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アダム様式とは

アダム様式とは、18世紀後期のイギリスにおいて「ロバート・アダム」をはじめとするアダム兄弟たちによって創造された様式のこと。古典主義を取り入れた優美で軽快な構成が特徴的で、建築や室内装飾のほか、家具や食器、調度品など広く用いられました。その直線的な外観と明るい色調は、イギリス全土で人気を博したほか、フランスやアメリカなど国を超えて流行し、装飾美術に大きな影響を与えました。18世紀後半から19世紀の建築史を決定づける様式ともいえます。

アダム様式の特徴

アダム様式は、イギリスの伝統をもとにしながらも、古代ローマやギリシャ、中世ゴシックなどの古典的な意匠を組み合わせた、独創的なスタイルが特徴です。

当時作られた内装や家具には、パステルカラーなどの明るい色彩を基調とし、軽快で華麗な構成や直線的で細身の外観、そして古典様式からインスパイアした浅い浮き彫りを施したモチーフが見られます。

また、アダム様式は天井から壁面、家具や建具などに広範囲にわたって用いられており、その統一感のある見事な様式美は、フランスで流行した新古典主義になぞらえて「イギリスのルイ16世様式」とも呼ばれました。

なお、アダム様式に使われた装飾には、「アカンサスの葉」、「ギリシャの竪琴」、「柱の彫刻」、「花鋼飾り」、「メダリオン(楕円形)」といった古代ローマやギリシャの遺跡からヒントを得た古典的なモチーフや彫刻が施され、ロココ様式に見られた「猫脚(カブリオールレッグ)」のような甘美で可愛らしい装飾は見られません。

アダム様式の歴史

アダム様式の歴史は古く、18世紀までさかのぼります。アダム様式の生みの親であるロバート・アダムは、著名な建築家ウィリアム・アダムの次男として1728年に生まれました。裕福な環境で育ちますが、大学生のときに父が死去。兄弟たちとともに父の事務所を継いだことから、ロバートをはじめアダム兄弟は建築家として道を歩き始めます。

建築事務所の中心として動いたロバートは、貴族の邸宅や富裕層の住宅などを多く手掛け、着々とキャリアを積んでいきますが、それ以外にも、ポンペイなどの世界遺跡の調査をするなど考古学研究者として社会的に名声を得ます。同時に、国内外の建築家仲間や哲学者との交流によって、ロバートは建築家として独創的な感性を磨いていくのでした。

アダム様式が生まれたこの時代、イギリスは産業革命による新富裕層の登場や住宅ブーム、アフタヌーンティー文化の隆盛など、社会的に大きな変革がありました。そんな社会的な影響もあり、ロバートは建築の世界にも新たなスタイルを生み出す必然性を感じていたことでしょう。アダム様式は、そんなロバート・アダムの独自の視点を体現化したともいえ、目まぐるしく変わるイギリス社会の中で育まれた様式だったのです。

あわせて知りたい、ジョージアン様式

新古典主義を代表するアダム様式が流行したのは、18世紀後半のこと。イギリスではこの時代、国王ジョージ3世による「ミッド・ジョージアン様式」と呼ばれるスタイルがありました。

芸術面ではフランスを頼りきりにしていたイギリスが、国内独自の文化を開花させようと模索して生まれたのが、この「ジョージアン様式」。ジョージアン1世~3世が国王の座についたおよそ100年続きますが、アダム様式は、その後期にあたる「ミッド・ジョージアン様式」のさなかに登場しました。アダム様式を確立させたロバート・アダム自身も、この時代に生きた建築家としてジョージアン様式の影響を強く受けていると考えられ、ふたつの様式はどことなく似ているのも自然なことでしょう。

ちなみに、このジョージアン様式の登場によって、建築や家具をはじめとするイギリスの芸術性は格段に向上し、今に伝わる歴史的建造物やアート作品、家具などの数々を残してきました。

現在、アダム様式時代に作られたアンティーク家具そのものを見つけるのは大変困難ですが、アダム様式のルーツを感じるジョージアン様式のアンティーク家具は比較的簡単に探すことができます。今では大変希少なマホガニー材が多く使われ、締まった杢目と端正な佇まい、頑丈なのに軽い材質が特徴的なジョージアン様式の家具。良質な木材と高度な職人技が活きた素晴らしい家具は、当時のイギリスで大変人気を集め、イギリスにおける家具の黄金期を支えました。

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