雑貨屋さんやカフェに行く理由として、あなたが思い浮かべることは何ですか?
料理やおもてなしはもちろんですが、店それぞれがこだわったおしゃれなインテリアを眺めるのも、足を運ぶ一つの理由になっているのではないでしょうか。細かな雑貨一つ一つのディスプレイにうっとりするばかりですが、それをどんな什器に飾っているのかも、結構気になるものですよね。
そんなお店の陳列棚の定番といえば「ショーケース」や「ガラスケース」ですが、最近ではだんだんとお家使いも当たり前になってきました。中でもフローリングとの相性が良い、木製のアンティークが人気を集めています。
でもまず、「サイズ・形でどんなものがあるのか全く分からない…」なんて方がほとんどのはず。飾る以外にも実用的に使える事も、あまり知られていないのではないでしょうか。
そこで今回は、アンティークガラスケースを実用的な家具として取り入れるための、選び方と使い方に注目してみました。
家や店舗使いを中心に、”とっておきで、しっくりくる” アンティークガラスケースに出会うために知っておくべくことをご紹介していきますよ。
Contents
そもそもアンティークのガラスケースって?
コレクションを飾ったり、商品をディスプレイしたりと、今も昔もガラスケースの用途はそれほど変わっていません。分かりやすい違いを言うのであれば、アンティークのガラスケースは木製であることでしょうか。
日本のガラスケースは、大正~昭和時代にかけて使われた、古い商店から出回っているものがほとんどです。アンティークガラスケースの中でも比較的多く出回っているのが、レトロで黄色い木枠のガラスケースで、昔の生活雑貨屋や駄菓子屋にはよく見かけたものだそう。また、酒屋や呉服屋で使われていたものは、凝った装飾が施されていたり、木材もナラやケヤキなどの高級なものが使われたりしていたと言われています。
また一方で、日本よりもガラスケースの歴史が長いヨーロッパでは、基本的な用途は日本と共通点も多いですが、ショップや自宅使いに関わらず、”飾り立てる”用途に長けたアンティークが生み出されました。レリーフ(彫り)や象嵌の装飾だったり、背面が鏡になっていたり、そして長方形に限らず円形のものまで、装飾面の凝り具合ではヨーロッパのガラスケースがピカイチです。
ひと口にアンティークガラスケースと言っても、出どころによって色んな形があり、そしてその分だけ選択の幅もいろいろあることを覚えておきましょう。
置き場所によって選びたい、アンティークガラスケースの形
アンティークガラスケースのちょっとしたストーリーを知ったところで、次に注目していくのは「形」。
今回はよく見かける5つの定番とおすすめの使い方をまとめてみました。取り入れやすさを考慮して、サイズが小さいものから順にご紹介していきます。
キッチンの目隠しにも有効な「卓上型」
ディスプレイの手始めにも小ぶりで取り入れやすいのが「卓上型」のアンティークガラスケース。
卓上型のものは、物を見せて商売する雑貨屋や駄菓子屋で使われていたものがほとんどと言われていますが、台形状のものや上部が開くものなど、商いの種類によって特注で作られてきました。
やはりサイズ的な手軽さからか、アンティークガラスの中でも人気のあるこのタイプ。今の暮らしの活用例は、キッチンカウンターの上に置いて目隠しにしたり、棚上に置いてジュエリーケースとして活用したり。目の高さ付近に置かれることから、よりディスプレイを意識して使うことが多いみたいですね。
小さなコレクション向きの「テーブル型」
小さなコレクションを並べるに向いている、こちらのテーブル型。見た目の通り、ディスプレイテーブルとも呼ばれているヨーロッパアンティークに多いものです。四角に限らず多角形や楕円形のものがあったり、枠周りのレリーフ、そして脚はイギリスアンティークらしい美しい曲線がのフォルムが特徴です。木材も、マホガニー材をはじめとする高級なものが使われ、優雅な装飾をより一層引き立てます。
見て分かるように収納量自体は限られていますが、ケースの底にカーペットが敷かれていたりするものが主流で、ジュエリーや細かな雑貨などを並べるのが本来の美しい使い方と言えるでしょう。
ベーシックな「縦型」
小ぶりで縦長の、ベーシックなアンティークガラスケース。よく古いもので「パンケース」などと呼ばれて提供されています。古い駄菓子屋さんに置かれ、ミルクパンやコッペパンなどを陳列するショーケースだったようです。きっと当時はたくさんの子供たちを笑顔にしてきたのでしょう。
