない人はプロに依頼するのも一つの方法です。箪笥のリメイクを得意とする家具屋に依頼すれば、サイズやデザインの変更など、大胆なリメイクも可能ですよ。続いて、プロのリメイク例をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
プロの着物箪笥リメイク例5つ。DIYでできるものもあり
ここでは、ラフジュ工房で手がけている箪笥の代表的なリメイク例を5つご紹介します。もともとの和の魅力を生かすようなリメイクもあれば、家具の印象をガラリと変えるようなリメイクもありますよ。ご紹介する例を参考に、どんな風にリメイクしたいかイメージを膨らませてみてくださいね。
着物箪笥の金具を交換して、雰囲気チェンジ!
箪笥のリメイクの中でも手軽にできるのが、引き手を交換するリメイク。多くの着物箪笥には、画像左のような和風の引き手が付いていますが、それを洋風のものなどに変えると雰囲気がパッと変わります。今っぽいカジュアルなチェストにしたり、より豪華な和風にしたりと、様々なリメイクできますよ。これなら、DIYでも簡単に挑戦できそうですね。
着物箪笥をペイントして、洋風にリメイク
着物箪笥の印象を大きく変えたいなら、全体をペイントするのがおすすめ。明るい色ならかわいらしいポップな雰囲気に、暗い色だと落ち着いたモダンな雰囲気にリメイクできます。
ただ、桐箪笥などをペンキで塗装すると、桐材特有の調湿効果が弱くなってしまいます。洋服などを収納する箪笥として使うなら問題ありませんが、大切な着物などを収納したい場合は、しっかりと防湿対策をしながら使用してくださいね。
大きな着物箪笥をリサイズ!脚や天板を付けてローボードやサイドボードに
Before(左)・After(右)の例
続いては、大きな着物箪笥を分割してリサイズしたリメイク例。着物箪笥は2〜3段の重ね箪笥が多いため、1段ずつにバラして、脚や天板を取り付けたアイテムです。和風の意匠を活かしつつリサイズできるので、もともとの着物箪笥の面影も楽しむことができますよ。
また、着物箪笥は、テレビ台にリメイクすることもできます。こちらは見た目には収納部が引き出しのように見えますが、実はフラップダウン式の扉。AV機器などを操作しやすい作りです。背板にはコード用の穴も開けられます。
着物箪笥の収納部をリメイク。マルチな収納家具に
最後は、着物箪笥の引き出しを細かく作り変えるリメイク。こちらはコンパクトな例ですが、箪笥に応じて様々なサイズにリメイクが可能です。大きな引き出しを細かく分割すると、リビング用品やキッチン用品など、小物の収納家具として使いやすくなります。
こちらの箪笥は、金具を交換したり、ペイント塗装することで、和風の印象がなくなって、かわいらしいレトロ家具に生まれ変わっていますね。側面には、古い箪笥らしい竿通しが残っているのもポイント。リメイクでガラリと変わりつつも、歴史が残っている部分もあり、なんだかロマンを感じます。
以上、着物箪笥の人気のリメイク例をご紹介しました。ラフジュ工房では、ここでご紹介した以外のリメイクも柔軟に対応しています。リメイクご希望の方はぜひお気軽にご相談ください。
着物箪笥や和服の正しい収納法・お手入れ方法。押さえるべきポイントは6つ
さて、次は着物箪笥や和服の扱い方について基本を押さえていきましょう。着物は、洋服と違ってデリケートなので、収納方法に気をつける必要があります。これから着物箪笥を初めて使うという人は、ぜひ正しい収納法やお手入れ方法を覚えておいてください。ちょっとした気遣いで着物が何十年と長持ちしますよ。
着物箪笥自体のお手入れは、基本的に不要
まずは、着物箪笥自体のお手入れについて。着物箪笥は、基本的に一般的な家具と同じく、特別なお手入れは必要ありません。ホコリが気になった際は、柔らかい布などでさっと乾拭きしましょう。
また、着物箪笥は、使っているうちに傷ついたり、変色してくることもあります。何十年と使って傷みが気になってきたら、箪笥屋やアンティーク家具屋などに修理を依頼するのもおすすめです。傷の修復や再塗装など、希望に応じて美しくリペアしてもらえますよ。
着物箪笥や衣装ケースは、湿気が少なく、直射日光が当たらない場所に置く
着物箪笥や衣装ケースは、湿気が少なく、直射日光が当たらない場所に置くのがベストです。
