昔ながらのお寺や神社、古民家などでよく見かける板戸。古くから日本で和風建築に欠かせない建具として重宝されてきた存在です。現在、新築やリフォームに使われる板戸は、フラッシュ戸と呼ばれる種類の大量生産しやすい安価な扉が多くなりましたが、古いものや手仕事のものが好きな方、インテリアにこだわりのある方には、昔ながらの板戸が根強い人気を誇っています。
私もアンティークショップのインテリアコーディネーターをしていただけに、古い板戸ファンの一人です。アンティーク板戸は、古材ならではのレトロ感や力強さのある佇まいが素敵なんですよね。また、新品と比べると格段に趣があって、特注品の造作扉よりも安価に手に入れられるのもうれしいポイント。みなさんの中にもそんな昔ながらの板戸に興味がある、使ってみたいという方が多いのではないでしょうか。
ただ、いざ板戸が欲しいと思っても、意外と種類が多くて、参考になるインテリア例も少ないので、どれにしようか迷ってしまいますよね。また、アンティーク品だと、新品とどんなところが違うのか気になる方も多いかと思います。
そこで今回は、板戸の歴史や特徴から、選び方のポイント、インテリア実例までたっぷりとお話ししていきますよ。鏡板戸や舞良戸、帯戸などいろんな種類の板戸をもれなくご紹介しますので、リフォームや新築を予定されている方は、ぜひこの記事をもとに、自分の家に合うのはどの板戸か見極めてみてくださいね。
それでは、まずは板戸ってそもそもどんなもの?という方へ、その概要からお話ししていきます。
Contents
- 1 板戸とは?特徴や歴史などを見てみよう
- 2 和風から洋風まで!デザイン別に板戸の種類・名称を一挙ご紹介
- 2.1 洋室にも合う!全面板張りのシンプルな板戸「鏡板戸」
- 2.2 粋な和室に。花鳥風月や山水画を描いた「板絵戸・杉戸」
- 2.3 軽くて丈夫!玄関や雨戸など幅広く使われていた「舞良戸」
- 2.4 和室にも洋室にも合う。格子の内側に板を張った格子板戸
- 2.5 鏡板戸の中央に帯が入った「帯戸」。漆塗りのものもあり
- 2.6 洋室に取り入れやすいモダンな板戸「ガラス帯戸」
- 2.7 和モダンなインテリアにぴったりな板戸「格子帯戸」
- 2.8 温かみのある和風デザインの板戸「障子帯戸」
- 2.9 繊細な職人技が詰まった板戸「組子帯戸」
- 2.10 大正ロマンな建具!幾何学模様入りアンティーク板戸
- 2.11 レトロな透かし彫り入り!大正ロマン風の板戸
- 2.12 ガラリと洋風にリメイク!おしゃれなペイント板戸
- 2.13 かわいい洋風板戸!ペイントでリメイクしたガラリ戸
- 2.14 ステンドグラスの窓がかわいい。洋風のレトロな板戸
- 3 板戸は引き戸だけじゃない!窓や開き戸のドアもあり
- 4 板戸の価格帯はこちら。新品とアンティーク品をデザイン別に比較
- 4.1 アンティーク鏡板戸の価格帯。1枚板だと高め
- 4.2 アンティーク板絵戸の価格帯。値段が幅広い
- 4.3 アンティーク舞良戸の価格帯。比較的安い
- 4.4 アンティーク格子板戸の価格帯。マス目が細かいほど高い
- 4.5 シンプルなアンティーク帯戸の価格帯。作りに凝ったものは高価
- 4.6 クリアガラス入りアンティーク帯戸の価格帯。シンプルで安め
- 4.7 柄付きガラス入りアンティーク帯戸の価格帯。珍しいデザインは高い
- 4.8 色ガラス入りアンティークガラス帯戸の価格帯。装飾に凝ったものは高い
- 4.9 アンティーク格子帯戸の価格帯。桟が細かいものは高い
- 4.10 アンティーク障子帯戸の価格帯。素朴な雰囲気のものは安い
- 4.11 アンティーク組子帯戸の価格帯。組子細工によって値段が幅広い
- 4.12 幾何学模様入りアンティーク板戸の価格帯。珍しい文様は高い
- 4.13 透かし彫り入りのアンティーク板戸の価格帯。緻密なものは高い
- 4.14 アンティークペイント板戸・ガラリ戸の価格帯。シンプルなものは安い
- 4.15 ステンドグラス窓入りアンティーク板戸の価格帯。比較的高め
- 4.16 ドアタイプのアンティーク板戸の価格帯。デザインによって値段が様々
- 4.17 窓タイプのアンティーク板戸の価格帯。欅材のものでも比較的安め
- 5 リフォームや新築の参考に!アンティーク板戸を取り入れたインテリア実例
- 6 人気のアンティーク板戸活用法2つ!アンティーク板戸を家具にリメイク
- 7 アンティーク板戸を探すなら、リメイクやオーダーできる店舗がおすすめ
- 8 最後に
板戸とは?特徴や歴史などを見てみよう
ますは、板戸の入門編。特徴や歴史をざっくりと押さえておきましょう。新品とアンティーク品の違いについても触れていきますので、板戸選びの参考にしてみてください。
板戸は板張りの引き戸や扉の総称。法隆寺のものが最古
板戸は、舞良戸や帯戸、雨戸、フラッシュ戸など、面材に木製の板を用いた建具の総称です。もう少し狭義だと、上の画像のような、鏡板と呼ばれる板を框に収めた鏡板戸(鏡戸)のことを指します。日本で初めて板戸が作られたのは、今から約1400年も前のこと。7世紀に創建された法隆寺金堂の出入り口に、開き戸の一枚板戸が使われたんだそうです。今は板戸といえば引き戸のイメージがありますが、はじめは開き戸だったとは意外ですよね。それから奈良時代までは、寺院建築や住宅の扉は開き戸のみだったそうですよ。
フラッシュ戸とは、芯材の表面に合板などの面材を貼り付けた建具のこと。日本では戦後に普及した建具で、框戸や桟戸と比べて製作が容易で手間がかからず、大量生産に向いています。
