新築やリノベーションにあたって、玄関ドアや室内の扉にアンティークのドアを使いたい、という方が増えています。アンティークドアは、クラシカルなデザインに、長い歴史を感じさせる風合いが加わった、印象に残る佇まいが素敵ですよね。家の顔となる玄関や店舗のエントランス、人を招くリビングなど、とにかくおしゃれさにこだわりたい場所にぜひ取り入れたいアイテムです。
でも実際にアンティークのドアを選ぶとなると、いろんなデザインがあってどれがいいか迷ってしまいませんか?また、デザインは好きだけど機能性は大丈夫?アンティークだと施工に特別な準備が必要なの?など、不安を感じる方も多いかと思います。確かにアンティークドアは古いものなので、防犯性や気密性といった点で現代物の扉に劣っていたり、規格品サイズに合わなかったりと、弱みがあるのも事実です。
そこで、この記事ではアンティークドアの選び方から準備のポイントまで、アンティークドアを快適に家に取り入れるために必要なことを漏れなくお伝えします。きちんとアンティークドア選びのコツを踏まえて、設計や施工の段階から準備を進めれば、新品のドアと同じようにスムーズに取り入れられますよ。記事の最後には、アンティークドアのお手入れ方法についてもご紹介していますので、アンティークドアのメンテナンスについて知りたい方は、そちらも参考にしてみてくださいね。
Contents
- 1 アンティークドアの種類は大きく4つ!ヨーロッパ・日本の扉デザインをご紹介
- 2 屋外扉と室内ドアで選び方が違う!用途別アンティークドアに必要なこと
- 3 アンティークドアの開閉方式は、現代物と同じく3種類
- 4 アンティークドアの雰囲気を左右する、パーツにも注目!
- 5 テイスト別!アンティークドアを取り入れたインテリア実例
- 6 新築やリフォームに使いたい!アンティークドアを取り入れるために必要な準備
- 6.1 設計段階から要相談!アンティークドアを使うなら着工前の早めの準備が大切
- 6.2 アンティークドアを使うならドア枠も必要!
- 6.3 信頼できるアンティーク建具屋で購入を!取り付けにトラブルが発生することもあり
- 6.4 アンティークドアのサイズが合わないなら、販売店か建具業者へサイズ調整を依頼
- 6.5 アンティークドアのドアノブや鍵はそのまま使える?交換するなら販売店か施工業者へ相談を。DIYでもOK
- 6.6 ペイント塗装やガラス交換、パーツ取付けなど、リメイク希望の場合は、ショップへ相談
- 6.7 アンティークドアの在庫がなくてもまずは問い合わせを。同じデザインの扉を製作できる場合もあり
- 6.8 オーダーメイドでアンティーク風ドアを一から製作!新品が欲しい方に人気
- 6.9 アンティークドアは購入後どこで保管する?早めに買うなら、保管サービスのあるショップを選ぶべし
- 7 アンティークドアと長いお付き合いを。きれいに使っていくためのお手入れ方法
- 8 最後に
アンティークドアの種類は大きく4つ!ヨーロッパ・日本の扉デザインをご紹介
はじめに、ヨーロッパや日本のアンティークドアのデザインをひと通りご紹介します。大きく4つの種類ごとに特徴をご紹介しますので、好きなデザインを探してみてください。
フランス・イギリスなどヨーロッパアンティークのドア
印象に残るデザインが多い、フランスやイギリスなどの西洋アンティークドア。シャビーシックなペイントドアやクラシックな木製扉など、ヨーロッパの代表的なデザインを見てみましょう。
歴史を感じさせる佇まいが魅力。ヨーロッパアンティークのペイントドア
シャビーシックなペイントの風合いが印象的な西洋アンティークのドア。扉に四角いモールディング装飾が施されたものが多く、ヨーロッパらしい優雅な雰囲気が感じられます。フランスやイギリスアンティークのペイントドアは、白系のカラーが多く、フレンチシャビーなインテリアや、ブロカントスタイルに人気のアイテム。他にも黒系や茶系、青系、赤系など幅広いカラーがあり、シックなスタイルからカジュアルテイストまで、インテリアに合わせて選べます。ペイントは、当時のオリジナルペイントのものと、リペイントしてエイジング加工をしたものの2種類があります。
ペイントのヨーロッパアンティークドアの中には、きれいにリペイントされた、あまりエイジング感のないアンティークドアもあります。よりカジュアルでかわいらしい雰囲気が持ち味です。また、シャビーなドアは、周りを同じテイストに揃えないと浮いてしまいがちですが、これなら新築の真新しい内装や家具ともマッチしやすく、取り入れやすいのも大きなメリットです。
注意点として、当時のオリジナルペイントのものは、塗装が剥げやすく、実用というよりはディスプレイ向きのものも。状態が不安な場合は、購入前に販売店へ確認するのがおすすめです。
ナチュラルクラシックな雰囲気。ヨーロッパアンティークの木製扉
木製のヨーロッパアンティーク扉は、ペイントドアと比べてよりナチュラルな雰囲気が魅力です。こちらのような木味のままのドアや、より濃いブラウンに着色したものなどがあります。着色されたアンティーク扉は、上品で高級感のあるデザインのものが多いです。
ヨーロッパアンティークのドアは、扉表面にモールディング装飾があるものが主流ですが、中にはシンプルなデザインのものもあります。レトロなカントリー調のインテリアが好きな方におすすめです。
美しいステンドグラスが入ったヨーロッパアンティークのドア
続いては、ステンドグラスが入った華やかなデザインのアンティークドアです。扉本体は、ステンドグラスが際立つよう白くペイントしたものや、色ガラスと合わせて、赤や青などビビットな色にペイントされたものなど、様々なデザインがあります。個性的な家やお部屋づくりにぴったりのアイテムです。
西洋アンティークのステンドグラスには、幾何学模様のフレームに赤や青、黄、緑などの色ガラスがワンポイントとして入ったものが多いです。上品でかわいらしいデザインがおしゃれですね。
