イギリスの有名メーカー、アーコール。飽きの来ないシンプルで美しいデザインと抜群の使い心地から、時代に関係なく愛され続けています。「アーコール」という名前は知らずとも、その椅子を見ればピンと来る方も多いはず。
アンティーク・ヴィンテージのショップでも目にすることが多く、おしゃれなダイニングチェアを探すときには必ず見かけますよね。
中には、「どうしてそんなに人気なの?」「興味はあるけどあまり知らないから手が出せない」という方もいるかと思います。
でも、知らないからという理由で選択肢から外してしまうのはもったいない!と声を大にして言いたくなる程にアーコールチェアには魅力がたくさん詰まっているんです…!なので今回は、基本的なアーコール社の椅子の魅力と人気の理由を5つピックアップしてご紹介いたします!
目次
アーコールチェアが人気の5つの理由
アーコール(Ercol)社は、1920年のイギリスで、イタリア人移民ルシアン・アーコラーニ氏によって設立されました。現在も彼の親族によって経営されている老舗家具メーカーです。ソファ、テーブル、キャビネットなど様々な家具を製造していますが、何と言っても絶大な人気を誇っているのがチェアです。人気の火付け役となったのは、イギリスのファッションデザイナー、マーガレット・ハウエル女史。彼女の働きかけによって2004年には2種類のチェアが復刻され、その後、テレビや雑誌などの様々なメディアでも度々アーコールチェアが登場するようになりました。
それから20年、アーコールチェアの人気はいまだ止まるところを知りません。それどころか、昨今の北欧インテリアやシンプルインテリアの流行に押され、ますます人々から愛されているようにも感じられます。私たちをそこまで魅了するアーコールチェアとはどんな椅子なのか、まずはその5つの魅力をみていきましょう。
魅力その① 曲げ木の技術による美しいシルエット
アーコールチェアの最大の特徴は、その美しい佇まい。シンプルでありながらも、他とは一線を画すような美しいシルエットは、蒸気によって木材を湾曲させる「曲げ木」の技術によるもの。アーコールはこの技術を取り入れた製造方法をいち早く完成し、従来のような削り出しでは表現できない、しなやかな曲線を描くことに成功したのです。アンティークのアーコールチェアには様々なデザインがありますが、どの椅子からも研ぎ澄まされた印象が漂ってきます。
アーコラーニ氏がアーコール社を立ち上げたのは、ウィンザー城からおよそ30kmの場所にあるハイウィッカムという土地でした。ニレ林やブナ林が多く、17世紀頃からは歴史的にウィンザーチェアが作られていたことでも有名な町です。そんな伝統的な家具作りが盛んな町において、アーコールが成し遂げた曲げ木の技術の開発は、まさに画期的なものでした。これにより、硬くて加工に向いていないとされていたニレ材も自由自在に変形することが実現し、家具生産の可能性が大きく広がったのです。
そして、アーコールはこの技術を活かして、新しいデザインのウィンザーチェアを数々生み出しました。伝統の枠を超えた、モダンで普遍的なデザインのアーコールチェアは、人々に驚きとともに受け入れられ、イギリスの代表的な家具であった「ウィンザーチェア」の名をアーコールの代名詞と言わしめ、今なお愛され続けているのです。
魅力その② 目移りしてしまうような豊富なデザイン
ひとつひとつはシンプルなデザインのアーコールチェアですが、そのバリエーションは実に豊かなんです。「あれもアーコールチェア?これもアーコールチェア?」なんて混乱してしまうのも無理のない話ですね。
アーコールチェアの全盛期は、1960〜1980年代。現代では残念ながら廃盤となってしまっているデザインが多いのですが、この全盛期に作られた数々のデザインは、アンティーク品やヴィンテージ品として見つけることができます。そのため、現行品だけでなく、アンティークやビンテージのアーコールチェアの人気も高いというわけなんです。
少し調べるだけでも分かるように、ダイニングチェアからリビングチェアまで、アンティークやビンテージのデザインも合わせると、いったい何種類あるの!?と言いたくなるほど様々なデザインがあるので、ついつい目移りしてしまったり、他のデザインも欲しくなったりと、アーコールチェアの世界は深いということを、ここから知ることになるかもしれませんね。
