数多の転職サイトや転職アドバイザーたちがこぞって取り上げる、『ブラック企業の特徴』。
令和3年版経済センサス活動調査によると、調査実施時点での国内の法人企業数は約178万社。
しかしながら、その全てが善良なホワイト企業かと言うと、答えは否。
求職者を食い物にする、回避すべき会社も存在します。
そんな企業を見極める指針になるのが、上述の『ブラック企業の特徴』や『入らない方が良い会社の特徴』といったコンテンツ。
…なのですが、わたしは常々思っていました。
列挙された悪しき特徴の中に紛れる、「人手が足りてない」「いつも求人を出している」「家族経営」などのワード。
「いやこれ、ラフジュだな」と。
世間一般で言われる“ヤバい会社”に自社が当てはまっている、この事実を社長はいったいどう捉えているのか?
懲りずに突撃インタビューしてみたら、口コミ記事では語られなかったラフジュ工房の実情を、また一つ知ることができましたよ!
決定版!これが令和の「ヤバい会社」
それではまず、皆が思うブラック企業、入ったらダメな会社の特徴を見ていきましょう。
各特徴ごとにラフジュの場合はどうなのか、実情と照らし合わせつつまとめてみました。
「〇」は「当てはまる」/「✕」は 「当てはまらない」/「△」は「どちらとも言えない」 になります。
※参考:
退職した方がいい会社の特徴14選!該当する時の対処方法も解説
辞めたほうがいい会社の特徴とは?判断するポイントや抜け出し方を紹介
辞めた方がいい会社の特徴20選!見切りをつけた方がいい会社にいるとやばい理由を解説
辞めた方が良い職場の特徴20選|働き続けるリスクも紹介
こうして書き出してみると圧巻ですね。
転職アドバイザーの中には、一つでも当てはまったら危険信号と言う方もいますが、弊社に当てはまりそうなのは一つ、二つ、三つ…。
やはり、このリストを指針とするならば、ラフジュ工房は「入らない方が良い会社」ということになりそうです。
今回は、リスト内の「〇」「△」を付けた項目から更に絞って、
・いつも求人を出している
・家族経営
この2つに着目し、社長に話を聞いてみました。
なお、下記のページでは過去実際にあった求人口コミについてまとめています。
興味のある方はぜひ一緒にチェックしてみてください!
特徴その① いつも求人を出している
ではさっそく一つ目、『いつも求人を出している』ですね。
社長、よろしくお願いします。


詳しく話を聞いてみたところ、「常に求人を出しているってことは、実際入社したら忙しすぎてギスギスしてるんじゃないかな?」「だから退職者が多くて、いつも人を募集しているんじゃないかな?」と思ったと。
たしかに、警戒されるのも無理ないなと思います。
求人を出している=多かれ少なかれ人手不足なわけですから、その分現場も疲弊していて雰囲気悪そう、パワハラとかありそう、と考えるのも当然です。

そこはどうか安心してください。
振る仕事は個々人の適性に応じて慎重に決めていますし、仕事量も負担になりすぎないよう、時には本人と面談したりして調整しています。
うちはどちらかと言うと、「仕事に人を付ける」というよりは「人に仕事を付ける」会社なんですよね。

もちろんスキルがあるに越したことはないんだけれども、それだけが全てではなくて。
要は適性とポテンシャル(潜在能力)が大事なんだよ、ということは伝えたいです。
で、本題の年がら年中求人を出している件についてですが。
なんなら十何年間、出しっぱなしです。
もはやハローワークの常連と言っても過言ではないぐらい。
なぜずっと出し続けているのか?と聞かれたら、結局のところお客様にもっと喜んでほしいから、という一点に尽きるんですよね。

ラフジュ工房ではこれまで、より多くのお客様にご満足いただけるショップを目指し、アンティーク品だけでなく中古のブランド家具を扱ったり、オーダーでの新規製作や、お客様お手持ちの家具のリメイクなど、あらゆる可能性に挑戦してきました。
最近では新たに不動産事業部を立ち上げ、古い空き家や空き店舗のリノベーションも始めたんですよ。
それらを形にできたのは、ひとえに業務を担ってくれる社員の存在があったからこそ。

ただ難しいのが、うちはとにかく「こんなはずじゃなかった」というミスマッチが非常に多い会社でして。
そうしたミスマッチを未然に防ぐため、仕事に対するスタンスや考え方・人生における優先順位、さらには他者への関わり方など、総合的な価値観が合う人だけを採用するようにしているんです。
人材採用界隈で言うところのカルチャーフィットってやつですかね。

それをお互い「なんか合わないな」「理解できないな」と思いながら一緒にいるなんて、しんどいし不健全じゃないですか。
これまでの口コミ記事でも散々触れてきましたが、これはもう、長年ラフジュ工房の代表を務めてきて骨身にしみているので。
めちゃくちゃ仲間集めにこだわっているな、という自覚はありますね。
でも、