ベーシックなデザインでインテリアに馴染みやすいのが魅力ですが、いろんなシーンに取り入れやすいサイズがポイントです。幅をそれほど取らないので、リビングやダイニングで視線集めのディスプレイにしたり、キッチンなどで中途半端に余ってしまったスペースにもおさまってくれます。また、ショップ等でディスプレイ什器として空間の中央に置いたりしても、デットスペースを生みにくいのもメリットです。
また、物によって扉が棚ごとに分けられていたりするものもあるので、特に日ごろの開閉が多くなりそうな方はあらかじめ気にしておくのがおすすめですよ。
掃除も便利な「脚付き型」
細い脚がすらり伸びた、脚付きのアンティークガラスケース。どこかで見た事あるかも…とピンときた方もいるであろうこの棚は、昔よく保健室で見かけた医療用キャビネットで、日本のアンティークファンの方には「ケビント」の愛称で親しまれています。
最近では衛生面を考慮してステンレス製のものが主流になりましたが、アンティークでは木製で、清潔感のある白色が主流でした。基本の形は棚に引き出しが2杯付き、木製脚が付いたものが主流ですが、特注品も多いため、時折変わり型のものも存在します。
脚の形にも色々なものがあり、円柱や角ばったものなどがありますが、年代的には角脚が大正時代頃のもの、丸脚が昭和時代に作られたものだと言われています。優雅な西洋のデザインをどことなく感じますが、その中に日本ならではのレトロさが残っているのがケビントの魅力でしょうか。
一見飾り棚と言われても疑わないようなスマートな見た目で、家や店舗を問わずディスプレイとしての存在感はもちろんですが、掃除の際に邪魔にならならないのが一つと、実用面で言えば床暖房の際に家具を傷めずに済みます。また、脚で浮かせることで、錯覚的に空間を広く見せることができるので、部屋の狭さを極力カバーしたい方にもおすすめと言えるでしょう。
※「ケビント」の名前の由来は、ドイツ語の「カービネット」という発音が、日本語訛りになったものだと言われています。
店舗の定番型!I型キッチンとも合わせたい「カウンター型」
雑貨屋やカフェでもよく見かける定番のアンティークガラスケースといえば、この「カウンター型」ですよね。
長方形がオーソドックスな形ですが、末広がりの台形のものもあります。内部は基本的に横長のガラス板が渡されたものが主流ですが、珍しいものでヨーロッパの仕立て屋などで使われた「シャツケース」という、内部に木製の仕切り箱が付いているものもあったりします。
文字通りカウンター兼ショーケースにしたり、部屋の間仕切りとして置いたりと使い方も柔軟に変えられますが、選ぶ際には一つ注意点が。ガラスケースには「正面」と「背面」があり、片側にしか引き戸が付いていません。壁ぎわで使うことを想定して作られていないので、台形のものなどは取り出し口が表にならないこともあります。
ディスプレイを頻繁に変えない方や長方形であればそれほど気にする必要はありませんが、将来的に置き場所が変わるかも…と思う方は、長方形のものを選んでおくといいかもしれませんね。
私にも買える?アンティークガラスケースを買う前にチェックしておきたい3つのこと
ぼんやりと「これは飾りたい!」と思うものがあっても、全部は決まっていなかったり、「こんな風に使っていいのかな?」と不安だったりすると、なかなか購入に踏み込めないのが現実ですよね。
家使いでも店舗使いでも、まずは自分だけのアンティークガラスケースの使い方を整理するところから始めましょう。
「見せてもいいもの」をリストアップしてみる
どこもかしこもガラス張りで、良くも悪くも丸見えのガラスケース。
やはり見せたくないものまでを収納するのには適した家具ではありませんが、たとえば実用使いのものでも視点を変えてみると「見せていいもの」になることもあります。飾るのがメインか、実用的な収納がメインかどうかに関係なく、入れるか迷っているものが「見せてもいい使い方」ができるかどうかを重点的に考えましょう。
たとえばいつもは食器棚にしまってあるお気に入りのマグカップや、毎日身につけるアクセサリーなども “見られる” という意識が加わるだけで素敵なディスプレイに変わったりもします。
ただ、物の特徴によって映えやすいもの・映えにくいものがあるので、魅力的に見える並べ方ルールについては、記事の後半にご紹介したいと思います。
どこに置くかは決まってる?
