レトロ好きの間でも根強い人気を誇る「レトロポップ」。ノスタルジックさと華やかさを併せ持った、他にはないテイストのインテリアですよね。見ているだけで明るい気持ちになり、元気をもらえるようなエネルギッシュさも感じます。
そんな魅力いっぱいのレトロポップなお部屋はどのようにしたら作れるのか?本項ではそのコツやポイントをご紹介していきます。
目次
レトロポップって何?
レトロポップとは、言葉の通り懐古的な意味の「レトロ」と、大衆的で親しみやすい様子を表した「ポップ」が掛け合わさった物のことをいいます。ファッションやアートの分野でもよく使われる言葉で、誰しも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
主に1960年代〜1970年代に流行したデザインのことを指し、懐かしさの中にカラフルなものをたくさん取り入れて「華やかさ・明るさ・可愛らしさ」といった要素を含ませた楽しく活気のある雰囲気が魅了的ですよね。その独特の世界観は、時を超え今もなお多くの人々に愛され続けています。
レトロポップなインテリアの特徴とは?
曲線のあるフォルム
大正時代に広まり始めた西洋文化がさらに身近なものへとなっていった昭和時代。戦後になると一般家庭にも畳の上にソファが置かれたりダイニングテーブルが設置されていきます。そうしたレトロ時代の家具は素朴で丸みを帯びたデザインを特徴としています。丸いちゃぶ台やカーブのついたフレームのソファといった家具だけでなく、黒電話やブラウン管テレビなどの家電製品も角のない曲線的なデザインで作られ、まさに昭和レトロの象徴のようなフォルムですよね。
また丸みのあるものは「優しさ・温かさ・柔らかさ・愛らしさ」といったイメージを与えるため、そうした形状のインテリアを置くことで親しみやすいポップな空間を作ることができるのです。
海外のヴィンテージ家具もシンプルかつ美しい曲線を描いたデザインが多いため、レトロポップな空間を作るにはうってつけのアイテムですよ。また洗練されたデザインはどんなお部屋にも馴染みやすく取り入れやすい点も魅力のひとつといえます。
カラフルなもの・柄付きのもの
レトロポップを語るのに欠かせないのが「レトロカラー」「レトロ柄」です。まさに華やかさや明るさを生み出す素であり「レトロ」か「レトロポップ」かを左右する重要なポイントでもありますよ。
レトロカラーと聞いてすぐに思い浮かべるのは、パッと目が覚めるような鮮やかな色味というよりかは、黄色を少し混ぜたようなくすみがかった落ち着いた色味ではないでしょうか。実際1960年代〜1970年代に流行した色味で、家具、家電、調理器具、雑貨など様々なデザインに用いられました。明るさの中にどこか奥ゆかしさも感じられ、日本らしい趣ある雰囲気がたまりませんね。
昭和の時代によく見られた花柄、ドット柄、ストライプ柄、幾何学模様などの柄もレトロポップ感を大いに引き立ててくれます。お部屋の随所にそうした柄を取り入れることで、懐かしさと共にカジュアルだったり可愛らしい雰囲気も演出することができ、親しみの持てる空間となります。
たくさんの雑貨や小物
多くの雑貨や小物をお部屋に散りばめれば、ワクワクと心弾むポップな印象のお部屋を作ることができます。もちろん雑貨や小物はレトロポップなものを選ぶことが大切です。ブリキ缶やホーロー製の鍋、ガラス瓶などお好きなアイテムをコーディネートするだけで、アッという間に自分好みのレトロポップ空間の出来上がりです。
たとえ色味・柄・素材の違うもの同士を並べたとしてもぶつかり合うことはなく、むしろ賑やかさが増してさらに明るく楽しいお部屋となることでしょう。自由で柔軟性のあるお部屋作りでオリジナル性も高まりますね。
逆にまとまりのあるインテリアにしたい時は使う色味や柄を絞ったり、雑貨や小物を置く位置を何ヶ所かにまとめたり、ディスプレイ用のケースや棚に入れるだけで、物足りなさを感じさせることなくスッキリとした印象を与えることができます。
レトロポップな部屋作りの4つコツ
テーマを決める
レトロポップなインテリアを作ろうと思い立っても、いまいち具体的なイメージが浮かばないといったことがあるかもしれません。そんな時はまず色味や柄、テイストなど作りたいお部屋のイメージに合わせたテーマを決めてみましょう。例えばレトロカラーを代表するオレンジや黄色といった色味を軸にインテリアを考えてみたり、花柄をメインにコーディネートしてみたり、レトロポップの中にクラシカルな要素も欲しい時にはステンドグラスや濃い褐色の家具を取り入れてみたり。もしくは「カフェ風」や「雑貨屋さん風」といったお店を参考にしたテーマを掲げてみるのもいいかもしれません。いずれにしても1つテーマを決めることでよりイメージが鮮明となり、家具選びなどもしやすくなりますよ。
ガーリー、スタイリッシュ、クールなど、レトロポップの中にも色々なテイストの違いがある上、海外に目を向ければさらに多彩なレトロポップの種類が存在します。国内外様々なインテリアを見てみて、理想とするお部屋はどんなテイストなのかを見定めてみましょう。
家具・雑貨を集める
