アンティーク家具のワックス基礎レッスン!プロがわかりやすく解説

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アンティーク家具のワックス基礎レッスン!プロがわかりやすく解説

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アンティーク家具 ワックス

「アンティーク家具はワックスでお手入れするもの」というイメージがありますが、実は、アンティーク家具の中でもワックスメンテナンスが必要なのはごく一部。端的にいうと、水拭きするダイニングテーブルや、水がかかるような場所で使うアンティーク家具だけが、ワックスでのお手入れが有効です。

つまり、収納家具など多くのアンティーク家具は、ワックスメンテナンスは一切不要!気になった時に乾拭きするだけで、きれいな状態が保てますよ。

私は、ラフジュ工房の店長として、数々のアンティーク家具を修理し、自宅でも長年アンティーク家具を使っています。私自身、アンティーク家具をボロボロの状態からリペアする際にはワックスなどを使いますが、一度リペアが済んだアンティーク家具は、それ以上メンテナンスしません。たまに乾拭きするくらいで長年ほったらかしです。それでも、状態が変わらないことを身をもって経験しています。

イギリスなど現地で使われているアンティーク家具も、ほとんど手入れされていません。それにもかかわらず、100年もの年月を生き残っています。ほったらかしでも問題ないからこそ、価値あるアンティーク家具として、長く使い継がれているんですね。

さて、この記事では、アンティーク家具のワックスメンテナンスについて、ワックスが必要なのはどんなアンティーク家具かおすすめのお手入れ方法や材料ワックスに関するよくある疑問をわかりやすく解説したいと思います!これからアンティーク家具をワックスでお手入れしようかな、と思っている方は、ぜひ一度目を通してみてください。

アンティーク家具をワックスでお手入れする前に!そのワックス、本当に必要ですか?

冒頭でもお話ししたとおり、ワックスでのお手入れを必要とするアンティーク家具は、一部のみです!まずはどんなアンティーク家具に必要なのか、詳しく紹介したいと思います。

ワックスが必要なのは水回りのアンティーク家具や水拭きするダイニングテーブルのみ

アンティーク家具 手入れ ワックス

アンティーク家具でワックスメンテナンスが必要なのは、次の家具だけです。

  • 水がかかるような場所で使っているアンティーク家具
  • 水拭きで掃除するダイニングテーブルキッチンカウンターなど

繰り返しになりますが、上記以外のアンティーク家具(収納家具など)は、ワックスでのお手入れは不要です!

「ワックス仕上げの木製家具は、定期的にワックスの塗り直しが必要」と思われている方が多い気がしていますが、ワックスを塗っても塗らなくても、コンディションはそれほど変わりません。メンテナンスするのが好き!という方以外は、お手入れしなくて大丈夫です。

アンティーク家具 メンテナンス

なぜ、こんなにも「アンティーク家具にはメンテナンスが必要」という常識ができてしまったのかなと考えていましたが、おそらく毎日水拭きする木製テーブルや床などと混同してしまっている方が多いのでは?と感じています。

水拭きをする場所、床など頻繁に摩擦してしまう場所であれば、だんだんとワックスが落ちてくるため、塗り直しによるお手入れが有効です。また、本革のソファなど、座るときに擦れてオイルが落ちてしまうレザー家具も、オイルメンテナンスが必要です。

しかしながら、収納家具などのアンティーク家具は、ほったらかしでもワックスが完全に落ちてしまうことはないので、お手入れは必要ありません。アンティーク家具はお手入れが大変だな…と感じていた方は、ぜひこの機会に不要なメンテナンスをバッサリやめていただければと思います。

アンティーク家具は直射日光とエアコンの風、過度な湿気を避けることが一番大切!

メンテナンス アンティーク家具 

アンティーク家具をきれいに長持ちさせるは、ワックスでお手入れをするかどうかよりも、もっと重要なことがあります。それは、直射日光・エアコンの風・過度な湿気を避けることです!