平安時代に入ると、寝殿造りと呼ばれる建築様式の貴族の住宅が登場します。寝殿造りの建具には、開き戸タイプの板戸や、蔀戸(しとみど)という建具が主に使われていました。蔀戸とは板戸の表裏に格子の組子がついた建具のことで、開く際は上方向へ跳ね上げて、吊り金具で引っ掛けて固定します。ダイナミックで開放的ではあるものの、開け閉めがかなりの重労働であったため、平安時代後半になると蔀戸の代わりとして、初めて引き戸タイプの舞良戸が使われました。
引き戸の舞良戸は、開け閉めが省スペースで楽にできる画期的な建具として、瞬く間に人々の暮らしに馴染んでいきます。やがて舞良戸は室外に雨戸として設置されるようになり、室内には障子や襖を主に用いるようになりました。
一方、庶民の民家に目を向けてみると、平安時代の民家の出入り口には板戸が片開き戸として設置されていました。昼間は戸を内側へ開け放ち、暖簾を吊るしていたんだそうですよ。平安京の町屋などでは、出入り扉の他に窓が設けられ、そこにも蔀戸や格子などの板戸が付けられていました。蔀戸は上方に跳ね上げて留めるのが一般的ですが、商店では蔀戸を下方へ開いて下から棒で支え、その上に野菜や魚などの商品を並べていたんだそう。建具に商品を並べていたなんて、賑やかな町並みだったんでしょうね。
その後、板戸は障子や襖とともに、長い間和風建築に欠かせない建具として住宅に用いられてきました。しかし、時は進んで第二次世界大戦の終結後、フラッシュ戸やアルミサッシが普及していき、昔ながらの木製建具を使う機会がどんどん失われていきました。断熱性や気密性、コスト面など様々な点で古い板戸は新しい建具に劣っていたため、当然といえば当然の結果だったのでしょう。
ただ、また近年になって、豊かさへの価値観の変化や、木製サッシの機能性向上などによって、日本伝統の木製建具に再び注目が集まってきています。特に板戸は、洋間にも合うシンプルなデザインのものが多く、現代の住宅建築にも取り入れやすいため、リフォームや新築住宅で使う方が増えてきているんです。古いものならではの風情あるアンティーク板戸、世代を超えて使われる魅力を秘めていたんですね。
板戸は新品とアンティーク品があり。使いどころはそれぞれ
前章でお話ししたとおり、板戸は古くからある建具なだけに、アンティーク品が豊富に販売されています。新品とアンティーク品、それぞれ特徴が違うので、先にここでご紹介しておきますね。
新品の板戸は、既製品だとフラッシュ戸が主流で、造作扉などのオーダー品だと昔ながらの工法で作られるものもあります。色は木味そのままのものが一般的。そのため、和風の中でも明るいナチュラルテイスト向きの建具と言えます。
アンティークの板戸は、経年変化や着色でシックな色合いのものが多く、古民家のような伝統的な和風の空間や高級感のある和モダンなインテリアによく似合います。中にはシンプルなデザインのものや、洋風にペイントされたものなどもあって、そういったものも含めるとかなり幅広いインテリアに合わせやすいですよ。ちょっと意外かもしれませんが、北欧テイストやヴィンテージスタイルなどでも使えるんです。建具が持つ深い味わいが、部屋の雰囲気をぐっとおしゃれにしてくれます。
また、アンティーク板戸は古いものなだけに、新品と違って使い勝手が心配という方もいらっしゃるかと思います。この点については、リペア済みのものであれば全く問題ありません。古い板戸は歪みや傷、色褪せなどがあるのが一般的ですが、アンティークショップできちんと修復していますので、そのまま家に取り入れて新品と同じように使えます。ただ、リペアのクオリティは店舗によって様々ですので、その店舗のホームページや販売実績などを見て信頼できる店舗かどうか見極めてから買うのがおすすめです。
和風から洋風まで!デザイン別に板戸の種類・名称を一挙ご紹介
それでは、続いて板戸のデザインに注目してみましょう。板戸の種類は全部でなんと14種類!それぞれの名称や特徴をご紹介していきますよ。きっと見たことのないデザインもあると思うので、どれが家に合いそうか想像しながらじっくりチェックしてみてくださいね。
洋室にも合う!全面板張りのシンプルな板戸「鏡板戸」
まず1つ目は、最もシンプルな板戸である鏡板戸(かがみいたど)。別名で鏡戸とも呼ばれます。四方を囲んだ框以外に表面に桟を入れない板戸のことで、板を鏡に見たてて鏡板戸と言われたそうです。シンプルなデザインなので、木の質感が存分に感じられ、特にアンティーク品は深い味わいを楽しむことができますよ。
アンティークの鏡板戸は和室にはもちろん似合いますが、フローリングの洋室に取り入れても素敵です。シンプルモダンな空間にも合わせやすく、ほどよく温度感がプラスされるので、私もよくコーディネートに取り入れていました。現代のガラス戸とも相性がいいので、マンションや新築などモダンな住宅に取り入れる場合にぴったりです。
鏡板戸の中には、こんなにも大きなサイズのものもあります。そのサイズは、なんと高さ、幅ともに約1.8m!贅沢にも1枚板の杉材が使われていて、隅々まで美しく連なった木目からは自然の力強さが感じられますよね。こんな板戸は、ぜひとも伝統的な和風住宅で使ってもらいたいところ。豪華なお屋敷のような、上質で気品のある空間になるはずですよ。
粋な和室に。花鳥風月や山水画を描いた「板絵戸・杉戸」
由緒ある寺社や古いお屋敷などで使われていた板戸は、鏡板に花鳥風月や山水画などを描いた、板絵戸と呼ばれるものもあります。こちらの画像はガラス戸ですが、板戸だと鏡板全面に大きく描かれているものが多く、迫力たっぷり。美術的、歴史的に貴重なものが多く、アンティークショップで働いていてもなかなかお目にかかれない建具です。
