数あるインテリアスタイルの中でも、もはや定番の地位を確立したといえる「北欧スタイル」。その人気は衰えるところを知りません。そんな北欧スタイルのインテリアに欠かせないアイテムが、北欧の椅子。北欧ならではの温かな雰囲気が漂う木製チェアや、ミッドセンチュリーの時代を彷彿とさせる粋なデザインなど、空間の中でも目を引くようなデザインのチェアがたくさんあります。お部屋に置く椅子にこだわれば、インテリアもグンとおしゃれに変身しますよ。
この記事では、ただ漠然と北欧チェアが欲しいと思っている方のために、北欧チェアの様々な種類から選び方のポイント、インテリア実例までをたっぷりとご紹介!
この記事を読めば、きっと「これだ!」というお気に入りの北欧チェアに出会えるはずです。それでは早速、チェックしていきましょう。
Contents
欲しいのはどれ?北欧の椅子には3つのパターンがある
北欧の椅子が欲しい!と思っても、ただ漠然と思っているだけでは、どのように探したら良いかがいまいち分からないもの。まずは、自分がどんな北欧チェアを求めているのかをはっきりとさせましょう。
自分の手で育てていく楽しみ。新品の北欧チェア
まず多くの人が思い浮かべるのが、新品の北欧チェアだと思います。言わずもがな、新しく製造されたきれいで強度もしっかりとした椅子です。次にご紹介するヴィンテージのような「味わい深さ」は物足りないところがあるかもしれませんが、最新の技術で作られた品質の良さは、他には代えられない大きな魅力の1つではないでしょうか。丁寧に作り込まれた椅子であれば、メンテナンスをしながらこの先何十年と使い続けることも可能です。使っていく中で次第に味わいも増し、ヴィンテージとして育ってゆくでしょう。自分の手で一から育てたい、家族の成長とともに椅子も育てていきたい、そのような思いのある方にも、新品の北欧チェアはおすすめです。
すでに熟成された味わいが魅力。北欧ヴィンテージチェア
北欧の椅子というと、ヴィンテージ品もよく見かけますよね。そうした北欧ヴィンテージチェアは、主に1950~70年代に作られた古い椅子です。
古いといっても、現在では入手困難なチーク材やローズウッド材などの良質な木材がふんだんに使われていたり、半世紀ほどの時を経ても、手入れをしながら使い続けられる丈夫さがあったりと、ヴィンテージならではの魅力的なポイントはたくさん。長い時間の流れの中でこっくりと深みを増した木の質感に魅せられて、北欧ヴィンテージチェアを集めているという方も少なくないんですよ。どの椅子もそれぞれの時間を過ごしてきたからこそ、滲み出る表情や雰囲気も異なります。近年人気の北欧チェアの中でも、他とは被らない椅子をお探しの方にはヴィンテージがおすすめです。北欧家具を専門に扱うお店や、アンティーク・ヴィンテージ家具専門店で購入することができますよ。
汚れが心配&できるだけ安く!という方は「リプロダクトチェア」という選択肢も
北欧の椅子を探していると、「リプロダクト」と呼ばれる椅子に出会うこともあるかと思います。リプロダクトとは、意匠権の期限が切れたデザイナーの製品を、正規メーカー以外の企業が、オリジナルデザインにできるだけ忠実に復刻生産した製品のこと。誤解される方も多いのですが、あくまでも意匠権が切れたものを復刻しているので、違法に真似て作られたコピー品とは異なります。
憧れの名作チェアと同じデザインを安価に手にすることができるため、「本物」であることにこだわりのない方であれば、リプロダクト品は1つの選択肢として有効でしょう。小さなお子様がいるご家庭などでも、汚れなどを気にせず使うことができるのはメリットですよね。
ただし、こうしたリプロダクトチェアの品質は、メーカーによってピンからキリまで。中には粗悪品などが紛れていることもあるので、あまりに低価格なものは警戒する必要もあります。1つの目安として、正規品の5分の1~10分の1くらいの価格であれば妥当、という意見もあるようなので、リプロダクト品を検討する際には、参考にしてみてください。
