北欧家具の椅子で見かける「ペーパーコードチェア」。
名前だけだと聞き慣れない方もいるかもしれませんがきっと見た事はある、“網み座面”の椅子です。
軽やかで優し気な見た目に惹かれつつも、「ペーパー…紙?紙なのに大丈夫なの?」と思っている方もきっと多いはず。実はペーパーコードには見た目の美しさだけではない魅力がたくさんつまっているんですよ!
今回はペーパーコードについて、種類とメリットやデメリット、お手入れ方法を紹介いたします。ペーパーコードチェアの購入を悩んでいる方は、ぜひご覧ください!
目次
ペーパーコードとは
「ペーパーコード」とは、紙に樹脂を含ませねじって作られた紐のこと。天然パルプで出来た紙を3本使い、ねじり合わせて作られています。
日本でもメジャーなデンマークデザインの椅子、「Yチェア(CH24)」や「J39」の座面に使われている事で有名です。北欧インテリアやデザイナーズ家具の紹介の場でも良く目にしますよね。
誕生した当初は農作物を束ねる紐として活用されていましたが、その丈夫さから1940年代頃より椅子作りにも取り入れられるようになりました。
自然素材でやさしいのはもちろん、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるため、四季がある日本でもペーパーコードチェアは人気があります。
見た目や名前のイメージとは違い確かな強度があり、革や布張りと同等かそれ以外の耐久性があるのも特徴のひとつ。
身体に馴染んで包み込まれるような座り心地や、優しい使用感から世界中で愛されている素材です。
ペーパーコードの種類
ペーパーコードにはどんな種類があるのでしょうか?
ペーパーコードの椅子は木の枠組みだけでなく、編み方でも印象が違ってくるので、編み目模様にも注目して探してみると楽しいですよ!
平編み(鹿の子編み)
一般的な平織りで行うスタンダードな編み方。布の織り目を連想する柔らかい印象ですね!
この手法はデンマークの家具に見られ、シルエットが美しいチェアにも良く馴染みます。ニットのように縦横が組まれていて凹凸があり、しっかりとした座り心地です。
縦方向を先に編み、その後に横に編み込んで座面を張って作られる平編み(鹿の子編み)。構造は単純ながら手作業でとても時間がかかることが知られていいます。
職人が手をかけた分だけ強度があるものに仕上げることができ、耐久性に優れています。
この編み方を基本に、少しずつアレンジを加えたものも作られていますよ。
封筒編み
封筒編みは、ウェグナーの名作「Yチェア」でも取り入れられている編み方としても有名です。中央に向かっていく線が美しく、空間に洗練されたモダンな印象を与えてくれそうです。
ゆったりとした座り心地が特徴で、編みの稜線によるくぼみのおかげでお尻に馴染み、長時間座っていても疲れないメリットがあります。
もちろん平編みと同じ素材ですが、編み方が異なるだけで全く違った雰囲気があり驚かされますね!
ペーパーコードのメリットと人気の理由
デザイン性
ペーパーコードチェアの座面は、手仕事ならではの温もりを感じる編み込みが、お部屋の雰囲気を柔らかいものにしてくれます。
木やファブリックとは異なる見た目は軽やかと繊細さがあって、凝った印象を与えてくれると同時に柔らかい雰囲気を作れるので人気があります。
手仕事の味わい深さと細かさで、飽きの来ない魅力がありますね…!
軽くて扱いやすい
ペーパーコードチェアは素材の性質上、とても軽いんです!
デザインによりますがほとんどが5㎏未満で、女性でも片手で楽に持ち上げられます。一般的なスタッキングチェアが平均10㎏なので、ダントツの軽さです。
ダイニングやリビングなど、日々のお掃除やちょっとした場所の移動の事を考えると、とても扱いやすく便利ですね。
汚れにくい
紐1本1本が蝋でコーディングされているので、水分を弾きます。そのため、飲み物をこぼしてしまってもサッと拭き取れるのです。
ホコリが溜まっても掃除機やモップですぐ取れるので、手軽に長く使っていけますよ。
使い続けるとお尻に馴染む
作りたての新品のペーパーコードはやや硬さがあるのですが、使い続けることで適度にしなり、だんだんとお尻の形に馴染んでいきます。
使っていくと時間をかけて少しずつ包まれるような優しい座り心地に変化します。
形を変えていくという特徴は、木の座面と一番違うポイントかもしれませんね。
シーズン問わず快適な座り心地
ペーパーコードでできた座面は、編み目に隙間があるので通気性が良い事でも知られています。
夏は蒸れにくく、冬は部屋の温まった空気が通るためオールシーズン快適に使う事ができますよ!
冬に腰かけた時にヒヤっとする事もないので、一度その使い心地に慣れると手放せなくなりそうです。
ペーパーコードのデメリットと対処法
その見た目や紙で出来ているという点から噂されるペーパーコードのデメリット。どんなに良いと言われても、本当に?と不安になるのも仕方ないと思います。
ここではそんな方に、よく言われるデメリットと解決方法を簡単にご紹介しますね!
