椅子の種類にもいろいろとありますが、私たちが日ごろ使う椅子は簡単に分けると2種類に区別ができます。
一つはひじ掛けのある椅子「アームチェア」、もう一つはひじ掛けのない椅子「アームレスチェア」です。
日常何となく使い分けている椅子たちですが、その機能を知るともっと快適に過ごせるのではないでしょうか。
そこで今回は「アームチェア」にスポットを当て、種類やメリット・デメリット、選び方までをまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
アームチェアとは
「アームチェア」とは、椅子の左右両側に肘掛けが付いた椅子全般を指します。主に一人掛けの椅子であり、日本語では「肘掛け椅子」と呼ばれます。肘掛け部分を「アーム」もしくは「アームレスト」と呼び、そこに腕を置いたり肘をかけられる構造です。アームチェアは肘掛けの無い椅子と比較して座面が大きめに作られる傾向があり、ゆったりとくつろぐことができる椅子でもあります。
木製のものや座面や背もたれにクッションがあるもの、ラタンを編み込んだもの、レザーを使用したものなど、使用される素材は実に多種多様で好みの椅子を探しやすいのもポイントです。
ダイニングチェアとしてだけではなく、オフィスチェアやイージーチェアなど様々なアームチェアが普及しています。
一般家庭では主にダイニングチェアとして活躍しているアームチェアですが、商業施設などに目を向けると、ホテルのラウンジやカフェなどゆったりとくつろいでほしい場所にアームチェアが置かれていることが多いようです。反対に回転率を高めたい飲食店などではアームレスチェアが採用されています。
アームチェアの種類
ラクな掛け心地が魅力のアームチェアーですが、実はアームの形状によって何種類かに分けられています。
アームチェアの種類は、「フルアームチェア」、「セミアームチェア」、「ワンアームチェア」の3つです。
それぞれの形状や特徴をご説明いたします。
フルアームチェア
「フルアームチェア」とは、肘掛け付きの椅子の中でもアーム部分が長く、腕を置いたときに手元近くまで伸びているアームチェアです。
アームチェアの中でも、もっともリラックスした掛け心地のタイプで、腕の重み全てをアームレストに預けられるのが特徴です。「くつろぐ」ことに重きを置いたチェアであり、家での憩いのひと時やゆったり趣味を楽しむときなどにぴったりですよ。
セミアームチェア
「セミアームチェア」とは、肘掛け付きの椅子の中でもアーム部分を短めに作ったアームチェアです。
「ハーフアームチェア」や「ショートアームチェア」などとも呼ばれます。
フルアームチェアと比較してアーム部分が短いため、横からの出入りがしやすく立ち座りもラクなデザインです。
また、腰回りの自由度も高く、脚を開いて座ったり体の向きを変えたりすることも可能で、よりカジュアルな座り心地を楽しめます。
ワンアームチェア
「ワンアームチェア」とは、肘掛けが左右どちらか一方にだけついたアームチェアです。
1アーム仕様のため、アームがない側面からの出入りがしやすいのが特徴。脚をアームが無い方向に投げ出して、アームにもたれかかるような座り方ができます。また、脚を組むような姿勢もラクにこなせます。純粋な木製の椅子よりは、座面や背面にクッションをつけているものが多く、アームチェアの中でもソファに近い感覚です。
左右アームの配置が逆になるものを組み合わせてラブチェアにしたり、片肘をついて読書をしたりと自由な発想で使えるアームチェアです。
アームチェアとアームレスチェアの違い
ここまでアームチェアの種類と特徴についてお話してきましたが、そもそもアームチェアとアームレスチェアではどんな違いがあるのでしょうか。
もちろん、肘掛けの有る無しで区別をしているのですが、機能面においてどんな違いがあるのかを考えてみましょう。
アームチェアの特徴
- 腕を置いて重みを分散できる
- 座面が広め
- ゆったりとした掛け心地
- くつろぎの時間向き
アームレスチェアの特徴
- 座面と背面で体を支える
- すっきりとした見た目
- 横から椅子に座りやすい
- 立ち座りの多いシーンにぴったり
上記のように、それぞれ異なる特徴があるので、シーンに合わせた使い分けが重要なことが分かります。
それをどこで、どんな用途で使うのかを考えて、ぴったりな椅子を選ぶと快適に過ごせますよ。
アームチェアのメリット・デメリット
アームチェアにはメリットだけではなく、デメリットもあります。アームレストがあることによってもたらされるメリット・デメリットについてご紹介します。
メリット
アームチェアのメリットは、「アームレストに腕を置ける」、「座面が広くゆったり座れる」、「立ち上がる時のサポートになる」の大きく3つです。
アームレストに腕を置けるということは、腕の重みを椅子に預けることにつながります。座っているときの腕の重みを軽減することで、長時間の着座でもラクに過ごすことができます。両腕の重さは人の体重の1割を占めるとされ、腕をだらりと下ろしているときとアームレストに預けている時では疲労感がかなり変わります。
また、くつろぎのための椅子であるアームチェアは、座面が広めにできていることもメリットの一つです。例えば少し体を傾斜させても、しっかりと腰を支えてくれます。圧迫感がない座り心地が魅力のチェアです。
見逃しがちなメリットですが、アームチェアの肘掛けは立ち上がる時の手すりとしても役立ちます。椅子から立つ時にアームレストに手をかけることで、動作をカバー。日常の動きがずいぶんとラクになります。特に年配の方に喜ばれますよ。
デメリット
一方、アームチェアのデメリットは、「場所をとる」、「可動域が狭くなる」、「出入りがしにくい」の3つです。
アームがあり座面が広めであるため、アームレスチェアと比較すると場所をとることは否めません。また、テーブルとセットで使う際は、テーブルとの広さや高さの兼ね合いをよく確認しないと、テーブル下に椅子を納められない可能性が出てきます。椅子に座るためにはアームがある分、椅子を大きく引き出さなければならないので動線の確保も必要です。
アームで左右脇を遮られるため、着座したときの可動域が狭くなることもデメリットと言えます。特にフルアームの場合膝ほどまで左右が塞がれるので、椅子に座っている間はほぼ決まった姿勢で過ごすことになります。脚を組む程度の動きはできますが、体全体を左右に移動することはまずできません。セミアームの場合、可動域は広くなりますが、それでもアームレスチェアよりは動きにくいことは覚えておいた方が良いでしょう。
そして、アームで左右脇が塞がれているので、椅子への出入りが面倒にはなるでしょう。アームが無ければ横からすっと着座ができますが、アームがあればまずアームの無い位置まで椅子を動かし、回り込んで座るという方法をとるしかありません。セミアームであればその負担は軽減されますが、やはり少し面倒くささを感じるかもしれません。
アームチェアの選び方
ゆったりくつろげるのが魅力のアームチェアですが、メリット・デメリットを考えれば選び方に注意を払う必要性を感じますよね。
そこで、アームチェアを快適に使用するための最適な選び方をご提案いたしますので、参考にしてみてくださいね。
サイズ感で選ぶ
まず、お目当てのアームチェアのサイズを見ていきましょう。チェックしたい項目は以下の通りです。
- 座面の広さが体に合っていますか?