お部屋の雰囲気に合わせて、北欧チェアのデザインを選ぼう
「シンプル」「洗練された」などと表現されることの多い北欧の椅子ですが、使われている素材によって雰囲気が異なります。ここでは、木製チェア、革製チェア、布製チェアについてそれぞれの特徴を見ていきましょう。
ナチュラルな雰囲気なら、自然の温もりを堪能できる木製の北欧椅子
北欧のチェアといえば、木そのままの素材を活かした温かな雰囲気のものをイメージする方も多いのではないでしょうか。北欧インテリア作りのポイントなどでも、ナチュラルな木製家具を取り入れるということはよく言われています。もともと豊かな自然に囲まれた北欧の地では、古くから身近に生育していたブナや白樺などの木材を使用して家具を製作する習慣がありました。さらに1950~70年代頃の黄金期には、チークやローズウッドなどといった高級な木材がふんだんに使われるようになり、より質の高い椅子が作られるようになりました。現在では取引が禁止されているようなこれらの材を使った椅子は、今でも貴重なヴィンテージとして人気を博しています。そうした歴史を知っていると、なぜ北欧インテリアに木製の椅子がこんなにも馴染むのかが分かりますね。
木製チェアといっても、使われている木材の種類や、どれだけの時間を経てきたのかでも、色合いや質感などが異なります。明るく清潔感あふれるシンプルなお部屋がお好みなら、新品などのまだ白っぽい木肌のものが良いでしょう。反対に、親しみやすい温かさや、ほっこりと落ち着く雰囲気を出したいなら、ヴィンテージなどの時を経て飴色や褐色に変化したものがおすすめです。作りたいインテリアに合わせて、木材の種類にも注目しながら選んでみてください。
メンズライクな雰囲気なら、クールな印象の革製の北欧椅子
モダンな雰囲気の革製チェアも、北欧の椅子の中では一定の人気を誇るデザインです。とくに黒やこげ茶色など、シックなカラーの張り地が人気です。ダイニングチェアの場合は、木製フレームのデザインが多く、その木材×レザーという異素材の組み合わせが、より洗練された雰囲気を醸し出しています。背もたれにもレザーが施されているもの、背もたれは木製だけのシンプルなものなど、デザインも様々です。こうしたデザインの北欧椅子は、レザーのクールさと木の温かさのバランスが絶妙で、カフェ風インテリアなどにも向いていますよ。
また、ダイニングチェアの他にもラウンジチェアなど、まさに高級感が漂う佇まいのものもあります。くつろぎのリビングや書斎などにもぴったりですね。メンズライクなインテリアにはぜひ取り入れたいアイテムです。
ファブリックの違いで様々な表情を楽しめる、布製の北欧椅子
布製の北欧チェアは、ファブリックの種類が実に多様で、思わず目移りしてしまうほど。ファブリックの色や柄で、お部屋の雰囲気も変わります。
もともとの北欧デザインでは、グレーやベージュなどの「ニュアンスカラー」や「アースカラー」と言われるような色合いが特徴的でしたが、昨今ではマリメッコに代表されるような、ポップでカラフルな色遣いも人気があります。チェアの張り地に、オレンジや黄色、緑など、明るい差し色を取り入れると、北欧インテリアらしい温かみのある空間に仕上がりますよ。頻繁に模様替えをしたいという方は、その都度自分好みのファブリックに張り替えて楽しむのも良いですね。
用途に応じた様々な形の北欧デザインチェア
北欧チェアをお探しの方の中には、すでにチェアを置きたい場所や使用用途が決まっているという方もいらっしゃいますよね。この章では、それぞれの用途に応じた北欧チェアのデザインをご紹介します。
やっぱり一番人気!北欧デザインのダイニングチェア
家族が集まって食事をしたり、時には友人を呼んでホームパーティーを楽しむこともあるダイニング。いつも目に触れる場所だからこそ、おしゃれなダイニングチェアを置きたいものですよね。北欧デザインのダイニングチェアなら、シンプルで程よく空間に馴染みながらも、いつまでも飽きない個性を添えてくれます。2章でご紹介したように、木製・革製・布製とバリエーションの豊富さも魅力です。シンプルな北欧デザインの椅子なら、バラバラのデザインを集めてもおしゃれにまとまることが多いので、ご自分の「好き」という感覚を頼りに、色々なデザインの北欧チェアを集めてみるのもおすすめですよ。