アンティーク家具を直射日光やエアコンの風が当たる場所に置いてしまうと、木が乾燥して割れたり、変形したりする原因となります。アンティーク家具の一部が変形すると、扉や引き出しが開けにくくなったり、脚がガタついたり、よくないことばかりです。

アンティーク家具 保管

また、アンティーク家具を日常使いせず、倉庫などに保管しておく場合、湿気の多い場所に置くと、カビや変形の原因となります。また、キクイムシは湿気を好むため、虫食いの被害に合う恐れも。大切なアンティーク家具、カビや虫などはぜひとも避けたいですよね。

そのため、アンティーク家具を置く場所は、直射日光・エアコンの風・過度な湿気を避ける!これを必ず守ってください。これを守るだけで、本当に何もメンテナンスすることなく、何十年と使い続けることができます。

アンティーク家具をワックスでお手入れ!準備編

さて、どんなアンティーク家具にワックスが必要かわかったところで、次は実際のお手入れ方法について順番にご紹介していきますよ。
まずは、お手入れに必要なワックスの準備から。アンティーク家具にどんなワックスを使ったらいいかわからない!という方は、ぜひ参考にしてみてください。

アンティーク家具の仕上げに応じて適切なワックスを用意

ワックス アンティーク

アンティーク家具は、もともとの仕上げ方法によって、適切なお手入れが違います。そのため、まずはお手持ちのアンティーク家具がどんな仕上げなのか確認しましょう

仕上げ方法は、見た目ではわからないので、購入先のアンティーク家具屋に確認してみてください。アンティーク家具屋によっては、家具の仕上げ方法について通販サイトなどに記載しているところもあります。ただ、家具の種類によってワックスなどを使い分けているショップもあるので、直接問い合わせるのが確実です。

もし、問い合わせなどをしても仕上げ方法がわからなかった場合は、家具の色に近い蜜蝋ワックスを使うのがおすすめです。後ほど「アンティーク家具の元の仕上げがわからない!どんなワックスを使えばいい?」で詳しくお話ししますので、そちらをご覧ください。

蜜蝋ワックス仕上げのアンティーク家具の場合:蜜蝋ワックス系

アンティーク家具 ワックス おすすめ

お手入れしたいアンティーク家具が蜜蝋ワックス仕上げだった場合、同じ蜜蝋ワックス系の材料でメンテナンスします。蜜蝋ワックスというと、ブライワックス、ジャックポールワックス、シェラックワックスなどがあります。これらの中であれば、どれを選んでも問題ありません。

というのも、私もこれまでに蜜蝋ワックスを何種類か試しましたが、どれを使っても、結果はほとんど変わりませんでした。蜜蝋ワックスは、メーカーによって差が出にくく、職人によっては、靴用の蜜蝋ワックスを家具メンテナンスに使うこともあるほどです。

なので、蜜蝋ワックスを選ぶ際は、コスパや匂いなど、単純な好みで選んで全く問題ありません。私も最終的にはコスパが良いものを選びました。

オイルフィニッシュのアンティーク家具の場合:オイルもしくは蜜蝋ワックス

アンティーク家具 オイル ワックス

お手入れしたいアンティーク家具がオイルフィニッシュの場合、同じオイル系か蜜蝋ワックス系でメンテナンスしましょう。オイルは、オスモオイルやビボスオイル、ワトコオイルなどが有名です。

ただ、オイル系塗料は、匂いがきつめで、乾燥時間が長いものがほとんど。自宅でメンテナンスするには、少し扱いづらいかもしれません。

そのため、よほどこだわりがなければ、蜜蝋ワックスを使う方がおすすめ。オイルフィニッシュと蜜蝋ワックスは、見た目にはほとんど違いがありません。蜜蝋ワックスの方がほんの少しツヤが増すかも、というくらいです。

蜜蝋ワックス系であれば匂いが少なく、乾燥時間が短いため、室内でもストレスなく、パパッとお手入れできますよ。

ペイントのアンティーク家具の場合:蜜蝋ワックスを塗ってもOK

アンティークワックス 白

ペイントのアンティーク家具は、蜜蝋ワックスやオイルフィニッシュよりも、しっかりとした塗膜が形成されているため、水回りの家具やダイニングテーブルでも、基本的にお手入れなしで大丈夫です。

ただ、ペイントのアンティーク家具に蜜蝋ワックスを塗ると、木肌がよりしっとりとして、アンティーク感が増すという特徴もあります。色付きのペイントなら、さらに味が出る場合もあります。

そのため、お手入れが苦にならない、むしろ好き!という方は、ワックスを塗ってみるのもおすすめですよ。

ウレタン・ラッカー塗装・カシュー塗り・漆塗りのアンティーク家具:ワックス不要

家具ワックス

ウレタン塗装やラッカー塗装、カシュー塗り、漆塗りのアンティーク家具は、非常に強い塗膜を形成しているため、水拭きするアンティーク家具や水回りのアンティーク家具でも、ワックスは不要です。傷や汚れを寄せ付けず、ホコリが気になった時などに乾拭きするだけできれいな状態が保てます。