ペーパーコードは汚れやすそう
上でご紹介したメリット通り、実はペーパーコードは基本的には汚れにくい素材。
「編み目にゴミが入るのでは?」「飲み物をこぼしたらシミになるのでは?」と心配される方が多いですが、お掃除は簡単です。
ゴミは日々のお掃除で簡単に取れますし、仮にジュースや醤油、油分のあるものをこぼしてしまっても、正しく拭き取れば大丈夫。
木やプラスチックと比べると水に弱いのは確かですが、こぼしたものを拭き取るのは、ペーパーコードだろうと木製だろうと同じなので、そこまで特別に気構える必要は無いかと思います。
お手入れ方法は下の項目でご紹介していますので、詳しく知りたい方はぜひそちらもご覧ください!
クッション性が無くゴツゴツしていてお尻が痛くなりそう
確かに、ウレタンや綿を使った椅子と違って柔らかくはないです。
世の中にある「ペーパーコードの椅子は座り心地が悪い」という意見は、おそらくフレームの木の硬さや座面のクッション性の無さから言われるものだと思います。
ソファと違って弾力やフカフカした座り心地ではありません。特に、ペーパーコードチェアの新品はコードがピンと張っていて、そこで“硬い”と感じる方が多いそうです。
ただ、「Yチェア」をはじめ多くのペーパーコードチェアが“名作”と言われるのには理由があります。
身体に馴染むよう計算された形の木のフレームと、使えば使う程お尻の形に馴染むペーパーコードの座面は、長年世界中の人々を魅了し続けているのです。
また、有名デザインの椅子には専用のシートパッドやクッションも販売されています。
カラーバリエーションや柄物もあって見た目も華やかになりますし、汚れ防止と座り心地向上の為に使っている方も多いようです。
もし、ペーパーコードの座り心地がしっくりこない場合はこういったアイテムもあるので、ぜひ自分に合った使い方を探してみてくださいね。
ペットがいたずらしそう
犬の噛み癖やいたずら、猫の爪とぎなどどんな家具でも直面する問題がペーパーコードチェアにもあります。
特に籐家具は猫が爪とぎすることで有名で、見た目の似ているペーパーコードも爪とぎされてしまったという例がいくつもあります。
こればかりは飼っているペットの性格によるものなので、なんとも言えないです…。
ただ、座面にカバーをしたら防げた事例や、他に似たおもちゃを与えたらやめてくれた、など対策を取れないわけではないようです。
もし、お家にペットがいてペーパーコードチェアを検討中なら、買ってから後悔の無いようにペットの性格や椅子の材質などをよく考えてからの購入をおすすめします。
紙だから耐久性がなさそう
上で少し触れたように、ペーパーコードは革や布張りの座面と同程度の耐久性があります。
使い方や環境にもよりますが、座面の張り替えが必要になるまで10~15年程と意外と長持ちです!
また、Yチェアの場合は体重100㎏までの使用で約20年持つとされていて、かなり耐久性がある事が分かります。
椅子本体が軽くて扱いやすいのに、確かな耐久性があるのが嬉しいですね。
ペーパーコードのお手入れ方法
日常でのお手入れ方法
普段は乾拭きと、ホコリやゴミを取り除けばOKです。
ホコリやゴミは、お部屋の掃除のついでに掃除機やモップを使ったり、椅子を逆さまにして座面を軽く叩いたりすれば取れます。
長期間ホコリやゴミを放置すると、ペーパーコードにこびりつく事もあるのでこまめに取り除く事をおすすめします!
液体をこぼしてしまった時の対処法
飲み物や食べ物などをこぼしたときは、ペーパーコードに染み込む前にすぐ対処しましょう。液体汚れや油汚れはそのまま放置するとシミになってしまいます!
- 2枚の汚れても良いタオルを用意
- 乾いたタオルで水分・汚れを取り除く
- タオルのもう片方を濡らして硬く絞り、座面を優しく叩く
- 座面が濡れていたら、風通しの良い日陰で乾かす
強く擦ると液体を余計に染み込ませてしまう恐れがあるので気をつけてくださいね。
濡れたまま座るとペーパーコードが伸びてしまうので要注意です。伸ばしてしまうと寿命が短くなってしまうので、触ってみて濡れていたら、日陰でゆっくりと乾かしてくださいね。
座面を張り替えたい時
ペーパーコードの張り替えの目安は、10~15年程。コードが切れたり緩んだり、汚れがひどい場合が交換のタイミングです。
張り替えることで座り心地も復活し、新品同様になるのがペーパーコードの良い所でもあります。
使い方や環境にも左右されますが、革や布張りと差はなく基本的に長持ちですので大切に使って長く持たせたいですね。
おわりに
木製の座面とはまた違ったやさしい印象を与えるペーパーコードの椅子。
メンテナンスは必要ですが、手をかけながら愛着を持って長く付き合っていくのも家具の醍醐味だと思います。
ぜひ、座りながら自分にフィットするチェアを育てていってくださいね!