ヨーロッパのステンドグラス入りのアンティークドアが欲しいけど、好みのデザインが見つからないという場合は、ステンドグラスの窓でイメージに合うものがないか探してみてください。というのも、リメイクが得意なショップでは、もともと窓サイズだったアンティークステンドグラスをドアにリメイクする、というオーダーを受け付けている場合があります。
シンプルなガラス入りのヨーロッパアンティークドア
ステンドグラスの西洋アンティークドアと並んで、シンプルなガラスドアも人気があります。木製扉やステンドグラスのドアと比べて主張が少なく、空間に馴染みやすいのが特徴です。
ガラス入りの西洋アンティークドアには、クリアガラスのもの以外に、レトロな模様が楽しめるプレスガラス入りのものもあります。シンプルな中に個性が光るデザインです。
繊細なエッチングガラス入りのヨーロッパアンティークドア
エッチングガラスとは、腐食液を使って表面に模様を描いたガラスのこと。ヨーロッパのアンティークドアに使われているエッチングガラスは、植物や人をモチーフとしたものや宗教画のような神秘的な図柄のものがあります。透明から白の濃淡で描かれており、繊細なタッチからは職人のこだわりが感じられます。他の種類のアンティークドアと比べて流通数が少なく、貴重なアイテムです。
背面が白い壁だと絵柄が見えにくいですが、向こう側に色味があると美しく模様が浮かび上がります。室内のパーテーションに人気のアンティークドアです。
ヨーロピアンなデザインが魅力!アイアンが使われたアンティークドア
イギリスやフランスなどのヨーロッパアンティークドアの中でも、根強い人気があるアイアンドア。アンティーク業界でアイアンドアというと、扉全体がアイアン製のドアではなく、主に木製扉の窓部分にアイアンワークの飾りが付けられたドアのことを指します。アイアンドアは装飾性と防犯性の高さが特長で、玄関ドアとして使われることが多いアイテムです。
窓部は、アイアンの内側にガラスがあるものと、ないものがあります。ガラスなしのタイプでも、ほとんどの場合リメイクすればガラスを付けることができます。
大正ロマンスタイルの和製アンティークドア。和洋折衷の扉デザインをご紹介
続いて、日本製のアンティークドアの中でも、西洋のデザインを取り入れた大正ロマンスタイルのアンティークドアをご紹介します。
高級感漂う、洋風デザインの木製アンティークドア
こちらは、和製アンティークの木製ドア。西洋らしいモールディング装飾が取り入れられ、洋家具とも相性良くコーディネートできます。
ヨーロッパのアンティークドアと大きく異なるのは、そのサイズ感。西洋のドアだと元々の高さが2mくらいかそれ以上のものが主流ですが、大正期のアンティークドアは一回り小さい高さ1.8m前後のサイズが多いです。ですが、大きさに関してはサイズ調整を受け付けているショップもありますので、探す際はあまりサイズで限定しすぎずに探すといいですよ。
華やかなデザインが印象的。大正ロマンなアンティークガラス扉
大正時代の洋館で使われていたような玄関扉には、豪華で美しいデザインのドアがあります。こちらは、アーチ型の上品なデザインに、色ガラスや彫刻による優雅な装飾、木部はすべて上質な欅材製という、とっても贅沢な作り。さすがにここまで凝ったものはかなりレアですが、洋館のアンティークドアに限定して探せば、和製アンティークの中でも優雅なデザインのものに出会いやすいです。
幾何学模様のガラス窓がおしゃれな木製アンティークドア
丸や四角、菱形などのガラス窓が付いた木製アンティークドア。大正ロマンスタイルの家具は、こちらのようなアールデコ調を思わせる幾何学模様をモチーフとしたものがよく見られます。窓には、主に色ガラスやダイヤガラスなどのアンティークガラスが入っていて、レトロでかわいらしい雰囲気です。お部屋のアクセントとしてぴったりですね。
ガラス窓がついたアンティークドアのなかには、こんなステンドグラスが入ったカラフルなドアも。子供部屋などポップなインテリアにおすすめです。
どこか懐かしい、温かみのある日本のレトロドア
続いては、日本の昭和レトロなアンティークドアをご紹介します。西洋アンティークや大正ロマンスタイルのような優雅さと対照的に、余計な装飾のない素朴なデザインや、ノスタルジックな雰囲気が多くの人を魅了しています。
昭和レトロな和製アンティークの木製ドア
和製アンティークのシンプルな木製扉。昭和レトロな温かみのある木味が特徴的です。飾り気のない素朴なデザインで、周りのインテリアの引き立て役になってくれます。
多彩なカラーから選べる!ペイントされたアンティークのレトロドア
続いては、日本製のペイントされたアンティークドアです。ヨーロッパアンティークのペイントドアと比べて、装飾が少なく、レトロで親しみやすい雰囲気のものがたくさんあります。
レトロテイストのアンティークドアは、もともとのオリジナルペイントではなく、リペイントしたアイテムも多数あります。カラーバリエーションが豊富で、ブルーやイエローなどのカラフルな色のドアもありますよ。明るいカジュアルなインテリアが好きな方はぜひチェックしてみてください。
室内扉にぴったり!和製アンティークのレトロなガラスドア
和製アンティークのレトロなガラス入りドア。ダイヤガラスやモールガラスなど、今となってはあまり見かけなくなったレトロガラスが使われたドアが多くあります。
このドアは、銀モールガラスと呼ばれる、空間を目隠しできる透過性の低いレトロガラスが使われています。レトロガラスは種類によって透け具合が異なりますので、使用場所に応じて使い分けるのがおすすめです。
純和風のデザイン、玄関扉に人気の和製アンティーク蔵戸
続いては、和製アンティークの蔵戸をご紹介します。和風の住宅や、和モダンな店舗の顔にふさわしい玄関扉を探している、という方に人気のドアです。遠くから見ても迫力が感じられる、重厚かつ上質な作りで、高級感を感じるデザインが魅力です。