アンティークガラスケースが実現してくれるのは、簡単にまとめると「飾り立てる」ことと「収納できる」こと。購入前から明確な使用イメージがあることに越したことはありませんが、まずは「どこに置くか」だけはっきりさせておけばOKです。
見た目はガラス張りのシンプルな箱のようなものなので、収納は気まぐれに変えることもできますが、お家や狭いお店では特に、スペースの事情によって置き場所は柔軟に変えられないこともので、あらかじめ見合ったサイズと生活動線をチェックしておくようにしましょう。
また、実用的な収納として使うことがはっきりしている場合は、使い勝手の良い置き場所とぴったりすぎない収納量のものを考慮しておくのがおすすめですよ。
食べ物を入れても大丈夫?
アンティークガラスケースを、カフェやパティスリーなどで、お菓子などを陳列するショーケースとして使いたいという方も多いと思います。ただいくら素敵でも、古い物というのもあり、実際に食べ物をおさめるのは衛生面でかなり不安だったりしますよね。
アンティーク家具のリペア方法はショップによって違い、掃除についてもまちまちです。ガラスを外してキレイに水洗いするショップもあれば、サッとほこりをはらうだけのショップもあり、どこまで行われているのかは色々なようです。気になる方は、購入前にアンティーク家具屋に問い合わせておくのをおすすめします。ただ、キレイに掃除を行っている場合でも、配送までに細かなほこりがつくこともありますので、到着したらお手入れを行ってくださいね。
もともと商店で使われていたものや、食べ物を入れていたアンティークガラスケース等に関しては、内部は基本的にキレイに使用していたものが多いので、食べ物の陳列に使用する事もできると思います。
また、反対に医療の現場で使われてきたケビントは、消毒液などの収納も使われたことから、そういったニオイが若干付いているものも中にはあるため、正直なところあまりおすすめできません。店舗などで使う際には、食べ物以外を陳列する什器として使うのがいいでしょう。
アンティークガラスケースの「見せる収納」のよくある悩みと対策
使い方について考えてみたところで、次はアンティークガラスケースをおしゃれに活かすコツを知っていきましょう。
アンティークガラスケースで「見せる収納」を行う際によく直面する悩みから、効果的な解決策をまとめてみました。
ガラスケース収納に向いている「映えやすいもの」は?
自分が見せたいものを気持ちよく飾ることができさえすればOKなのですが、いろんな雑貨の中でも「映えやすいもの」と「ちょっとテクニックが必要なもの」があります。
工業製品であるガラスにより映えるのは、やはりガラスや磁器製のもの。食器などは相性良しですね。また、物自体が光を反射させやすい金属なども、美しく見せることができます。
ガラスケース収納に不向きな「映えにくいもの」は?
映えにくい、もしくは飾る時にテクニックが必要なものは、まとめるとガラスや磁器とは異素材の、不透明でいわゆる”冷たさ”を感じないもの。特に布や木などのぬくもりある素材感のものは、工夫して飾らないと清潔感の無い印象を与えてしまうかもしれません。
ただこれも、ディスプレイのメインのディスプレイを映えさせる”脇役”として使うのであればOKです。たとえば陳列物を分けるのに木製のトレイやクロスを用いれば、ディスプレイにメリハリも生まれます。こういったものを飾る時は、ガラスケースならではの「清潔感・開放感」を残せているか、気にしておくようにしましょう。
飾ったものが美しく見えないのは「光」を活かせていない証拠?
