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ブラケットフィートとは


ブラケットフィートとは家具の脚に施されるデザインの一種で、別名「ブラケットフット」と呼ばれることもあります。
建築用語での「ブラケット」は、壁や柱から突き出た棚などを支える受け木のことを指しますが、まさにその姿に似たL字のような形をしていることからこの名が付けられました。

どっしりとした安定感を持ち、優雅な曲線で家具全体に高級感を与えてくれるブラケットフィートのデザインは、18世紀のヨーロッパで人気を博しました。

ブラケットフィートの特徴

ブラケットフィートはイギリスアンティーク家具でよく見られ、キャビネットやドレッサーのように脚の長さが短く設定された家具に取り付けられることが多いです。
しっかりと構えた重厚感のある造り、そして曲線のある美しいデザインが特徴です。その佇まいは存在感がありながらも主張しすぎることはなく、さりげない華やかさを醸し出しながら上品な脚元を演出します。

台座のように正面と側面で囲むように作られるため重い家具の下でも耐久性が抜群。またそうした造りによってどの角度からでもブラケットフィートのデザインを楽しむことができます。素材には当時イギリスで主流だったウォールナット材やマホガニー材がよく使用されていて、そうした高級木材の美しい木目なども魅力のひとつとなっています。

ブラケットフィートの種類

ブラケットフィートの形状は、基本的には角から伸びる直線ラインと内側の曲線ラインで構成されますが、直線や曲線の描き方によって様々なデザインのバリエーションが生まれます。ここでは主な3つのスタイルをご紹介します。

プレーンブラケットフィート

外側のエッジが直線で、内側のエッジが曲線を描くスタイル。ブラケットフィートの中でもよく見かける定番の形です。内側のカーブの仕方によって多種多様なデザインがあります。

オジーブラケットフィート

外側のエッジはS字型に湾曲し、内側のエッジも曲線で形作られたスタイルです。オジーは日本語で「葱花線曲線」の意味で、その柔らかいシルエットからは優雅な雰囲気が漂います。

スプレイブラケットフィート

外側のエッジが反ったような形状をしています。比較的細めに作られることが多く、スタイリッシュな印象が強いデザインです。

ブラケットフィートの歴史

ブラケットフィートは17世紀後半にイギリスの家具で使用され始め、18世紀に人気を集めました。
ブラケットフィートが発展していった背景には、実は様式の移り変わりが大きく影響しています。18世紀初頭のイギリスはアン女王が君臨していた頃で、優雅な曲線を用いたクイーンアン様式で家具が作られていました。わずか12年という短いアン女王期の次にジョージ1世が王位につくと、家具はジョージアン様式で作られるようになっていきます。ジョージアン様式ではクイーンアン様式の優雅な雰囲気や実用性に長けた造りを継承しながらも、より優美な装飾を取り入れた直線的なデザインへと変化していき、その中でブラケットフィートは誕生しました。

この時代は「イギリス家具の黄金期」とも言われており、チッペンデール・ヘップルホワイト・シェラトンといった著名な家具デザイナーが、独自のスタイルで数々のブラケットフィート家具を生み出していきました。
現代でもブラケットフィートは作られていて、装飾性の高いものからシンプルなものまで幅広いデザインで家具の脚元を飾っています。

「クイーン・アン様式」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「クイーン・アン様式とは」のページはこちら

ブラケットフィートのある家具

脚元にブラケットフィートを取り入れたアンティーク家具をいくつかご紹介します。

ブラケットフィートのあるインテリア

ブラケットフィートのある家具からは落ち着いた上品な雰囲気が漂い、洗練されたデザインによって現代のインテリアにも馴染みやすいです。

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