日本では春夏秋冬へと移り変わる中で、たくさんの人々が四季折々の風景や行事を楽しんでいます。だからこそ増えていくのが「洋服」や「ファッション小物」の数々です。
衣類を収納する家具はたくさんありますが、その中でも特に衣類に適した収納家具こそが「ワードローブ」だと言えます!お気に入りの服を大切に使いたい、そう思う人にはぜひチェックしていただきたい家具のひとつです。
今回は選び方のポイントを交えながら、おすすめのワードローブをご紹介いたします。
目次
「ワードローブ」と「クローゼット」の違い
ワードローブを探していると、たびたび同じような商品を指してワードローブとも、クローゼットとも呼ばれている場面に遭遇します。どちらも服を収納する機能があることは同様なため余計に混乱を招いてしまいますが、その違いは明確です。
クローゼット
= 衣服をしまうための備え付けの小部屋
ワードローブ
= 衣服をしまうための自立型の家具
クローゼットは建物や部屋の中に元から備わっている収納スペースのことを指します。一方でワードローブは部屋ではなく収納家具のことを指します。つまり、自由に設置場所を移動することができるのがワードローブで、設置場所を動かすことができないのがクローゼットです。
こう聞くとワードローブがさも優秀かのようですが、生活スペースを圧迫しないという点においてはクローゼットに軍配が上がります。
しかしなぜこのように「ワードローブ」と「クローゼット」が混同されるのでしょう?それはワードローブの成り立ちにも関りがあるようです。
ワードローブの意味と成り立ち
ワードローブの英語表記は「wardrobe」です。”robe”についてはマントを指してそう呼んだり、バスローブの中に組み込まれていたりと、服を意味するものだろうと想像がつきますが、wardとは何を意味するのか?いざ辞書で引いてみると、「病室」「監視」などとても衣服とは関係なさそうな言葉が並んでいます。
実はwardrobeは元々違う言葉をルーツに表記を少し変えて生まれた言葉です。
ルーツとなったのは紀元前1300年前に使われていた「warderobe」。その頃使われていた古い英語では”warde”は”守る、保護する”という意味だったので、”robe”の”衣服”と組み合わせれば「衣服を守る」と意味が成り立ちます。これならワードローブのイメージとも合致しますね!
14世紀初頭にはその言葉がwardrobeに転じて、「衣装を保管する部屋」としての意味を持ったそうです。18世紀になるとそれが「部屋」から「戸棚」へと意味が移り、現代に使われる「衣装箪笥(戸棚)」としての意味を持つようになりました。
最初の頃には“部屋”を意味していたので、現代で言うクローゼットのような形態を指していたということですね。このことも、ワードローブとクローゼットの意味の境界をあいまいにした要因なのかもしれません。
組み合わせタイプは4つ!収納したいもので選ぶワードローブ
着回しのバリエーションを増やすために新しい服を加えることを、ファッション業界で「ワードローブに加える」とも言うように、服を収納することにかけては代表的存在であるともいえるワードローブ。
どうしてそれほどまでに服との相性がいいのか、それは服の素材に合わせた収納機能がすべて備わっているからです!
