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突板

突板(ツキイタ)とは、製材した天然木を0.2〜0.6mmほどの薄さにスライスしたものです。
これほど薄い板のため、もちろんこのまま木材として使用することはできません。
厚みのある合板(ごうはん)や中密度繊維板(MDF)などの表面に圧着して初めて使用されます。
この貼り合わせてできた板のことを「天然木化粧合板」といい、建築物の内装や建具・フローリング・家具など、実は私たちの身の回りにあるあらゆるものに取り入れられています。
家具に注目して見てみると、お店に並ぶ商品は「無垢材家具」か「突板家具」のどちらかと言ってもいいほど、非常によく使用されている家具材の種類なのです。
そもそもなぜこのように薄くスライスして使用しているのか、そしてなぜこれほどまでに多用されているのか。
突板について深く知り、どのような魅力を持っているのか探っていきましょう!

突板の模様の種類

まずは突板がどのようにして使用されるのか、その構造について詳しくご説明します。
天然木化粧合板は土台的要素で強度を持つ「芯材」とデザイン性を持つ「化粧材」の2つで構成されています。
突板はその「化粧材」の部分を担っています。つまり家具の表面材となるので、突板には見た目の美しい高級木材などが選ばれます。
ちなみに突板以外の化粧板もあり、天然木を用いずに紙・布・プリントシート・塗装・合成樹脂などで木目を再現した素材を合板に貼り付けた「特殊加工化粧合板」というものがあります。
いずれも芯材には前述した合板やMDF、もしくは安価な無垢材などが使用されます。

突板に使用する木をどのように切り出すかによって木目の模様が変わってきます。
特に貴重な杢目が現れているものは突板の化粧価値も高まります。
それでは主に切り出される3種類の模様「柾目」「板目」「杢目」について見ていきましょう!

柾目

年輪に対して直角方向に切り出した時に現れる木目で、見た目は直線的な模様です。

板目

年輪に対して水平方向に切り出した時に現れる木目で、見た目はタケノコの断面のような模様です。

杢目(ロータリー杢)

原木となる丸太を「大根の桂剥き」の要領で製材した時に現れる木目で、波紋のような独特な線を描き、幅の広い突板をとることができます。

突板の貼り方の種類

続きまして、突板の貼り方の種類についてご紹介します。
ここでは主に使用される3種類の方法をご紹介していきますが、その他にも「斜め貼り」「ダイヤモンド貼り」「矢羽根貼り」など様々な種類があり、同じ突板を使用したとしても貼り方ひとつで表情が全く異なってきます。

スリップマッチ(追い貼り)

幅の揃った突板を、横並びに連続して貼り合わせたもの。最も主流といえる貼り方です。

ブックマッチ

突板の表裏を交互に貼り合わせたもの。そのためシンメトリーな模様となります。

ミスマッチ(ランダム貼り)

木の切り出し方や幅の長さ、樹種などを統一せずに組み合わせたもの。

突板に使用される木の種類

では、具体的にどのような樹種が使用されているのでしょうか。
実に様々な種類の木が使われますが、あまりにも希少性が高い樹種は突板であっても高価格となり、入手困難なものさえあるのです。
それでは突板材として人気のある樹種の一部をご紹介していきます。

オーク

ブナ科コナラ属の木で、日本語では「ナラ(ミズナラ)の木」を指します。
オークにはたくさんの種類がありますが、中でも北米産の「ホワイトオーク」がよく使われています。
明るい色味・はっきりとした優雅な木目が特徴で、高い耐久性と耐水性を誇る木です。

ウォールナット

クルミ科クルミ属の木で「チーク」「マホガニー」と並ぶ世界三大銘木の1つです。
チョコレート色にも似た深みのある濃褐色が特徴的で、美しい木目と艶を持ちます。
耐久性や加工性が高く、狂いも少ないという優れた性質を持つことも人気の理由です。