古くから日本の建築では、建具に主に引き戸が用いられてきたため、蔵戸も引き戸の仕様です。しかしながら、玄関扉には開き戸を希望される方も多いため、引き戸から開き戸へのリメイクを受け付けているショップもあります。
さて、ここまでアンティークドアのデザインについて大まかにお話ししましたが、イメージに合うドアは見つかったでしょうか。
なんとなく好きなデザインが掴めてきたら、次はアンティークドアの実用性についてしっかり確認していきましょう。用途ごとにアンティークドアを選ぶポイントを詳しく解説します。
屋外扉と室内ドアで選び方が違う!用途別アンティークドアに必要なこと
アンティークドアは、外部に面する玄関や勝手口用、室内用、間仕切り用、店舗用など、用途ごとに適したアイテムがあります。見た目だけを重視してアンティークドアを選んでしまうと、イメージ通りの使用感を得られなかったり、防犯性や気密性に欠けていたりと、使用するうちに後悔が生まれる可能性も。そうならないためにも、使用場所ごとに外せないポイントを押さえて、使いやすいアンティークドアを選びましょう。
玄関や勝手口用のアンティークドアを選ぶポイント5つ!防犯性・気密性・耐候性に注意
玄関扉や勝手口の扉など、外部環境にさらされる場所で使うアンティークドアを選ぶ場合、防犯性、気密性、耐候性の3つの視点から検討することが大切です。屋外でも使えるアンティークドアの選び方や、劣っている機能をカバーする方法についてご紹介します。
防犯のため、アンティークドアに新品の鍵を付けられるものを選ぼう
アンティークドアには、もともとの鍵が残っているものもありますが、基本的に実用には向きません。玄関や勝手口など、防犯性が求められる場所に使う場合は、必ず新品の鍵を取り付けて使用してください。鍵の取り付けは、アンティークドアの販売店か建具業者へ依頼しましょう。
また、和製アンティークの蔵戸など厚みのあるドアを使う場合は、既製品の鍵が使えないこともあります。そうなると、蔵戸に合わせてオーダーメイドで鍵を作らなければなりません。一般的なドアと形状が異なるドアを使う場合は、購入する前に既製品の鍵が使えるかどうかを確認し、特注が必要な場合は鍵屋さんを探しておくなど、鍵を付ける算段をつけておきましょう。
店舗の玄関扉だったものなど、作りが頑丈なアンティークドアを選ぼう
アンティークのドアの中でも、店舗のエントランスドアやお屋敷の玄関扉などに使われていたものは、しっかりとした作りの頑丈なものが多く、防犯性が高いです。逆に、室内用だった扉や引き戸、勝手口やガレージなどに使われていたあまり上等でないドア、ガラス面が大きなドアなどは、玄関ドアとしては防犯や強度面が劣ってしまいます。どうしてもそういった扉を玄関に使いたければ、現代物のドアを内側に付けて2重扉にして使うのがおすすめです。
また、ガラス入りのアンティークドアを玄関に使いたければ、元々のガラスを防犯ガラスに取り替えるという方法もあります。
玄関の気密性を高めたければ、アンティークと現代物のドアを二重扉にして取り入れよう
アンティークドアは、造りやデザインにもよりますが、やはり新品のドアと比べて気密性に欠けます。また、アンティークに限らず、天然木で作られたドアは、湿気や乾燥によって多少なりとも木が伸縮して変形してしまうため、隙間風が入ってくることもあります。高い気密性を確保したければ、防犯対策と同じく、現代物のドアと二重扉にして取り入れることをおすすめします。
退色が気になるなら、耐候性の高い外部用塗装がされたアンティークドアを選ぼう
玄関など天候の影響を受ける場所でアンティークドアを使用する場合は、屋外用の塗料で仕上げたものを選ぶと、比較的長くきれいな状態で使い続けることができます。外部用塗料は、日光や雨風に強く、木部を日焼けやカビから守る効果があり、ガーデニング建材やエクステリア用として使われる塗料です。
アンティークドアを販売しているショップでは、すべてのアンティークドアを外部用塗料で仕上げているわけではないため、購入する前に販売店へ確認すると確実です。
また、玄関ドアの劣化を防ぐためには、そもそもドアに雨水が直接かからない設計にしてもらうことが有効です。雨風が吹き込みやすい場所に玄関がある場合や、雨よけの庇が狭い古民家をリノベーションする場合など、改善が必要とされる構造なら、早めに設計士さんに相談してみましょう。
では、外部用塗装で仕上げていないアンティークドアは、玄関などには全く使えないのかと言われると、そうでもありません。外部用塗装と比べて経年による退色がありますが、ドア自体の耐久性が低下するわけではないからです。もともとアンティークが好きな方や、古民家に住まれている方だと、経年変化も良しとして、お手入れをしながら暮らしている方も多くいらっしゃいます。退色が気になるけど、メンテナンスを頻繁にするのは面倒だという方は、外部用塗装のものを選ぶと良いでしょう。アンティークドアのお手入れ方法については、最後の章でお話ししますので、そちらも参考にしてみてください。
ヨーロッパのアンティークドアは内開き。外開きで使いたければリメイクが必要
フランスやイギリスなどヨーロッパで使われていたアンティークドアは、開き方向が日本と逆の「内開き」です。日本で一般的な「外開き」で使いたいなら、ドアノブや蝶番などを付け直す必要があります。アンティークドアをリペアして販売しているショップなら、開き方向を変更するリメイクを受け付けているところが多いので、まずは相談してみてください。
外開きにするメリットとしては、玄関が狭くても開け閉めしやすいことが挙げられます。日本では玄関で靴を脱ぐ習慣があるため、内開きだと出しっぱなしの靴が邪魔になってしまうことも。また、日本のように雨や台風が多い地域では、ドアを開けると雨水や泥がいっしょに家の中へ入ってしまうので、玄関が汚れやすくなります。
内開きのメリットは、鍵が壊れてしまった場合や不意にドアを開けてしまった場合でも、ドアを内側から押さえれば外からの人の侵入を防げるため、犯性が高いというメリットがあります。それぞれの特性を踏まえてどちらが良いか選んでみてくださいね。