ワードローブを構成するのは主に3つのパーツ。さらに、それぞれの組み合わせによって4タイプのワードローブに分かれます。
ワードローブを構成する3つのパーツ
ワードローブの収納機能を支えるパーツは「ハンガーラック」「引き出し(チェスト)」「棚」の3つです。
「ワードローブと言えばハンガーラックだよね!」「収納機能がたくさんあるほどいいじゃん」と単純に決めてしまってはいけません。例えばニット素材をハンガーにかけて収納すると生地が伸びるので、引き出しや棚に収納しなさい、など服の素材によって適した収納方法がありますよね。
そのため、自身がワードローブに収納したい衣類が何かをリストアップしてから、衣類に見合う収納パーツが備わったワードローブを選ぶことが大切です。
すでに持っている収納家具と組み合わせたい方、シーズンによって所持している服が変わることを見越して機能を選びたい方、ひとによって最適なワードローブは違います。自分に最適なワードローブは何なのか、次に紹介するワードローブのタイプを参考にして考えてみましょう。
パーツの組み合わせ別、4タイプのワードローブ
ハンガーラックタイプ
衣類を掛けるバーが付いたハンガーラックタイプのワードローブ。
ハンガー掛けできるスペースが他のワードローブより広く、バーまでの高さもあるためワンピース、ロングコートなど丈の長い洋服を多くお持ちの方におすすめです。スリムなタイプもあるので、お部屋が広くない方にも取り入れやすいです。
ハンガーラック+チェストタイプ
ハンガーラックとチェストが一体化したワードローブ。 チェストが下段に付いたタイプや、横に付いたタイプがあります。 引き出しにはセーター・ボトムスなどハンガーに掛けづらい洋服や、帽子・アクセサリーなどのファッション小物も収納できます。
ハンガーラック+棚タイプ
ハンガーラックに収納棚が付いたワードローブ。 棚に洋服を畳んで重ねて収納したり、靴・バッグなどの小物を置いたりすることができます。
見た目にも何がどこにあるのかが把握しやすいため、容量よりも、収納の質にこだわりたい方へおすすめのタイプです。
ハンガーラック+チェスト+棚タイプ
ハンガーラックに収納棚と洋服タンスが備わったワードローブ。 収納力に優れ、洋服・小物・アクセサリー・雑貨もひとまとめに収納が出来ます。
ただし、それぞれの収納スペースは狭くなるので必要容量に注意が必要です。
ワードローブを選ぶ際のポイント4つ!
今ある服+これから増える服+取り出やすくする隙間=必要収納量
現在普段着として着用している服を整理して、その容量でワードローブを選んだらきっと近いうちに「あれ?スペースが足りない!」と頭を抱える羽目に。お気に入りの服が増えればスペースが足りなくなりますし、詰め込みすぎると取り出しにくい、服同士がくっつきすぎてしわが寄る、など綺麗に収納したかった気持ちが台無しになってしまいます。
さらに見落としがちなのが、「夏服」と「冬服」の厚みの違い。春夏のシーズンに合わせて容量を決めると、いざ衣替えした時に冬服が入らなくてぎゅうぎゅうに詰め込む……なんてことが起こってしまうでしょう。とくにダウンほど厚みのあるコートは一つあるだけで幅を取ります。
現在表に出ている服だけでなく、シーズンオフでしまい込んでいる服のことまでしっかり把握しておきましょう。
ハンガーラックのバーの高さにも注意!
ロングコートやロングワンピースなど、丈の長い服を収納しようとしたら裾が底について折れてしまいモヤモヤしたなんて経験はありませんか?
ロング丈の服を収納するならば、バーの高さは150㎝以上のものを基準に選びましょう。もちろん服によって必要となる長さは違うため、手持ちの服の丈を測ることがベストです。
流行や好みの変化によって、現在持っている最長の服よりも長い丈の服を購入することも考えられます。先のことを見据えて、余裕を持った高さを選択することも大切です。
「そんな先のことまで考えるのは煩わしい」と感じてしまう方には、バーの高さが調整できるタイプがおすすめ!その時に持っている服に合わせてバーの高さを変えるだけなので簡単・快適に収納することができますよ。
「メイク」の順番を考えて動線をスムーズに
メイクやヘアメイク、ファッションメイク、男女ともにお出かけ前のコーディネートは欠かせません。普段の「メイク」の順番に合わせた動線をつくることで、毎朝の身支度をスマートに完結することができますよ。
ほかにも玄関近くの部屋に設置することで、靴とのトータルバランスを取りやすい動線をつくりたい、コートを脱着しやすくして帰宅時に楽な動線をつくりたいなど、ひとによって重視している生活動線はさまざまです。
こうした時に移動ができるワードローブの利点が最大限に引き立ちます!自分のつくりたい生活動線に合わせて、自由に配置を変えてください。
存在感のある家具だからこそ「見た目」が大事
背の高いワードローブはインテリアの中でも目立つ存在です。それひとつでお部屋の雰囲気を左右することもあるでしょう。だからこそ、見た目にはこだわりたいところ。
無垢材でつくられた自然な風合いのものに、扉の代わりにカーテンを取り付けたカジュアルなものなど、自分の部屋の雰囲気に合わせたワードローブを取り入れましょう。
次の章からはインテリアのテイスト別に合わせたワードローブをご紹介します。
インテリアテイスト別で選ぶおすすめワードローブ8選
モダン
無駄なくスタイリッシュに整えられた都会的なインテリア。シャープな印象を持たせるために、直線的かつ無機質な人工素材で仕上げられたワードローブを選ぶといいでしょう。
昨今では「和モダン」「ナチュラルモダン」など、モダンをベースにして様々な変化を持たせたスタイルも大変人気です。インテリア全体に“直線的”と“シンプル”を意識して、日本の民芸箪笥や、木製のワードローブを取り入れたミックススタイルも楽しんでみてください!
