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ミントンとは

MINTON1

ミントン(MINTON)は、1793年にイギリスで創業された陶磁器ブランドです。革新的な絵付け技法と上質な作りが世界中で評価され、ヴィクトリア女王から「世界で最も美しいボーンチャイナ」と絶賛されました。2015年、フィンランドのフィスカース(FISKARS)社によりミントンの属するグループ会社が買収され、ミントン(MINTON)のブランドは事実上、廃止されました。現在はフィスカース社のライセンスブランドとして、インテリア商品やテーブルウェアが展開されています。

ミントンの特徴

ミントンの陶磁器は、優雅なデザイン性と高い耐久性が特徴です。絵付けにはいくつもの革新的な技法が用いられ、独自の美しさがあります。またボーンチャイナを製造していたことでも知られ、頑丈な作りであることから実用性も兼ね備えていました。

デザイン

ミントンには著名なデザイナーが数多く在籍し、芸術性にもデザイン性にも優れた製品を世に送り出しました。手作業で描かれた繊細な絵柄が特徴的です。

「ハドンホール」シリーズ

日本で最も親しまれているデザインといえば「ハドンホール」でしょう。1948年にアートディレクターであるジョン・ワズワースによって生み出されました。中世の城「ハドンホールの礼拝堂」の壁画にヒントを得た、アールデコ調のモダンなデザインが特徴です。「ハドンホール」はベストセラーとなり、現在でも多くのファンを集めるシリーズです。

デザインの元となった「ハドンホール古城」

革新的な絵付けの技法

ふんだんに金彩を取り入れたカップ&ソーサー

ミントンは、金彩(きんさい)の技法に優れていたことでも知られています。代表的な技法は、以下の通りです。

  • 「アシッド・ゴールド」
    1863年に開発。金を酸(アシッド)によって腐食させることで模様を作る技法です。
  • 「パテ・シュール・パテ」
    液状の盛り上げ材を塗り重ねることで立体的な装飾をおこなう技法です。下地の透け具合で絵柄を表現します。
  • 「レイズド・ぺイスト・ゴールド」
    素地に立体的な装飾を施したあと、金を盛りつける装飾技法です。完成後は、ゴールドの図柄が素地の表面から浮き上がって見えます。7年の見習い期間を経た、熟練の職人のみが許される高度な技法です。

ミントンの歴史

イギリスの名産品「ボーンチャイナ」の製造にも着手

創業期(18世紀末~19世紀初)

ミントン(Minton)は、1793年にイギリス中南部の窯業地ストーク・オン・トレントで誕生しました。創業者のトーマス・ミントンは、創業してまもなく「ブルーウィロー」のデザインで成功をおさめます。

当時、色鮮やかな陶磁器はまだまだ高価なもので、貴族などの上流階級の人々しか入手できませんでした。青の絵付けだけで描かれた「ブルーウィロー」は、中産階級をターゲットにしたもので、当時の大衆から大きな注目を集めました。

1798年からは、牛の骨灰を使用した白い磁器「ボーンチャイナ」の製造を開始します。イギリスを代表する陶磁器ブランドとして、本格的に市場へ参入していきました。

成長期(19世紀初~19世紀後半)

19世紀に入り、トーマス・ミントンの息子であるハーバート・ミントンが後継者になると生産性・芸術性が向上します。ハーバートはさらに芸術性を求め、熟練の職人や精鋭のデザイナーを多数起用したのでした。この時期には、ロココ様式や新古典主義様式からヒントを得た、洗練デザインがいくつも編み出されました。

1840年にはヴィクトリア女王に触れることとなり「世界で最も美しいボーンチャイナ」と称されました。その後、イギリス王室御用達のブランドになり、世界的に名を馳せます。

20世紀半ば

20世紀になると、第一次世界大戦や第二次世界大戦の影響により、陶磁器産業全体が衰退します。ミントンも例外なく困難に見舞われるも、ブランドの誇りを守り続けました。

そして戦後からまもない1948年、デザイナーのジョン・ワズワースによる「ハドンホール」シリーズがリリースされました。アールデコ調のモダンなデザインが大衆にヒット。12色もの絵の具を使った可憐な花々の絵柄が、大衆の心を掴みます。「ハドンホール」シリーズは日本でも絶大な人気を博し、ベストセラー商品となりました。
1950年代には、アメリカや日本など海外市場への輸出を強化します。日本を含むアジア市場では需要がさらに高まり、ミントンの製品が上流階級や皇室の間で広く使用されました。

20世紀半ば~21世紀

長らく家族経営をしてきたミントンですが、1973年にロイヤルドルトン(ROYAL DOULTON)の傘下となります。

その後、WWRDホールディングス・リミテッドグループの傘下に入りますが、2015年にはフィンランドのフィスカース(FISKARS)社に同グループが買収されます。これらの理由により、事実上「ミントン(MINTON)」ブランドは廃止され、陶磁器の生産も終了されました。

2024年現在、ミントンはフィスカース社のライセンスブランドとして名を残しています。インテリア製品やテーブルウェア、紅茶などが展開されています。

「ロイヤルドルトン」について、以下でも解説しています。こちらもぜひご覧ください。

⇒RAFUJU MAG 辞典「ロイヤルドルトン」のページはこちら

ミントンはどこで入手できる?

ミントンは現在、陶磁器の生産はしていません。しかしアンティーク市場では、入手が可能です。当店でも、ミントンの陶磁器を扱っており、大ベストセラーシリーズである「ハドンホール」シリーズ、「セントジェームス」とのコラボレーションシリーズなどの販売実績があります。

ヴィクトリア女王から「世界で最も美しいボーンチャイナ」と称され、歴史的に愛されたミントン。魅力は後世まで語り継がれることでしょう。

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