室内用のアンティークドアは基本的になんでもOK!おすすめの選び方をご紹介
アンティークドアを室内用の扉として使う場合は、特に制約はありませんので、デザイン重視で選んで構いません。ただ、室内用やパーテーション用、店舗用など、用途別にちょっとした選ぶポイントがありますので、順番にご紹介します。
部屋の扉にアンティークドアを使うなら、窓ガラスも一緒に選ぶのがおすすめ
リビングやダイニングなど部屋のドアとしてアンティークドアを使う場合は、窓や明かり取りなどもアンティークのもので似たデザインを探してみると、よりこだわりの世界観が表現できます。特にアンティークのステンドグラスは、小さな窓サイズも充実していますので、西洋アンティークや大正ロマンスタイルが好きな方はぜひチェックしてみてください。
また、和風のインテリアにこだわっている方なら、アンティークの欄間がおすすめです。繊細な組子細工や透し彫りが施されたものなど、伝統的な美しい職人技を日々の暮らしの中で楽しむことができます。
トイレや脱衣所などで、アンティークドアに鍵が必要なら新品の鍵を取り付ける
玄関の場合と同じく、室内でもアンティークドアに鍵が必要な場合は、鍵を新品に交換するか、新たに取り付けて使用してください。購入した時点では実用的なものもありますが、使っていくうちに壊れる可能性もあります。基本的に古い鍵は実用向きのものではありませんので、購入する段階で新品にしておくことをおすすめします。
パーテーションとして使うアンティークドアを選ぶなら、扉の素材に注目
室内のパーテーションとしてアンティークドアや引き戸を選ぶ場合は、ガラスや障子など光が透ける素材が使われた建具を選ぶと、部屋同士がゆるやかにつながった圧迫感の少ない空間になります。パーテーションの存在感を極力なくしたい場合は、ガラス面の大きなもので壁と色味を合わせて選ぶといいですよ。逆にパーテーションをインテリアの一部として雰囲気作りに役立てたいなら、ステンドグラスが入ったものなど存在感のあるものを選ぶのがおすすめです。また、板戸など全面が木製のものなら、壁のようにしっかりと空間を仕切ってくれるので、プライベートを重視したい空間におすすめです。
アンティーク建具でパーテーションをお探しなら、自立式のパーテーションを使うという手もあります。ドアよりは小ぶりなものが多いですが、自由に移動できるので、フレキシブルに間仕切りや目隠しに使えます。また、西洋のものだと、高さが2m近くあるものもあり、しっかりと空間を間仕切りつつ雰囲気作りにも活躍してくれますよ。
店舗内装にアンティークドアを使うなら、特大サイズのアイテムをチェック
カフェやショップなど、店舗の内装にアンティークドアを使うなら、存在感抜群の特大サイズのドアがおすすめです。一般的なドアとは一線を画す、迫力のある佇まいで、印象的な店舗空間を演出してくれますよ。西洋のものは、もともとも高さのあるものが多く、デザインも豊富です。日本のものだと小ぶりなものも多いので、サイズに注目しながら選んでみてくださいね。
アンティークドアの開閉方式は、現代物と同じく3種類
現代物のドアと同様に、アンティークのドアにも開閉方式が大きく3つあります。それぞれメリット・デメリットがありますので、設置するスペースに応じて検討してみましょう。
住宅・店舗ドアの王道。種類が豊富で探しやすいアンティークの開き戸
アンティークドアの中で最も多く流通している、開き戸タイプ。現存している数が多いこともあって、デザインやサイズなどの種類が豊富で、好みのドアが見つかりやすいのがメリットです。逆にデメリットは、開閉する際にある程度スペースを要すること。部屋や廊下が狭い場合は、引き戸の方が使いやすい場合もあります。
開き戸は、「片開き式」「親子式」「両開き式」の3タイプに分かれます。それぞれの特徴をご紹介します。
開き戸の中で最もポピュラーな、片開き式アンティークドア
アンティークドアの開き戸で主流のタイプ。ドア1枚の作りで、他のタイプと比べて見た目と動作がシンプルなのが特徴です。
必要に応じて間口を大きく広げられる、親子式アンティークドア
片開き式のドアの横にもう1枚子ドアが付いたタイプ。子ドアは普段は開閉せず固定しておいて、必要な時だけ開いて間口を大きく使うことができます。引越しなどで大きな家具を搬入する場合や、車椅子での出入りがある際に便利です。
開放感や高級感のある両開き式アンティークドア
左右にドアを大きく開閉するタイプです。他のタイプよりもダイナミックさがあり、ドアを開けた時の開放感や、高級感のある佇まいが魅力です。ただ、ドア幅が大きい分、設置するスペースも広く確保する必要があります。
玄関や部屋に取り入れるお宅が増加中。省スペースで開閉できるアンティーク引き戸
住宅の玄関扉や室内ドアは開き戸がメジャーでしたが、近年引き戸を採用するお宅も増えつつあります。引き戸のメリットは、開閉が省スペースでできること。扉が前後に開閉しないため、広いスペースを保ったまま開け閉めすることができます。また、扉を開けると、その位置で止まってくれるので、手が荷物で塞がっていたり、車椅子であったとしても、比較的楽に出入りすることができます。
デメリットとしては、引き戸は開き戸よりも気密性に欠けること。室内で使う場合はそれほど気にならないかと思いますが、玄関に取り入れる場合は注意が必要です。特にアンティークの引き戸は気密性が高くないので、2重扉にするなどの対策をおすすめします。
開き戸よりも開閉スペースを取らない折れ戸。アンティークだとあまり数がなく貴重
折れ戸(折り戸)とは、扉が折りたたまれて開くドアのことです。種類が色々とありますが、クローゼットの扉によく使われているのも折れ戸の一種です。折れ戸のメリットは、同じ幅の開き戸と比べて半分以下のスペースで開閉できるのこと。狭い廊下に面した場所や、他のドアと干渉してしまう場所に人気のドアです。アンティークドアだと、折れ戸タイプは流通している数が少なく貴重なアイテムです。
アンティークドアの雰囲気を左右する、パーツにも注目!
