こんにちは!ラフジュ工房店長の岩間守です。
さて、今回取り上げさせていただいたのは、

とのお申し出があった件について。

というのも、そのお客様にご購入いただいたのは「無垢材」のデスク。
無垢材でつくられた家具は、木の風合いを丸ごと味わうことができる贅沢感が魅力的な反面、湿気や乾燥によって伸縮する木の性質上、ヒビ割れやガタつきなどが起こりやすいデメリットも抱えています。
件のデスクも、まさにこの伸縮が原因でヒビ割れを起こしていました。

お客様がそんな風に思われるお気持ちも、確かによく分かります。

ということで今回の店長ブログでは、無垢材家具特有のヒビ割れ現象について、またそれに対して当店ができるご対応についてなど、お話させていただきたいと思います。
これまでに当店で無垢材家具をご購入されたことがある方、または今後ご購入を検討されていらっしゃる方など、ぜひご参考程度にお読みいただけたら嬉しいです。
目次
ヒビ割れ=不良品ではありません。無垢材特有の避けられない事象とは
無垢材の家具を買って数ヶ月後、ある日ふと見てみたら木部に亀裂が入っていた。

大切にしていた家具に突如としてそんな風にヒビ割れを見つけてしまったら、きっと大半の方はショックを受けてしまうことでしょう。
あるいは、もしかすると先ほどのお客様のように

とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんね。
ただ、本当に大切なことなのでもう一度お伝えさせていただきたいのですが、それは無垢材なら起こって当たり前、いわば自然現象の一つなんです。
なぜなら、無垢材は我々人間と同じく「呼吸」をしているから。
無垢材における呼吸とは、湿度の調整機能のことを指します。
元々無垢材は水分を含んでおり、環境の変化に応じてこの水分(湿気)を吐いたり吸ったりすることによって、湿度を調整することができます。
例えば梅雨時から夏場にかけて、湿度が高くジメジメした季節には空気中の水分を吸い込み、逆に乾燥のひどい冬にはため込んだ水分を放出します。

そしてこの性質は、無垢材が家具として形を変えた後でもなくなることはありません。
ですからまず大前提として、100%絶対にヒビ割れが起こらない!なんて無垢材家具は、そもそも存在しないということはご理解いただきたいです。
中にはヒビ割れが起きにくい無垢材家具もありますが、それは製材過程において入念な乾燥を行った木材を使用しているからこそ。
通常、山から切り出してきた木を木材として使用するためには、ヒビ割れなどをなるべく起こさないよう含有している水分を抜く、乾燥の工程が設けられています。

自然乾燥は木にストレスを与えずに水分を抜くことができる一方で、どうしても人工乾燥に比べると乾燥が甘くなりがち。
ゆえに、ヒビ割れのリスクも上がります。
ちなみにこれは余談ですが、かの有名な「松本民芸家具」では木材を数年ほど屋外にて自然乾燥させた後、さらに人工乾燥も行うという徹底した管理が行われています。
松本民芸家具の製品にヒビ割れがほとんど見られないのは、それだけ時間と手間をかけているからなんですね。
また無垢材家具にとっては、エアコンなどの冷暖房器具や直射日光もヒビ割れを促す原因になりえます。
冷暖房器具は我々にとっては快適な暮らしをサポートしてくれるありがたい存在ですし、日光もカビ防止の観点では効果がありそうですが、無垢材でつくられた家具は上述の通り湿・温度の変化にとっても敏感です。

過去実際にあった事例では、コタツの天板が無垢材だったために熱によって大きく反ってしまったですとか、無垢材の机の足元にヒーターを置いていたらヒビ割れを起こしてしまったなんてこともありました。
こういった思わぬ事態を防ぐためにも、家具の設置場所はぜひ熟考していたただきたいポイントです。
ヒビ割れが起こってしまったら?安心のアフター修理サポートをご利用ください

とはいえ、いくらヒビ割れが自然現象だと頭では理解できたとしても、いざ自分のお気に入りの家具にヒビ割れが起こってしまったとしたら、どうにかしてほしいと思われるのも仕方のないことかもしれません。
そこで当店では、木製家具の性質上自然と起こり得るヒビ割れなどの対処として、ご購入後1年間であれば何度でも無料で修理(送料はお客様ご負担)を受けられる「安心のアフター修理サポート」を導入しています。
アンティーク家具に限らず無垢材を使用した家具は、先ほどお伝えした通り湿気や乾燥によって伸縮するため、ヒビ割れやガタつき・場合によっては扉や引き出しの開閉不良など、不具合が生じる場合があります。
基本的には、新しい環境に馴染むにつれて伸縮は次第に落ち着いていくものですが、複数箇所にヒビ割れが見られる・かなり亀裂が大きいなど、お使いいただく上で少しでも「使いづらいな…」と感じられた際には、ご遠慮なく当店までお問い合わせください。
ご購入後1年以内であれば往復の正規送料のみお客様ご負担にて、できる限りご不便なくお使いいただけるように再リペアさせていただきます!
また、たとえ1年の期限を過ぎてしまったお品物であっても、送料+修理費をご負担いただく必要はありますが、ご依頼いただければもちろんご対応させていただきます。

ヒビ割れは嫌!でも木の風合いは好き←それなら断然「突き板」がオススメ!
さて、ここまでの流れを一旦整理しますと、
・ヒビ割れは無垢材特有の性質である。ヒビ割れが絶対に起こらない無垢材家具はない。
・ヒビ割れが起きてしまったら、安心のアフター修理サポートでリペアすることもできる。
というお話でした。
このブログをお読みいただいている皆さんが、もしも

というお考えをお持ちなら、無垢材家具はまさに相性ピッタリといえます。
ですが家具としての実用面を考えた場合、そこまで割り切れる方が果たしてどれほどいらっしゃるのか?
正直なところ、個人的にはかなり少数派なのかなと思っています。
例えば、

そんな方は無垢材に固執せず、「突き板」の家具をご検討されてみてはいかがでしょうか?

【「聞いたことはあるけれど、実はよく分からない。突き板・合板・無垢材の違いって?結局どれが良いの?」はこちら!】
突き板家具は、木の風合いはしっかり感じられる・なのにヒビ割れなどのリスクが少ない、まさに現代人のライフスタイルに適した家具です。
「突き板は良くないもの」なんてことをおっしゃる方もたまにいらっしゃいますが、それは大きな間違い。
決して無垢材に劣るものではないと断言させてください!
事実、突き板の起源はかなり古く、遥か昔から高級家具づくりに用いられてきた歴史ある技法なんです。
一つ分かりやすい例をあげるとするなら、伝統工芸品として有名なあの「岩谷堂箪笥」でも、商品のほとんどに突き板が使われているんですよ。
見た目においては、無垢材のそれとほとんど遜色ありません。
それでいて使い勝手も良いとくれば、よっぽど無垢材への愛やこだわりが強い方でもない限りは、扱いやすい突き板家具をオススメします。
最後に
ということで今回の店長ブログでは、無垢材家具のヒビ割れについてお話させていただきました。
繰り返しになりますが、ヒビ割れは自然現象です。
どんな無垢材家具であっても、ヒビ割れがこの先絶対に起きないとは断言できませんし、それがいつ起こるのかなんてことも分かりません。
数ヶ月後なのか・はたまた数年先のことなのか、無垢材家具とお付き合いいただく上では、常にその可能性を頭の片隅に留め置いていただく必要があります。
そして、そんな「買って終わり」な手軽な家具ではないからこそ、万が一に備えたアフターサポートに力を入れているのが当店ラフジュ工房です。