実のところ、ありがたいことに応募の数自体はかなり多いんです。
具体的な数字をあげると、2022年は合計156件・2023年は合計244件、2024年に至っては11月12日時点で355件もの応募をいただいている状態です。
それだけの数の応募があるにもかかわらず、最終的に採用まで進んだのは2022年6名・2023年16名・2024年(今時点で)5名。
さらに、せっかく入社しても試用期間中に退職となるケースだってあります。
退職に至る理由としては、実務をこなせなかったというものが大体8割程度。
残りの2割が、社風に合わない・仕事がしんどい等の理由です。

こればっかりは本当、実際入社して・仕事してみないと分からない部分もありますからね。
そこのリスクは私も重々承知の上なので、面接のときから「実務をこなせない場合は短期間で辞めてもらうこともあります。それでも大丈夫ですか?」と伝えていますし、逆に働く側からして「これは給与に見合わないな」とか「つまんないな、嫌だな」と思ったら、遠慮なく辞めて良いですよと伝えています。
お互い納得ずくなわけだから、もし辞めることになっても恨みっこなし。
そんな感じです。

より良い会社・ショップにするためには、優秀な人材の確保が不可欠。
けれど、そういう人を求めれば求めるほど採用のハードルは上がっていく。
結果として、なかなか人が増えないので常に募集をかけ続けるしかない…と。
「高望みしすぎ」とか「とりあえず雇ってみたらいいじゃん」という声も聞こえてきそうですが、ここまでこだわった結果、昔はすこぶる多かったネガティブな退職(転職サイトに書き込まずにいられない、みたいな)もかなり減りました。
実際に、転職サイトへの採用者からの口コミ投稿は、2016年以降激減しています。
そう考えると、決して無駄にシビアなわけではないんですよね。

あ、ちなみにさっき上の方で言った「総合的な価値観が合う人だけを採用している」というやつ。
具体例をあげるとするなら、論理的に物事を考えられるとか、失敗を恐れない人はラフジュに合うんじゃないかな、と思います。
他者との関わり方で言うと、周囲に不機嫌をまき散らさない(最近は「フキハラ」なんて言葉もありますね)、他人の感情を荒ませるような言動はしない…とか。

例えば、当人と会社の問題に全く関係ない第三者が口をはさんだり、割って入って対立構造を煽ったり。
子どもの頃、「自分の言動には責任を持て」なんてよく言われたものですが、双方の立場や事情をよく知りもしない立場なのに口を出すって、あまりに短慮で無責任と言わざるを得ません。
具体的な代替案がないにもかかわらず、感情だけで「これは間違ってます!」と責め立てるのもアウトです。

特徴その② 家族経営
ラフジュ工房がいつも求人を出しているのは、紛れもない事実。
しかしその裏には、もっとお客様の満足度を高めたい!と思うがゆえに、優秀な仲間集めに奔走する社長の姿がありました。
うちは特殊な例かもしれませんが、「いつも求人を出しているからダメな会社」と決めつけるのは早計かもしれません。
では次に、『家族経営について』。
社長、引き続きよろしくお願いします。


ラフジュの場合、家族経営と言われても仕方ない形ではあります。
私が社長で兄が専務、法律上の役員には親父とお袋が就いているので。
ただ、両親に関してはたまにゴミの分別とか、ちょっとした雑務を頼むことはあっても、経営には全く携わっていないです。
当然、人事権も経営の決定権も全くなし。
経営陣はあくまでも私と専務、それ以外の管理職スタッフたちで構成されています。

その点、うちはそういうの一切ないです。
大前提として、私も専務もそんなの好き好んでやるような性格じゃないですし。
この商売自体が社員をないがしろにして儲かるほど甘いもんじゃない、っていうのも大いにありますね。
『いつも求人を出している』で話した通り、ラフジュ工房ではより良い商品・サービスを提供するために、スタッフの人間性も重んじています。

コンプライアンスガン無視の悪徳企業が社員に人間性を説くって、もう意味が分からないじゃないですか。
それでいったい誰が言うこと聞くんだって。
だから、ラフジュの場合はコンプラ徹底重視で、むしろ潔癖すぎると言われるぐらいなんですよ。
ふとした拍子に甘さが生まれがちな「家族経営」というスタイルだからこそ、誰よりもまず私や専務が己を律しなければならないんです。

まあ、そんな人はそもそもうちに入社しないでしょうが。
…とは言え、これはあくまで会社だから・仕事だからキッチリ真面目にやっているだけで、私も専務も一個人としてはダメなところもたくさんあります。
さぞ素晴らしい人格者なんだろう、と思われた方、決して聖人君子ではないのでどうか誤解なきよう。
あとは家族経営だと、評価についても皆さん気になるところでしょうか?
これも、よくある家族経営は創業者一族が一方的に社員を評価して、公平もへったくれもないようなイメージですよね。
が、うちは社長である私をはじめ、専務、さらにその下の管理職スタッフが慎重に話し合い、個々人の評価を決定しています。

「えっ、そしたら他の家族経営企業と変わらないじゃん!」と思われた方もいるかもしれません。
詳しくはこちらの口コミ記事に書いてありますが、以前はそのようなシステムを導入していたこともあったんです。
しかしながら、我々の仕事は成果を数値化するのが極めて難しく、システマチックな評価制度は上手く機能しませんでした。

なので評価に関しては、めちゃくちゃアナログだと思います。
つまるところ我々経営陣を信用してもらうしかないので、「信用できない」「評価制度がないとかありえない」という人とは相容れないところでしょうね。
でも、評価に納得できない場合はもちろん聞いてもらって構いませんよ!