また、ダイニングチェアを選ぶ際に気をつけたいのが、アームの有無。ダイニングテーブルの高さとの兼ね合いで、アーム付きのデザインだと天板下にしっかり仕舞い込めない場合もあります。ご自宅のダイニングの広さを考えながら、使い勝手の良い椅子を選んでみてくださいね。
おしゃれなキッチンを演出。北欧デザインのカウンターチェア
最近人気のカウンターキッチン。北欧デザインのおしゃれなカウンターチェアを合わせれば、お家でもカフェやバーのような素敵なひと時が過ごせそうですよね。
北欧のカウンターチェアも、ダイニングチェアと同様に様々なデザインがあります。やはり人気なのは、ナチュラルな雰囲気の木製のものや、温かな雰囲気のファブリックづかいのもの。北欧のものではなくても、木製のハイスツールなども北欧風インテリアにはぴったりです。少し無骨な雰囲気となると、レザー座面のものや鉄脚デザインのカウンターチェアも人気ですよ。
背もたれなしでスッキリ。北欧デザインのスツール/オットマン
北欧の椅子をお探しの方の中には、背もたれのないタイプを探している方も多いですね。「スツール」や「オットマン」というキーワードで調べると、探しているものが見つかります。背もたれがない分、すっきりとした印象で、お部屋にあまりものを置きたくないという方にもおすすめのチェアです。また、小ぶりなサイズでお部屋のちょっとしたスペースに取り入れることができるため、サブチェアとしての利用にも向いていますよ。北欧らしい個性的なデザインのものを選べば、空間のちょっとしたアクセントとしても活かせます。
贅沢なくつろぎの時間に。北欧デザインのリクライニングチェア
北欧の椅子というと、リクライニングチェアも有名です。「エコーネス社」や「シモンズ社」など、世界に名の知れた有名メーカーによる良質なものがたくさんあります。こだわり抜かれた極上の座り心地も然ることながら、やはり北欧らしいスタイリッシュなデザインも見逃せません。リクライニングチェアは大きさがある分、どうしても存在感が出てしまいがちですが、このように洗練された北欧デザインであれば、むしろインテリアの主役として取り入れたくなってしまいますね。リビングや書斎などに置いて、上質なくつろぎの時間をお楽しみください。
もっと気軽に取り入れるなら、北欧デザインのリラックスチェア/ハイバックチェア
リクライニングチェアほど本格的ではなくても、リビングにちょっとしたリラックス用の椅子が欲しいなということもありますよね。そんなときには、このようなハイバックチェアはいかがでしょうか。通常のラウンジチェアよりも少し背もたれが高いつくりで、肩から上もしっかりと支えることができます。画像のようなヘッドレスト付きのタイプなら、より一層くつろぐことができそうですね。ゆったりと読書や、ちょっとしたお昼寝の時間にもぴったりです。
重ねられるから収納に便利!北欧デザインのスタッキングチェア
北欧のプロダクトは、その機能性でもよく注目されますよね。椅子に関して言えば、このようなスタッキングできるデザインが多くあるんです。何脚も重ねることができるから、ちょっと端に片付けておきたいときなどにも便利です。無駄な場所を取らずに済むのが嬉しいですね。ご自宅だけでなく、オフィスなどでも活躍してくれますよ。
また、画像のような国産メーカーのスタッキングチェアも、可愛らしい北欧風のデザインでおすすめです。上は飛騨産業のキッズ用のスタッキングチェア、下は秋田木工のスタッキングスツールです。
使い勝手の良いキャスター付き!北欧デザインのデスクチェア
北欧デザインのデスクチェアの中で人気なのは、便利なキャスター付きのデザインです。とくに、レザー座面とメタリック素材の脚の組み合わせをよく目にします。ミッドセンチュリーな雰囲気が感じられて、こだわりの書斎スペースも格好良く演出してくれそうですね。