また、杉戸というと、今では杉板を入れた板戸を指しますが、昔は框が漆塗りで、鏡板に花鳥風月や山水画などを描いた板絵戸が多かったんだそう。古い時代の和風建築では、建具が室内装飾の重要な役目を担っていたため、襖だけでなく板戸にも観賞用の絵が描かれていたんですよ。今ではどちらかというと、建具は建築に馴染むようなシンプルなものが好まれる傾向にありますが、あえて板絵戸を部屋にアクセントとして取り入れると、とても新鮮で印象的な空間に見えます。モダンアートのような粋な空間作りができますよ。
軽くて丈夫!玄関や雨戸など幅広く使われていた「舞良戸」
舞良戸(まいらど)は、舞良桟や舞良子を入れた板戸のこと。一般的には舞良子を横方向に配した横舞良戸が多いですが、稀に縦方向に配した竪舞良戸も見かけます。寺院建築をはじめ、一般的な日本家屋でも玄関や廊下の雨戸、トイレ、押し入れ、下駄箱などの扉によく使われていました。シンプルな鏡板戸よりも和風の印象が強い建具です。
舞良戸は、四方の框が細い分、舞良桟で強度を保っています。そのため、一般的な板戸よりも軽くて開閉しやすく、レトロで素朴な佇まいです。私も大きめの舞良戸を玄関に使ったことがありますが、舞良戸が入ると現代的だった玄関が古民家のようなレトロな雰囲気に生まれ変わりました。和風やレトロインテリアが好きな方は、ぜひ舞良戸を使ってみてください。
和室にも洋室にも合う。格子の内側に板を張った格子板戸
鏡板に格子の組子が付いた格子板戸。蔀戸や木連格子を連想されるような、きれいなマス目模様をしていて、マス目が細かいほど繊細で上質な印象を受けます。格子板戸は格子がある分、他の建具と比べて堅牢で渋い雰囲気です。純和風の空間や和モダンなインテリアに取り入れると、そのかっちりとした佇まいが小洒落たムードを演出してくれますよ。
リフォームや新築住宅の場合、格子板戸は部屋の間仕切りに使う以外に、クローゼットや棚などの扉として取り入れるのが人気です。格子模様がインテリアのアクセントになって、ほどよく和風の雰囲気を醸し出してくれます。
鏡板戸の中央に帯が入った「帯戸」。漆塗りのものもあり
鏡板戸の中間の高さに帯桟を入れた帯戸(おびど)。鏡板戸の強度を高めるために帯桟を入れるようになったと言われています。シンプルなフォルムですが、和風の貫禄が感じられるものが多いです。特にアンティーク品は木肌がシックな色合いなので、どっしりとした存在感があります。和室に襖や障子戸の代わりとして取り入れると、キリッと引きしまった大人っぽい空間にすることができますよ。
アンティークの帯戸には、漆塗りが施された高級品が見つかりやすいのも魅力です。框だけ黒塗りにしたものや、全体を赤みのある飴色に仕上げたものなどがあります。漆は、耐水性や耐熱性、耐アルカリ性、耐酸性に優れた自然塗料。そのため、古くから玄関や洗面所、台所など、防菌や防錆が求められる場所の建具に使われてきました。見た目には美しい艶があって、上品な和風のムードを演出してくれますよ。
洋室に取り入れやすいモダンな板戸「ガラス帯戸」
続いては、帯戸の中でも帯部分にガラスが入ったガラス帯戸についてご紹介します。ガラス帯戸は次の3種類が主流です。
シンプルでモダンなクリアガラス入り帯戸
1つ目は、クリアガラス入りの帯戸。直線的ですっきりとしたフォルムで、和風の建具ですがどこかモダンな印象もあります。クリアガラスだと向こう側がよく見えるので、空間につながりを持たせたままスペースを仕切ることができますよ。
先ほどの建具はけっこう渋い印象でしたが、もう少し色味が明るめのものだと、和風の中でもレトロで温かみのある雰囲気です。グリーンをたくさん取り入れて、ナチュラルなコーディネートをしてもおしゃれですよ。
レトロな柄入りのアンティークガラス帯戸
続いては、アンティークらしいレトロな柄入りのガラスが使われたガラス帯戸。深い色合いに変化した木肌と、キラキラとしたレトロガラスがマッチして、ノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。レトロガラスは、モザイク性のあるものが多いので、プライベートな部屋の間仕切り建具にぴったりですよ。ちなみに、こちらのガラスはちょっと珍しいタイプですが、同じレトロガラスだと、ダイヤガラスやモールガラスのものが見つかりやすいです。
他にもちょっと変わったレトロガラスとして、こんな額縁のような柄の入ったものもあります。こちらは向こう側が白っぽいと柄が見えにくいですが、夜になると柄が浮かび上がるおもしろいガラスです。現代の住宅ではクリアガラスが主流で、柄入りのガラスを使うことが減っていますよね。それだけに、家にレトロガラスを取り入れると、それだけで一気にノスタルジックなムードが広がります。家具はモダンなものでも、建具で少しレトロ感を出すだけで、インテリアにぐっと深みが増しますよ。
色ガラス入りの大正ロマン風ガラス帯戸
3つ目は、板戸のガラス帯に鮮やかな色ガラスが入ったガラス帯戸。和洋折衷の大正ロマンらしいデザインの建具です。シックな鏡板と色ガラスのコントラストが印象的で、ムーディな美しさがあります。色ガラスは黄色や緑、赤、青、紫など様々な色があり、インテリアのアクセントとして活躍してくれますよ。