また、乾拭きする際は、塗膜を傷つけないよう、優しく行ってください。乾拭きのしすぎは逆に良くありません。車の塗装と同じで、本当は乾拭きする必要もないくらいです。汚れたときだけ、優しく掃除するようにしましょう。

アンティーク家具をワックスでお手入れ!実践編

アンティーク家具のお手入れに必要なワックスがわかったところで、続いては実際の手順をご紹介します。蜜蝋ワックスとオイルフィニッシュ、それぞれのお手入れ方法をお話ししますので、参考にしてみてください。

アンティーク家具を蜜蝋ワックスでお手入れする方法

準備するもの

・お好みの蜜蝋ワックス
・ウエス(毛羽立ちのない柔らかくい布。乾いた状態。Tシャツの端切れなど) 3枚

  1. アンティーク家具の表面をウエスで乾拭きして、ホコリや汚れを落とす
  2. 新たなウエスに蜜蝋ワックスを取り、木目に沿って気持ち多めに塗る
  3. 新たなウエスを使って、余分な蜜蝋ワックスを拭き取る
  4. 木目に沿いながら、磨くようにしっかりと拭き上げる

蜜蝋ワックスを塗った後、しばらく放置するやり方もありますが、当店としては放置せず、すぐに拭き上げることをおすすめしています。時間をおくと、ワックスが固まってしまう場合があり、最後に頑張って拭いてもワックスが多少残ってしまうからです。その結果、ツヤが出ず、イマイチの仕上がりになってしまいます。

塗膜がしっかり残っている家具(頻繁にワックスメンテナンスしている家具、ペイント家具など)であるほど、早く拭き上げた方がきれいに仕上がりますよ。

また、蜜蝋ワックスは、最後の拭き上げが足りないと、表面がベタついたり、物を置いた際に色移りしたりしてしまいます。拭き上げる時は、ベタつかず、サラサラの状態になるまで、しっかり磨きましょう。

ちなみにワックスを何度か重ね塗りすれば、もっときれいになるのでは?と感じる方も多いかもしれませんが、重ね塗りは意味がありません。私も過去にチャレンジしましたが、きれいに仕上がりませんでした。ワックスは一度塗りがおすすめです。

アンティーク家具をオイルでお手入れする方法

準備するもの

・お好みのオイル
・ウエス(毛羽立ちのない柔らかい布。乾いた状態。Tシャツの端切れなど) 3枚

  1. アンティーク家具の表面をウエスで乾拭きして、ホコリや汚れを落とす
  2. 新たなウエスにオイルを取り、木目に沿ってまんべんなく塗る
  3. そのまま20〜30分ほど放置して、オイルを馴染ませる
  4. 新たなウエスを使って、木目に沿ってオイルを磨き上げる
  5. 半日〜1日ほど乾燥させる(使用するオイルによって乾燥時間が変わります)

オイルフィニッシュは、乾燥中のアンティーク家具に物を乗せたり、触ったりすると、オイルが付いてしまいます。乾燥が終わるまでは、触れないように注意しましょう。ダイニングテーブルなど日々使用するアンティーク家具をお手入れする際は、乾燥時間ができるだけ短いオイルを選ぶと便利です。

また、オイルでお手入れした後は、ウエスの捨て方に要注意です!オイルを多く含んだウエスをそのまま放置すると、オイル成分が酸化して、自然発火を起こす危険があります。そのため、処分する際は必ずウエスを水に浸し、ビニール袋などに入れて、密封してから捨ててください。

アンティーク家具をワックスでお手入れ!よくある質問

さてここからは、アンティーク家具のワックスでのお手入れについて、よくある質問にお答えしていきたいと思います。

Q.アンティーク家具の元の仕上げがわからない!どんなワックスを使えばいい?
A.蜜蝋ワックスがおすすめ

ワックス アンティーク家具 おすすめ

アンティーク家具のもともとの仕上げ方法がわからない場合は、家具の色に近い蜜蝋ワックスを塗るのがおすすめです。塗ったら、5年ほどは乾拭きのみで問題ありません。

蜜蝋ワックスではなく、オイル系(オスモオイル、ワトコオイル、ビボスオイルなど)でメンテナンスする場合、アンティーク家具に塗膜が残っていると、オイルが木肌に染み込まず、ベタつきが残ってしまいます。ワックスのほうが染み込むというよりは、上に乗せる感じなので、どんなアンティーク家具にも向いています。迷ったら蜜蝋ワックスが無難です。

