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水屋箪笥とは

水屋箪笥とは、現代でいう食器棚のことで台所に置かれていた収納家具を指します。水屋とは水を扱う場所、つまり台所を指します。ここで使用された箪笥のため、水屋箪笥と呼ばれるようになりました。他の箪笥とは異なり、どっしりとした風格を持ちながらどこかモダンな印象もあるため、現在のインテリアにもしっくりと馴染みやすいのが魅力の時代家具です。

水屋箪笥の特徴


水屋箪笥の特徴は、食器や台所用品を整理しやすいように複数の引き出しや戸棚を備えており、炊事の際に使いやすく工夫がされていることです。また、食品の保管にも使用されていたため、引き戸に金網を張ったものもあります。この中には、塩漬けや乾物、茶菓子などをしまっていました。金網で通気性を保ちつつ虫がつくのを避ける機能を持ち、昔の生活の知恵が垣間見えるつくりです。
アンティーク品は当時の日本人の身長に合わせて作られているものが多く、高さはやや低め。それでいて収納力は優れているため。現在でも十分に機能性を感じられるのも特徴です。
また、独特の艶と装飾も他の箪笥にはない印象です。和モダンな空間づくりにはもちろん、他国のアンティーク家具とも相性が良いため、様々なインテリアにマッチします。

素材・装飾など

水屋箪笥の多くは、ヒノキ、ナラ、欅、杉、桐といった木材を使用しています。水回りの湿気に耐えられるよう塗装されているものがほとんどで、アンティーク品は経年による深みのある艶があるのも特徴です。
直線を活かしたデザインのものが多く、シンプルなものから桟や透かし彫りなどの凝った装飾があるものまで様々です。特に引き出しの数が多いもの、引き出しなどの金具に厚みがあるもの、装飾の凝ったものは上手物とされ良品を選ぶ際の見極めのポイントになります。

水屋箪笥の種類

水屋箪笥はアンティーク品から現在に至るまで、様々な地域・ブランドで制作されています。それぞれの特徴をご紹介します。

アンティークの水屋箪笥

明治期に作られた近江水屋箪笥は、水屋箪笥の最高峰とされています。近江地方で作られた水屋箪笥を指し、良質なヒノキ、欅などを使った頑丈さとみざら戸と呼ばれる格子状の引き戸が魅力の水屋箪笥です。
明治から大正期に作られた京都水屋箪笥は重厚感のあるデザインが特徴。またいくつもの引き出しが縦に並んだ昇り引き出しも特徴で、職人の手が掛けられていることが良く分かります。
同時期の飛騨水屋箪笥は、大小様々な大きさの引き出しと棚が備えられている水屋箪笥です。食器類を整頓しやすく、見た目以上の収納力を誇ります。
明治期の関東水屋箪笥は比較的ナチュラルな風合いが魅力的。下段右下にけんどん式の戸が付いたものが多いのも特徴です。

近年の水屋箪笥

岩谷堂箪笥の水屋箪笥は力強く存在感のある佇まいが魅力です。特にこだわりを感じる金具のデザインが注目のポイントになります。
松本民芸家具の水屋箪笥はシンプルでモダンなデザインが特徴的。直線的な装飾を施した水屋箪笥で、和洋どちらにもなじみやすい雰囲気が使いやすい水屋箪笥です。
仙台箪笥の水屋箪笥は細やかな装飾とこだわりを感じる金具が目を惹きます。拭き漆塗り仕上げのものが多く、艶やかで高級感のあるデザインです。
軽井沢彫りの水屋箪笥は、なんといっても彫刻が魅力です。細部まで手をかけた彫刻が艶やかで、部屋に置いたときに主役級の存在感を感じることができます。

水屋箪笥の歴史

水屋とは、もともとは茶道のための準備室のことであり茶室に隣接した小ぶりな部屋を指します。茶道具を保管したり、後片付けや準備を行う茶道のための台所を水屋と呼びました。それが、次第に台所全般を指す言葉に変化していき、そこに置く食器棚を水屋箪笥と呼ぶようになりました。
水屋箪笥が生まれたのは江戸時代のこと。特に関西を中心に発展し、滋賀県の近江水屋箪笥や京水屋箪笥などは豪華なデザインのものが多く、水屋箪笥は豊かさの象徴として取り入れられました。
その後関東、東北まで水屋箪笥の文化は広まっていき、次第に一般家庭にも普及するようになっていきます。関西の水屋箪笥は贅を尽くしたものが多いのに対し、関東・東北ではシンプルなデザインのものが主流なのは、こういった経緯があるようです。

水屋箪笥と食器棚の違い

水屋箪笥はいわゆる食器棚の一つですが、一般的な食器棚と水屋箪笥の違いは何なのでしょうか。
まず、一般的な食器棚と比較して、水屋箪笥は高さがやや低めという特徴があります。この特徴は、アンティーク品だど顕著になります。というのも、当時使用していた日本人の体型に合わせて設計していたため、あまり高さを出さない工夫をしていたようです。一方横幅に関してはまちまちで、コンパクトなものから9尺(2.72m)もの大きさがあるものまであり、現在の食器棚では見かけない幅広な水屋箪笥も存在します。
次に、一般的な食器棚と比較すると、大小様々な引き出しが備え付けられていることが分かります。引き出しの数が多いのも特徴で、細々したものをすっきりと整理できるのが水屋箪笥の特徴でもあります。
最後に水屋箪笥は装飾の凝ったものが多いのが、食器棚との違いです。透かし彫りや、格子、桟の意匠など職人のこだわりを感じるデザインが一般的な食器棚にはない魅力ですね。

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