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アンティークでも人気のウィンザーチェアとは?厳選デザイン13選

背もたれが特徴的なデザインのウィンザーチェア。細めの棒を組み合わせた独特なデザインと、軽やかなルックスで人気の椅子ですよね。そんなウィンザーチェアですが、意外とデザインの種類が多いことはご存じですか?
今回はウィンザーチェアの種類と歴史をまとめましたのでぜひご覧ください。

ウィンザーチェアとは

「ウィンザーチェア」とは、木製の座面に椅子の脚や背もたれが直接接合された椅子のことを指します。

背もたれ部分は、笠木からいくつかの細長い軸棒が座面に向かって伸びていて、それらが背面を支えてくれます。座面が広めに作られているものが多く、座ったときにフィットするようヒップラインにあわせた座繰りがあるデザインも特徴の一つです。イギリス由来のウィンザーチェアは、素材にエルム(ニレ)やアッシュ(タモ)、ヨウ(イチイ)、ビーチ(ブナ)が用いられます。
当時は異なる素材を組み合わせて作っていた椅子なので、色は黒っぽく塗装されているものが多くありました。
背もたれの軸棒をイギリスのウィンザー地方で作っていたことや、ウィンザー城の方から運ばれたことから、ウィンザーチェアと呼ばれるようになりました。

そもそもは庶民が作り始めたのが始まりであるウィンザーチェアですが、シンプルで頑丈、しかも座りやすく安価であることで18世紀初期より大人気になり現在にいたります。

また、ウィンザーチェアと深い関りがあるのがイギリスの家具メーカー「アーコール(ERCOL)」社です。アーコールでは早くからスチームを使って木材を湾曲させる技術を確立し、多くのウィンザーチェアを世に送り出してきました。今なお「ウィンザーチェアと言えばアーコール」というイメージが定着しており、熱烈なファンを抱えています。

アーコール社の手掛けるウィンザーチェアに興味がある方に「椅子×アーコール」のページでより興味を深くしていただける解説を用意しました。ラフジュ工房での取り扱い商品を含めて、ぜひご覧ください!

⇒「椅子×アーコール」のページはこちら

ウィンザーチェアの種類

ウィンザーチェアの種類は、大きく分けると「コムバックチェア」、「ボウバックチェア」、「スクロールバックチェア」の3種類です。そこから派生したデザインも合わせると、20種類以上はあります。今回は代表的な13種類をご紹介します。

コムバックチェア


「コムバックチェア」とは、笠木と呼ばれる背の枠組みトップから、スティックが座面に伸びるデザインのウィンザーチェアです。背もたれ部分が櫛(コム)に似ていることから、この呼び名が付きました。誕生当初の脚の貫には、曲木による牛角型のカウホーンが使用されていました。

最も古い形のウィンザーチェアであるとされていて、17世紀頃に庶民によって作り出されました。このシンプルで軽いチェアは、18世紀になると上流階級の間でも流行し、産業革命の時代を経て今なお愛され続けています。

>>>「コムバックチェア」の商品一覧はこちら

フィドルバックチェア

 

「フィドルバックチェア」とは、背もたれ中央部分にフィドル(バイオリン)のモチーフの背板を取り入れたウィンザーチェアです。当時注目された「クイーンアンチェア」という背板に花瓶のモチーフをデザインした椅子の影響を受けて作られたとされています。上流階級のの中では猫脚や曲線の美しいデコラティブなデザインが流行した一方で、庶民の間では一般的なコムバックチェアよりは装飾が多いものの比較的直線的な形状のものが普及しました。

中央の背板以外の軸棒や脚部にも装飾がされているものもありエレガントな印象ですが、当時は家庭のキッチンチェアとして気軽に使われていたようです。

スピンドルバックチェア

「スピンドルバックチェア」とは、糸巻きのようなデザインの軸棒を使用したウィンザーチェアです。スピンドルとは糸巻きに使う棒のことですが、この椅子に使われる軸棒はスピンドルに糸を巻いた時のように中心が太く、両端が細くなっているのが特徴です。

ボウバックチェアにおされ一時は衰退したコムバックチェアの復興品として、19世紀前期に登場したのがこのスピンドルバックチェアです。笠木が厚く幅広なため脚部のH型貫は太く、これまでのコムバックチェアと比較して重厚な印象があります。

独特の趣きがあり、今なお作られ続ける定番の椅子になりました。

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ゴールドスミスチェア

 

「ゴールドスミスチェア」とは、背もたれが高く首元まで支えてくれるウィンザーチェアです。座面が丸く背もたれが後ろ側に傾斜しており、リラックスした掛け心地が特徴です。

劇作家「オリバー・ゴールドスミス」が使用していた椅子をモデルとして作られており、アーコール社のものが有名です。

ウィンザーチェアの持つ軽やかな印象と、ハイバックによる堂々とした佇まいが共存する椅子で、ダイニングだけではなくリビングなどでもくつろぎのための椅子として活躍します。