アンティークドアを選ぶ条件がわかってきたところで、次はもっと細部にも着目してみましょう。アンティークドアに使われているドアノブや鍵などのパーツ類は、おしゃれなデザインのものや珍しい作りのものなどがたくさんあり、小さくてもドア全体の印象を左右するものです。ぜひパーツにもこだわって選んでみてくださいね。
種類が豊富!アンティーク扉のドアノブ・ドアハンドル
アンティークドアのパーツの中でも、ドアノブやハンドルは日常的に見たり触れたりする部分。好きなデザインを見つけるためにも、代表的な種類を押さえておきましょう。
今でもよく見かける、ボールタイプとレバータイプのアンティークドアノブ
こちらは現代物のドアでもメジャーである、ボールタイプとレバータイプのドアノブです。レトロでかわいらしいデザインが素敵ですよね。アンティークだと実用に向かいないものも多いので、そういったものはアンティークにマッチする新品のドアノブに交換されているか、DIYで取り替えることを前提に販売されています。
扉を押し引きするだけの、ハンドルタイプとフープタイプのアンティークドアハンドル
こちらは、バータイプとフープタイプのアンティークドアハンドルです。ドアを押し引きするだけの簡易的な取っ手で、扉を閉めておくときは鍵をかけて固定していたものが多いです。西洋アンティークのドアハンドルは、アイアンや真鍮など金属製のものが大半ですが、和製アンティークのものだと、木製の簡易的な取っ手が付いたレトロなドアもあります。
このアンティークドアには、扉を閉める際の仮締め用として、三角形の突起状のラッチボルトが付いているものがあります。このようなタイプなら、鍵がなくても扉が閉まった状態でカチッと固定できるので使いやすいです。
扉の裏側を見ると、表面と同じようにドアノブが付いたものがありますが、それ以外に、フィンガープレートが付いたものや、特にパーツが付いていないシンプルなものもあります。ドアのデザインやインテリアに合わせて、扉の両面で違ったデザインにするのもおしゃれですね。
おしゃれな装飾として楽しめる、アンティークドアのレトロな鍵(錠前・ラッチ)
続いては、アンティークドアの鍵について、主な3種類をご紹介します。2章でもお話ししたとおり、基本的にアンティークドアに付いている古い鍵は、残念ながら実用的ではありません。ただ、レトロなものやシャビーな風合いのものなど雰囲気作りに活躍するものが多数ありますので、デザインの一部としてお楽しみいただければと思います。
ちなみに、ざっくりとアンティークの「鍵」と言っていますが、鍵は正確に言うと、ドアに取り付けて開閉をロックする部品のことを「錠前」、錠前を開ける金具のことを「鍵」、扉を開かないようにする掛け金や留め金のことを「ラッチ」と呼びます。鍵パーツをお探しの際は、そう言ったキーワードでも探してみると選択肢が広がりますよ。
それでは、どんなデザインがあるか見てみましょう。
室内ドア向きの閂(かんぬき)型やフック型のアンティーク錠
左から閂(かんぬき)型、フック型と呼ばれるアンティークの鍵です。鍵を用いずにドアを内側から施錠する作りなので、室内扉の鍵として使われます。レトロな雰囲気のものが多く、DIY材料としても購入される方も多いです。
フレンチスタイルのドアに人気。ヨーロッパアンティークのグレモン錠
グレモン錠とは、錠を開け閉めする金具とドアレバーが一体となった鍵のことで、アンティーク業界では「フランス落とし」と呼ばれる鍵を指すことが多いです。アンティークのグレモン錠は、中央の取っ手を回すと軸棒が上下に伸び、床やドア枠に固定され、扉が施錠される仕組みです。こちらのグレモン錠は窓に付いたタイプですが、ヨーロッパでは窓だけでなくドアなど建具全般に使われていました。優雅なデザインで白くペイントされたものも多く、フレンチスタイルのインテリアとして人気のアイテムです。
古くから普及していた、錠前と鍵があるレトロなアンティーク錠
続いては、今でもドアに一般的に使われている、錠の鍵穴に鍵を差し込んで施錠や解錠を行うタイプです。この錠の原型ができたのは紀元前のエジプトとも言われ、19世紀前半からヨーロッパで広く使われるようになりました。日本でも明治、大正期に西洋の建築様式が入ってきたため、洋館の玄関扉に使われていたアンティークドアは、このような鍵で開けるタイプの錠が付いたものが多いです。
日本のアンティーク蔵戸でも、錠前と鍵がセットになった「落とし錠」が使われていました。落とし錠は、蔵戸の鏡板に付いている錠金具の鍵穴に、L字型のような大きな鍵を差し込み、蔵戸の内側にある”落とし”に鍵を引っ掛けて持ち上げることで解錠します。蔵戸の錠は、防犯面というよりは装飾性を重視して作られたものも多く、縁起の良い図柄をモチーフにしたものなどが見られます。この飾り金具は、今ではDIYパーツとして人気があり、和風の家具や建具の飾りとして使われたりもしています。
こだわりが見える!アンティークドアのヒンジ(蝶番)
続いては、アンティークのヒンジをご紹介します。ヒンジとは扉を枠に取り付ける蝶番のことで、アンティークだと主に真鍮製やアイアン製のものがあります。
真鍮製ヒンジは、高級感のあるアンティークらしい風合いが楽しめます。デザインはシンプルなものが多く、古い木製の建具とよくマッチします。アイアン製ヒンジは、存在感のあるシャビーな雰囲気が魅力です。ドア面を広く支えられるヒンジフロントと呼ばれるパーツもあり、アンティーク風ドアのDIYするのに人気のアイテムです。
珍しいレトロパーツが付いているアンティークドアも
ここまでアンティークドアに一般的についているパーツをご紹介しましたが、中には珍しいパーツが付いたアンティークドアもあります。
こちらはドアプレート付きのアンティークドア。店舗ドアや特別なお部屋のドアにぴったりのデザインです。ドアプレートはDIYでも簡単に取り付けられるので、パーツを買ってリメイクするのもおすすめです。
ミラー付きのアンティークドア。リビングなどのドアに鏡がついていれば、急な来客時にもサッと身だしなみをチェックできて便利ですね。インテリアのアクセントとしても活躍してくれます。
こちらはドアストッパーが付いたアンティークドアです。開いた先の床や壁に付けた受け金具にフックを引っ掛けて、開いたまま固定できます。
