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ハーフムーンキャビネットとは


ハーフムーンキャビネットとは、その名の通り半月型の曲線を描いたキャビネットのことを指します。フランス語で半月のことを「demilune(デミルーン)」というため「デミルーンキャビネット」と呼ばれることもあります。
中に物を収納するというキャビネットとしての役割を果たしながら、その優雅な形状によって空間に華やかさをもたらします。伝統的な家具として何世紀にも渡り製造され続けている人気のある家具です。

ハーフムーンキャビネットの特徴

特徴その1. 美しいフォルム

キャビネットといえば一般的に箱型のタイプが多い中、ハーフムーンキャビネットは上から見た時に半月の形をしているという所に大きな特徴を持ちます。湾曲した前面は、その滑らかな曲線美で空間に優雅さがけでなく柔らかさも与えます。
またハーフムーンキャビネットのほとんどには脚が付いており、高さを出すことでよりスタイリッシュで軽やかな印象を与えることができます。

特徴その2. 凝った装飾

ハーフムーンキャビネットが作られ始めた頃のヨーロッパは、ネオクラシズム様式(新古典主義)の時代であったため、洗練された上品な装飾を施していることが多いです。
例えば精巧な彫刻・象嵌・寄木細工が施されていたり、金属が使用されてたり、天板に大理石をのせたりなど、様々な技法や素材を用いて彩られました。

脚元には曲線美のあるガブリオールレッグや、挽物細工を施したデザインなどがよく採用されています。

「ネオクラシズム様式」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「ネオクラシズム様式とは」のページはこちら

「ガブリオールレッグ」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「カブリオールレッグとは」のページはこちら

⇒ラフジュ工房のカブリオールレッグはこちら

特徴その3. 機能性

見た目の美しさだけでなく、複数の棚や収納スペースが取り付けられているので、キャビネットとしての優れた機能性もたくさん持ち合わせています。
また他の収納家具に比べると小振りなサイズが多く、平らな背面は壁にピッタリとフィットさせることができるため省スペースでの使用が可能です。角のない前面によって空間は広くなり、圧迫感を与えないという点も特徴の一つです。

ハーフムーンキャビネットの素材の種類

木製タイプ

ハーフムーンキャビネットは素材で大別することができ、その一つが木材のみで作られたタイプです。
アンティーク品ではよく、マホガニーやウォールナットなどの高級木材が使用されています。木の美しい風合いをたっぷりと堪能できる上、趣のある落ち着いた雰囲気を醸し出すことができるのは木製タイプならではの特性といえます。
さらに表面に漆やカラーペイントを施すことで全く違った印象となり、様々な表情を楽しむこともできます。

ガラス扉を使用したタイプ

ハーフムーンキャビネットの湾曲した前面は、構造上横からも中が見やすくなるので、ガラス扉を用いてディスプレイキャビネットのように使用されることが多くあります。
中に飾られるのは、鑑賞性の高い陶磁器やガラス製のオブジェ、アート作品、コレクション品など様々です。
棚もガラス製であったり、中の背面に壁紙を張ったりして、展示物がより美しく映えるように工夫して作られたものも数多くあります。

ハーフムーンキャビネットの歴史

ハーフムーンキャビネットの起源は18世紀後半のフランスにあります。当時のフランスの家具メーカーは、古典的な芸術にインスピレーションを得て、直線的かつ対称的なデザインで優雅さと格式のあるハーフムーンキャビネットを製作しました。その美しさを気に入った貴族たちは自宅のダイニングルームなどに取り入れ始め、次第に人気を集めていきます。実用のためだけでなく、地位や富の象徴であったことも人気を高めていった理由の一つでした。
その人気はフランスからイギリスへ、そしてヨーロッパ・アメリカ全土へと広がっていきました。その後それぞれの国ならではのモチーフやデザインを取り入れながら各国で発展を遂げていきます。20世紀に入ると当時ヨーロッパやアメリカで人気のあったアールデコ調のハーフムーンキャビネットが誕生し、そして現代へと時が進むにつれよりスッキリとしたシンプルなデザインが強調されるようになっていきました。
こうしてハーフムーンキャビネットは、インテリアを華やかに彩る家具として大切に受け継がれ、現在でも多くの人に愛され続けています。

ハーフムーンキャビネットと類似するチャイナキャビネット

チャイナキャビネットとは、陶磁器などのコレクションを展示するために作られたキャビネットのことで、中にはハーフムーンキャビネットのように半月型をしたものも存在します。
そうした半月型のチャイナキャビネットは、美しいフォルム・凝った装飾・ガラス扉などハーフムーンキャビネットとの共通点が多く、見分けがつかないほど類似しているため同じような用途で使うことができます。
ただしチャイナキャビネットはサイズや形状のバリエーションが豊富で、展示物を照らすため照明器具を取り付けたものも多く、ハーフムーンキャビネットに比べるとより「展示」に特化している家具といえるかもしれません。

「チャイナキャビネット」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「チャイナキャビネットとは」のページはこちら

⇒ラフジュ工房のチャイナキャビネットはこちら

ハーフムーンキャビネットのインテリア例

小振りなサイズでありながらしっかりとした存在感を放つハーフムーンキャビネットは、玄関・リビング・寝室など様々な場所に取り入れやすく、品格と華やかさのある空間を作り出します。

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