ナチュラル
木の自然な風合いが生かされた、優しい印象のインテリアテイスト「ナチュラル」。このインテリアに似合うワードローブはやはり木製。色は明るいベージュ系か、ホワイトペイントがいいでしょう。
デザインはシンプルなものを選んで、柔らかい雰囲気を出すなら木肌の印象にもこだわると、より満足度の高いナチュラルインテリアになります。
ブルックリンスタイル
アメリカ・ニューヨークの中でも工場や倉庫が立ち並ぶエリア「ブルックリン」をルーツに置くインテリアスタイルで、工業的な雰囲気とレンガ調の街並みを再現しています。
おすすめはスチール製やステンレス製のインダストリアルなワードローブ。もしくは古材とブラックアイアンを組み合わせた武骨さをスタイリッシュさが同居したものもマッチするでしょう。
北欧モダン
明るい色調と柔らかい木肌を持つ木材で、無駄を削ぎ落したシンプルなまでの機能美を形づくる北欧モダン。
最初のブームが興った1950~80年代のヴィンテージ(ビンテージ)の木製ワードローブを選べばナチュラルでも深みのあるコーディネートに。無機質なワードローブを取り入れてモダンな印象を強めたりしても良さそうです。全体のバランス感を探りつつ好みのコーディネートに仕上げてください。
ミッドセンチュリー
1950年代ごろにアメリカで興ったモダンデザインの総称であるミッドセンチュリー。軍事産業の過程で生み出した新素材とその加工技術を家具製造に転用した、新しいスタイルが人気を博しました。
遊びを凝らしたデザインや鮮やかなカラーを持つ家具をメインに据えるとその良さが引き立つため、脇を固めるワードローブは同年代に製造されたシンプルかつ軽快なデザインにしたいですね。
レトロ
日本の昭和時代を思い起こさせるレトロカルチャーを取り入れたテイストで、世代によってはノスタルジックな気分になったり、新鮮な目で楽しんだりと、さまざまな感情が揺り起こされることでしょう。
デザインは素朴なものを選んで、ナラ材など日本で自生する木材でつくられたワードローブ(洋服たんす)であれば、しっくりとレトロな空気に馴染みます。
クラシック
イギリスやフランスのアンティーク家具、アンティーク風家具でインテリアをまとめたクラシカルなインテリア。
重厚でフォーマルな印象のイギリスアンティークと女性的でエレガントな印象のフランスアンティークでテイストが枝分かれしますが、共通するのは繊細に彫り出されたレリーフと悠然とした佇まい。職人の技を惜しみなく注いだ贅沢なワードローブで映画のワンシーンのような毎日を。
Check! 気品漂うフランスアンティークのワードローブを探すなら・・・
「アルモワール ワードローブ」もしくは「アルモワール キャビネット」で調べると、いままで探しているうちで出会わなかったワードローブとお目見えできるかもしれません。
アルモワールというのは16世紀のフランスで流行った「衣装戸棚」を指した言葉。そのため収納パーツは棚が主流であり収納タイプの選択肢は少ないですが、アーチ型のトップや、扉の窓を立体的に演出するモールディング、アカンサス模様の細やかな彫刻といったたおやかな意匠には、まさしくフランスアンティークらしさたる味わいがあります。
まとめ
服の素材ごとに適切な収納方法で保管できるワードローブは、おしゃれや整理整頓に敏感な方からすれば理想的な設備です。
部屋に備え付けられているクローゼットとは異なり、設置場所を自由に決められるため自分のライフスタイルに合わせた生活動線上に設置できるところも魅力のひとつ。
今回紹介した選び方のポイントを参考にして、あなたの理想に適うワードローブを選んでみてください。