リネンフォールドとは木製パネルや家具に施される浅浮き彫り(レリーフ)の装飾のことで、リネンの布がひだ状に折り畳まれたような模様をしています。縦に伸びる直線としなやかな曲線が織りなすその美しい装飾は中世ヨーロッパで頻繁に使用され、中でもイギリスで人気を集めました。現代でもリネンフォールドのデザインは用いれられ、ヨーロッパアンティーク家具の代表的な装飾の一つとして愛されて続けています。
リネンフォールドの特徴
波打つ優雅な折り目、そして今にも動き出しそうな立体感のあるリネンの様子が浅浮き彫り(レリーフ)で見事に表現されている所が最大の特徴です。その姿はまるでふんわりと風を含んだカーテンのようにも見え、エレガントで高級感のある雰囲気を漂わせています。素材によく使用されているのは高級木材であるオーク材。重くて硬い丈夫な材質と美しい木目を併せ持ったオーク材は、重厚感を醸し出しながら優美なデザインを引き立てています。
リネンフォールドの種類
一見同じように見えるデザインもよく見ると一つ一つに違いがあり、シンプルなものから複雑に構成されているものまでバリエーション豊かに展開されています。
リネンフォールドの歴史
リネンフォールドは14世紀頃のフランドル地方で誕生したといわれています。この頃の建築物はゴシック様式で建てられ、その壁面パネルの装飾的要素としてリネンフォールドが採用されました。なぜリネンがモチーフだったのか、それは当時のフランドル地方がリネン産業で栄えていたことが大きな理由でした。そうして生まれたリネンフォールドは華やかな見た目をしているものの、比較的シンプルな加工法でできているので取り入れやすく多くの好評を得ました。14〜16世紀にかけて北欧全域へと普及していきますが、家具においては特にイギリスのチューダー様式で人気を博します。
リネンフォールドは、同じ浅浮き彫り(レリーフ)で施される装飾「アーチ」「チューダーローズ」と共に、チューダー様式を代表する装飾としてたくさんの家具を美しく彩りました。フランス・ドイツ・オランダなど各地域でも独自の発展を遂げていきます。
しかし16世紀にルネサンス様式が興盛するとより豪華で華麗な装飾が好まれるようになり、リネンフォールドは衰退の道を辿ります。そして時が流れた19世紀にゴシック様式とチューダー様式が復興されると、リネンフォールドの装飾は再び注目を浴びることに。その後も何度もリバイバルされながらリネンフォールドの魅力は大切に受け継がれ、現代のデザインにも取り入れられています。
リネンフォールドのある家具
リネンフォールドの装飾は、チェストやサイドボードなど木製扉(木製の平面)の面積が広い家具に施されることが多いです。実際にリネンフォールドをあしらった家具をいくつかご紹介していきます。
リネンフォールドのあるインテリア
上品な美しさをまとったリネンフォールドを現代のインテリアに取り入れることで、上質な空間を演出することができます。