手許箪笥(てもとたんす)とは、貴重品や身の回りの小物などを収納する小ぶりな箪笥のことです。その名の通り、リビングなどのすぐ手が届くところに置いておき、便利に使えるのが特徴です。
手許箪笥の特徴
手許箪笥の高さ・幅共に500m~700mm程度という小ぶりの箪笥です。手許箪笥には、大小異なる様々な引き出しが備え付けられている特徴があります。これは、大きめの書類からこまごまとした文具などまで整頓してしまうための工夫の一つです。引き出しの他、引き戸の棚、扉の付いた収納などを兼ね備えており、様々な用途に合わせて身近に置きたいものをしまっておくことができます。
素材・装飾など
手許箪笥は大切なものを身近にしまっておく、という用途のため華やかな装飾のものが多く見られます。サイズは小ぶりであるものの、豪華なデザインで存在感がある箪笥です。漆塗りで仕上げられていたり、飾り金具を多く取り付けたり、なかには全体に蒔絵を施したきらびやかなデザインのものもあります。
手許箪笥の種類
仙台箪笥の手許箪笥
立体的で細やかな金物の打ち出しが特徴の仙台箪笥ですが、手許箪笥のサイズになってもその飾り金具の美しさは別格です。しっかりと箪笥全体を補強するように金具を打ち付けているほか、引手金具部分には仙台箪笥らしい意匠が光ります。
米沢箪笥の手許箪笥
米沢箪笥と言えば、錠前の丸い金具が目印の素朴な箪笥を思い浮かべますが、近年の米沢箪笥の手許箪笥は実にきらびやかです。多くの飾り金具を取り付けた箪笥は非常に立派なデザインをしています。
金彩蒔絵の手許箪笥
どこから見ても艶やかという言葉が相応しい手許箪笥です。全体にちりばめられた桐の蒔絵がきらびやかな美しさです。引き戸には梅の蒔絵を施し、ワンポイントのデザインとなっています。
手許箪笥の歴史
手許箪笥は、女性が身の回りの細かなものをしまうために寝室などに置いていたのが始まりとされます。例えば、かんざしや帯留めなどの貴重品、なかにはへそくりをしまっていたという話もあるようです。それが日常に使うこまごまとしたものをしまう箪笥へと変化していき、書類や手紙、貴重品をしまうようになった経緯があります。
小ぶりな箪笥ながら存在感のあるデザインは、リビングなどにぴったりです。和のデザインを愛する人々のために、現在も作り続けられている箪笥の一つです。