ヴィンテージや中古のキャスター付きチェアを選ぶ場合には、キャスターがスムーズに動くかどうかも忘れずに確かめておきましょう。
お子様の椅子もおしゃれに。北欧デザインのベビーチェア
お子様用の椅子だって、インテリアに違和感なく合わせたいという方も多いはず。北欧デザインのベビーチェアは、ナチュラルな雰囲気たっぷりの木製タイプが人気です。シンプルで温かな木味のデザインは、当然のことながら北欧風のダイニングをはじめ、様々なインテリアにしっかりと溶け込みます。
安全性を考慮したベルト付きのものや、形を変えて2wayで楽しめる機能的なものなどもありますよ。
いつかは欲しい!有名な北欧名作椅子もチェック
インテリアや家具に詳しくなくても、北欧の椅子には、有名なデザイナーが生み出した「名作」と呼ばれるようなものがあるということは、なんとなく知っていたりしますよね。この章では、そんな有名なデザイナーズチェアの中から、とくに北欧を代表する4人のデザイナーの椅子をご紹介します。
ハンス・J・ウェグナーの名作椅子
ハンス・J・ウェグナーは、デンマークの家具デザイナーです。生涯で500種類以上の椅子をデザインしたことから「椅子の巨匠」とも呼ばれています。彼がデザインした椅子は、20世紀の北欧デザインに大きな影響を与え、さらに現代に至ってもなお、世界中の人々から愛され続けています。
そんなハンス・J・ウェグナーの一番の代表作といえば、1950年にデザインした「Yチェア」。背もたれが描き出すしなやかな曲線は、ウェグナーならではの繊細で美しいデザイン。座面にはペーパーコードが張られ、優しくフィットするような座り心地が魅力です。
アルネ・ヤコブセンの名作椅子
アルネ・ヤコブセンはデンマークの建築家です。しかしながら、建築に留まらず、家具、食器、照明、時計など、生活に関わるあらゆるものを手がけたデザイナーでもあります。
代表作として知られているのは、1952年の「アントチェア(アリンコチェア)」と1955年の「セブンチェア」でしょう。これらの椅子は、木材本来の特性とラミネート加工技術の結合によって、身体の形状や動きに柔軟に適応するとても座り心地のよい椅子として人気を博しました。とくにセブンチェアは、アントチェアの後継モデルとしてより一層座り心地もアップし、フォルムも美しく洗練されています。現在でもその人気は衰えることなく、2015年、セブンチェアの販売台数は全世界で700万台を超えたとも言われています。
フィン・ユールの名作椅子
フィン・ユールも、デンマークの建築家・家具デザイナー。ハンス・J・ウェグナー、アルネ・ヤコブセンと共にデンマークの近代家具デザインにおける代表的な人物です。 モダンアートの影響を受けた、独特な発想と彫刻的なデザインを得意とし、他のデザイナーたちとは全く違うデンマークデザインの在り方を示しました。その完成度の高さとディテールの美しさから「家具の彫刻家」とも呼ばれています。
そんなフィン・ユールの芸術性の高さを感じられるのが、1940年デザインの「ペリカン・チェア」。まさに羽を広げたペリカンを思わせるユニークで遊び心のあるフォルムが印象的です。その他にも、「世界で一番美しい肘掛を持つ椅子」と評された、1945年の「イージー・チェアNo.45」も彼の代表作として有名です。
カイ・クリスチャンセンの名作椅子
カイ・クリスチャンセンもデンマークの家具デザイナーです。ハンス・J・ウェグナーらとともに「デンマーク近代家具デザインの父」と呼ばれたコーア・クリントの思想を継承し、実用的でスタンダードな美しさを持つ家具を多数世の中に送り出しました。
その美しさがよく分かるのが、画像の1956年デザインの「NV-31チェア」。アームレストがありながらも、テーブルにスッキリと収納できる「ハーフアーム」が最大の特徴です。この斬新な構造は、同年にデザインし、彼の代表作ともなった「No.42チェア」にも見て取れます。どちらのチェアも後脚が後傾したデザインになっており、スタンダードでありながらも優雅さを内包した佇まいになっています。座り心地もしっかりと考えられた機能的なチェアでもあるので、一生ものの椅子をお探しの方にもおすすめですよ。
