オケージョナルテーブルとは、18世紀以降のフランスやイギリスの上流階級の間で生まれた、小型の補助用テーブルのこと。「オケージョナル」は、英語で「時折」を意味し、転じて「用途を持たずに時と場合に応じて何にでも使えるテーブル」として日常生活のあらゆるシーンで頻繁に使われました。
オケージョナルテーブルの特徴
オケージョナルテーブルの特徴といえば、デスクやダイニングテーブルといったほかのテーブル類と比べて天板が小さいことです。部屋の動線や視界を遮らず、手軽に持ち運びできるような利便性や、あくまで補助用テーブルであることを重視して作られました。そのため、地域や時代ごとに様々なデザインのオケージョナルテーブルが作られてきたものの、基本的には装飾は少なく、簡素なデザインが主流です。オケージョナルテーブルの室内のどこにでも置けるようなサイズ感は、ティータイムやカードゲーム、書き物、読書のほか、ランプ台や洗面台、花台にも用いられるなど、あらゆるシーンで重宝されました。現在でも、サイドテーブルやコーヒーテーブル、ネストテーブルといった名称のテーブルがオケージョナルテーブルの後継品として生み出されています。
天板の形
天板の形状は、長方形や正方形がメジャーですが、その他にも円や楕円、三角、八角形なども見られます。
脚部の形状
オケージョナルテーブルは天板がシンプルであることに対して、架台や脚部に意匠を凝らしたものが多く見られます。
猫脚(カブリオールレッグ)やツイストといった、繊細なディティールや彫刻をあしらったり、引き出しや棚板を取り付けたりされることもありました。
彫刻
オケージョナルテーブルには、作られた時代の流行による彫刻が施されているのもポイント。17世紀から18世紀には、ルネサンス様式やバロック様式、ロココ様式の装飾が用いられ、18世紀後半に新古典主義が台頭すると、古代ギリシャやローマ由来の古典的な装飾が多く使われました。ちなみに、装飾に使われた模様は、貝殻、アカンサスの葉、動物、人物、花、果実、渦巻などで、特に繊細なディティールや優美さを物語る意匠は職人技の腕の見せ所でもあり、高価な家具の所有が一つのステータス上流階級からは、大変好まれたようです。
また、彫刻以外にも、一つの素材に異素材をはめこむ象嵌(ぞうがん)や、板や金箔を張り付ける装飾、カラーリングの技法なども用いられることもありました。
材料
材料には、家具が作られた時代によって変わりますが、17世紀~19世紀にはウォールナット(クルミ)、オーク(ナラ)、ビーチ、エルム、マホガニーなどが使われ、さらに時代が進み近代に入ると、紙粘土や金属、石材、ガラス、樹脂なども使われるようになりました。
オケージョナルテーブルの歴史
オケージョナルテーブルは、その起源は定かではありませんが、17世紀末頃のイギリスで現れたサイドテーブルが原型だと考えられています。その背景には、当時上流階級の間で流行したティータイムやカードゲーム、サロン文化の存在があり、上流階級の日常生活がオケージョナルテーブルを育みました。食堂のダイニングテーブルのような大きなテーブルまではいかなくとも「どこでも使えるちょっとした小さなテーブル」が人気を呼んだのは自然なことだったといえるでしょう。
オケージョナルテーブルと呼べる、現代のテーブルとは?
「オケージョナル」とは、先にも触れたとおり「時折」を意味する言葉。オケージョナルテーブルは上流階級の家具文化の中で存在価値を育み、ティータイムやカードゲーム、書き物など、日常生活のあらゆるシーンで活躍してきました。
そんなオケージョナルテーブルは、西洋の文化が当たり前になった現代に生きる私たちの暮らしにも、息づいています。オケージョナルテーブルの登場以降、さまざまなテーブルが生み出されてきました。サイドテーブル、エンドテーブル(脇机)、ソファテーブル、コーヒーテーブル、ゲームテーブル、カードテーブル、カクテルテーブル、ランプテーブル、ネストテーブル(入れ子構造のテーブル)など、これらの名の付く家具は、オケージョナルテーブルとほぼ同じ使われ方をしています。
ただし、あくまで椅子と一緒に使うことを想定しているため、背の低いタイプや飾棚のコンソールテーブルなどは含めない見方が一般的です。
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