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プレスガラス(プレスドグラス)とは

プレスガラス(プレスドグラス)とは、ガラス加工における技法の一つ。二つの型の間に溶けたガラスを流し込み、プレスして成形されます。
19世紀のアメリカで開発され、ごく少数しか生産できなかったガラス製品の大量生産を実現しました。装飾性が高く厚みがあり、耐久性に優れている点が特徴です。型押しで作ることから「型押しガラス」とも呼ばれています。

プレスガラスの特徴

プレスガラスは、19世紀初頭にアメリカで誕生したガラス製品の一種です。型に溶けたガラスを流し込み、プレスしたあと冷却をして成形して作られます。プレスガラスの登場により、複雑なデザインや模様が施された美しいガラス製品が安価で大量生産できるようになりました。プレスガラスの登場は、まさにガラス製造における革命をもたらした技法ともいえるのです。

19世紀の登場後、20世紀初頭にかけて世界的に人気を博し、装飾的な家具やインテリア製品にも使われました。

厚みがある

プレスガラスに厚みがある理由は、主に2つあります。1つ目は、当時の技術的な事情にあります。プレスガラスが登場した当初、19世紀から20世紀にかけては、ガラス製品の技術はまだまだ安定していませんでした。ガラスを冷却する際、均一な厚みでないと温度差で割れてしまうのが弱点でした。均一性を保つためにも、ある程度の厚みが求められたのです。

2つ目は、耐久性の弱さにあります。現代のように強化ガラスなどは存在せず、ガラスは割れやすいものでした。ガラス製品の耐久性を担保するため、結果的に厚みのある製品が多く作られたのです。

高い装飾性を誇る

プレスガラスが高い装飾性を誇る理由は、その製造技術にあります。溶けたガラスを型に流し込むプレスガラスは、複雑で細かい繊細な模様を精密に再現することが可能です。またプレスガラスは大量生産も可能なため、型のバリエーションを増やすことで、多彩なデザインが生まれました。

また技術だけではありません。光を反射してできる独特の透明感や質感も、華やかでエレガントな印象を与えます。技術とガラスがもつ性質が、プレスガラスの装飾性が高いといわれている理由です。

気泡やゆがみがある

プレスガラスに現れる気泡やゆがみは、製造過程が持つ特有の性質によるものです。溶けたガラスを型に流し込む際に、どうしても空気が混入しやすく、それが冷却過程で気泡として残ることがあります。また冷却時の収縮によって、わずかなゆがみも生じます。

19世紀から20世紀初頭の製造技術では、これらの不均一さを完全に防ぐことは難しく、むしろそれが当時の特徴として受け止められていました。
現代においては、こうした気泡やゆがみが、ヴィンテージならではの風合いとして評価されています。プレスガラスの個性を際立たせる要素ともいえ、アンティークの魅力を語る上で、欠かせない特徴ともいえるでしょう。

プレスガラスの歴史

プレスガラスの歴史は、19世紀初頭のアメリカにまで遡ります。1820年代、アメリカでは型押しでガラス製造ができる機械が開発されました。従来の手吹きガラスでは実現できなかった、複雑なデザインや大量生産が可能になったのです。
19世紀後半から20世紀初頭のヴィクトリア朝時代には、プレスガラスがヨーロッパ全域で一大ブームを巻き起こします。細やかなカットや華やかな装飾が施された製品は、当時の社会における繁栄の象徴として、瞬く間に一般家庭に広まりました。

プレスガラスと日本のかかわりとは?

プレスガラスの登場

日本にプレスガラスが登場したのは、江戸後期から明治時代にまで遡ります。西洋文化が日本に積極的に取り入れられた時代、プレスガラスもその一つとして日本に紹介されました。
大正時代以降、日本国内でのプレスガラス製造が盛んになります。大正時代から昭和時代に作られたプレスガラスは、西洋の華やかさの中に日本の伝統的な美意識が融合した、独特のデザインが特徴です。

プレスガラスの多彩なデザイン


花や星、結晶のような自然モチーフや、幾何学模様など、そのデザインは多種多様で、300種類以上ともいわれています。ガラスの色も、白や透明色といったシンプルなものから、レトロポップなカラーまで、実にさまざまです。

美しく実用的なプレスガラス

厚みがあり丈夫なものが多いので、普段使いの食器のほか、照明やインテリア小物などとしても重宝されました。現代のインテリアデザインにおいても、プレスガラスの持つノスタルジックな魅力は、レトロな雰囲気を演出する要素として注目されています。特に、タイルや照明器具、窓ガラスなどに使われたプレスガラスは、その輝きと繊細なデザインが、現代の空間に新しい価値を与えています。

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