アンティークのパーツにも色んな種類があることがわかりましたね。ぜひアンティークドアの隅々までじっくり見て、お気に入りのアイテムを見つけてみてください。
テイスト別!アンティークドアを取り入れたインテリア実例
さて、続いてはアンティークドアのインテリア例をテイストごとに紹介します。思い描いている部屋のイメージにはどんなアンティークドアが合いそうか、想像しながら見てみてください。
イギリスアンティークのステンドグラス入りドアが主役。高級感あふれるダイニング
鮮やかなグリーンが印象的なイギリスアンティークのドアを取り入れたダイニング。3枚の扉が並んだ特大サイズのアンティークドアをインテリアの主役として、華やかなムードを演出しています。家具のカラーは白で統一することで、ドアとのバランスを取りつつ、明るくて開放的のあるお部屋になっています。
美しいステンドグラスが入ったドアは、アンティークドアの中でもひときわ絵になるアイテム。ぜひ人を招くリビングやダイニングに取り入れたいですね。
シャビーな家具を引き立てる、シックな黒ペイントドアを取り入れたクラシカルダイニング
黒ペイントのアンティークドアを使ったクラシカルなダイニング。フランスアンティークのガーリーなキャビネットや、イギリスアンティークのエレガントなダイニングセットなど、個性の強い家具たちが目立つ中で、シンプルシックなアンティークドアが全体と調和して引き締め役を担っています。
ブラックペイントのドアは、このお部屋のようなクラシカルなテイストから、よりカジュアルなテイストまで幅広く使えます。インテリアの脇役にぴったりです。
レトロな木製アンティークドアを使ったグリーンたっぷりのナチュラルダイニング
素朴な木味のレトロドアを取り入れた、ナチュラルなダイニングです。このお部屋は、ドアやダイニングセット、食器棚など、すべての家具を木材と白ペイントのカラーに揃えていることがポイント。カントリーテイストの空間にグリーンがよくマッチして、温かみのある心地よい雰囲気が広がっています。
木味のドアは、着色されたドアよりも自然な風合いが残っているのが大きな魅力です。色褪せや傷が目立ちやすいですが、その分アンティークらしい味わいがたっぷりと感じられます。
寄木細工入りのアンティーク扉で、個性の光るレトロなアトリエスペース
カラフルなペイント家具でコーディネートされたポップなアトリエ空間。部屋の扉には、寄木細工が入ったレトロなアンティークドアが使われています。菱形の模様が個性的な家具とよくマッチして、カジュアルな雰囲気を演出しています。
日本のアンティークドアには、このような菱形のガラスや鏡が入ったドアはよくありますが、寄木細工が入ったドアはとても珍しいです。こんな手仕事らしい温かみが感じられるドアンティークドアだと、より愛着を持って使えそうですね。
レトロな色ガラスが印象的。アンティークドアで作るノスタルジックなダイニング
こちらも菱形模様のアンティークドアを取り入れた、レトロなダイニングルームです。長い歴史を感じさせる濃い木味の建具と家具を使って、ノスタルジックな空間にまとめています。
アンティークドアには、ダイヤガラスとグリーンの色ガラスが使われています。少しくすんだグリーンがレトロ家具とよくマッチしていますね。色ガラスと聞くと、インテリアに取り入れるのが難しそうと思われるかもしれませんが、レトロテイストが好きならぜひ差し色として取り入れてみてください。単調な空間がぐっとオシャレになりますよ。
ダイヤガラス入りのアンティークドアを取り入れた、シックな大正ロマンスタイルの書斎
重厚な雰囲気が漂う、大正ロマンスタイルのアンティーク書斎。部屋の扉に、ダイヤガラス入りの木製アンティークドアが使われています。全体的に和洋折衷デザインの大正ロマン家具でコーディネートされ、高級感と静寂さが漂う落ち着いた雰囲気に包まれています。
こちらのアンティークドアの魅力は、大きな窓に入ったダイヤガラス。光が射すとキラキラと輝いて、美しい表情が浮かびます。一見シンプルな印象を受けるドアですが、じっくり見ると味わい深い、アンティークならではの一品です。
幾何学模様の大正ロマンなドアがアクセントに。洋館風のアンティークリビング
こちらも大正ロマンスタイルの家具でコーディネートされた、洋館風リビングです。ドアやステンドグラスなど幾何学模様がモチーフの建具が使われていて、どこか西洋らしさが漂う優雅な空間に仕上がっています。
このお部屋では、アンティークドアと合わせて、西洋風のステンドグラスも使われています。夜は、照明を効果的に使って幻想的な雰囲気に。ステンドグラスの色合いが柔らかく浮かび上がって、リラックスできるムードを演出しています。
新築やリフォームに使いたい!アンティークドアを取り入れるために必要な準備
アンティークドアを取り入れるにあたって、必要な準備をご紹介します。新品のドアを取り入れる場合と異なる点がいくつかありますので、設計や施工業者の方とよく相談しながら進めてみてくださいね。
設計段階から要相談!アンティークドアを使うなら着工前の早めの準備が大切
アンティークドアは、現代の規格サイズに該当しないため、実際に使うドアのサイズに合わせて設計や施工を進めてもらわなければなりません。そのため、一般的なドアであれば、工事に入ってドアを取り付ける段階までに準備しておけば問題ないことが多いですが、アンティークドアの場合はそれだと遅すぎて取り付けられないことも。できるだけ早めに施工業者へアンティークドアを使いたい旨を相談し、取り入れるドアを決定しましょう。
アンティークドアを家に取り入れる場合、施主がアンティークドアを購入して現場に支給する「施主支給」が基本です。工事をスムーズに進めるためにも、きちんとスケジュールを把握し、注文や発送依頼などを行いましょう。アンティークドアは1点もので早い者勝ちですので、気に入ったアイテムを逃さないよう、早め早めに行動することをおすすめします。
また、設計段階での注意点として、アンティークドアは冷暖房の風が直接当たる場所や、湿気が多い場所で木製ドアを使うと、木部が多少収縮して変形してしまったり、割れてしまったりする恐れがあります。そのため、できれば設計の際に図面上で、冷暖房を取り付ける場所やドアの位置を調整しておくといいでしょう。
アンティークドアを使うならドア枠も必要!