アーコールチェアのデザインについて、こちらで詳しくご紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
また、アーコールチェアには、座面の裏などにブランドのロゴシールが付いています。古いものになると、時代の経過に伴ってシールが剥がれてしまっている場合も多いのですが、このシールのデザインは製造年代によって異なるので、コレクターの方の中には、めずらしいロゴシールのアーコールチェアを集めている方もいるんだそうですよ。
大人気のアーコールチェアは類似品も多いため、このようなブランドロゴがしっかり残っているものだと安心ですね。
魅力その③ 機械化による大量生産で同じデザインをそろえやすい
アーコール社は、先ほどの曲げ木の技術の他にも、早くから家具製造の機械化を導入し、家具の大量生産を可能としていました。そのため、一般的に「一点もの」と思われるアンティークやビンテージのアーコールチェアであっても、比較的同じデザインを見つけやすいんです。おそろいのチェアをダイニングに使いたいという場合などにも助かりますね。
それまでのチェアは、職人がひとつずつ手作業で作り上げていましたが、アーコールではあらかじめ14個のパーツを製造しておき、それらを機械を使って20秒で組み立てるという生産システムを用いました。曲げ木の技術を使って、木材の繊維を断ち切らずに丈夫なパーツを作り上げ、機械を使って効率的に大量生産を行うことで、質の良い家具を安価で提供することに成功したのです。そのため現代の私たちも、アンティークやビンテージのアーコールチェアを比較的簡単に、手頃な価格で入手できるというわけなんです。アンティークやビンテージとなるとその状態は様々ですが、比較的状態の良いものが多いのも、うなずけますね。価格としては、安いものでおよそ2万円台から購入できます。
魅力その④ 様々なテイストに合わせやすい木肌の色と佇まい
滑らかな木肌と美しいシルエットを併せ持ったアーコールチェアは、どんな空間の中でも主張することなく静かに溶け込みます。そのシンプルさと温かみに惚れ込んで、流行の北欧インテリアやカフェ風インテリアなどにも多くの方がアーコールチェアを取り入れていますよね。
さらに、すでにお気づきの方も多いと思いますが、アーコールチェアには様々な色味があるのもポイントです。黄味がかったもの、オレンジに近いもの、こげ茶色…。お部屋の雰囲気に合わせて馴染みやすい色味を選ぶことで、ご自宅にだってすぐに取り入れることができますよ。黄味がかった優しい色合いは、明るくナチュラルな雰囲気の空間に。深みのあるこげ茶色なら、落ち着いたシックなお部屋や和モダンスタイルに合わせてもおしゃれです。
魅力その⑤ 座るだけじゃない!様々な使い方が可能
アーコールチェアの5つ目の魅力は、チェア以外にも様々な使い道があるということ。チェアとしての座り心地もさることながら、置いておくだけでも絵になる見た目は、おしゃれな空間作りにも心強いアイテムです。例えば、アーコールチェアをリビングの片隅や玄関先に置いて、座面の上に鉢植えを飾れば、カフェのようなグリーンインテリアの完成。あるいは、ベッド脇でスタンドライトや目覚まし時計を置くナイトテーブルとして使ってみるのも素敵ですね。本や雑誌、鞄など、ついつい出しっぱなしにしてしまうものがある場合には、アーコールチェアの上に置くようにするだけで、なんだかおしゃれなインテリアに見えてきてしまうから不思議です。アーコールチェアは軽くて移動も簡単なので、その時々の気分や必要に応じて、様々な場所で気軽に使うことができますよ。とくに使い道が決まっていなくても、とりあえず一脚、と取り入れてみることができる挑戦のしやすさも魅力ですね。
おわりに
奥深いアーコールチェアの魅力、伝わったでしょうか?
馴染みやすいデザイン性から日本の住宅でもコーディネートしやすいのと、同じものを揃えて置ける点が取り入れやすくて良いですよね。
拘って揃えるのはもちろん、リビングや寝室などに一脚だけ置いてみるのも素敵ですよ!
ぜひ、たくさんのデザインの中からお気に入りを探してみてくださいね。