北欧の椅子を買う時にチェックしたいこと4つ
ここまで様々な北欧の椅子をご紹介してきましたが、欲しい椅子は見つかりましたか?欲しいデザインが見つかったら、次は、お買い物の際にチェックしたいポイントを押さえておきましょう。
押さえておきたい!北欧椅子の座り心地の確かめ方
椅子を買うときには、どうしても座り心地は気になるもの。実際に座って確かめてみることは大切です。このときに思い出してほしいのが、その椅子を使用するシーンと座り方です。食事やデスクワークなど、姿勢を正して座る場合には、背筋がまっすぐ支えられるようなデザインの椅子がおすすめです。一方、同じダイニングチェアやデスクチェアでも、ゆったりと体を預けてくつろぎながら使用したい場合には、背もたれがやや後ろに傾斜しているようなデザインだと寄りかかりやすく、リラックスして過ごすことができます。このように、その椅子をご自分やご家族が使用するシーンを思い浮かべながら、そのときの姿勢で座り心地を確かめてみると失敗が少なく済みますよ。
北欧ヴィンテージチェアの場合は、ダメージの程度を要確認
1章でもお話しした通り、北欧ヴィンテージチェアとは、主に1950~70年代に作られた古い椅子のこと。そのため、見えない部分にも経年によるダメージが積み重なっているものと心得ておきましょう。見た目に分かるちょっとしたキズや色の変化などは、古いものならではの味わいとして楽しむことができますが、安全面に影響するような、構造上のぐらつきなどは、そのまま放っておくと危険です。お店の人にお願いしてきちんと修理してもらってから購入するようにしましょう。
北欧の名作椅子は、正規品とリプロダクト品の違いに注意
北欧の名作椅子を買う場合、リプロダクト品には注意が必要です。1章でもお話ししましたが、名作と呼ばれる人気デザインの椅子には、往々にしてリプロダクト品がつきものです。それほどこだわりのない方は、あまり神経質に気にする必要はないのかもしれませんが、どうしても「本物」の椅子が欲しいという場合には、しっかりと正規の販売店で購入するようにしましょう。また、ヴィンテージや中古の場合には、信頼できる目をもったショップを選んだり、本物の証であるロゴプレートやシリアルナンバーなどがきちんと施されているかを確認することが大切です。
より安く狙うなら、名作椅子よりも無名のノーブランドチェアがおすすめ
ここまで記事を読んでくださった方は、北欧の椅子には様々なデザインがあることがお分かりいただけたと思います。その中で、より安く北欧の椅子を手に入れたいという場合には、名作と言われるデザイナーズチェアや有名ブランドのものよりも、いわゆる無名の椅子を選ぶことをおすすめします。
デザイナーズチェアやブランドチェアの場合、たとえ何十年と時代が経っている古いものであったとしても、その価値はそうそう落ちることはありません。無名の椅子であっても、北欧のプロダクトは機能性に優れ、丁寧に作り込まれているものが多いので、大切に使い続ければそれがそのままヴィンテージとして育ってゆくということも十分あり得ます。まずは無理せず、手の届く範囲で大切に使っていきたいと思える椅子を選んでみてくださいね。
北欧の椅子を使ったおしゃれなインテリア実例5選
「シンプル&ナチュラル」が基本といわれる北欧インテリア。基本がシンプルだからこそ、自分の好みにアレンジしやすいのもポイントです。最後の章では、5つのインテリア実例を参考に、どんな椅子を合わせると素敵なのか、そのコーディネートのコツを見てみましょう。
白と木味で優しい雰囲気の北欧ダイニング
北欧スタイルの定番と言えば、白と木の色をベースにした、明るくナチュラルなコーディネート。食器棚やキッチンカウンターなどの大振りな家具に白色を使うことで、圧迫感が軽減され、広々とした印象を与えることができます。
