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ロイヤルコペンハーゲンとは

デンマークが誇る老舗ブランド、ロイヤルコペンハーゲン

ロイヤル・コペンハーゲン(Royal Copenhagen)は、北欧デンマーク産の磁器で、18世紀後期から生産されています。
デンマークの国宝にも認定されている、王室用正餐食器「フローラ・ダニカ」を始め、染付(そめつけ)食器の「ブルー・フルーテッド」を生み出すなど、豪華さや気品ある意匠を、卓越した技術で表現し、世界にその名を知られています。
ロイヤルコペンハーゲンの美しい磁器の紹介と共に、その成り立ちも説明していきます。

ロイヤルコペンハーゲンの美しい色彩

ロイヤル・コペンハーゲンは創業時より、金彩を含む多彩な上絵付けを行なう色絵「五彩(ごさい)」と、コバルト釉に透明釉をかけた染付「青花(せいか)」の製造を目指しました。
ミュラーは豪華でコストがかかる五彩を宮廷用、低コストの青花を日用品にすることを企図しますが、当初は上手くいかず、マイセンの技術を導入しつつ独自化に努めます。

ロイヤル コペンハーゲン ブルーフルーテッドフルレース

やがて青花は主力製品となり、ブルー・フルーテッドとして定着します。五彩製品同様、波状の凹凸ある型押しや透彫等も施されます。成形もマイセンに同じく、石膏型を使い、あとで各部を組み立てる方式で、それ以外は基本的に手作業で行なわれます。

また、施釉は筆描きの他、吹き付けや下絵に様々な色を用いる釉裏彩(ゆうりさい)、無施釉で大理石の質感を得る締焼(ビスク)、釉薬の反応で結晶模様を得る結晶釉等があります。

ブルーフルーテッドをはじめとするロイヤルコペンハーゲンのシリーズ

ロイヤルコペンハーゲン コーヒーポット

ロイヤル・コペンハーゲンで製造されている器の種類には、茶器・酒器・食器・壺・花瓶等のほか、人形・彫像・プレート・小箱・ボタン・時計等があります。

その様式・デザインには、中国陶磁文様を繊細・独自化した青花や、五彩の風景画が入るロココ式、古代人物画が入る新古典主義式、五彩による動植物の細密画、幻想的作風やジャポニズムを採り入れたアールヌーボー式等があります。

フィギュリンにイヤープレート。ロイヤルコペンハーゲンの代表作

ロイヤルコペンハーゲン ブルーフルーテッド

左/フルレース 右/ハーフレース

代表作は、草花・鱗状の青花文様が入る食器「ブルー・フルーテッド」、その縁に透彫とレース模様が加わる「フル・レース」、透彫がない「ハーフ・レース」、五彩の植物細密画を金彩・立体造形等で飾った最高峰のディナー・サーヴィス(正餐食器類)「フローラ・ダニカ」

ロイヤルコペンハーゲン フィギュリン

また、食事用の器だけでなく、愛らしい動物や人物を染付・五彩で表現した彫像「フィギュリン」、

ロイヤルコペンハーゲン イヤープレート

陰影ある染付風景画が入る記念皿「イヤープレート」等の、ディスプレイ雑貨も有名です。

近年では、元ビングオーグレンダール社の人気製品「クリスマスプレート」、文様の一部を拡大し斬新化を図った「ブルー・フルーテッド・メガ」、凹凸柄のみの白磁食器「ホワイト・フル―テッド」、ブルー・フルーテッドの文様に動きを与えた「ブルー・コペンハーゲン」等があります。

デンマークから愛された白磁器メーカー、ロイヤルコペンハーゲンの歴史

「白い金」と呼ばれた磁器、ボーンチャイナ

ロイヤルコペンハーゲン ホワイトフルレース

16世紀頃からヨーロッパにもたらされた日本や中国の色絵・染付の硬質磁器、ボーンチャイナは、西洋諸国に衝撃を与えました。西洋では見られない珍しい磁器に、王侯貴族達が競って収集を始めました。
やがて、「白い金」とまで言われたその模造が各国で試みられ、1709年に現ドイツのマイセン窯が成功し、以降フランスのセーヴル等の欧州各地に広まります。
高度な科学・芸術技能を要する製磁は国家の威信や利益にかかわる重要な課題になりました。