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スティックバックチェア

 

「スティックバックチェア」とは、背面の軸棒が少なく直線的なデザインのウィンザーチェアで、特に軽さが際立つ椅子です。

アーコール社のものが有名で、このメーカーのウィンザーチェアの中で最も軽量なモデルです。アーコール社のスティックバックチェアはややコンパクトなつくりで軸棒は4~6本程度のものが多く、両端以外の軸棒が脚の貫部分まで伸びている意匠が特徴的です。笠木が細くできているので持ちやすく片手で簡単に移動できるため、キッチンやレストランなどで多く採用された椅子です。

直線的な笠木と軸棒のおかげで、ダイニングテーブルへの収まりもよくすっきりとシンプルにコーディネートができます。

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エックスバックチェア

 

「エックスバックチェア」とは、クロスさせて「X」の形にした軸棒を並べたウィンザーチェアです。「ラティスチェア」、「クロスバックチェア」とも呼ばれています。座面の形は一般的なものと、バイオリンのような形のものがあり、脚の貫もH型とX型の2種類があります。

こちらの椅子のデザインもアーコール社のものがメジャーであり、座面から交差しながら広がる軸棒が個性的かつスタイリッシュです。脚の貫がH型のものが初期型であり、より貴重な椅子と言えるでしょう。

ウィンザーチェアの中でも凝ったデザインの椅子で、ファンに人気があるモデルです。トラディショナルなウィンザーチェアにモダンさをプラスした画期的なチェアで、立体感のある仕上がりが魅力的ですね。

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フープバックチェア


「フープバックチェア」とは、軸棒を囲むような形の曲げ木を背枠にしたウィンザーチェアを指します。コムバックチェアより堅牢性が高く、部品も少なく済むため安価であり徐々に人気を博していきます。18世紀末にはコムバックの人気を抜くウィンザーチェアのスタンダードになりました。

19世紀に入ると、コムバックチェアの新しいスタイル「スピンドルバックチェア」や他の新しいウィンザーチェア共々にウィンザーチェアの最盛期を迎えることになります。

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ホイールバックチェア

「ホイールバックチェア」とは、背板部分に車輪(ホイール)のモチーフを透かし彫りでデザインしたウィンザーチェアです。ベースは曲木で背枠を作るボウバックチェアであり、この一種に当てはまります。当時のイギリスは産業革命の真っただ中であり、蒸気機関車の車輪を椅子のデザインに取り入れたのはトレンドからであるようです。

背板に車輪のデザインのウィンザーチェアは現在もイギリスではポピュラーです。素朴ながら装飾性もあるため農場やキッチンなど個人宅での使用の他、レストランやカフェなどでも多く取り入れられました。

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キャプテンチェア

 

「キャプテンチェア」とは、背もたれが低めのウィンザーチェアです。笠木に曲木を使用しているため、ボウバックチェアの一種とされています。座面の左右脇まで背もたれが広がっており、包み込むような座り心地が特徴です。背もたれが低いものの頑丈で安定感があるデザインが多く、一般家庭や飲食店などで一気に浸透していきました。

背もたれの笠木がそのままアームに続くようにデザインされたものを「スモーカーズボウ」と呼び、ローバックチェアの中でも特に人気でした。パブなどで煙草をふかしながらお酒を嗜むシーンではもちろんのこと、図書館や学校、役所などの公共施設でも取り入れられ、幅広く流通したデザインの椅子です。

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クエーカーチェア

「クエーカーチェア」とは、背もたれ部分が高くシャープなアーコール社のボウバックタイプのウィンザーチェアです。フープバックチェアの進化系モデルであり、Uの字に近い極限まで曲げた曲木の背枠が強いインパクトを生みました。背が高くしなやかに湾曲した背もたれは、背中全体を包み込むように支えてくれるので、リラックスして体を預けることができます。背が高い椅子に分類されますが、そのシャープなデザインで圧迫感のないコーディネートが可能です。

軸棒の数は5本と6本のものがあり、現在新品として販売されているのは軸棒が6本のもののみとなっています。脚の貫はH型で、すらりと華奢な印象のデザインながら強度も確保しています。

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スクロールバックチェア

「スクロールバックチェア」とは、縦方向に伸びる軸棒が無く笠木と背枠、そこに背もたれ横木が追加されただけという非常にシンプルなデザインのウィンザーチェアです。背枠の頭頂部には渦巻き状の装飾がされており、このデザインからスクロールという名前が付けられました。
梯子のようなデザインのため「ラダーバックチェア」や、ハイウイカム地方で多く産出していることから「ウイカムチェア」などとも呼ばれています。

