「アンティークのソファ」と一口に言っても、その種類は実にさまざま。
ソファの形や大きさ、デザインによって、呼び方は異なります。
名前を知らないと、いざアンティークソファが欲しい!と思っても何と調べて良いか分からず、遠回りしてしまうかもしれません。
そこでこの記事では、アンティークソファの種類を形・様式別でご紹介。
アンティークソファを探す際の参考にしてみてくださいね。
目次
どんな形のアンティークソファがあるの?
セティ (セッティ)
セティとは、分かりやすく言うと「布張りのひじ掛け付き長椅子」のようなものです。
実はソファって、セティが進化したものだって皆さんご存知でしたか?
セティの起源は中世の長椅子とされており、17世紀後半から18世紀前半にかけてヨーロッパで普及し、その後世界に広まりました。
元々は背筋を伸ばして座る目的で作られたため、特に背もたれが木のタイプだと、ゆったり寄り掛かるのには少し無理があるかもしれません。
できるだけゆったり座りたいという場合には、クッション付きのものを選ぶと良いでしょう。
セティについてもっと詳しく知りたい方はこちら↓
ウィングバックソファ (ウィングバックチェア、ウィングチェア)
ウィングバックソファとはその名の通り、背もたれの形がまるで羽を広げているように見えるソファです。
18世紀、ロココ様式が流行した時代に誕生したウィングバックソファは、貴族の間に広まり一躍人気を博しました。
ちなみにこの特徴的な背もたれは、暖炉の熱を避けたり、風から頭部を守るためにデザインされたものだそう。
ハイバックと肉厚なクッションで、座る人の体をしっかり支えてくれる座り心地が魅力です。
レザーとファブリック、どちらのタイプのものもありますが、本革製はシックで重厚・布製はエレガントでやわらかな印象を与えてくれます。
チェスターフィールドソファ
英国発祥のチェスターフィールドは、革張りにボタン留め、肘掛け部分と背もたれに鋲打ちを施したデザインが特徴的なソファです。
紳士が背筋を伸ばして座るためにデザインされたと言われており、貴族的なたたずまいが最大の魅力。
その圧倒的な存在感から、映画や撮影の小道具なんかにもよく使われていますね。
一般的なウィングバックタイプの他にも、背もたれの高さがフラットなタイプや、ちょっと珍しいところだとロッキングチェアタイプのものもあり、いずれもアンティーク市場では人気のアイテムです。
高級感たっぷりな見た目のチェスターフィールドですが、使い込まれて革に味わいが出てくると、カジュアルなコーディネートにもしっくり馴染んでくれるんです。
作りの良いものを長く使う、まさにイギリスらしいソファと言えます。
シェーズロング
シェーズロングとは、足を伸ばして座ることや寝ることができる、休息用の寝椅子のこと。
現代ではデイベッド等と同義的な存在となっていますが、中でも比較的小ぶりのものを指す傾向があります。
シェーズロングの原形は17世紀初期にフランスで生まれ、18世紀以降ヨーロッパで流行したのち、世界へと広まりました。
歴史あるフランスやイギリスのアンティークシェーズロングは、部分的に背もたれが付いており、ソファとして使うか、アーム部分に寄り掛かり寝ころぶような形になっています。
一方、ヴィンテージ(ビンテージ)~現行の海外ブランドなどのシェーズロングは、フレームは細身でスタイリッシュ。
ビーチチェアのように、仰向けでゆっくり体をあずける「寝椅子」に重きを置かれたものが主流です。
デザインや使い勝手の好みに合わせて選ぶのがおすすめですよ。
シェーズロングについてもっと詳しく知りたい方はこちら↓
カウチ
カウチの語源は「couchier」、「横たわる」を意味する古フランス語です。
14世紀半ば以降、横たわるものを「coucher」と表現するようになり、その後片側だけにヘッドレストや背もたれのあるものをカウチ、と呼ぶようになりました。
現在ではカウチソファ=横たわることができるソファ、という意味合いで使われるのが一般的で、しばしば前述のシェーズロングと同義として扱われます。
ちなみに1980年代には、「カウチポテト」なんて言葉が流行ったりしたのだとか。
意味を調べて思わず笑ってしまいましたが、これが理想のソファでの過ごし方!という方もいらっしゃるのでは。(筆者はそうでした)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■カウチポテト:
英語で「couch poteto」。
ソファに横たわり、ポテトチップスを食べながらテレビやビデオを見て過ごすライフスタイル、またはそのような生活を好む人を表現したアメリカのスラング。
由来するカウチソファは縦に長く、脚を投げ出すことができるソファなので、その「一度座ったらなかなか抜け出せない」リラックス感が、こういったスラングを生み出したともされる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