色ガラスの板戸は、やはりレトロモダンな大正ロマンインテリアに取り入れるのがおすすめ。できれば、思い切って赤や緑などの華やかな色ガラスの板戸を使ってみましょう。私も緑の色ガラス入り板戸を部屋のコーディネートに使ったことがありますが、シックなインテリアに色ガラスが際立って、非日常的な美しさのあふれる空間になりました。そもそもが板戸なので、派手になりすぎず、ちょうどよく大人っぽい雰囲気にまとまるんですよね。ムーディな大正ロマンスタイルを楽しみたい方は、ぜひお試しください。
和モダンなインテリアにぴったりな板戸「格子帯戸」
続いては、板戸の帯部に格子が入った格子帯戸。先ほどの色ガラス帯戸と打って変わって、男前な無骨さが魅力の板戸です。アンティークだと、燻されたようなダークな色合いのものが多く、重厚な存在感がありますよ。格子板戸はこちらのような縦格子で吹き抜けのタイプが多いです。視線を遮りつつ、通気性は保たれるので、冷暖房を広く効かせたい部屋の間仕切りや、湿気が気になるクローゼットの扉などにぴったりですよ。
格子板戸の中には、無双窓がついた珍しいタイプもあります。無双窓とは、細長い板材を縦方向に打ち付けた連子(れんじ)が2枚はめ込まれた建具で、一方の可動式の連子を左右に動かすことで、隙間を開閉できる窓のこと。無双窓は、雨戸でよく見かけるものですが、板戸にも稀に付けられていることがあるんですよ。珍しい貴重なものなので、アンティークショップでもあまり出会えないアイテムです。
さらに珍しいものになると、板戸の上部に無双窓が付いているタイプもあります。夏場の暑い時には、熱気が部屋の上の方に溜まりやすいので、上方で換気すると涼しく過ごせるんですよね。先人の知恵が詰まった、機能的な板戸です。
温かみのある和風デザインの板戸「障子帯戸」
続いては、板戸の帯部分に障子が入った障子帯戸。障子の白が鏡板に際立って、凛としたムードを醸し出しています。障子は、ガラスと比べて温かみや柔らかさがあるので、昔ながらの古民家やレトロな和室によく似合いますよ。
障子板戸は、表向きは格子帯、裏は障子帯と2つの表情を楽しめるものもあります。障子帯戸は和モダンなフローリングの洋室に取り入れても素敵なので、リビングダイニングや和室の間仕切りにおすすめですよ。また、障子板戸は、小障子が取り外しできるタイプもあるんです。それだと季節に応じて通気性を調整することで、1年を通してより快適に過ごすことができますよ。
繊細な職人技が詰まった板戸「組子帯戸」
帯戸の中でも、伝統的な職人技が楽しめる組子帯戸。組子細工が入った建具は、和風建具の中でも最高級の美しさで、部屋に上質な和の雰囲気を醸し出してくれます。現代物だと組子が全面に入った建具もありますが、私が一番おすすめなのは、この板戸に組子帯が入ったタイプ。部屋に取り入れてみるとわかるんですが、板部分とのコントラストが組子の存在を引き立てて、奥ゆかしい繊細な美しさが感じられるんですよね。組子が控えめな方が他の家具とのバランスも取りやすいので、部屋全体を美しい和の空間にまとめることができますよ。
組子の文様は、麻の葉が主流ですが、他にも亀甲や千本格子などもあります。どれも伝統工芸らしい和の美しさを堪能できるものばかりですので、ぜひじっくり見比べてご検討ください。
組子板戸の中には、こちらのような大正ロマン風のデザインのものもあります。和洋折衷のレトロモダンなインテリアが好きな方にはこちらもおすすめです。
大正ロマンな建具!幾何学模様入りアンティーク板戸
続いては、大正ロマンらしい幾何学模様が入ったアンティーク板戸。大正時代に建てられたお屋敷や洋館で使われていたもので、アンティークショップでもなかなか見かけない激レア品です。西洋のドアに見られるモールディングのような装飾が施されていて、和洋折衷の応接間やリビングなどにぴったりの佇まいです。手の込んだ作り込みが美しく高級感があるので、ぜひお客様をお出迎えする場所で使いたいですね。
幾何学模様入りの板戸には、他にもこちらのような和風よりの渋いデザインのものもあります。大正ロマンな建具は、幅広いデザインがあって、どんな家で使われていたのか想像が膨らみますよね。まさにアンティークらしい1点ものばかりなので、個性的な部屋作りをしたい方はぜひ大正時代の建具を見てみてください。現代物にはない、表情豊かな板戸が見つかるはずですよ。
レトロな透かし彫り入り!大正ロマン風の板戸
こちらも大正ロマンらしい、透かし彫り入りの板戸。洋風建築の要素を取り入れた和洋折衷のデザインで、レトロモダンな雰囲気が素敵ですよね。こちらは裏側を見ると、舞良戸の作りになっていて、より和風の雰囲気を感じることができます。こういった大正ロマンなデザインだと、ドアにリメイクしてもおしゃれに使えそうですね。
もう一つ、みなさんにご紹介しておきたいのが、こちらの4枚セットの透かし彫り入り板戸。実はこちら、アンティーク建具と日々向き合っている当店スタッフが、アンティーク板戸の新たな魅力を広めたいという思いでリメイクしたもの。明治期に作られたアンティーク板戸をキャンバスとして、繊細な藤の絵がダイナミックに彫られていて、特大サイズの壁画のような圧倒的な迫力があります。アンティーク板戸を使っているので同じ図案でも1つ1つ表情が違っていて、大量生産の建具にはない温かな味わいを持っているんですよ。建具を主役とした空間作りをするのにもってこいの風情あふれる建具です。
ガラリと洋風にリメイク!おしゃれなペイント板戸
こちらは、アンティーク板戸をペイントしてリメイクした洋風の板戸。ペイントすることでガラリと和風らしい渋さがなくなって、洋風やナチュラルインテリアにぴったりの佇まいに仕上がっています。ペイント板戸は、白やアイボリー、グリーンなど様々な色がありますよ。