先ほどご紹介した「映えやすいもの」を収納しているのにも関わらず、なんだか美しく見えないと感じるのであれば、ガラスケースに入り込む「光」をチェックしましょう。
もともとアンティークガラスケースは、商品を魅力的に見せるために作られたもの。外から入り込んだ光がケースの中で反射することで、美しく映えるのです。
たとえば配置を決める時も、できれば自然光が入りやすい場所を選んであげるのがベストですが、間取り的に難しいのであればテーブルランプなどでスポットライトを当てたりすれば、魅力的に見せることが可能ですよ。
メリハリのないディスプレイに必要なのは「余白」
アンティークガラスケースにいざ飾り始めてみたら、「ディスプレイに今一つまとまりがない…」なんて悩み、ありませんか?そんなバラバラな印象になってしまうのは、「余白」を上手に使えていないのが原因です。
ひと通り物を並べたら、ガラスケース内の「余白」を見てみるようにしましょう。同じ種類のものがひとまとめになっていても、物同士の間隔がバラバラだったり、ちょっと無理をして隙間なく物が詰まっていたりしないでしょうか。
あなたが美しいと感じたディスプレイを思い返してみて下さい。おしゃれな雑貨屋の商品陳列や、美術館の展示ケースをヒントにしてみると、たしかにどちらもある程度、高さ・幅ともに「余白」のある陳列をしているような気がしますよね。ガラスケースに並べたものが美しく見えるのは、この開放感も理由のひとつです。
たとえば自宅で実用的な収納にしたり、店舗などで商品陳列に活用する場合は、ジャンルごとに余白を入れてあげるとリズムが生まれて映えるようになります。
ただこれでも雑然とした印象になってしまう方は、次のこともチェックしてみましょう。
同じ種類のものを整えるには「敷いて分ける」
同じ種類のものがひとまとめになっていても、並べる際の余白に気をつけても、「まだなんとなくメリハリが足りない…」なんて感じることもあると思います。
そんな時に実践したいのが、先ほども少しご紹介したトレイやクロスを敷くことでより視覚的に分ける方法。たとえば食器などを並べる場合に、カップごとやお皿ごとにトレイを分けてあげると見た目的にも一体感を生むことができます。
ガラスの棚板の良さを今一つ活かしていない方法ではありますが、収納するものが多い場合や、ディスプレイに”山を張りたい”際にポイントで使うのがおすすめですよ。
色でイメージする「軽い」「重い」を気にする
アンティークガラスケースに限らず、見せる収納全般で、色や素材で分けて統一感を出すのは定番の方法ですが、分類まではしっかりやっても、どれをどの棚に置くかは、案外適当に決めてしまう方が多いのではないでしょうか。もしかしたらその陳列位置は、視覚的にアンバランスな印象を与えるかもしれません。
店舗では売りたいものをなるべくお客さんの目線の近くに、というルールもありますが、お家のインテリアとして考えた場合は、「大きい」「重たい」と感じるものはなるべく下に並べるようにしましょう。
今回は分かりやすく、食器収納を例に考えてみます。視覚的に「軽量感」のあるガラスは上段に、「重量感」の出やすい暗い色のものや不透明な磁器、またサイズ的に大きいボウル系の器は、下段中心に集めると収納自体に安定感を出せます。より統一感を意識するのであれば、似ている色同士を隣合わせにすると悪目立ちさせずに並べることができますよ。
実用的に使う場合でも、少なからず空間のコーディネートに影響していることを理解しておきましょう。
アンティークガラスケースの価格は?定番の種類別に整理
取り入れる事が大まかにシミュレーションできたところで気になるのは、やはり価格ですよね。アンティークガラスケースの価格付けの基準は、木材や装飾、当時ならではの希少性も関わってきます。その他、リペアの規模によっても価格が変わってきます。
定番の種類ごとの、ざっくりとした価格の目安は以下の通りです。
・卓上型…10,000円台前半~60,000円前後
シンプルな形状ですが、棚板の数や「ガラス面」の数によって価格が変わります。
・テーブル型(ディスプレイテーブル) …200,000円以上
ヨーロッパアンティークで高級木材を使用したものや、曲面ガラスなどを使用していると高額になったりします。
・縦型(パンケースサイズのもの) …10,000円台後半~60,000円前後
横幅や木材によっても価格が違います。
・脚付き型(ケビント) …30,000円台前半~70,000円台後半
