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桜とは、バラ科サクラ亜科サクラ属もしくはスモモ属の落葉広葉樹の総称です。
桜は日本の国花であり、春の象徴・花の代名詞として古くから日本人に愛されてきました。
お花見や日本文化でもよく用いられる馴染み深い存在ですよね。
ほぼ日本全土で見られる木ですが、日本の他にもシベリア・中国・アメリカ・カナダなど北半球の温帯に広く生息しています。
観賞用としてとても人気のある桜。木材としても大変価値があることを皆さんはご存知でしょうか。
桜の持つ特性を活かし、家具・建材・彫刻・楽器などの高級材として昔から使われてきました。
木材の業界では「カバザクラ」や「ミズメザクラ」のことを「サクラ材」と呼びますが、本物の桜材とは全くの別物です。
そのため混合しないよう本来の桜を「地桜」と呼ぶことがあります。
お店ではどちらも家具材や建材として同じように並んでいるため、購入の際は確認してみた方がいいかもしれませんね。
それでは、そんな桜の木材としての魅力をお届けしていきたいと思います!

桜の種類

山野に自生する桜の基本野生種は11種類とされており、そこから自然交雑したものや園芸用として品種改良されたものも合わせると種類はなんと600を超え、その数の多さに驚かされます。
お花見で有名な「ソメイヨシノ」や「シダレザクラ」などは主に観賞用に植樹されることが多く、木材としての流通量は極めて少ないです。
ここでは木材として使用される桜の種類をいくつかご紹介していきます!

ヤマザクラ

桜材の中でも最もポピュラーに使われる種類です。ホンザクラと呼ばれることもあります。
基本野生種の中の1つで、樹高は15〜25mほどあります。
辺材は淡黄褐色、心材は褐色〜赤褐色ですが暗緑色の縞模様を帯びることがあり、木目は緻密でほぼ通直。
桜材の中でも特に硬く乾燥後は狂いも少ないため、耐久性・耐水性・防虫性・加工性・着色性・強度・粘りにも優れており、表面は磨くと美しい光沢と艶が出ます。
樹皮は茶筒や小物入れといった樺細工に用いられたり、喉の生薬の原料になったり、樹皮を剥がさず木材をそのまま床柱として使用したりと、捨てるところが少ない木材としても有名です。
ヤマザクラ材は大変人気がありますが、国内外問わず蓄積量が少なく大変貴重な材です。

シウリザクラ

別名「シュリザクラ」「ミヤマイヌザクラ」「シオリザクラ」「シオレザクラ」ともいいます。
稲穂状にたくさんの白い花を付け、桜の種類とは思えないような特徴的な花の形状をしています。
中国地方北部から北海道、千島列島、樺太、中国大陸などに生息していますが、中でも北海道の日高地方産のものが良質とされています。
木質はヤマザクラと似ていますが、比べると軽軟で色が明るめです。
こちらも見た目が美しいことから主に家具材などに使用されます。

ウワミズザクラ

別名に「コンゴウザクラ」「アンニンゴ」「ウワミゾ」「ハハカ」などがあります。
「シウリザクラ」によく似ていますが、自生している場所や葉の根元の形などで見分けることができます。
具体的にはシウリザクラは冷高地に育ち葉の根元がハート形であるのに対し、ウワミズザクラは低地に育ち葉の根元は緩やかな円形をしています。
またウワミズザクラは果実・蕾・花の全てを食用に用いることができることも特徴の1つです。
木質は硬くて軽く、建材・版木・彫刻細工・道具の柄などに使用されるのに加え、樹皮はヤマザクラ同様樺細工の素材として利用されます。

桜の魅力

質の良さ

ほどよい硬さ、耐久性や耐水性の高さ、加工性の良さ、緻密で通直な優しい木目、磨くと出るシルクのような光沢や艶など、桜は木材としての優れた面をたくさん持ち合わせています。
また桜は広葉樹の中でも道管が細くきめ細やかな木目のため、表面の肌触りがとても滑らかです。
そうしたことが上品さを醸し出し、高級家具材によく用いられています。

唯一無二のコントラスト

辺材は淡黄褐色で心材は褐色〜赤褐色である桜材は、木目の外側と内側では顕著な色味の違いが見られます。
そのため家具材などに使用されると、まだら模様のような仕上がりになることがあります。
見た目に均一性を求める時には避けたい木材かもしれませんが、桜材が生み出すコントラストは木の風合いや味わい深さを感じさせる大切な要素となり、一点物としての価値を高めます。

美しい経年変化

優しくて明るい赤みを帯びた色味が特徴の桜材ですが、経年変化によってその赤みは徐々に濃くなっていき、時を刻みながら深みのある飴色へと変化し高級感を増していきます。
北米における桜であり、世界的に絶大な人気を誇る「アメリカンブラックチェリー」とヤマザクラを比べると、アメリカンブラックチェリーの経年変化の方がよりスピーディーで色の変化も劇的なものとなります。さらに色味もヤマザクラより赤みが強いです。
近樹種である両者の材質自体はよく似ていて、木目に関してはヤマザクラの方がワイルドで力強さが出ている印象を受けます。
こうして比べてみると、海外の桜材とは一味違う落ち着きのある奥ゆかしい雰囲気を感じますね。

桜でつくられた家具のご紹介

桜を使ったアンティーク家具・ヴィンテージ家具

平安時代に武士階級の間で桜のお花見が楽しまれるようになり、江戸時代には庶民にも広まって桜は多くの人々に愛されていきました。
しかし今から6000〜7000年前の地層から桜材を使った容器や樹皮を利用した柄などが見つかっており、お花見で注目を集めるよりももっと昔から桜材は人々に親しまれてきたことがわかります。
アンティーク・ヴィンテージ家具の深い色合いからは歴史と重厚感を感じ取ることができます。

桜を使った現代の家具

温かみと柔らかい雰囲気を持った桜材の家具は、和室にも洋室にも調和します。
現在は希少で高価な材となりましたが、今でも数々の国内家具メーカーで桜材の家具はつくられ続けています。
桜材に比べるとカバザクラやミズメザクラといった「サクラ材」の方が流通量は多く低価格で、桜材に似た美しい見た目も楽しむことができますが、桜材は何物にも代え難い独自の素晴らしい特性や魅力をたくさん持っています。
桜の花は2週間ほどで散り「儚い美しさ」の象徴ですが、木材の桜は高い耐久性を持つため経年変化を楽しみながら長く愛用することができ、様々な形で私たちの生活に豊かさと彩りを与えてくれる桜の木は、やはり日本人にとって特別な存在といえますね。

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