『本を収納するための家具』と言われて、何を思い浮かべますか?本棚?本箱?
「呼び方が違うだけでどっちも同じでしょ。」と思ったあなたにこそ、実は読んでほしい今回の記事。
本棚も本箱も、どちらも本を収納する家具には違いありませんが、実は別々の家具のことを指しているんです。でもその違いの認識度はとっても低いのが現状。だから同じ家具だと思っていたからって気にすることはありませんよ。
しかしアンティーク家具屋さんとして、みなさんに正しい知識を持ったうえで「本のための家具」を選んでもらうために、今回は本棚と本箱の違い、それからアンティークならではのふたつの使い勝手の違いをじっくりと検証してみたいと思います。
字からもわかる本棚と本箱のかんたんな違い
本棚と本箱。使われている漢字に注意を払うと、それぞれの家具のかたちが自然と見えてきます。本棚は文字通り複数の「棚」が並んだ作りになっていて、背板は付いていたり付いていなかったり。
それに対して本箱は、背板のある本棚にさらに前面に扉がついて「箱型」になっています。言われてみれば「それだけ?」とちょっと気が抜けちゃうような単純な違いですが、これが使い勝手に大きな違いを生んでいるんですよ。
オープンな本棚は普段使い用やマメなおしゃれさんに
オープンな作りが、なんとなくカジュアルな印象の本棚。実際かんたんに本を出し入れできますし、本や収納しているものがすこし前面に飛び出していても大丈夫なので、普段使いの気軽さが感じられます。
昭和レトロな楔(くさび)式の本棚などシンプルなデザインのものが多く、主役である本や雑貨の存在を際立たせるあくまでも脇役的存在の家具とも言えますね。ただ使い手が整理整頓やおしゃれディスプレイを心がけるようにしないと、ぐちゃぐちゃ収納が目に付きやすかったり、すぐホコリをかぶってしまうのが、このカジュアルなオープン設計の弱点。
日常的によく読むお料理本など「いつも使うもの」の収納用としてや、飾る雑貨をこまめに入れ替えたいおしゃれさんに向いてますよ。
おしゃれデザインの本箱は大切なものの収納に
扉がついている分、本棚に比べてちょっとかしこまった感じの本箱。扉を開けたり閉めたりしなくてはならないのでものの出し入れはちょっと面倒ですが、その分大切にしまってある印象を受けます。
大正ロマンなどアンティーク本箱は、寄木で作った象嵌(ぞうがん)や透かし彫り、ちょっと凝った格子や取っ手金具などデザイン性の高いものが多く、家具自体がちょっと目立つ存在になっていますよ。
扉に入っているガラスも、ダイヤガラスや結霜ガラスなどおしゃれレトロな半透明のものがいろいろ使われています。扉があってホコリの心配もないので、中のものを見せる・魅せると言うよりも、大事に保管しておくための家具と考えて、本箱のデザインや大きさなどを中心に選んだほうがいいでしょう。
最後に
扉が付いているかいないかだけで、印象も使い勝手もカジュアルになったり、ちょっとかしこまったりと、小さな違いが大きな違いとなっているアンティーク本棚と本箱のお話し、いかがでしたか。
どっちも本の収納家具、とひとくくりにしてしまう前に気を配っておきたいポイントが結構ありましたよね。ご家族やお友達が『本の収納家具』購入を考えているときなどにも、ちょっと教えてあげるといいかもしれませんよ。