他には、社員の意見に全く耳を貸さない、なんてのもダメな家族経営あるあるですかね。
ラフジュに限って言えば、そういった行き過ぎたワンマンはないです。
なぜなら、社員は尊重すべきビジネスパートナーだから。
より良い会社にしていくためにはどうすれば良いのか、共に考え行動してくれる協力者=社員だと私は考えています。

というわけで、うちでは何か新しいことをやるにしても、経営方針に関することなら役職付きのスタッフに、実務に関することならその業務に携わる担当者に意見を聞きます。
その上で、最終的に私が判断するという感じですね。
ただ!建設的な意見は喜んで聞きますが、意見風の文句やただのわがままは聞きません。

ラフジュ工房が今のスタイルに至るまでは、それはもう紆余曲折ありました。
コミュニケーション不足を感じる→社員の意見を聞こう!→意見交換の場を設ける→やっぱりやめよう→コミュニケーション不足を感じる→やっぱり意見を聞こう!…これを何度繰り返したか。
なぜ「やっぱりやめよう」になるかと言うと、いざそういう場を設けると、眠そうだったりつまらなそうにしているスタッフが続出するんですよ。

それに加えて、およそ意見とは言えないような無責任な発言も多かったんです。
例えば、残業に納得の上で入社したはずのスタッフから「残業したくない」と意見が上がったり。
いつも同じ仕事をしている新人が不憫だと抗議されたこともありましたね。
というのも、新人のうちは家具の構造とか木材のクセとか、基本的な感覚を掴んでもらうために新材での家具製作を任せていて。
ある程度経験を積んで技術が身に付いたら、いよいよリペアへ…と段階を踏んでいるのですが、それを承知の上で「たまにはリペアもやらせてあげましょうよ!」と言うわけです。

何がダメなのか分からないという方は、じゃあ自分がお客さんの立場だったら同じことを言えるか考えてみてほしいです。
決して安くないお金を払っているんだから、腕の良いスタッフにリペアしてほしいと思うのが当然ではないでしょうか?

ただ綺麗にすれば良いってもんではなく、その物が持つ味わいとか雰囲気は残しつつ、実使用品としての使い勝手も良くしていかなきゃならない。
しかも一点ものだから、作り直しも効かない。
自分だってその難しさを十分理解しているはずなのに、なぜあまつさえそれを技術のないスタッフにやらせようと思えるのか?

とは言え、この不毛さに辟易して意見交換を廃止にしたらしたで、やっぱりコミュニケーション不足が気になってくるんです。
で、次第に無限ループにはまっていくという。
今のところは年1回の部署会議で意見交換を行い、それ以外は何かあれば都度聞いてね、という形に落ち着いていますが、これだって完璧だとは思っていません。

とまあ、ここまで長々と語ってしまいましたが、結局は家族経営だろうがなんだろうが、会社の善し悪しは経営者の経営スタイルによるんじゃないかな、と思います。
非家族経営でもトップが会社を私物化していたり、ろくに仕事もできないベテラン勢ががっぽり給料をもらっていたり、ひどいありさまの会社はいくらだってあります。
その一方で、うちのようにコンプラ徹底を掲げる家族経営企業もあるわけです。
そもそも日本は、上場企業の約半数が同族経営というファミリービジネス大国。
有名どころで言うと、サントリーやキッコーマン、星野リゾートなんかもそうですね。

大切なのは、その会社の価値観が自分と合っているかどうか。
そこさえしっかり嚙み合っていれば、家族経営かどうかなんてことは些末な話だと思うんです。
最後に
悪いイメージが先行しがちな家族経営。
ただ、全部が全部ダメなのかと言うとそんなことはなく、中にはラフジュのように潔癖すぎる家族経営企業もあるんです。
そういえば、世界中の人々から今なお愛され続けるウォルト・ディズニー・カンパニーも、始まりはウォルトとその兄ロイ、たった2人の兄弟からでした。
ラフジュ工房も兄弟で、しかも弟の方が社長なのにフラットな関係性を保てているのって、社員のわたしから見ても良い意味で異質というか、稀有な会社だなと思います。
会社によっては社長派とか専務派とか、ゴタゴタした派閥がありそうですが、うちはお互い尊重し合って仲良くやっているみたいです。
ということで今回は、世間一般でアウトとされる会社の特徴、「いつも求人を出している」「家族経営」の2点について、弊社の実情に絡めてお話しました。
またこちらの記事では、社長から求職者の方へ向けたメッセージも公開しています!
気が向いたらぜひ読んでみてくださいね。