- 背もたれの高さはちょうど良いですか?
- アームに腕を置いたときに違和感はありませんか?
やや広めの座面が特徴のアームチェアですが、幅が広すぎても狭くてもおさまりが悪いですよね。アームがあるタイプの椅子なので、座面の広さが合わなければアームレストがきちんと機能しない可能性もあります。自分の体格にあった座面の広さかどうかを確認しましょう。
また、椅子に掛けたときに足がぷらぷらとしてしまうようでも困りますよね。両足の裏がしっかりと床につく高さのものを選ぶと疲労感なく座ることができます。
背もたれの高さも大切です。ハイバックならより安定感のある座り心地ですし、ローバックはすっきりとコーディネートできます。椅子に掛けてみたときに背もたれに背中を預けて、好みの高さのものを選ぶと良いでしょう。
アームレストに腕を置いた時の感覚も重要です。アームの高さや幅、長さは椅子ごとに異なります。腕を置くと肩が上がってしまったり、逆に肩を落とさないと使えないようだと、せっかくのアームチェアも意味がなくなってしまいます。試しに座ったときには、肘掛けの使用感も確認してみましょう。
テーブルとのバランスを見る
ダイニングチェアとして使う場合に特に重要になのが、ダイニングテーブルとアームチェアのバランスです。テーブルのサイズ、チェアのサイズをそれぞれ測ってからの購入が大切になります。サイズを確認するポイントは下記の通りです。
- 椅子全体の横幅
- 座面の高さ
- 床からアームの高さ
少し幅広なアームチェアは、ダイニングテーブルに並べたときに収まりきらない可能性があります。ダイニングテーブルの脚と脚の間の長さを計測し、その幅に収まるかをチェックします。
座面の高さに関してはどのダイニングチェアでも同じですが、テーブルとのバランスを見る必要があります。
地面からアームまでの高さを計測すれば、ダイニングテーブルにチェアがどのように収まるのかの目星が付きますよ。特に天板下に幕板のあるダイニングテーブルに合わせる時は、テーブルの幕板までの高さもしっかり計測しておくと安心です。
座り心地を比べる
椅子として大切なのはやはり座り心地ですよね。アームチェアはとにかく種類が多いので、いろいろと座り比べてお気に入りを探しましょう。
木製のウッドアームチェアや、柔らかいファブリックのクッションを備えたソファ風のアームチェア、スタイリッシュな革張りのものもあれば、プラスチック製のものもあります。自分がお気に入りの座り心地のものを選ぶのはもちろんですが、どんなシーンで利用したいのかも合わせて考えましょう。
飲食時の椅子として欲しいのであれば、そこまでクッション性は必要ないかもしれません。沈み込むと飲み食いしにくくなるので、座面はほどほどの硬さがあった方が良いでしょう。
映画鑑賞や読書などをして、ゆったりと過ごすための椅子が欲しいなら、ソファに近いタイプを選ぶとよりリラックスして過ごせると思いますよ。
とにかくあれこれ座って比較して、これだ!と思う一脚を見つけましょう。
テイストで選ぶ
最後に、お部屋のコーディネートや好みに合わせて、アームチェアのテイストを見てみましょう。
北欧調のお部屋に合わせるのなら、木目を活かしたシンプルなアームチェアがお似合いです。クラシカルな椅子がお好みであれば張地に柄物のファブリックを利用したものや装飾の華やかなもの、軽やかな印象がお好みであれば白色に近い椅子を、締まって見せたいなら黒っぽい椅子を選ぶと綺麗にコーディネートできますよ。
ダイニングセットとして利用したいのであれば、テイストだけでなくお手入れのしやすさも確認してみて。さっと汚れを拭き取れる木製や合皮のアームチェアなら清潔を保てますね。リラックスシーンに合わせるなら、クッション性の高いものやロッキングチェアもおすすめです。
デザインと欲しい機能のバランスを見定めて、ご自分のイメージに合う椅子を選んでくださいね。
おわりに
今回は、私たちの生活に溶け込んでいる椅子「アームチェア」に着目してみました。
アームチェアならではのメリットやシーンに合わせた選び方を知れば、もっと快適に椅子とのお付き合いができること間違いなしです。
ぜひこの記事を参考に、お気に入りの一脚を探してみてくださいね。