部屋に一番取り入れやすいペイントカラーは、やはり白系。幅広いインテリアに馴染みやすく、白い壁と同化して部屋を広々と見せてくれます。ガラス戸と違って完全に目隠しできるので、寝室や書斎などしっかりと間仕切りしたい場所のパーテーションにぴったりです。
また、子供部屋やリビングなどをかわいらしい雰囲気にしたければ、パステルカラーのペイント板戸や、ステンドグラス入りのペイント板戸もおすすめ。和製アンティークの建具を使っているとは思えないくらい、ポップでキュートな部屋作りができますよ。ペイント建具は洋室の方がスムーズに馴染みますが、アイボリーやパステルグリーンなど畳の色と調和するものなら、和室に取り入れても優しいナチュラルな雰囲気にまとまります。洋風の引き戸を探している方、和室の模様替えをしたい方は、ぜひペイント建具をご検討ください。
かわいい洋風板戸!ペイントでリメイクしたガラリ戸
洋風の板戸をお探しであれば、アンティークのペイントガラリ戸もおすすめです。ガラリ戸とは、通風と遮光を目的に主に外部で用いられていた建具で、別名で鎧戸やルーバードアとも言われます。羽と呼ばれる板が斜め方向に何枚も付いていて、扉を閉めたまま風が通る優れもの。湿気がこもらないので、トイレや洗面所、クローゼットの扉などにおすすめです。
アンティークのガラリ戸はペイントされた洋風のアイテムが多く、カフェスタイルやフレンチスタイルなどかわいらしいインテリアにぴったり。私もガラリ戸を使う際は、ナチュラルな木味の家具やグリーンと合わせてカフェ風テイストにすることが多かったです。現代物とは一味違うアンティークらしい温かみに癒されるはずですよ。
ステンドグラスの窓がかわいい。洋風のレトロな板戸
最後は、かわいらしいステンドグラスが入った洋風の板戸。実はこちらも、当店のリペア職人がアンティーク板戸にステンドグラスをはめ込み、ペイントして仕上げたお品です。シンプルなままの板戸もいいのですが、部屋のアクセントになるような引き戸が欲しければ、こんなアイテムも素敵ですよね。
ちなみにアンティーク業界では、もともとの魅力を引き出すようなリペアをするのが基本ですが、時にはこんな思い切ったリメイクをするのも当店らしいやり方なんです。元々の和風だった時の姿が想像できないほどのリメイク品なので、人によって賛否両論あるかと思いますが、アンティークの家具や建具は使われてこそ生きるもの。この建具も新たな姿で、次の家の暮らしに馴染んでいくのかと思うと、とても楽しみです。
板戸は引き戸だけじゃない!窓や開き戸のドアもあり
ここまで引き戸タイプの板戸をご紹介しましたが、ドア(開き戸)タイプや窓タイプの板戸もありますよ。どんなものがあるか簡単にご紹介しますね。
和モダンなリフォーム・新築に活躍!開き戸タイプの板戸ドア
新築やリフォームで和風のドアを探しているという方にぴったりなのが、昔ながらの板戸のドア。アンティークだと明治から昭和初期にかけて使われていたものが主流で、古民家に合うような深い味わいを醸し出しています。鏡板戸や舞良戸、格子板戸など様々な種類のドアがあるので、インテリアに合わせて選びやすいですよ。条件に合うドアが見つからない場合は、ショップによっては引き戸タイプの板戸に蝶番などを取り付けて、ドア(開き戸)にリメイクすることもできます。気になるものがあればショップに相談してみてください。
また、和モダンなリフォームをご検討中の方には、板戸をブラックにペイントしたドアもおすすめです。和風のデザインをそのまま活かしているので、伝統的な和の雰囲気とモダンさがミックスされた建具に仕上がっています。ブラックペイントは、特にモダンな家具と相性が良く、空間にメリハリが生まれるので、すっきりとした現代的な和のインテリアになりますよ。
部屋の窓や収納棚の建具に!窓サイズの板戸
窓サイズの板戸は、シンプルな鏡板戸の窓が最も多く、たまに格子板戸や吹寄舞良戸の窓も見かけます。鏡板戸の窓は、上質な欅材や杉材の1枚板を使ったものや、漆塗りを施したものなど、小さいながらも高級感の漂う窓がたくさんありますよ。遮光用に二重窓として取り入れたり、収納棚や下駄箱用の扉として使うのが人気です。
板戸の窓の中でも、私がおすすめなのは欅材製のもの。流れるような木目はダイナミックで迫力があり、つい触れてみたくなるような美しさがありますよね。欅材は強靭で湿気や虫害にも強く、古くから高級材として上質な建具や家具に用いられてきました。建具だと欅材そのものの木目を生かすようなシンプルなデザインのものが多いので、和室から洋室まで幅広く取り入れやすいのもうれしいポイントです。欅材製の建具は、大きなドアサイズだとかなりお値段が張りますが、窓サイズであれば手頃なものもあるので、ぜひ一度見てみてください。
板戸の価格帯はこちら。新品とアンティーク品をデザイン別に比較
さて、板戸の種類をひと通りご覧いただいたところで、次は各種類の板戸の価格帯をご紹介します。板戸は新品の既製品だとフラッシュ戸が主流のため、アンティークの板戸1枚あたりの価格を調査しました。また、アンティーク板戸の中でも欅材製のものがある種類は、価格帯が異なるため、それぞれ分けて記載しています。それでは早速見ていきましょう。
アンティーク鏡板戸の価格帯。1枚板だと高め
- 欅材製以外 1.5~10万円
- 欅材製 6~15万
欅材以外でも木目の美しい杉材製1枚板のものは、価格が高い傾向にあります。欅材製のものは、サイズが大きいものは価格が高いです。実物を見ると、サイズが大きいほどまさに欅材の力強くも美しい木目を堪能でき、値段相応の格別な迫力を持っています。
アンティーク板絵戸の価格帯。値段が幅広い
