観音箪笥とは、和箪笥の一種で観音扉に大ぶりの金具を付けた箪笥を指します。重厚感がありどこか無骨な印象のデザインが特徴的です。扉の中は大きな引き出しが納められており、衣装盆の付いた衣装箪笥とは異なるどっしりとした存在感が魅力です。
観音箪笥の特徴
観音箪笥の特徴は、やはり観音開きになる扉に取り付けられた存在感のある金具でしょう。十字に付けられた金具は非常に重厚感があり、どちらかというと男性的な印象があります。部屋に置くだけで抜群の存在感があり、部屋の印象も締まって見えるデザインです。引き出しに観音扉を付けることで気密性もアップしますので、大切な衣類をしまっておくのに重宝します。
素材・装飾など
素材には桐や桧、杉などが使われており、特に総桐のものは上手物とされています。観音扉のヒンジにも個性的で豪華な金物をあしらい、特に扉の十字の金物が目を惹きます。中央部分い大きな丸い飾り金具を取り付け、そこに引手が付いているデザインです。中には十字の装飾はなく、中央の丸型の装飾だけのものもあります。
観音箪笥の種類
観音箪笥の重ね箪笥
観音箪笥の多くは上下に分かれており、下段は引き出しのみのもの、上段に観音開きの箪笥を重ねます。もちろん上下に分けてローボードのように使うこともできるのが魅了的ですね。高さを出さずとも十分な存在感があるのも観音箪笥ならではです。
観音箪笥の金庫箪笥
観音開きの箪笥には、金庫箪笥もあります。こちらも観音箪笥ならではの特別な重厚感があるのが特徴です。小ぶりな箪笥ですので、金物のデザインが良く目立ち豪華でありながら渋さも感じられます。
観音箪笥の収納箪笥
観音箪笥の中では変わった設計で、扉を開くと引き出しではなく棚が備え付けられています。大切な書類や小物などを整理しておくのに便利なデザインですね。
観音箪笥の歴史
主に関東一円で造られていた、観音箪笥。金具が力強く大きいのが特徴です。一見派手に見えますが華やかさはなく、上方の箪笥と比べると男性的な荒々しい雰囲気があります。華美なものが野暮とされた、江戸っ子の美学が感じられる粋な装飾です。経年の深みが感じられる桐材の木味と漆黒の金具の調和。関東の観音箪笥ならではの伝統的なデザインが魅力です。
観音箪笥と着物箪笥の違い
観音箪笥と同じように、観音扉が特徴的な着物箪笥がありますがどのような違いがあるのでしょうか。観音箪笥は観音扉を開くと引き出しが現れるのに対し、着物箪笥はたくさんの衣装盆が並べられています。着物箪笥はその名の通り着物を大切に保管するための箪笥です。一方の観音箪笥はやはり衣装などをしまうことが多いのですが、引き出しが出てくることでより男好みなスタイルを感じさせます。