タモ

モクセイ科トネリコ属の木。美しくはっきりと表れる独特の木目には品格を感じます。
強度・弾力・粘り強さを持ち合わせ、建材や家具材だけでなくスポーツ用品の材料としても重宝される木です。

突板の魅力

本物の美しい木目を低コストで

なかなか手が伸ばしにくい高級無垢材家具も、突板家具であれば本物の木を使用しているので、美しい木目・手触り・香りをそのままに、低コストで手に入れることができます。
実際に天然木化粧合板は、一目見ただけでは無垢板と遜色ない見た目をしています。
また1本の木から大量の材料がとれるので、環境に優しく施工性も良いです。
無垢材は木の風合いを一番感じる美しい木材ではありますが「取り入れるには少し勇気がいるな‥」と感じる人も少なくはないはず。
そんな時にこのいいとこ取りの突板は有効かもしれませんね。
しかし無垢材に比べるとやはり感触は硬く、木の風合いも劣るということも事実です。

軽量で安定した品質

無垢材や集成材に比べると軽量で、大きな家具でも扱いやすくなります。
さらに突板化粧板は反りや割れに強いというメリットを持っています。つまり安定した形と質で使い続けることができるのです。
しかし深く傷が付くと剥がれてしまうというデメリットも。傷が付かなくとも接着剤を使用しているためいつかは経年によって剥離したり、シミや変色を起こす可能性があります。
無垢材であれば削るなどして修理ができますが、突板は貼り替えを行わなければなりません。
また水気や湿気に弱い一面もあり、たくさんの水分を吸収すると芯材が膨張して変形することがあります。
こうした事態をなるべく避けるために重要となってくるのは、ウレタン塗装やオイル塗装でのコーティングや、定期的なメンテナンスです。
ウレタン塗装は塗膜が厚いため、木の風合いなどは感じづらくなりますが、その分傷や水から保護する力が強くなります。メンテナンスもほとんど必要ありません。
オイル塗装は表面に塗膜を作らず浸透していくので、木の風合いを活かすことができますが、保護能力が乏しいため定期的に再塗装などのメンテナンスが必要となります。
表面塗装を施し、湿度の高い場所や水回りはなるべく避け、水が付いた時や水拭きした後にはすぐに布巾でしっかり水気を拭き取る。
こうしたお手入れ次第で突板家具は長持ちさせることができ、実際にアンティークの突板家具も数多く現存しています。

デザインの柔軟性

突板は薄いが故に、一枚板では実現が難しいデザインでも柔軟に対応することができます。
先述の通り、突板に使用する樹種・組み合わせ方・貼り方などで多種多様な表情をつくり出すことができるので、デザインの幅がグンと広がります。
均一な木目は、統一性を求めるデザインにはもってこいの木材であり、均質な家具を大量につくったり、小径な木からでもテーブルやテレビボードといった大きな家具の木目を賄えることは大きな魅力といえます。

突板でつくられた家具のご紹介

突板を使ったアンティーク家具・ヴィンテージ家具

北欧や欧米などのアンティーク家具・ヴィンテージ家具には頻繁に使用されている突板。
当時の海外では、コスト削減や効率の良さよりも、見た目の美しさを重要視した使い方をしていました。
突板の中でも最も美しい杢の部分が使われ、木目の模様で意匠を凝らしたり、十分に美しい無垢材の上にさらに高級木材の突板を貼ったりと、贅沢な使われ方をしたものもたくさん見受けられます。

突板を使った現代の家具

現代でも身近な存在である突板家具は、カリモクなどの大手家具メーカーをはじめ様々な場で取り扱われています。
家具の世界だけでなく、突板の個性的な形状や模様を活かした現代アート作品も多く生み出されています。
使用にあたって注意点もいくつかありましたが、それでもたくさんの魅力を持った材であり、これからますます貴重となる森林資源を有効活用するためにも必要不可欠な存在といえますね。


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