もしくは、アンティーク家具は、何も塗らずとも傷むことはないので、特に何もしなくても構いません。ワックスよりも大事なのは、やはり直射日光とエアコンの風を避けること。これが最重要です。

Q.アンティーク家具の傷や汚れを消すにはどうすればいい?
A.色付きワックスで補修

アンティーク家具 傷 ワックス

アンティーク家具に傷や汚れがある場合は、家具の色と近いカラーの着色剤入りワックスを塗ることで、ダメージを周りに馴染ませることができます。もしくは、ステイン塗料(着色剤)と無色の蜜蝋ワックスを部分塗りしても構いません。

アンティーク家具の傷や汚れ消しの方法として、はじめにやすりがけをする方法がよく紹介されていますが、私としてはおすすめしていません。やすりがけすると、その部分を完全に周りと揃えることは難しいので、かえって悪目立ちしてしまうからです。やすりがけなどはせず、着色・ワックスのみでお手入れする方が自然に仕上がります。

また、ウレタン塗装やラッカー塗装、カシュー塗り、漆塗りなどのアンティーク家具の場合は、もし誤って大きな傷をつけてしまったら、セルフメンテナンスで修復することは難しいです。きれいに補修したい場合は、アンティーク家具屋など、プロに再塗装を依頼しましょう。

Q.着色剤入りのアンティーク家具ワックス。色の選び方は?
A.現状と近い色だと失敗なし

アンティーク家具用ワックス

ブライワックスなどの蜜蝋ワックスは、さまざまなカラーがあって、どの色を選んだらいいか迷っている方も多いかと思います。

おすすめなのは、現状に近い色のワックス、もしくは着色剤が入っていないワックスを選ぶこと。全く違う色に仕上げたいと思って、現状と遠いカラーのワックスを選んでも、あまり変化がないか、傷がある部分だけ違う色に染まってしまいます。

基本的に、リペア済みのアンティーク家具は、オイルフィニッシュのもの以外、多少なりとも塗膜があるものが多いです。一度塗装を落とさない限り、上から色付きの蜜蝋ワックスを塗っても、ほとんど色は変わりません

色付きのワックスは、塗装がされていない家具、もしくは傷が付いて素地が見えている家具の補修に効果があります。なので、逆に言えば、塗膜があって、傷がないアンティーク家具なら、何色のワックスを使ってもOKです。

Q.アンティーク家具を艶やかに仕上げたい!おすすめのワックスは?
A.しいて言えばブライワックス

アンティーク家具 ウォールナット ワックス

アンティーク家具を艶やかに仕上げたい場合、蜜蝋ワックスであれば、どれを使ってもOKです。しいておすすめを挙げるとすれば、ブライワックスでしょう。他のワックスよりも多少ツヤが出やすく、伸びがいいのでムラなくきれいに仕上がります。

Q.アンティーク家具のツヤを抑えて仕上げたい!おすすめのワックスは?
A.ワックスは不要

アンティーク家具 ワックス 塗り方

アンティーク家具のツヤを抑えて仕上げたい場合、ワックスでのお手入れは不要です。ワックスを塗ると、多少はツヤが出てしまいます。ワックスを塗らずとも、アンティーク家具が傷んでしまうことはないので、そのまま使い続けてください。

最後に

アンティーク家具は「ワックスでお手入れするほどキレイになる」と思われがちですが、基本的にワックスを塗らなくても、コンディションは変わりません。メンテナンスが好き!という方以外は、ワックスメンテナンスは必要ありません。

それよりも大切なのは、繰り返しになりますが、直射日光やエアコンの風、保管時の過度な湿気を避けることです。これだけで、これから先も何十年とアンティーク家具を使い続けられます。

もし、自分ではどうしようもない傷・汚れがついてしまったら、当店でリペアを承ります。他店で購入したアンティーク家具や、昔から家にある古家具など、どんなアンティーク家具でも歓迎です。理想の形に修理・リメイクしてお届けしますので、お気軽にご相談ください。

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