特にプラスチックの衣装ケースは、湿気が溜まりやすく、光を通してしまうので、着物にカビや虫食い、日焼けなどが発生してしまう可能性があります。衣装ケースを置く際は、ケースの周りに空間を作って風を通しやすくし、周りにも除湿剤を置くようにしましょう。クローゼットの中やベッドの下などは特に湿気が溜まりやすいので、定期的に扉を開けて湿気を逃がしましょう。
着物を収納する際は、たとう紙に包んで和服箪笥へ
先に2章でも触れましたが、着物を収納する際は、たとう紙という和紙に着物を包んで収納します。たとう紙は、通気性が良く、防湿効果がありますが、その機能は年月とともに低下します。特に最近の気密性の高いマンションや住宅では、たとう紙の消耗が早いと言われていて、1年に1回ほどのペースで交換するのが理想的とされています。古いたとう紙をそのまま使っていると、変色の原因になったり、虫やカビが発生したりする可能性が高くなるため、忘れずに交換するようにしましょう。
大切な着物ほど、引き出しの上の方へ。生地の種類別に収納
大切な着物をきれいに保管するには、引き出しへの入れ方にもコツがあります。それは、大切な着物ほど引き出しの上の方に収納すること。1章でお話しした通り、引き出しの下の方には、どうしても湿気が溜まりやすく、また上からの重みで着物にシワがつきやすくなるためです。着物が傷むのを防ぐためにも、引き出しには着物を無理に詰め込まないこと、下になる着物は定期的に入れ替えることを心がけると良いでしょう。
また、着物は、絹や木綿、麻、ウールなど、生地にいくつかの種類があります。このうち、絹とウールは、特に虫が好むとされている素材。そのため、万が一、虫が発生した際に被害が広がらないよう、ウールはウール、絹は絹と、種類毎に別の引き出しに収納するのがベターです。
着物収納には防虫剤を活用!1種類のみを使うのが基本
着物箪笥や衣装ケースに着物をしまう際は、必ず防虫剤を使うようにしましょう。防虫剤は、着物や和服用として販売されているシート状のものが便利です。種類によっては、防虫だけでなく、防カビや除湿効果などのあるシートも販売されていますよ。桐箪笥以外の箪笥や衣装ケースを使用する際は、防虫・除湿効果のあるものを使うのがおすすめです。
また、着物用でない一般的な衣類用防虫剤は、着物用として使えるものと使えないものがあるため、注意が必要です。衣類用防虫剤は、無臭のピレスロイド系と、有臭のパラジクロルベンゼン、ナフタリン、樟脳の4種類があります。このうち、パラジクロルベンゼンとナフタリンの防虫剤は、着物の金彩や金銀糸が変色させてしまう可能性があるため、使用はおすすめできません。そして、着物の防虫剤といえば、以前は樟脳が一般的でしたが、匂いが強いため、今では無臭のピレスロイド系の防虫剤が主流となっています。ピレスロイド系の防虫剤は、衣類用防虫剤で最も多い種類で、着物にも問題なく使用できますよ。
防虫剤を使うにあたっては、違う種類のものを併用すると、着物が変色する原因になります。唯一、無臭のピレスロイド系防虫剤は併用ができますが、ややこしいので、使用するのは1種類のみと覚えておくと安心です。
年に1度は着物を「虫干し」して除湿する
着物を長持ちさせるためには、最低でも1年に1度は「虫干し」が必要と言われています。虫干しとは、晴天の乾燥した日に着物を和服用ハンガーにかけて、風通しの良い日陰に3〜4時間ほど吊るし、湿気を取り除くこと。虫干しの時期としては、冬の時期や梅雨が明けた後、2〜3日晴れが続いた日に干すと、湿気が少なくて良いと言われています。虫干しは、着物を虫やカビから守ると同時に、着物やたとう紙、防虫剤などの状態をチェックすることにもなりますよ。
さて、和服や着物箪笥の取り扱いについて押さえたところで、次は、着物箪笥を手放したくなった時の処分方法についてお話ししていきます。
着物箪笥を手放す際はリサイクルがお得!買取を依頼しよう
引っ越しや家の片付けなどで着物箪笥を手放すことになったら、まずはリサイクルすることをご検討ください。中古家具屋などに買取を依頼すれば、処分費もかからず、手軽に大切な家具をリサイクルすることができますよ。その際、少しでも高く買い取ってもらいたいなら、お手持ちの着物箪笥の種類に応じて、適切な業者を選ぶことが大切です。まずは、買取業者選びのコツからお話ししていきますよ。
アンティーク着物箪笥はアンティーク家具屋へ。着物もまとめて買取できる店舗もあり!