アームソファ
アームソファとはそのものズバリ、肘掛が両側についているソファです。
肘掛には肘を載せたりするだけでなく、厚みがあれば物を置いたりできますし、枕や背もたれとして活用することもできるので、アームがあるだけでくつろぎ方の幅がグンと広がります。
反対にアームのついていないタイプのソファを、アームレスソファと呼びます。
ハイバックソファ
ハイバックとは、背もたれが高いソファのこと。
後頭部まですっぽりソファに預けることができるのが特徴です。
リラックスして座ることができるので、映画鑑賞や読書など、長時間ソファに座っていることが多い場合におすすめです。
ローソファ (フロアソファ)
ローソファは、背の低いソファのことです。
脚がなく床に直置きするタイプのものは、フロアソファとも。
ローテーブルなどと合わせて、できるだけ床座りに近いスタイルが良い、という方におすすめです。
ただ、ソファの種類の一つということでご紹介はしましたが、ローソファは日本の床でくつろぐ生活から生まれたもの。
そのため、洋アンティークのローソファ、というものはありません。
あったとしてもアンティーク「調」、アンティーク「風」のローソファになりますので、ご注意を。
オットマン (スツール)
オットマンとは、背もたれのない1人掛けのソファです。
この「オットマン」という言葉、本来はオスマン帝国を指す言葉なのだそう。
18世紀頃、オスマン帝国で人々が使っていた背もたれのないソファが、イギリスに伝わり「オスマン風の椅子」という意味で広まったのだとか。
アパレルショップやヘアサロンなどで、少しの間腰掛ける用に置かれているあれ。
「あー、あれね!」と思った方も多いのではないでしょうか。
他にも、大型のソファと組み合わせてフットスツールとして使うなど、アイデア次第で使い方は色々。
実はとっても応用のききやすいソファなんですよ。
どんな様式のアンティークソファがあるの?
ルネッサンス様式のアンティークソファ
ルネッサンス様式は、14世紀にイタリアで生まれた建築・美術様式です。
ルネッサンス(ルネサンス)とは、「再生」の意。
フィレンツェで始まった、ギリシャ・ローマ時代の古典様式の文化を復興、つまり再生しようとする文化運動は、15~16世紀に最盛期を迎え、その後ヨーロッパ各国に広まりました。
ルネッサンス様式の特徴としては、自然の豊かさを表現したデザインであることがあげられます。
装飾には「アカンサスの葉」のモチーフが多く使われ、他にも、「葡萄」「スイカズラ」などの植物や、「馬」「鳥」などの動物もよく使われました。
バロック様式のアンティークソファ
バロック様式の起源は、16世紀後期~18世紀中頃、イタリアのローマで始まった芸術運動「バロック」とされています。
曲線が多く用いられ、実用性よりも装飾性、豪華さを強調した様式です。
彫刻のほか、象嵌細工(インレイ)が多く使われており、色彩が豊かなのが特徴。
かの有名なヴェルサイユ宮殿も、バロック様式を代表する建築ですね。
ロココ様式のアンティークソファ
ロココ様式とは、18世紀のフランス、ブルボン朝後期における文化・芸術の表現様式です。
バロック様式が男性的・重厚であるのに対し、ロココ様式は女性的で華やか。
婦人を中心とした社交生活にはぴったりの様式で、宮廷やサロンで愛用されました。
「猫脚」とも呼ばれ、S字の曲線が美しいカブリオールレッグは、ロココ様式と言えば!という装飾の一つです。
ジャコビアン様式のアンティークソファ
ジャコビアン様式とは、イギリスのジェームズ1世の頃におこった建築工芸様式です。
ジャコビアン=ジェームズ1世のラテン名「ヤコブ(Jacobus)」に由来しています。
ジャコビアン様式は、直線的で重厚感のある装飾が多いのが特徴。
ねじり棒(バーリーシュガーツイスト)や、ボールを繋げたような形の脚(ボビンレッグ)が一際目を引きますね。
ヴィクトリアン様式のアンティークソファ
ヴィクトリアン様式とは、1837~1901年、イギリスのヴィクトリア女王統治時代に流行った様式です。
イギリスアンティークにおいて特に人気が高く、英国を代表するデザイン様式と言っても過言ではないでしょう。
中でも、チェスターフィールドソファはヴィクトリアン調ソファの代名詞と言われ、現在でも多くの国で愛されていますね。
古典的なデザインをふんだんに取り入れ、細やかな装飾や植物・動物モチーフ、金属・ガラスなども使用し、壮麗や品格といった言葉がぴったりのデザインが特徴です。
最後に
と、ここまで駆け足でお話してしまいましたが、いかがだったでしょうか。
あとはサイズ感や、実際にアンティークソファをお使いになるシーンをイメージしながら、気になった形・様式で絞り込んでみると、グッと探しやすくなるかもしれませんよ。
この記事を読んでくださった皆さんに、素敵なアンティークソファとの出会いがありますように!