ガラスの面が3面か4面によっても金額が違います。角脚のものの方が古いため、丸脚のものより若干高額になります。
・カウンター型…60,000円台前半~200,000円台後半
台形型のものの方が造りに手間がかかるため、比較的長方形に比べ金額が高い傾向があります。シャツケースなど珍しいものは価格が高いものが多いです。
・R型…60,000円台後半~200,000円台前半
天板・側面のガラスの加工によって価格が変わります。基本的に特注でサイズもまちまちです。
同等のサイズのものでも、このように価格帯には開きがあります。大まかですが、安いものは最低限のリペアのみを施したものが多く、高いものは特注で造りが凝っているものや良い木材が使われているもの、そして掃除や丁寧なリペアを施してあるものが多いことが傾向として挙げられます。
先ほど整理した「自分のガラスケースの使い道」をイメージし、デザインに特にこだわりが無くかつショーケースとして飾ることがメインなのであれば、実用重視ではなく価格重視で選んでも良いかもしれません。ただ収納や商品陳列用で、頻繁に開閉を行う場合や少し変わったものを探している場合は、実用も安心で個性的なものを、慎重に吟味して選ぶのがおすすめですよ。
アンティークガラスケースの取扱い・お手入れについて
ガラスである分、日頃の使い方であまりおすすめできないものもあります。アンティークガラスケースを長く愛用するための対策とお手入れは行うようにしましょう。
棚板の設置方法は?
アンティークガラスケースは、棚板を外した状態で梱包されて到着します。届いたら自分で棚板の取り付けなければならないのですが、やはり慎重に行わなければガラスをキズつけたり破損させてしまう恐れがあります。
1人で出来ないことはありませんが、可能であれば取り付けを2人もしくは3人で行うとスムーズでかつ破損のリスクも軽減できます。
また、棚受けのタイプによって設置方法が違います。アンティークで主に見かける、高さ調整可能なガラスケースの取り付け手順をまとめてみました。
■好きな位置でねじ止めする棚板の取り付け方
2人で行った際の作業所要時間…20分
1.開梱して状態をチェック
開梱したらパーツのヒビ割れや、欠損しているものがないかきちんと確認しましょう。配送でも直接引き取りでも、天板・棚板・引き戸は別で梱包しているお店が多いので、このバラバラになっている状態から設置スタートです。
2.上段の棚受けを外へ開く
上側から棚板を中に入れるため、棚受けのねじをゆるめてガラスケースの外側へ開きます。引き戸側には必ず棚受けを支える支柱が付いているため、キズをつけずに収めるには難易度が高いのです。
3.下段を入れる
すべり止め・指紋よけのためにゴム手袋をはめ、棚板を慎重に上側から入れます。側面のガラスを傷つけないように慎重に入れていきましょう。上から棚板を渡す人、下から受け取る人、水平を確認する人で、3人居ると作業はスムーズになりますよ。
下段の設置が完了しました。次に上段の設置を行います。
4.高さをはかり、上段の位置を決める
下段から定規を使って高さを測り、上段の位置を決めます。決めた位置にマスキングテープを貼り、もう片方の棚受けにも印を付けます。高さ調整のためにメジャーをわざわざ買う必要もありません。メジャーの扱いに不慣れな方も、この方法であれば簡単にできますよ。
5.天板を設置する
棚板の水平が取れたら、四隅の一箇所にクロスを敷き、その上から天板を載せます。クロスを使用するのは、天板の位置合わせの際、縁に付いている天板固定の金具によってキズが付くのを防ぐためです。天板を載せたら、クロスを静かに引き抜きます。
6.引き戸を取り付けて完成
最後に引き戸を取り付けて完成です。
ガラスは割れもの。割れ・キズから保護するための対策も忘れずに
美しく見せる家具だとしても、どうしても気がかりなのが割れやキズ。
雑貨を飾るディスプレイ中心で使う場合はそれほど心配いりませんが、食器収納などで実用的に使う場合は正直不安ですよね。忙しいとつい開閉も雑になってしまうため、キッチンの食器棚にメインで使うのはあまりおすすめできないかもしれません。
また、カウンター型のものは、天板を作業台として有効に使うことも可能ではありますが、破損の対策を行うことが条件です。たとえば鍋やポットを一時的に置く場合は鍋敷きを使ったり、水気が飛び散りやすい野菜の下ごしらえは控えたり。
ガラスケースに無理をさせないルールを決めた上で、使い道を決めてあげてくださいね。
割れてしまったらどうすれば?