まず、江戸〜昭和初期頃に作られたアンティーク着物箪笥をお持ちの方は、アンティーク家具屋へ買取を依頼しましょう。アンティーク家具屋では、古い家具を買い取ってリペアして販売するという流れが基本なので、リサイクルショップなどでは買取できない、古くて状態の悪い着物箪笥でもきちんと査定して買い取ってもらえる場合が多いです。
また、着物箪笥の中にしまっていた着物や小物なども処分する場合は、それらもまとめて買取を依頼するのがおすすめ。家具以外の骨董品やアンティーク雑貨なども扱っているショップなら、まとめて査定してくれる場合が多く、買取額がアップしたり、普段なら買取できないものもオマケとして買い取ってくれる可能性もあります。ちなみに、ラフジュ工房でも着物箪笥のほか、着物自体の買取も行っています。処分をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
ブランドものの着物箪笥は、専門の中古家具屋へ
民芸箪笥など、高級ブランドの着物箪笥を処分したい場合は、ブランド家具専門の中古家具店に買取を依頼するのがおすすめです。各中古家具店の買取対象品や、販売中の商品をチェックして、そのブランドを多く取り扱っているショップを選びましょう。専門店の方がブランド家具に精通していて、販売力もあるので、正確に査定して、高い買取価格を提示してくれる可能性大です。
また、ブランド専門の中古家具屋は、地域密着型のリサイクルショップに比べると店舗数が少ないですが、日本全国を対象に出張買取を行っている場合が多いですよ。そのため、住んでいる地域で限定せずに、良さそうな店舗を探してみて見積もりを依頼するのがおすすめ。見積もりだけなら、電話やメールなどで無料で簡単にできますよ。買取は、査定に納得できた場合にのみ依頼すればOKです。
大衆ブランドの着物箪笥は、リサイクルショップへ
現代の大衆ブランドの着物箪笥を処分したい方は、リサイクルショップへ買取を依頼するのがおすすめです。買ってから数年しか使っていないもの、人気ブランドのものなら買取してもらえる可能性がありますよ。ただ、買ってから5〜10年以上経っているものや、耳馴染みのないメーカーのものだと、買取が難しい場合もあります。いくつか見積もりを依頼してみて、買取が難しそうなら、残念ですが処分する方向で検討しましょう。
着物箪笥の買取が難しい場合の処分方法
着物箪笥の買取が難しい場合は、処分方法としては次の3つがあります。
- オークションやフリマで売る
- 自治体に粗大ゴミとして出す
- 不用品回収業者に処分を依頼する
処分費をできるだけ抑えたいなら、オークションやフリマを試してみるのがおすすめ。着物箪笥は基本的にそれほど需要が高くないため、売るのはハードルが高いですが、可能性はゼロではありません。出品や発送などに手間がかかる、いつ売れるかわからないなど、デメリットもありますが、売れればその分プラスになります。
ただ、お手持ちの着物箪笥によっては、売却が難しそうな場合もありますよね。そんな時は、粗大ゴミとして出すか、不用品回収業者に処分を依頼するかの2択になります。コストが安く済むのは、自治体に粗大ゴミとして出す方法。やることとしては、粗大ごみの回収を申し込み、処分シールを購入し、指定された日時に回収場所まで運ぶ、という作業が必要です。少々手間ですが、時間と人手さえあれば、余分な費用をかけずに処分することができます。
粗大ゴミとして出すのが難しい、できるだけ手間をかけたくない、という場合は、不用品回収業者へ依頼しましょう。こちらは、申し込みさえすれば、運び出しから処分まで業者がやってくれます。出張費や処分費がかかるため、費用はかさんでしまいますが、手間なく楽に処分できますよ。
最後に
着物箪笥というと、桐箪笥が定番でしたが、暮らしに合わせて収納の形も変化しています。今も昔も、着物と桐箪笥は相性が良いことに変わりありませんが、工夫次第で自分好みの箪笥を活用することができますよ。和服をもっと楽しむためにも、ぜひ自分らしい着物箪笥を見つけてみてくださいね。