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ミラーバックサイドボードとは

ミラーバックサイドボードとは、背面に鏡が取り付けられた収納棚のことを指します。ヨーロッパを中心に19世紀から20世紀初頭にかけて広く普及し、リビングやダイニングで使われました。華やかな装飾と実用性のある収納力が特徴です。

ミラーバックサイドボードの特徴

ミラーバックサイドボードの最大の特徴は、背面に鏡が取り付けられていることです。現代において鏡といえば、自身の顔や姿を映す道具をイメージしますが、実は古くからインテリア面で多様な使われ方をしてきました。

例えば、部屋を広く見せる効果や、光を反射して明るくする効果などです。鏡に周囲の景色や照明が映り込むことで奥行きと立体感が生まれ、空間に豊かな表情も与えます。

さらに注目したいのが、ミラーバックサイドボードが持つ収納性や装飾性です。収納面では、食器やリネンを整理するための引き出しやキャビネットが備えられ、実用性にも優れています。

また華やかな彫刻も、特徴の一つです。植物や動物、幾何学模様などが繊細に描かれています。主に、家具の扉や引き出し、脚に彫ったり、取っ手や金具に施したりされました。職人による熟練の技術による立体感のある彫刻は、長い時を経てもなお、今の家具作り技術の礎にもなっています。

また素材には、オークやマホガニー、ウォルナットといった高級木材が使用されました。かつてのヨーロッパ諸国において家具といえば、世代を超えて受け継いでいく資産的な特色がありました。古くに作られたアンティークのミラーバックサイドボードには、重厚感で華やかなデザインが多く見られ、とても頑丈な作りであることがわかります。

ミラーバックサイドボードの歴史

ミラーバックサイドボードは、19世紀のヴィクトリア朝時代にイギリスで発展しました。当時の上流階級の邸宅では、ダイニングルームやリビングにて食器や銀製品を収納するために使用されました。特にディナーの際には鏡が光を反射し、空間をより華やかに見せる役割を果たしました。

当時のイギリスの歴史的背景にも注目です。ミラーバックサイドボードがイギリスで広まった背景には、イギリスの住宅構造が大きく関係しています。イギリスの家はレンガ造りが多く、構造的に大きな窓を作ることが難しいため、部屋が暗くなりがちでした。そのため、光を反射させる鏡を家具に取り入れることで、室内を明るく見せる工夫がなされたのです。

さらに、17世紀末から19世紀半ばまでイギリスで施行されていた「窓税」も影響を与えました。窓税とは、家に設置された窓の数に応じて税金が課される制度で、節税のために窓を少なくする家が少なくありませんでした。結果として、自然光の入りにくい家が多くなり、室内を明るくするための工夫としてミラーバックサイドボードが普及したのです。

20世紀に入ると、アールデコやモダニズムの影響を受けたデザインのものも登場し、装飾性が控えめなミラーバックサイドボードも作られるようになりました。しかし、時代の流れとともに、大型の家具が敬遠されるようになり、次第に製造されなくなっていきます。

現在では、アンティーク家具としてその美しさと実用性が再評価されています。特にイギリス製のミラーバックサイドボードは、発祥の地のアイテムということもありアンティーク家具ファンから特に人気を集める存在です。

日本とのかかわり

日本では、西洋文化が本格的に取り入れられた明治時代以降、西洋家具が輸入されるようになりました。日本の上流階級の邸宅や洋館では、イギリス製のミラーバックサイドボードが使用されることもありました。
また大正・昭和初期には、日本の家具職人がイギリス家具の技術を手本に、ミラーバックサイドボードのようなデザインの家具を製作するようになりました。

現在、ミラーバックサイドボードはアンティーク家具の一つとして人気の家具です。ヨーロッパのアンティーク家具を輸入する日本のアンティークショップも増え、日本の住宅に合わせてリサイズやリペアが施されたミラーバックサイドボードが流通しています。

現代の家具には見られないレトロやクラシカルな雰囲気や、希少価値の高さこそが、アンティーク愛好者を惹きつけ続ける理由でしょう。

アンティークミラーバックサイドボードのインテリア活用法


ミラーバックサイドボードは、アンティーク家具としての趣を活かしつつ、現代のインテリアに取り入れることが可能です。例えば、以下のような使い方があります。

ダイニングルームの収納として

ダイニングルームの収納家具に使うアイデアです。食器やカトラリーを収納しつつ、上部にキャンドルスタンドや花瓶を飾ることで、ディスプレイとしても華やかな雰囲気を演出できます。

リビングルームでキャビネットとして

リビングルームでも活用が可能です。雑貨や本、日用品を収納しつつ、鏡の反射を利用して部屋を明るく見せる効果も期待できます。

寝室のドレッシングチェスト代わりに

鏡が付いていることを利用して、ドレッシングチェストとして使うのも良いでしょう。収納がたっぷりあるので、アクセサリーや化粧品の保管にも最適です。

エントランスや玄関ホールに配置

装飾性に富んだミラーバックサイドボードは、来客を出迎える場にもぴったりです。おしゃれなコンソールテーブルとして使いながら、反射する鏡の光が広々とした空間を演出します。

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