- 2.5万円~数十万
板戸絵は美術的・工芸的価値によって価格に大きな差があります。年代が新しいものや状態が悪いものは、安いものだと2.5~5万円くらいで見つかりますが、古いもので状態が良いものは15~50万近いものまであります。中には江戸時代の名だたる絵師が描いたものなどもあり、実用品というよりは骨董美術品として観賞用とする方もいます。
アンティーク舞良戸の価格帯。比較的安い
- 2.5~5万円
舞良戸は欅材など高価な木材を使ったものがないため、価格帯が安めです。レトロで素朴な雰囲気のものがたくさんあるので、古民家リノベーションなどで複数枚欲しい方におすすめです。
アンティーク格子板戸の価格帯。マス目が細かいほど高い
- 1.2~8万円
格子板戸は、格子のマス目が細かく凝っているものほど高い傾向にあります。また、片面ではなく両面に格子が入っているものの方が高価です。両面に格子があるものの方が作りが上質で、どちら側から見ても見栄えがいいので、部屋の間仕切りに使うのにおすすめです。
シンプルなアンティーク帯戸の価格帯。作りに凝ったものは高価
- 欅材製以外 1.2~9万円
- 欅材製 7~15万
ガラスなどが入っていないシンプルな帯戸は、高価な欅材が使われたものもあり、価格帯が高いです。欅材の中でも、框まですべて欅材のもの、框が太く分厚いものは、さらに値段が高い傾向にあります。帯戸は見た目こそシンプルですが、素晴らしい材が使われたものだと、他の装飾に凝った板戸よりも高価なものもあります。
クリアガラス入りアンティーク帯戸の価格帯。シンプルで安め
- 1~5万円
クリアガラス入りの帯戸はそれほど作りに凝ったものは少なく、比較的価格が安いです。アンティーク初心者の方にも挑戦しやすい種類ですよ。
柄付きガラス入りアンティーク帯戸の価格帯。珍しいデザインは高い
- 欅材製以外 3.5~6万円
- 欅材製 10~15万円
柄入りのレトロガラス帯戸は、クリアガラス帯戸よりも丁寧に作り込まれたものが多く、価格が高い傾向にあります。特に珍しいレトロガラスが使われているものは高価です。また、欅材が使われたものや、漆塗り仕上げのものはさらに値段が倍以上になります。
色ガラス入りアンティークガラス帯戸の価格帯。装飾に凝ったものは高い
- 4~7万円
色ガラス入りの帯戸は、色ガラスがたくさん使われているものは価格が高いです。また、色ガラス以外の部分で作り込みに凝ったものも高い傾向にあります。
アンティーク格子帯戸の価格帯。桟が細かいものは高い
- 欅材製以外 3~5万円
- 欅材製 8~10万円
- 無双窓付きのもの 4~7万円
格子帯戸は、一般的な材が使われたものはそれほど高くありませんが、欅材が使われたものは価格が上がります。また、格子の桟の密度が高いものほど価格が高い傾向にあります。無双窓がついた珍しいタイプも、少し価格が上乗せされます。
アンティーク障子帯戸の価格帯。素朴な雰囲気のものは安い
- 欅材製以外 2.5~5万円
- 欅材製 10~12万円
障子帯戸は、欅材製のものは作りにかなり凝ったものが多く、価格が高いです。特に裏障子が入ったタイプで、欅材製のものだと高い傾向にあります。ただし、欅材以外の素朴な雰囲気のものであれば、安いものも見つかりますので、ぜひ幅広く探してみてください。
アンティーク組子帯戸の価格帯。組子細工によって値段が幅広い
- 欅材製以外 3.5~7万円
- 欅材製 8~14万円
組子帯戸は、組子が緻密で美しいものほど価格が高くなります。欅材製のものはさらに価格が倍近くになります。また、4枚セットなど枚数が揃っているものは、大変美しく人気があるため、1枚単品のものよりも価格が高いです。組子板戸は、他の板戸よりも価格が高めですが、人気があって売り切れてしまう可能性も高いので、気になるものがあればぜひお早めにご検討ください。
幾何学模様入りアンティーク板戸の価格帯。珍しい文様は高い
- 2.5~8万円
幾何学模様入りの板戸は、文様が凝っているものや珍しいものほど価格が高くなる傾向にあります。数は多くありませんが、デザインがそれぞれなので、価格も幅広いです。
透かし彫り入りのアンティーク板戸の価格帯。緻密なものは高い
- 3~8万円
透かし彫り入りの板戸も上に同じく、文様に凝っているものほど価格が高い傾向にあります。アンティークの素朴な片引き戸は安く見つかりやすいです。
アンティークペイント板戸・ガラリ戸の価格帯。シンプルなものは安い
- 2~7万円
ペイント板戸は、シンプルな鏡板戸にペイントしたものだと価格が安いです。ガラリ戸やステンドグラス入りのものなど作りに凝ったものだと価格が高くなります。
ステンドグラス窓入りアンティーク板戸の価格帯。比較的高め
- 7.5~10万円
ステンドグラス窓をつけてリメイクした板戸は、加工費が上乗せされる分、価格が高い傾向にあります。ステンドグラスのデザインによって値段が異なります。
ドアタイプのアンティーク板戸の価格帯。デザインによって値段が様々
- 2.5~6万円
ドアタイプの板戸は象嵌入りの大正ロマンスタイルのものなど、装飾に凝ったものは高い傾向にあります。中には、15万近い値段のものもあります。
窓タイプのアンティーク板戸の価格帯。欅材のものでも比較的安め
- 欅材製以外 0.5~2万円
- 欅材製 1~3.5万円
欅材製のものだと少し価格が高いですが、扉サイズのものと比べると価格差は小さいです。欅材製以外の中だと、鏡板戸よりも格子板戸の方が価格が高くなります。
以上、アンティーク板戸の価格帯をご紹介しました。種類や作りによって価格が様々でしたね。ぜひ予算と照らし合わせながら検討してみてください。