軸棒が無いとなるとウィンザーチェアでは無いような気がしてしまいますが、座面に直接背枠や脚が接合されている構造はウィンザーチェアであることを意味しています。

シンプルなデザインゆえにスタッキングできるタイプのものもあり、数が多く必要な教育施設などにも採用された椅子です。

スクールチェア

「スクールチェア」とは、学校で使用されていた椅子であり、スタッキングできることが特徴のウィンザーチェアです。ウィンザーチェアにおいてのスクールチェアとは、主にアーコール社のものを指します。スティックバックチェアの軸棒を抜いたような非常にシンプルなデザインで、背枠が脚の貫まで伸びているスタイルも共通します。

笠木と背枠のみのデザインと、背もたれ横木がある2タイプが存在し、横木があるタイプはアンティーク品のみであり希少です。スクールチェアは背枠の渦巻きの装飾は省略されているため、「ラダーチェア」の一種と表現したほうが良いかもしれません。スタッキングしやすいよう背面に向かってすぼまったH型の貫を採用しており、強度と機能性を両立しています。

ラダーバックチェア

「ラダーバックチェア」とは、背枠に2本以上の横木が付けられ縦軸棒のないウィンザーチェアを指します。コムバックチェアやボウバックチェアとはまた違った涼やかさがあり、横木に山なりの装飾を施された豪華なデザインのものも多く見られます。サイズは小ぶりなものが多く、キッズチェアなどにも採用されるデザインです。

「スクロールバックチェア」と異なる点は、背枠のトップに渦巻き状の装飾が無いこと、横木の数は4本程度までバリエーションがあることです。

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ウィンザーチェアの歴史

一通りのウィンザーチェアの種類をご紹介したところで、続いてはその歴史について掘り下げていきたいと思います。
ウィザーチェアはどういった経緯で生まれた椅子なのでしょうか?
アメリカへの進出や日本での普及と合わせてご紹介します。

ウィンザーチェアの起源は英国

16世紀ごろのイギリス庶民にとって、豪華な装飾が施された家具は上流階級のみが持つことができる憧れのアイテムでした。
そんな庶民が見よう見まねで作り始めた家具の一つが、ウィンザーチェアの原型とされています。

日中は農作業や各自仕事をこなし、夜には家具を作るという生活をしていた庶民が多くいたようです。そこで生まれた椅子が「スツールウィズバック」という作業用のチェアです。3本脚のスツールに、座面をくり抜いて背もたれになる板を差し込んだ、という非常に簡素なものでした。

17世紀に入ると「ダービーシャーチェア」と呼ばれる、美しい装飾を施した椅子が登場し、「スツールウィズバック」の構造と「ダービーシャーチェア」の意匠をかけ合わせた「ウィンザーチェア」が誕生しました。
その後、最も古いウィンザーチェアとされる「コムバックチェア」は庶民から上流階級へと伝わり、一気に人気の椅子となっていきます。

18世紀半ばには曲木の技術が進化し、「ボウバックチェア」が誕生。同世紀末にはウィンザーチェアの主流になっていきます。

19世紀にはいると、「スピンドルチェア」の登場によって、コムバックチェアの人気が復活。その他、曲木の技術を活かした「ラスバックチェア」や「ローバックチェア」なども生み出され、生産の最盛期を迎えました。

アメリカンウィンザーチェア

英国のウィンザーチェアは、1720年代頃にアメリカへと渡りました。
アメリカでは英国のウィンザーチェアをもとに、異なる進化を進めていきます。

アメリカのウィンザーチェアは座面に厚みがあり、脚は外側へしっかりと広げて作られました。また、透かし彫りの装飾などはほとんど採用されていません。スピンドルチェアの場合、イギリス製のものよりスピンドルが細く出来ていて、あまり主張しないデザインになっています。

時代に左右されないごくシンプルなデザインと、がっしりとした作りで長期的な使用を見込んでいたのかもしれませんね。

ウィンザーチェアの日本での広まり

日本にウィンザーチェアが伝わったのは1930年代とされ、柳宗悦、濱田庄司らが共にイギリスから持ち帰ったのが始まりです。

当時の日本は洋風家具に強い関心があり、1960年に開催された英国展ではウィンザーチェアは注目の的だったようです。それ以降、裕福層を中心に日本でも普及が広まったと言われています。

現在は日本人の体型に合わせたウィンザーチェアを自国内でも製造しており、松本民芸家具をはじめとし、飛騨産業、柏木工、高山ウッドワークスなど大手家具メーカーでも販売を続けています。

おわりに

今回は、ウィンザーチェアについて種類や歴史を掘り下げてみました。
シンプルでベーシックなデザインでありながら、どこか愛嬌を感じるウィンザーチェア。いろいろなタイプのものがありますので、ぜひお気に入りの一脚を探してみてくださいね。

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