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アンティーク家具について

西洋アンティーク家具の魅力。寄木細工「パーケット」のデザイン

日本では箱根の伝統工芸としてよく知られている寄木細工ですが、実は日本だけでなく、世界中で見られる家具などの装飾技術のひとつで、ヨーロッパでも古くから人々に愛されている技法なんです。
“パーケット” と呼ばれるその寄木細工は、17世紀~18世紀にかけてイギリスやフランスでも流行し、今も残るアンティーク家具の表面を美しく飾っています。アンティーク家具に詳しい方は “パーケット” と聞いてすぐにピンときていただけると思いますが、そうでない方にとっては少し遠い存在のように感じられてしまうかもしれません。でもそのデザインを見れば、意外と私たちの身近にあることに気がついてもらえると思います。
というわけで今回は、知っている方も知らない方もきっと見たことのあるパーケットのデザインと、それに関係するちょっとした豆知識をお話しします。

西洋の寄木細工、パーケットのデザイン

アンティークパーケットテーブル
日本では、”日本の” 伝統工芸という意識の強い寄木細工ですが、実は古代メソポタミアで生まれました。その技術は、日本へ伝わったのと同様に、エジプトやトルコ、ヨーロッパ各地にも伝わりました。その後、イギリスやフランスで幾何学模様の寄木細工、パーケットが家具の装飾として流行したのは17世紀~18世紀の頃からと言われています。
さて続いては、数あるパーケットデザインの中から、主な三つのデザインとそれにまつわるちょっとしたエピソードを挙げてみますね。

宮殿のために生まれた「ヴェルサイユ張り」

パーケットヴェルサイユ張り
ヨーロッパの宮殿の中でも女性たちに圧倒的な人気を誇る、フランス王室のヴェルサイユ宮殿。マリー・アントワネットの夫、ルイ14世が建てた宮殿です。
フランスで寄木細工がとても流行していた17世紀に建てられたヴェルサイユ宮殿では、宮殿のための新しいパーケットデザインが作られました。宮殿の鏡の回廊にも採用された “ヴェルサイユ張り” の床は、大理石の床よりも丁寧に手入れをするため、床磨きの人数が増やされたのだとか。
ヴェルサイユ張りは、正方形や長方形の四角い枠の中に、斜めのラインを編み込んだような形。アンティーク家具にもたくさん見られるデザインです。

ニシンの骨?ヘリンボーン

パーケットヘリンボーン
開きにした魚のニシン(herring)の骨(bone)に似ているからその名が付けられた、ヘリンボーン。V字を積み上げたような形で、欧米では家具や床の装飾としてよく見かけるデザインです。
ツイード生地の繊維もよく見ると同じ形をしているため、服飾業界でも同じくヘリンボーンという言葉が使われています。日本の服飾業界ではV字を杉の葉に見立てて「杉綾」や、建築・家具業界では弓矢の羽根に見立てて「矢羽根」などと呼ばれています。ヴェルサイユ宮殿では、ヘリンボーンもまたパーケット床として採用されているそうですよ。
写真は、厳密にいうとヘリンボーンとは異なるのですが、これも寄木装飾の一つでクォータリング(Quartering)と呼ばれる技法です。4分の1(クォーター)に分けた板を木目に逆らって寄せることで、ヘリンボーンとよく似たV字模様を作りだしていますね。

日本でも定番「市松模様」。英語では?

パーケットドミノテーブル
時代によって手に入る木が変わったり、人気が変わったり。それに合わせてパーケットのデザインも変化したそうです。
その中で時代も国もこえた定番デザインの一つが、二種類の色調の異なる正方形をびっしり敷き詰めた市松模様。名前の由来は江戸時代に人気だった歌舞伎役者で、役者の衣装がこの二色模様だったことから来ているそうです。英語では正方形が2つつながった形にちなんで、ドミノ(Domino)と呼ばれます。
万国共通、最もシンプルな形の集合でありながら、とてもデザイン的な模様ですよね。シンプルなだけに、寄木細工の醍醐味である、自然な木目や色味の違いを最もよく感じさせるデザインといえるかもしれません。

最後に

これまで何気なく見過ごしてきた家具の模様。身近にありすぎて目を留めることもなかったけれど、歴史の深さと世界の広さで、掘ってみればたくさんのエピソードが埋まっているのですね。
パーケットデザインの家具が合うお部屋のコーディネートについては、また別の機会にご紹介させていただきます。

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