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屋久杉

屋久杉とは、鹿児島県屋久島の標高500m以上に自生するヒノキ科スギ属の針葉樹です。
誰しも一度は耳にしたことのある屋久杉は「神が宿る木」といわれ古くから崇められてきました。
現代では観光スポット・パワースポットとしても人気が高いですよね。
私たちがよく知る「杉」と同種なのですが、樹齢が長くても500年ほどの杉に対し、屋久杉は1000年以上のものだけを指し、1000年より若いものは「小杉」と呼び分けられています。
中でも樹齢2170年~7200年と推定されている縄文杉が日本一の長寿の木として有名です。
現在は屋久杉の伐採が禁止され、希少価値の高い高級材となりました。
屋久杉とは一体どのような特徴を持っている木なのか、さらに詳しく見ていきましょう!

屋久杉の種類

屋久杉に種類はありませんが「縄文杉」「大王杉」「紀元杉」「夫婦杉」「ウィルソン株」といった固有名詞を付けられた屋久杉がたくさん存在します。
生息する場所や木の形状など“長年どのようにして生き存えてきたのか”がそのまま特徴となって現れた個性あふれる木々に固有名詞を付けることで愛着も湧き、日本の重要な宝としてこれまで大切に扱われてきました。

屋久杉

樹齢2000年以上の大木が多く、最大は幹回りが16.4m、樹高25.3mの縄文杉です。
屋久杉の辺材は白色、心材は淡紅色や赤褐色で、時に黒褐色を帯びることもあります。
花崗岩(カコウガン)の山地で育つため、栄養が乏しく成長も非常に緩やかで、木目が詰まっています。
また多雨に恵まれ湿度も高い環境で育つことで、普通の杉の6倍以上の樹脂を含み、菌や虫を寄せ付けない腐りにくい性質となります。
軽くて丈夫で水にも強いという特徴も持ち合わせており、主に建築や家具・船材・工芸品の材料として使用されます。

屋久杉の魅力

杢目

特殊な環境下で育つ屋久杉は一年に数ミリしか成長せず、非常に緻密で複雑な木目をしています。
普通の杉と年輪幅を比べるとその違いは一目瞭然で、色も濃く硬いです。
さらに、厳しい環境で生き抜こうとする力が木目に影響し美しい「杢目」となって現れることがあります。
屋久杉が生み出す杢目の種類は様々で「光明杢」「虎杢」「縮み杢」「泡杢」「笹杢」「鶉杢(ウズラ)杢」「瘤杢」などが挙げられます。どれも珍しくそれぞれ違った魅力を持つため大変希少とされています。

強い香り

森林浴をした時に全身で感じる癒しや清々しい香り。
それは木々から放たれた「フィトンチッド」という成分がもたらす効果であり、他にも防菌・防虫・消臭・空気の浄化・心身のリラックスやリフレッシュ効果など、たくさんの能力を持った成分です。
その場から動くことのできない木はこのような物質を自らつくり出し、様々な外敵から身を守ってきました。
この香りが屋久杉からは強く出ていて、具体的にどのような香りかというと、普通の杉とは少し違った、爽やかさの中にも落ち着きとまろやかさのある上品な香りです。
木材となってからもその効果は続くため、屋久杉の家具をお部屋に置けばその空間全体が森林浴と同じような効果が得られます。

耐久性の高さ

前述した樹脂の豊富さ、防菌・防虫効果があるという特徴は、木の耐久性の高さに直結します。
また緻密な木目をしているため、引っ張る・圧縮・曲げといった加工に対しても普通の杉より強度があります。
通常木が倒れると、雨風に晒され虫などが発生していつかは跡形もなく分解されていきますが、屋久杉の倒木は何百年経っても朽ちることなく形を残しています。このことからも耐久性の高さが窺えます。

屋久杉でつくられた家具のご紹介

屋久杉を使ったアンティーク家具

屋久杉は神聖なものであり信仰の対象だったため、長らく伐採されることはありませんでした。
16世紀後半に初めて特別な建築に用いられて以降、幕末までに約5~7割の屋久杉が伐採されていきました。
この頃は建築材や船材などで使用される以上に、平木という屋根材として加工されることが多く、年貢として納められたり、米や品物と交換する形で買い上げられたりして、貨幣のような扱いをされていました。
そうした中、欄間・衝立・天井板・茶箪笥・仏壇など当時の生活様式を窺わせる家具も残っています。

屋久杉を使ったヴィンテージ家具

徐々に天然林の伐採反対の声が高まっていき、1954年には特別天然記念物指定、1993年には屋久島が世界遺産に認定されたことを受け、屋久杉の伐採が禁止となったのは2001年のこと。
さらに2019年には持ち出しや競り自体も禁止となり、入手不可能な木材に。
そのため現在市場で見るものは、禁止される以前に伐採されたものか、あるいは江戸時代に伐採され倒木のまま残った「土埋木」のみです。
それらもいつかは数が尽きると考えると、アンティークやヴィンテージの時代につくられた家具の貴重さがひしひしと伝わってきます。


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屋久杉を使った現代の家具

長寿の木だからこそ発生する変色やうねり、時には木の中に空洞が生じたり、蓮根菌に侵食され小さな穴が多数空く「蓮根」という現象が起きたりしますが、それら全ては「味」と捉えられ屋久杉の魅力そのものとなります。
そのため「捨てることのない木材」としても有名なのです。
空洞を利用した茶棚や、樹皮や根株の形をそのまま活かした飾り棚、木の歴史と自然の雄大さを贅沢に味わえる一枚板テーブルなど、どんな空間に置いても主役となれるような存在感のある美しい家具が現代でもたくさん存在します。

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