ガラスのある家具には絶対付きまとう「割れたらどうしよう…」の悩み。古い一点ものだし、割ってしまったら替えが利かないのでは?と不安な方も多いと思います。
アンティークガラスケースは、古い2㎜程のガラスを使っており、簡単には割れたりはしませんが強度の面では現行のものより繊細になっています。また、割れた面のサイズによっては古いガラスで張り替えができない可能性もありますが、そういった場合は現行の3mmのガラスに貼り替えを行います。ちなみに価格は古いものよりも比較的に安価で交換できるものが多いです。
割れてしまったら、購入したショップに相談するか、もしくはアンティーク家具店で修理に応じているところに当たってみましょう。破損状態や構造によって、割れた部分のガラスだけを手配することもあれば、ガラスケース自体を一度ショップに預けなければいけない場合もあります。
ただし隙間をパテで埋められていたり、構造によって半解体が必要だと、その分の費用が発生するかもしれないので、あらかじめ頭に入れておいてくださいね。
ガラスケースのお手入れ方法
いつまでもキレイにガラスケースを使うために、日頃のお手入れが欠かせないのは、言うまでもありませんよね。
特に汚れが目立ってしまうガラス面は、毎日でなくてもこまめに行っておけば、一回の掃除の負担は重くならずに済みます。日頃の基本的なお掃除の手順と、なかなか取れない頑固な汚れのお手入れの手順の2つを、写真とともに解説していきます。
■日頃の基本的な掃除方法
材料:
・柔らかい布
・キッチンペーパー
・マイクロファイバーのクロス
- 柔らかい布で水拭きを行う
- キッチンペーパーで乾拭きを行う
- マイクロファイバーのクロスで拭き取る
■頑固な汚れのお手入れ
材料:
・メラミンスポンジ
・水
・キッチンペーパー
・マイクロファイバーのクロス
- 水を含ませて絞ったメラミンスポンジで汚れの箇所をこする
- キッチンペーパーで乾拭きする
- マイクロファイバーのクロスで拭き取る
※それでも取れない場合は
- スクレイパー(へら状)の器具で力を入れすぎないようにこそげ取る
- 水を含ませて絞ったメラミンスポンジで汚れの箇所をこする
- キッチンペーパーで丁寧に拭き取る
- マイクロファイバーのクロスで拭き取る
また、ガラス掃除の際、揮発性の良いアルコールを使う方も多いかもしれませんが、ガラスケースの木枠は無垢材やブリキでできているため、かかってしまうと色落ちなどを起こす危険性があります。同じように、水拭きを行う際にも染み込まないように気をつけて行ってくださいね。
最後に
アンティークで見かけるガラスケースの種類から、それぞれのシーンに合わせた使い方、そしてお手入れまでじっくりご紹介しました。これまで名前が分からなかったものや、ガラスケースだと思っていなかったものも、今回ご紹介したものの中にはあったのではないでしょうか。
そこから自分にぴったりのものを選ぶには、まずは「一番やりたい使い方」と「置き場所」をはっきりさせることが大切です。飾る、しまう。どんな使い方においても、アンティークガラスケースは「見せること」には長けた家具であることを覚えておいてくださいね。