ダイニングテーブルと椅子は、木のぬくもりが存分に感じられるデザインを選ぶことで、温かな雰囲気が漂うダイニングに仕上がっています。
ダイニングチェアには、まさに北欧デザインというべきスタイリッシュなつくりのアームチェアと、日本のレトロなクッションチェアを合わせています。ダイニングテーブルに極力シンプルなものを選んだことで、その分、それぞれのチェアの個性が際立っていますね。このように、目立たせたいアイテムを引き立てるようなイメージで空間をコーディネートしていくと、バランスの良いインテリアを作ることができます。
ユニセックスに楽しめる、木の温もりあふれるナチュラルダイニング
同じく木の温もりをたっぷり取り入れたダイニングです。先ほどはやさしい雰囲気のお部屋でしたが、こちらは少しクールな印象。ダイニングテーブルの脚や、左手のラックなどのアイアン素材と、ダイニングチェアや奥の食器棚のブラックカラーなど、無骨な印象の中に、植物のみずみずしさが効いています。
テーブルを囲む4脚のダイニングチェアは、同じデザインの椅子にすることで、整然とした印象が感じられます。そこに合わせた1脚だけ違うデザインのアームチェアも、「木と黒色のレザー」という点では他の4脚と統一感があり、まとまった印象を崩さずに、さりげないアクセントを生んでいます。
ヴィンテージのレザーチェアで、メンズライクな北欧スタイル
こちらも、木とアイアンの組み合わせで作ったメンズライクな雰囲気のダイニングです。先ほどは4人掛けのダイニングスタイルで空間にも余裕がありましたが、今回は二人暮らしのコンパクトなお部屋。そのため、ダイニングテーブルは先ほどよりもほっそりとした鉄脚のテーブルを選んで、空間をすっきりと見せています。
ダイニングテーブルがすっきりとしている分、ダイニングチェアは少し個性の立ったデザインをチョイス。こちらはミッドセンチュリーを代表するブランド、G-PLANのヴィンテージチェアです。先ほどのチェアと同じく、木と黒いレザーが使われたデザインで、格好良い雰囲気の空間ともよく馴染んでいます。まん丸の座面がアクセントになっていますね。
北欧ヴィンテージ家具で作る、温かな雰囲気のダイニング
北欧ヴィンテージ家具をふんだんに取り入れたダイニング。ヴィンテージ家具ならではのチーク材の飴色が、ほっこりとした温かさを演出しています。ダイニングテーブルは、天板を拡張できるエクステンションテーブルなので、普段よりもテーブルを囲む人数が増えるパーティーシーンにも活躍してくれます。これも北欧らしい機能的なデザインですね。
そんな機能的でありながらもシンプルなデザインのテーブルに合わせたのは、こちらも一見シンプルな形のダイニングチェアです。オレンジ色の木肌に、やわらかなクリーム色の座面が落ち着きのある印象ですね。しかしながら、背もたれのくり抜かれたデザインがどことなくユニーク。主張は強くないものの、しっかりと個性を感じさせるデザインで、毎日見ても飽きません。
和×北欧のミックススタイルには、ウェグナーのYチェアが活躍!
格子戸、火鉢、ちゃぶ台など、和の要素が強いアイテムたちと、北欧ヴィンテージ家具を組み合わせたミックススタイルのインテリアです。左手の北欧ヴィンテージのドレッシングチェストは、色味が濃いものを選ぶことで、和モダンな雰囲気ともしっかりと溶け込んでいます。
ドレッシングチェストに合わせたのは、4章でもご紹介したハンス・J・ウェグナーのYチェア。黒色の塗装がモダンな雰囲気を高めてくれていますね。ペーパーコードで編まれた座面は、どことなく畳のイグサを連想させ、和の空間との相性は抜群です。このように、自由な発想で異なるジャンル同士の家具を組み合わせてみるのも楽しいですよ。
最後に
北欧の椅子についてご紹介してきました。いかがでしたか?
ここ最近ずっと人気の衰えない北欧スタイルですが、その中でも椅子は個性をアピールするのにぴったりのアイテム。ぜひ自分らしいデザインの北欧チェアを取り入れて、自慢のインテリアを作ってみてくださいね。