リフォームや新築の参考に!アンティーク板戸を取り入れたインテリア実例
続いては、私を含め当店のインテリアコーディネーターが手がけた、アンティーク板戸を使ったインテリア実例をご紹介します。リフォームや新築を予定している方は、どんな部屋にしようか思い描きながら見てみてくださいね。
組子入り帯戸で上質な空間に。おしゃれな和風のダイニング
こちらは、アンティークの美しい組子帯戸を取り入れた和風のダイニング。繊細な組子細工が華やかで、凛とした和の雰囲気を漂わせていますね。ダイニングに置かれたアンティークの水屋箪笥とも相性がぴったりで、ダイニング全体が古き良き和の風情に包まれています。
この部屋では、和室とダイニングの間仕切りに組子帯戸を使いました。畳の和室とフローリングの洋間と、どちらにもしっくりと馴染んでいますよね。組子細工の建具は、書院戸や欄間のように和室にありそうなイメージがあるかもしれませんが、このように洋間に取り入れても和モダンな雰囲気になっておしゃれなんですよ。
組子帯戸から光が差し込むと、緻密な組子細工がすっと浮かび上がり、幻想的な雰囲気に包まれます。食事の時間以外もゆったりと過ごしたくなるような、素敵なダイニングになりました。
伝統的な和のインテリアに。組子入り帯戸を取り入れたダイニング
こちらも組子帯戸を取り入れた、和のダイング。先ほどの部屋と比べると、より古民家のような古い味わいが感じられますよね。その秘密は、アンティークの階段箪笥やヴィンテージものの民芸家具など時代物の家具で部屋全体をコーディネートしたこと。古い木味の家具が増えることで、空間全体がよりノスタルジックなムードになりました。
板戸に注目してみると、こちらは組子細工の中でも人気の高い麻の葉文様のもの。組子が美しい絵巻物のようにずらりと連なっていて、規則正しい緻密な文様が自然と心を落ち着かせてくれるようです。こんな風に日々の暮らしの中で古き良きものの美しさを感じられることは、なんだかとても贅沢な体験のように思えます。
格子板戸を取り入れた北欧ヴィンテージリビング
次は、北欧ヴィンテージ家具と格子板戸を取り入れたリビングの例。ご覧のとおり、北欧ヴィンテージ家具とシンプルなアンティーク板戸は意外と相性がいいんですよ。洗練されたスタイリッシュな北欧スタイルに対して、無骨な味わいのある格子板戸が男前な味わいをプラスしてくれて、大人の深みのあるミックススタイルを楽しむことができます。
格子板戸のいいところは、視線を遮りつつ、部屋同士の通気性を保つことができること。この部屋ではリビングとダイニングの仕切りに格子板戸を使っていて、来客時などに扉を閉めていても冷暖房を広く効かせることができます。また、隣の部屋にいても家族の気配が感じられ、小さい子供がいる場合などでも安心です。
この部屋では、もっとシンプルな鏡板戸を使ってもよかったのですが、あえて個性のある格子板戸を使いました。というのも、北欧ヴィンテージ家具は古い味がある分、建具や照明などに個性的なものを使っても、奇抜になりすぎず、ラグジュアリーでかっこいい雰囲気にまとまるんですよね。建具で個性を出すのは、少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、男前インテリアとアンティーク板戸の組み合わせならほぼ失敗しませんよ。ぜひ、お試しください。
こだわりにワークスペースに。大正ロマンな板戸で男前インテリア
こちらは、大正ロマンスタイルのモダンな板戸に、今っぽいヴィンテージスタイルの家具をコーディネートした例。この部屋では、幾何学模様のアンティーク建具が引き立つよう、シンプルなアイアン家具を中心に取り入れました。
幾何学模様入りの4枚の板戸が並んだ姿は、まさに圧倒的な迫力。板戸を建て込んだ途端に、古いお屋敷のような上質な空気に包まれたのを覚えています。アンティーク建具が持つ影響力には、いつも驚かされてばかりです。
板戸は、この部屋のようにカーテン代わりに二重扉にして取り入れると、すっきりとしたインテリアになります。さらに言えば、壁内に引き戸が収まる引き込み戸にしておくと、引き戸を開けた時もすっきり見えるので、より開放的でモダンなインテリアが楽しめますよ。カーテンだと、開けている時は両側に生地を束ねるしかないので、どうしてももっさりとした印象になってしまいます。それだとヴィンテージスタイルのような男前なインテリアにはあまり似合いません。スタイリッシュな雰囲気が好きなら、ぜひ板戸も一つの選択肢としてご検討ください。
色ガラス入り帯戸で洋館風に。クラシカルな大正ロマン書斎
最後にご紹介するのは、色ガラス入りのアンティーク板戸を取り入れた大正ロマンスタイルの書斎。シックなアンティーク家具の中で、板戸のグリーンが際立って、まるで洋館のようなノスタルジックな雰囲気を演出しています。
色ガラス入りの板戸は、西洋らしい華やかさと和風のシックさが入り混じった建具で、まさに大正ロマンな部屋にもぴったり。どこか色気を感じる影のある美しさは、ガラスと鏡板部分の明暗のコントラストが強い板戸ならではです。
こちらの部屋をコーディネートした際は、憧れのクラシカルな書斎を実現するために、和洋折衷のアンティーク家具をたっぷり使って部屋作りをしました。書斎の主役である本箱には、貴重な当時物の色ガラスが入ったアンティーク本箱を使って、本物感のある上質な空間に。読書用のチェアには、美しいロッキングチェアを取り入れて、ゆったりと優雅な時間を楽しめるようにしました。
