こんにちは!ラフジュ工房店長の岩間守です。
前回・前々回の店長ブログでは建具の初心者講座と題して、基礎知識編とお問い合わせ&ご注文編をそれぞれお届けしてきました。
建具の基礎知識編とお問い合わせ&ご注文編については、こちらをご覧ください。
今回も引き続き、当店の建具をご自宅にお迎えいただくにあたって避けては通れない、寸法(サイズ)の測り方について書かせていただきました。
とお悩みの方はぜひご参考くださいね。
目次
合言葉は「開口部」!建具本体の寸法だけ測ればいい、というわけではないんです
店長ブログを続けてお読みいただいている方には、「しつこい!」と思われてしまうかもしれませんね(笑)
繰り返しお伝えしていることなのですが、建具を取り付けるにあたってまず測っていただきたいのが、「開口部」の寸法なんです。
と思われた方。
簡単にいってしまえば、「開口部=戸枠から建具を取り去った、残りの空間」です。
分かりやすく画像でお伝えすると、こんなイメージですね。
なんて疑問の声が聞こえてきそうですが、これには家自体の問題が大きく関係しているんです。
その問題というのが、家の傾きによって発生する歪みです。
家の傾きというと、柱や土台が新築時にそもそも傾いてしまっている、いわゆる欠陥住宅を想像される方がいらっしゃるかと思いますが、地震による液状化現象・または地盤のズレ、軟弱な地盤に起因する地盤沈下、床の下地材の劣化などなど…。
そうなってくると、建具を取り付けたい戸枠部分も歪みの影響を受けてしまっている可能性が高く、平行・垂直を保てていない歪んだ戸枠になっている恐れがあるんです。
開口部はこう測る!歪みの可能性を加味して必ず3箇所は測ってみてください
さて、
と疑問に思われた方も、きっといらっしゃいますよね。
そんな方は以下の図をご参考に、実際に建具を取り付けたい場所の寸法を測ってみてください。
画像でご確認いただける通り、ここで重要なのはどこか1箇所を起点にした寸法ではなく、左寄り・右寄り・中央の計3箇所を起点にした高さ・幅をそれぞれ測っていただきたい、という点です。
ちょっと面倒に感じられてしまうかもしれませんが、これも先ほどお伝えした歪みの可能性を考慮してのことです。
もしも戸枠が歪んでいるにも関わらず、ある1点のみを起点にし計測した寸法を基に建具を仕上げたとしたら、戸枠内にピタッとおさめることなど到底できません。
併せて、今現在お使いの建具の高さ・厚さもお教えください!(※特に引き戸の場合)
開口部の寸法については上記の通りですが、今現在お使いいただいている建具(取り替える対象の建具)の高さ・厚さも併せてお教えいただきたい!ということも多々あります。
まず高さですが、先ほどの開口寸法は建具を取り付けた際、正面に立ったときに見える範囲のみの寸法です。
引き戸用の建具には、上下の戸枠に隠れてしまって横からでないと視認できない部分もありますよね。
その部分の寸法も予め目安をつけておくために、今お使いいただいている建具の高さもお教えいただきたいんです。
ちなみにこの、横からでないと見えない部分。
より分かりやすくしてみるとこんな感じです。
引き戸の場合は、この「溝」に建具をはめ込み左右にスライドさせることによって、ようやく引き戸として使えるようになります。
それぞれの溝の形状・寸法に合わせて建具の寸法を調整したり、溝に適した形になるよう必要な加工を施してあげなければ、建具としての意味を成しません。
また特に引き違い戸においては、複数枚の建具がスライドして開閉する仕組みであるため、建具どうしが干渉しないよう厚みもしっかり計算しておく必要があります。
厚さに関しては、やはり実際にご使用されている建具の厚さを参考にするのが、一番手っ取り早いです。
複雑な溝の形状・寸法にお手上げ状態の方!困ったときはまず画像をお送りください
引き戸は間口の広さや空間の仕切り方に合わせて、本当に多様な仕様のものがあります。
ということは、当然その分溝の形状も多岐に渡りますので、建具素人の方がご自身で形状を確認・寸法を計測するとなると、なかなか根気のいる作業になってしまうかもしれません。
そうなんです。
「溝の形状なんて分からない!」「どこを測ればいいの?」という方は、今お使いいただいている建具や戸枠・溝部分の写真を撮ってお送りいただく、まずはこれで大丈夫なんです。
・開口寸法
・取り付けてある建具の高さ&厚さの寸法(特に引き戸の場合)
・建具や戸枠、溝を写した画像
最低限この3つをご提供いただけたら、それを基に当店担当スタッフから別途「どこをどう測っていただきたいのか?」など、追加で必要な確認事項を一つ一つ丁寧にご案内させていただきます。
そんな方は以下の画像をご参考くださいね。
あくまでイメージにはなりますが、大体こんな感じで引きと寄りの複数枚撮っていただけると、当店スタッフもより円滑にご対応ができるかと思います。
建具のお問い合わせ&ご注文編については、こちらをご覧ください。
休題
建具の基礎知識編・お問い合わせ&ご注文編ときて、今回は寸法の測り方についてざっくりまとめさせていただきました。
これが家具であれば、よほどきっちり設置場所の寸法が決められていない限り、ある程度の余裕さえあればとりあえずおさめることはできます。
しかし建具の場合はそうはいきません。
正しい寸法であることは大前提として、設置場所に応じた調整・加工も必要になりますので、確認しなければならないことがたくさんあります!
今回ご案内した内容に加え、建具を取り付けたい場所、建具そのものの形状・仕様などによっても、計測やご確認をお願いしたい箇所は変わってきます。
だからこそ、当店では実際にリペアを行っている職人が担当スタッフとなり、できる限りのサポートをさせていただくという形を取っています。