アンティークのドアを取り付けるためには、ドアを固定するためのドア枠が必要です。新品のドアだとドア枠もセットで販売されていることが多いですが、アンティークだとドア枠はつかない場合がほとんど。現場でドアサイズに合わせて枠を製作してもらわなければなりません。アンティークドアを使う場合は、その点も含めて施工業者の方とよく相談しておきましょう。
信頼できるアンティーク建具屋で購入を!取り付けにトラブルが発生することもあり
アンティークドアは古いものですので、きちんとリペアされているものでなければ、歪みや緩み、がたつきなどがひどく、現場で大きな手直しが必要な場合があります。それを防ぐためにも、リペア技術の高い信頼できるショップで購入することをおすすめします。リペア技術は、知識や経験に依存しますので、そのショップの商品数や販売実績などをもとに判断するのがおすすめですよ。
もう一点、ショップ選びが大事な理由として、保証の問題があります。購入したアンティークドアの配送中に、万が一商品が破損した場合、保証のないショップだと修理や返金などの対応をしてくれないこともあります。気に入ったアンティークドアが使えず、代替品や保証もない、工事も遅れてしまう、なんて可能性があると思うとリスクが大きすぎますよね。施主支給だと、そういったトラブルが起きた場合の対応も施主の役目になりますので、保証やアフターサポートがしっかりしている店舗を選ぶと安心ですよ。
アンティークドアのサイズが合わないなら、販売店か建具業者へサイズ調整を依頼
欲しいアンティークドアが見つかっても、サイズが大きすぎて使えない、規格サイズに合わせて高さや幅を調整してほしい、ということもありますよね。そんな時は、販売店か建具屋さんにサイズ調整を依頼しましょう。アンティーク建具のリペアやリメイクに慣れているショップあれば、アンティークドアのデザインをできるだけ損なわないように、希望のサイズに調整してくれます。
アンティークドアのドアノブや鍵はそのまま使える?交換するなら販売店か施工業者へ相談を。DIYでもOK
アンティークドアに当時のままのパーツが付いている場合は、劣化していて実用的でない場合があります。不安な場合は、購入前にショップへ状態を確認し、必要に応じてパーツ交換を依頼しましょう。ご自身で交換できる方であれば、もちろんDIYでも問題ありません。
アンティークショップの中には、まずは古い状態のままで販売し、購入時にリペアオーダーを受けるショップや、DIYすることを前提に販売しているショップもあります。リペアされているかどうかで価格にも差がありますので、比較検討される際はご注意ください。
ペイント塗装やガラス交換、パーツ取付けなど、リメイク希望の場合は、ショップへ相談
販売中のアンティークドアを見ていると、形は好きだけど色が好みじゃない…、全体のデザインはいいのにパーツがイマイチ…など、気に入る部分とそうでない部分が出てくるもの。そんな時は、ショップにリメイクをオーダーするのも、手っ取り早く好みのアンティークドアを手に入れる方法の一つです。
アンティークドアの在庫がなくてもまずは問い合わせを。同じデザインの扉を製作できる場合もあり
新築やリフォームでドアを購入するとなると、同じデザインのドアが複数枚欲しい!という場合や、欲しかった扉が売り切れてしまっている…ということもあるはず。アンティークのドアは1点もので似たデザインがないことがほとんどなので、条件に合うドアを探すのに苦労しますよね。そんな時は、とりあえずショップに相談してみるものも一つの方法ですよ。探していたデザインで、一からアンティーク調のドアを制作することもできるショップもありますよ。
オーダーメイドでアンティーク風ドアを一から製作!新品が欲しい方に人気
アンティークは好きだけど、やっぱり実際に使うなら新品の方が安心できる、という場合は、アンティーク風のドアを使うのもおすすめです。アンティーク調にエイジング加工された扉は、見た目は古い雰囲気がありつつも、使われている材料は新品なので、防犯や気密性など機能面で信頼できますよね。アンティークドアを販売しているショップでは、そういったご要望にお応えして、新品のアンティーク風ドアを製作して販売しているところもあります。
アンティークドアは購入後どこで保管する?早めに買うなら、保管サービスのあるショップを選ぶべし
アンティークドア選びに夢中になっていると、忘れがちなのが購入したドアの保管場所の問題。アンティークドアは設計段階で購入しておくことになるため、実際に設置するまでに期間が空いてしまうので、保管に困ってしまいますよね。
そこでおすすめなのが、購入したショップでそのまま預かってもらい、施工日が近くなったら直接現場へ配送してもらうという方法です。有料もしくは一定期間は無料にて、商品をそのまま保管してくれる店舗がありますので、購入時に相談してみてください。
アンティークドアと長いお付き合いを。きれいに使っていくためのお手入れ方法
最後に、アンティークドアのお手入れ方法についてご紹介します。お手入れは、アンティークだから特別なものが必要というわけではありません。現代物の木製ドアと同じ方法でメンテナンスをしていきます。金属製のドアに比べると手間をかける必要がありますが、手をかけた分どんどん味わいが増して素敵な雰囲気になりますよ。ぜひ、丁寧にお手入れして使い込んでみてくださいね。
玄関扉にアンティークドアを取り入れる場合の普段のお手入れ方法
まずは、玄関で使うアンティークドアについて、普段のお手入れ方法と定期的なメンテナンスについてご紹介します。
アンティークドアの木部のお手入れは、基本的に乾拭きで
アンティーク玄関扉の普段のお手入れは、ホコリが気になったら柔らかい布で乾拭き拭きする程度で十分です。汚れが落ちない場合は、固く絞った布巾で水拭きして、最後は乾拭きで仕上げましょう。基本的に木部は水に弱いため、水拭きするならよく晴れた日に行うのがおすすめです。