アンティーク板戸のインテリア例、いかがでしたか?家に取り入れるイメージは湧いたでしょうか。
ここまでいろんな角度から板戸についてご紹介してきましたが、続いてはまた別の視点から。アンティーク板戸をそのまま室内建具として使うのではなく、テーブルや収納棚にリメイクした例をご紹介します。
人気のアンティーク板戸活用法2つ!アンティーク板戸を家具にリメイク
アンティーク板戸は、室内建具に使われるのが一般的ですが、実は家具にリメイクして使うという方も案外多いんです。特に人気なのは、テーブルと収納棚へのリメイク。まだよくご存じない方も多いと思うので、それぞれの特徴やおすすめアイテムを簡単に説明しておきますね。新築やリフォームで家具も必要な方は、ぜひチェックしてみてください。
板戸を天板に使ったリメイクテーブル
まず一つ目は、アンティークの板戸を天板にリメイクしたダイニングテーブル。画像はアンティークの蔵戸をテーブルにリメイクした例です。長い時間を経て出た古材の味わいが存分に感じられるアイテムで、いつもの食卓を高級感のあるものに変えてくれます。
板戸テーブルをダイニングテーブルとして使うのであれば、ガラス天板付きのものの方が使い勝手がいいですよ。耐熱性があって水拭きもできるので、普段使いのテーブルとして気兼ねなく使うことができます。
アンティーク板戸を使ったテーブルは、アンティークショップで販売されていますがそれほど数が多くありません。そのため、既製品から探すよりは、この板戸をテーブルにしてほしい!とオーダーでお願いする方が手っ取り早いですよ。気になる板戸があれば、まずは店舗へ相談してみましょう。
アンティーク板戸を扉に使った収納棚。食器棚や下駄箱におすすめ
窓タイプのアンティーク板戸で人気なのが、収納棚へのリメイク。特にカウンターサイズの食器棚や下駄箱にするのが人気です。古い板戸を扉に使って製作するので、古民家など昔ながらの日本家屋に合う味わい深い雰囲気に仕上がりますよ。
板扉の収納棚は、中身をしっかり隠して収納できるので、プライベートなものや雑多なものの収納に最適です。扉を閉めると空間にすっきりと馴染むので、玄関やキッチンなど圧迫感が気になるところにぴったりですよ。窓サイズの板戸は、木目が美しく高級感のあるアイテムが多いので、上質なインテリアにまとまります。
アンティーク板戸を探すなら、リメイクやオーダーできる店舗がおすすめ
最後に、アンティーク板戸の購入を検討している方へ、店舗選びのコツをご紹介しておきます。アンティーク板戸をスムーズに取り入れるためにも、次の4つのポイントを押さえておきましょう。
アンティーク板戸は規格品とサイズが違う!必要に応じて寸法の調整を依頼しよう
アンティークの板戸は、現行の規格品と大きさが異なる場合が多いです。そのため、リフォームなどで既存の枠にアンティーク板戸をはめ込みたい場合は、アンティーク板戸の高さや幅の寸法を調整して取り入れるのが一般的。サイズ調整は、購入先のアンティークショップか、建具業者が承っています。できれば、購入時点でサイズ調整を依頼する方がスムーズなので、まずはショップへリサイズが可能かどうか確認しましょう。
アンティーク板戸は、枠までオーダーできる店舗もあり
新築や大規模なリノベーションでアンティーク板戸を取り入れる場合は、敷居や鴨居などの枠も必要になります。枠は、新品だとセットで販売されていますが、アンティーク品だと建具単体で枠は付いていないのが基本です。そのため、枠は工務店に作ってもらうか、購入先のアンティークショップにオーダーすることになります。ただ、ショップによっては枠の製作までは受け付けていない場合が多いので、ご注意ください。施工業者に製作をお願いする場合は、施工をスムーズに進めるためにも、設計段階から設計士や工務店の方に相談しておきましょう。もしタイミングが遅すぎると、サイズが合わなくて取り入れられない、なんて事態になりかねません。
アンティーク板戸の場合は、できれば枠までセットで購入できる店舗で買うのがおすすめですよ。というのも、アンティーク板戸は古い木の風合いが魅力の建具。どの建具もシックで味のある色合いに仕上がっているので、枠もその質感に合うものでなければ違和感が生まれてしまいます。施工業者の方もできる限り枠の色味を合わせてくれるとは思いますが、アンティークショップの方が建具と同じ着色方法で仕上げるので、全く違和感なく馴染みますよ。
アンティーク板戸は、引手や戸車、鍵の交換・取付けのリメイクもできる
アンティーク板戸は、ショップによっては、引き手や戸車、鍵などのパーツ交換・取り付けを受け付けています。建具は一生ものなので、細部のパーツにまでこだわって選びたいですよね。ぜひリメイクサービスを活用して、お気に入りのものを手に入れてください。
アンティーク風板戸なら、サイズやデザインなど希望に応じてオーダー製作可
アンティークのような味のある板戸が欲しいけど、やっぱり中古品よりは新品の方がいいかなという方には、アンティークショップが製作しているアンティーク風の板戸がおすすめですよ。アンティーク建具を熟知したリペア職人が製作しているので、デザインや風合いなど古い雰囲気が忠実に再現されているんです。オーダーメイドなので、サイズや色味、枚数なども指定でき、家にぴったり合う板戸が楽に手に入りますよ。
最後に
伝統的な和風建具である板戸。歴史から種類、取り入れ方まで、新たな発見があったのではないかと思います。今回ご紹介したように、板戸はデザインによっては和室だけでなく洋室でもおしゃれに取り入れられるので、ぜひみなさんも自分らしくコーディネートしてみてくださいね。