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ウレタン仕上げとは


ウレタン仕上げとは、ウレタン樹脂が主成分の塗料を用いた仕上げ塗装法のことです。ウレタン仕上げを施すと家具の表面に塗膜が形成され、水・傷・汚れなどから家具を保護する効果が得られます。見た目の艶感の有無や度合い、色合いなどは塗料の種類によって調節可能なので好みに合わせた仕上がりを楽しむことができ、表面の手触りはツルツルとした滑らかさを感じます。耐水性・耐久性・耐汚性・耐消耗性に優れ、普段のメンテナンスも簡単なウレタン仕上げは、現代における家具の仕上げ塗装の主流として世界中で広く活用されています。

ウレタン仕上げの種類と特徴

ウレタン仕上げには様々な種類分けがあります。例えば「主成分の種類」「硬化剤を混ぜるタイミング」「水性か油性か」「無色か有色か」など、どこに着目するかで種類の分け方は異なってきます。ここでは、様々な種類分けとそれぞれの種類の特徴についてご紹介していきます。

種類分け1. 主成分の種類

主成分となるウレタン樹脂の種類によって「ポリウレタン樹脂塗料」と「アクリルウレタン樹脂塗料」の2つに大別することができます。元々高い耐久性や耐候性を誇るポリウレタン樹脂塗料ですが、そのポリウレタン樹脂塗料を改良してアクリルウレタン樹脂塗料が生まれたので、2つを比べた場合アクリルウレタン樹脂塗料の性能の方がより優れているといえます。ただポリウレタン樹脂塗料に比べると、アクリルウレタン樹脂塗料の方が塗膜の厚さが薄い場合があります。

種類分け2. 硬化剤を混ぜるタイミング

硬化剤とは、耐久性を高めるために塗料を硬化させる薬剤のことですが、そうした硬化剤を混ぜるタイミングによって「1液型」と「2液型」に種類分けすることができます。1液型は予め主材に適量の硬化剤が混ぜられている状態なので作業性が高く、価格も比較的安価なためよくDIYでも取り入れられています。一方2液型は、使用する直前に主材と硬化剤を混ぜ合わせる必要があります。手間はかかるものの、1液型よりも丈夫な塗膜を形成するので耐久性が高く、また密着性もあるため金属などの素材にも対応できます。使用するには専門の知識や技術を要するため、プロによる施工に適しているといえます。

種類分け3. 水性か油性か

ウレタン塗料は主材や硬化剤だけでは塗布しにくいため、粘度を調整しながら成分を均一に分散させる「溶剤」で希釈する必要がありますが、その溶剤の種類によって水性か油性かに分かれます。水性ウレタン塗料は水で希釈されたものを指し、ウレタン特有の匂いが少なく、環境にも優しいです。油性ウレタン塗料はシンナー等の有機溶剤で希釈されたもので、水性ウレタン塗料よりも耐久性・密着性・硬化するスピードに優れています。水性ウレタン塗料のほとんどは先述した1液型に該当しますが、油性ウレタン塗料には1液型と2液型があります。

種類分け4. 無色か有色か

ウレタン塗料には着色剤を含まない「無色(透明色)タイプ」と着色剤で色を付けた「有色タイプ」があります。無色タイプは「クリア塗装」と呼ばれることもあり、その透明度を活かして木目の美しさを引き立てます。有色タイプは好きな色に仕上げることができるので個性を表現しやすいです。

また、色味だけでなく艶の程度によっても見た目の印象は大きく変わります。ウレタン塗料に艶消し剤(フラットベース)や艶具合の異なる他塗料を配合することで艶調整を行うことができ、仕上がりは「艶あり(全艶)・7分艶・5分艶・3分艶・艶消し」の5段階に分類されます。艶ありは光沢感が強く煌びやかな印象を与えるのに対し、艶消しはマットな仕上がりで木の自然な風合いが感じられます。そうした艶の度合いは見た目だけでなく機能性にも影響し、例えば艶ありは艶消しに比べ汚れが付きにくく耐久性・耐候性に優れているといえます。

「ウレタン仕上げ」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「クリア塗装とは」のページはこちら

ウレタン仕上げの歴史

ウレタン仕上げの誕生

ウレタンの歴史は、1937年にヨーロッパでポリウレタン化学が開発されたことで始まります。開発したのはドイツの化学者であるオットー・バイエルと、彼が率いる研究開発チームでした。開発されたポリウレタンは繊維・ゴムの代替品・接着剤・断熱材など様々なシーンで活用され発展していきます。そうした中塗装として使用される大きなきっかけとなったのは、1940年初頭の第二次世界大戦中、オットー・バイエルが設立したドイツの染料工場「バイエル社」で航空機用の保護コーティング塗料「D.Dラッカー」が生み出されたことでした。その性質の良さは世界中に知れ渡ります。戦後もなお開発は進められ、木製品の塗装において主流となるほど性能は高められていきました。

日本のウレタン仕上げの歴史

ポリウレタン技術が海外から日本へ導入されたのは、第二次世界大戦後に急速な工業化・経済復興が進められている時期でした。工業化の進展にはなくてはならない新素材としてポリウレタン樹脂の需要は上昇します。そして国内でも様々な塗料メーカーが誕生し、1955年にはミクニペイントという会社が、国内初となるポリウレタン樹脂塗料「ポリデュール」を売り出しました。国内供給が安定したことで価格も下がり、ウレタン塗装はより身近な存在となっていきます。1990年後半になると環境に配慮した塗料の開発が進み、水性や揮発性有機化合物(低VOC)のポリウレタン塗料が発売されます。近年でも環境を考えた製品は開発され続けていて、再生可能資源でできたポリウレタン樹脂などにも注目が集まっています。さらに製品の性能もどんどん高まっており、耐久性や耐候性などに優れたウレタン塗料が現代の市場に数多く並んでいます。

ウレタン仕上げの家具

実際にウレタン仕上げを施した家具をいくつかご紹介します。

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