ボーンチャイナの探究

ロイヤルコペンハーゲン マーク

デンマークでの磁器開発も18世紀前期から続けられましたが成功には至りませんでした。1755年に国内で磁器原料のカオリンが発見され、1760年に王国が製造特権を与えて「コペンハーゲン磁器工場」が設立されて、ドイツやフランスの人材も投入されますが、作られたのは軟質の磁器でした。

しかし、1773年、数年前から国産カオリンでの製磁実験を重ねていたミュラーが、遂に硬質磁器(ボーンチャイナ)の製造に成功します。

ロイヤルコペンハーゲンの誕生

デンマーク王室は財政支援を行ない、1775年に「デンマーク磁器工場」が設立されました。今日のロイヤル・コペンハーゲンの前身誕生です。
工場は首都コペンハーゲンの中心部に設けられ、ミュラーは技術責任者の地位、工場には特権が与えられ、株の大半を王室が所有する有限会社として運営されます。早速、ドイツから原型製作や絵付の技術者が招かれ、花柄や人物文が施された染付の白磁が製造されました。

ロイヤルコペンハーゲン ブルーフラワー

ブルーフルーテッドやブルーフラワーシリーズに描かれる草花は、創業当初からのモチーフ

デンマークが国を挙げて守り育てたロイヤルコペンハーゲン

しかし、赤字が続いた為、1779年には「デンマーク王立磁器工場」として王立化されました。市場販売も開始され、手ごろな価格の日用品から絢爛豪華な壺や食器セット等の贅沢品まで、様々な製品が製造されました。
工場は観光地ともなり、1790年にフローラ・ダニカの製作が始まると各国の旅行雑誌にも掲載されました。
また、王室の贈答品に使われ、他国に販売店が出来たりするなど、その名声を急速に高めます。

困難な時代を乗り越えて

ロイヤルコペンハーゲン サイン

高い品質と「ロイヤル」という特別な名を持ったロイヤルコペンハーゲンは、たちまち内外に知られることになります。ですが実際の経営状態はあまり良くなかったようでした。
1801年にはイギリスの砲撃による破壊を受け、多くの工員が犠牲になります。更に1813年にはデンマークの貨幣制度が崩壊し、翌年にはノルウェーとの連合が解消されて燃料木材の入手も困難となりました。

工場は建築家G・F・ヘッチに協力を仰ぎ、セーヴル風デザインの導入や、彫刻家トーヴァルセンの大理石彫刻作品の小型レプリカ製作を始め、無事成功し復興を果します。そして、1868年には王室が「ロイヤル」の名を残すことを条件に工場を手放し、民営化されました。この出来事は工場がロイヤル・コペンハーゲンを名乗る由来ともなります。

パリ万博のフィギュリンで、ロイヤルコペンハーゲンは世界へ

ロイヤルコペンハーゲン 猫

今もなお新しいデザインが作り続けられているロイヤルコペンハーゲンのフィギュリン。

1884年に工場の所有権が変わり、郊外のフレデリクスボーに移転します。産業・芸術の融合と近代化が掲げられ、美術監督に若き建築家クローが招かれ、ブルー・フルーテッドの復刻や下絵技法の確立、最新のアールヌーボー意匠の導入等を行ない、伝統を革新します。そして1889年にはロイヤルコペンハーゲン初のフィギュリンがパリ万博グランプリを獲得しロイヤル・コペンハーゲンの名を不動のものとします。

20世紀以後は、フィッシャーやオルセン、ヘニング、ニールセン、マイヤー、トゥロール、ワイス等の技師らが活躍。
また、第二次世界大戦後には機能的・実用的な意匠をもつ「北欧モダン」の日用品も作られました。その後も工場内外の優れた作家達と共に、伝統に新しい表現を加えつつ、世界に愛される陶磁メーカーとしての歩みを続けています。

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