また、雨などで泥汚れがついてしまった場合は、放置するとシミになる可能性があるので、早めに落としてあげましょう。
ペイントのアンティークドアは水拭きで。汚れたら塗り直しできるのでお手入れが楽
ペイントのアンティークドアは、基本水拭きでお手入れして問題ありません。汚れが気になったタイミングで、固く絞った布巾で汚れを拭き取りましょう。それでも汚れが落ちない場合は、ペイントで上から塗り直すという手もあります。ペイントドアの方が木味のドアと比べて、お手入れに気を使わなくて済むのがうれしいですね。
アンティークドアのガラス部分のお手入れ方法
普段のお手入れは、水拭きで汚れを落としてから、乾拭きして仕上げましょう。水拭きしても汚れが落ちない場合は、中性洗剤や市販の専用クリーナーなどを使用して掃除してください。
中性洗剤を使う場合は、中性洗剤を水で薄めて布に含ませ、よく絞ってからガラス面を拭いていきます。全体が拭けたら、次は水拭きで洗剤を取り除くように拭き、最後に乾拭きして仕上げましょう。
ガラスクリーナーを使う場合は、木部に飛び散るとシミになってしまうことがありますので、直接ガラスにスプレーせずに、布に含ませてから丁寧に拭いていきます。ガラスクリーナーだと2度拭き不要のものが多いので、楽にお手入れできますよ。
アンティークドアのパーツ類のお手入れ方法
アンティークのドアノブや鍵などのパーツ類は、乾拭きや水拭きでホコリや汚れを拭き取りましょう。汚れがひどい場合は、ガラスと同様に中性洗剤を使って掃除します。
また、ドアノブなどのパーツ類が真鍮製の場合は、真鍮研磨剤を布に染み込ませて磨くときれいになります。汚れが気になる場合はお試しください。
玄関扉は月1回ワックスによるお手入れを。乾燥や汚れを予防
アンティークの木製ドアは、乾燥によって反ったりひび割れたりしてしまう可能性があります。それを防ぐためにも、玄関扉は月に1回を目安にワックスでメンテナンスすることをおすすめします。
ワックスメンテナンスの手順としては、まずドアのホコリを落としてから、乾いた布にワックスを取り、ドア全体に塗布します。しっかりとすり込むように磨き上げ、最後にもう一度乾拭きして仕上げます。このワックスによるお手入れも、ワックスが乾きやすいよう湿気の少ないよく晴れた日に行うのがおすすめです。定期的に行うことで、ドア表面が美しく汚れにくい状態になり、耐久性を高めることができます。ちょっと大変そうだな、と思った方もいるかもしれませんが、ワックス塗装は慣れれば30分~1時間程度で終わる作業です。ぜひ、こまめにお手入れしてみてくださいね。
また、アイアン部分もワックスでお手入れすると、ツヤが戻りサビ予防になります。木部をお手入れする際に、いっしょに行うのがおすすめです。逆にアイアンの錆びた雰囲気が好きな方は、ワックスは塗らずに放置しておいてもOKです。時間はかかりますが、自然とサビが進行します。
玄関扉は10年に1度のスペシャルケアを。アンティーク扉の再塗装
玄関扉にアンティークドアを使う場合、10年に1度を目安に扉の再塗装をしましょう。アンティークドアは何年も日差しや雨風に晒されると、外壁や屋根などと同様に、どうしても退色や塗装の劣化が進んでしまいます。再塗装すると、見た目はもちろん耐久性もアップしますので、さらにアンティークドアが長持ちしますよ。
再塗装は、ペイントやクリア塗装など元と同じ種類の塗装で仕上げても構いませんし、このタイミングでペイントなどでリメイクしてみるのもおすすめです。再塗装の方法は、旧塗装の種類や次にどう塗装するかによって、下処理や作業内容が異なります。塗装作業が得意な方はDIYでも構いませんが、心配な方はメンテナンス業者へ依頼するのがおすすめです。
室内扉にアンティークドアを取り入れる場合のお手入れ方法
続いて、室内扉にアンティークドアを使う場合のお手入れ方法をご紹介します。室内扉は、玄関ドアほど気を使ってお手入れする必要はありません。気がついた時に手をかけてあげましょう。
室内アンティークドアの普段のお手入れは、気になった時に乾拭きで
室内アンティークドアの普段のお手入れは、柔かい布で乾拭きするのが基本です。部屋を掃除するタイミングなど、ホコリが気になった時に行いましょう。
室内扉は耐水性のある塗料が塗られていない場合が多いので、水に弱く、濡れると変形したり、シミになったりする可能性があります。お手入れの際は基本的に乾拭きで行い、汚れがひどい場合のみ固く絞った布巾で拭き取ってください。水拭きした後は乾拭きして仕上げましょう。
室内アンティークドアも、ワックスメンテナンスするときれいな状態が持続
室内扉も玄関扉と同じく、定期的にワックスを塗ることで、汚れにくくツヤのある状態を保つことができます。ただ、それほど頻繁にやる必要はありません。理想を言うと3ヶ月~半年に1回を目安にやるのがベストですが、ドアが汚れてしまった場合や、水に濡れてしまった場合などにワックスを塗る程度でも十分ですので、気づいたときに行ってください。
また、室内ドアは基本的に再塗装は必要ありません。日頃のお手入れを丁寧に続けていくことを心がけましょう。
最後に
アンティークドアと聞くと、見た目は好きだけど実用性は大丈夫かな、と不安を覚える方も多かったと思います。ですが、きちんとリペアされたものを選んで、お手入れしながら使うことで、愛着を持って末長く使い続けることができますよ。
玄関扉に使うとなると、防犯性や気密性をカバーする対策をする必要はありますが、それも工夫次第でどうにでもなるもの。新築やリノベーションを予定している方は、自分の好きな家を実現するまたとない機会ですので、ぜひこだわりにこだわって、お気に入りのアンティークドアを取り入れてくださいね。