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ロールトップデスクとは

ロールトップデスクとは、ロールと呼ばれる蛇腹式の扉が付いたデスクのこと。19世紀のイギリスにおいて、主に銀行や企業のデスクとして使われました。セキュリティの工夫が見られるのも特徴で、ロール部分に鍵が付いたタイプが多く作られました。

ロールトップデスクの特徴

ロールトップデスクの最大の特徴は、デスク面を覆う蛇腹式の扉「ロール」にあります。ロールトップ部分は木製の薄い板で構成されており、スライドすることでデスク全体を覆うことが可能です。ロール部分には鍵が付いたタイプも多く、セキュリティや大切な書類の保護に役立ちました。ロールトップを開くと、多くの引き出しや仕切りが備え付けてあります。文房具や書類など、細かく分類して収納できる点も実用的です。

また重厚感と風格のある外観もロールトップデスクの特徴です。オークやマホガニー、ウォールナットなどの高級木材が使われ、ロールを閉じたときに美しい木目が表れるよう設計されています。ロールトップデスクは、オフィスや銀行など公的な場で印象を左右する家具として、大切に扱われました。

ロールトップデスクの歴史


ロールトップデスクは、筒状の扉が特徴の「シリンダートップデスク」が変化したものだとされています。

シリンダートップデスクは、18世紀のフランスで作られ、主に王侯貴族や上流階級の人々の書斎に置かれました。鍵付きのシャッター扉は利便性が高く、機密書類の保管やプライベートな空間を確保するために重宝されました。

現存するシャッター扉付きのデスクとしては、ヴェルサイユ宮殿に置かれているルイ15世が使ったとされるデスクがあります。設計した家具職人はジャン=フランソワ・オーベンとジャン=アンリ・リーズネルとされ、製作には9年もの歳月がかけられました。ロール部分の高度な仕掛けと、寄木細工やブロンズ工芸などの豪華絢爛な装飾が特徴です。

シリンダートップデスクが出てまもなく、蛇腹式のロールトップデスクが登場することとなります。
19世紀に入ると、ロールトップデスクは産業革命の勢いとともにアメリカで大量生産がはじまります。イギリスのヴィクトリア時代には、家庭やオフィスでのデスクとして人気が高まり、数々のデザインが生み出されました。

20世紀初頭、電話やタイプライターなど新しいオフィス機器の登場によりデスクの需要が変わります。求められる形状の変化によって、ロールトップデスクは次第に姿を消していきました。

現在は、アンティーク家具市場を中心に根強い人気を誇ります。ロール部分の精巧な仕組みや繊細な作りなど、現在の技術では再現できない職人技が支持される理由でしょう。またアンティーク家具ならではの高級感のあるクラシックなデザインも、ロールトップデスクの魅力を後押ししています。

ロールトップデスクの種類

ロールトップデスクは、一般的に横幅が広いデザインが主流です。しかし、中には縦長の形をした珍しいタイプも存在します。

このようなデスクが登場した背景には、ロールトップデスクがもつ機能性や見た目が大きく影響しているでしょう。シャッター式の扉はデスクの中身を隠したり、保護したりするのにとても便利でした。また重厚感のあるデザインも美しく、空間に高級感を演出する効果があります。

ロールトップデスクならではの性質が、さまざまな形状のロールトップデスクを生み出すきっかけとなったのです。

国や時代によるデザインの違い

ロールトップデスクは、製作された国や時代によってデザインが違います。特にアンティークのロールトップデスクには、当時の生活事情やトレンドも垣間見えるのが特色です。

イギリスアンティークのロールトップデスク

ロールトップデスクはイギリスで発展した家具ともあり、アンティーク家具市場ではさまざまなスタイルのロールトップデスクが見られます。

例えば、収納力がある両袖タイプや省スペースに適した片袖タイプなどです。ロールトップデスクは、オフィスや銀行などのいわゆる働く場所で使われることを考えると、大切な書類などをたくさん保管するために相応の収納力が求められていたことが想像できます。

また素材にはオーク材が使われていることが多く、耐久性に優れている点が特徴です。100年以上も時が経過してもなお、アンティーク家具として現存している点が、その丈夫さを証明しています。

和製アンティークのロールトップデスク

一方、和製アンティークのロールトップデスクはイギリス製に比べると、全体的に小さめのサイズ感が特徴です。日本の住居やオフィスは、海外に比べると手狭であることが多く、1人あたりに使えるスペースが限られていることが関係しています。さらに日本人の体格が西洋諸国の人々と比べて小柄であったことにも起因しているでしょう。

ロールトップデスクの高さにも注目です。日本は床座スタイルが一般的だったため、畳などに腰かけて使えるよう低く設計されたものも数多く見られます。日本で古くから使われてきた文机に、西洋家具のロールトップデスクが加わったようなイメージです。

また和製のロールトップデスクは、日本に広く生息しているナラ材が多く使われています。木目が美しく家具作りに適したナラ材は、耐久性にも優れているのが魅力です。

現代のロールトップデスク

現代のロールトップデスクは、ライフスタイルに合わせた洗練されたデザインが特徴です。

例えば、従来の両側にある引き出しや収納スペースをあえて省略し、ロールトップ部分のみを残したシンプルでスタイリッシュなデザインがあります。

現代的にアレンジする一方で、クラシカルな魅力もしっかりと引き継がれている点にも注目です。ロールトップデスクの象徴ともいえる蛇腹状の形状は、時を超えてもなおその形状を変えません。

ロールトップデスクは、古くから続く精巧な技術を守り、伝統的な美しさを伝える家具といえるでしょう。

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