レトロポップなお部屋作りに必要不可欠なのは、使い込まれた木味が魅力の木製家具。そのため明るめの色味ではなく濃い色味の木製家具を選ぶことでよりノスタルジックな雰囲気を醸し出します。その落ち着きのある佇まいが、ポップな要素を持った箇所を引き立ててくれますよ。丸いちゃぶ台やガラス戸のある収納棚などは特にレトロ感がありオススメです。他にも椅子やテーブルなどレトロを感じさせる家具は数多くありますが、いずれも味わいのある木質や素朴なデザインなどから温かみや優しさが感じられます。
また家具にペイントを施すという方法でポップ感を出すこともできますよ。ペイントに使う色をお部屋の雰囲気に合わせることでより統一感を出してみたり、あえてアクセントとなるような色味にしてみたり、ペイントする色によってどんな表情にでも変化させることができます。
レトロな雑貨もまたレトロポップな雰囲気を漂わせるための重要なアイテムです。ラインナップも実に豊富で、オブジェ・ガラス瓶・ポスター・人形・おもちゃ・カメラなど色々なジャンルがあります。ポップさを表すのであればやはり色味に注目し、カラフルなものや柄の付いたものを選ぶといいかもしれませんね。素材はプラスチック製やナイロン製のものがレトロポップ感満載です。1960年代は新素材の開発が進み、あらゆる物にプラスチックのような機能性の高い化学的な素材が取り入れらた時代です。そうした素材は色鮮やかなカラーで華やかさを演出するだけでなく軽やかさも与えてくれますよ。
照明器具にこだわる
レトロポップを演出するのに外したくないアイテムがもうひとつ、それが照明器具です。お部屋を照らすという実用性もありながら、素材やシェードのデザインによってレトロポップを表現することができます。天井から吊るすタイプの照明であれば、プラスチック製の丸みを帯びたデザインのシェードが特にオススメ。オレンジやグリーンといったレトロカラーのシェードから透過した灯りは柔らかさと温かみがありレトロ感に溢れています。軽量かつどこかチープな雰囲気がポップ感を盛り上げてくれますね。
スタンド型でオススメなのは、布製の円柱型・傘型シェードの照明です。ポップさを求めた時に選ぶべきは、レトロカラーで彩られた花柄のものや、プリーツやフリンジが施されたもの。レトロな喫茶店に置いてあるような昔ながらの古き良きデザインがノスタルジックさを際立てます。そうした照明以外にもカラフルなシェードの卓上型照明など、小振りで可愛らしくポップ感に優れたものも多くあります。照明としてだけでなく、インテリアとしても存在を光らせる優秀なアイテムです。デザインも幅広くあるので、個性を出すのにも持ってこいのアイテムですよ。
お部屋全体をコーディネートする
「ワクワクと心踊る楽しさ」や「カラフルな華やかさ」のあるレトロポップ空間を作りたい場合は、レトロポップな家具や雑貨でお部屋をコーディネートしながら、さらに壁・床・窓とお部屋の隅々までこだわってインテリア作りをしてみましょう。
「そんな広範囲で?大変そう…」「大掛かりなことをしなくちゃいけないの?」と思ってしまうかもしれませんが、決して難しいことはなく、白いシンプルな壁にポスターやポストカード、お花のモチーフなどを飾るだけでも立派なインテリアになりますし、床にはレトロ柄のラグを敷くだけでもグッと雰囲気が出ます。もっと拘りたいという方は壁や床にレトロポップなプリント柄のリメイクシートを活用する方法もありますよ。もし広範囲にわたって使用する場合は、レトロポップさを意識しながらも、長時間見ていても疲れることのないような色味や柄を選ぶようにしてくださいね。
窓にはぜひ大振りな花柄や幾何学模様のカラフルなカーテンをつけてみてはいかがでしょうか。お部屋全体が明るい雰囲気に包まれ、パッと目を惹く色や柄で空間のアクセントにもなってくれます。
ぜひ壁・床・窓と、お部屋全体を意識したインテリア作りをしてみてください。
国別で見る!レトロポップの多彩なスタイル
日本の郷愁漂う愛らしいレトロポップ
前述でご紹介した通り「落ち着きのある木味や丸みのある素朴なデザイン」「くすみがかったレトロカラー」「昔懐かしいレトロ柄」などを特徴とする日本のレトロポップインテリアからは、明るさや楽しさの中にも心に染みるようなノスタルジック感が漂いますよね。当時の日本は海外に比べるとデザインが洗練されきっていない印象で、どことなくあどけなさが窺えるその姿に、より一層の温もりや愛らしさを感じます。
そうしたお部屋を作りたいと思った時には、ユーズド感のある木製家具、日本ならではのレトロカラーやレトロ柄のアイテムをたくさん取り入れてみてください。メインテーブルやソファなどすぐに目につくような大きなアイテムから細々とした雑貨まで、お部屋全体に気を配った自分好みのインテリアにしたならば、楽しさと温もりに満ちた拘りのお部屋となりますね。好きなものに囲まれるので居心地も良さそうです。
もちろん、全面的ではなくさりげなくポップ感を取り入れることもできますよ。雑貨などはあまり飾らず、椅子、カーテン、照明といった限られたアイテムのみにポップさを出すことで、落ち着きと程よい開放感のある空間に。ぜひ「レトロポップ」の度合いを好みに合わせて調整してみてくださいね。
アメリカの賑やかで鮮やかなレトロポップ
アメリカのレトロポップと聞いて、アメリカンダイナーのようなインテリアを真っ先に思い浮かべる人も多いはず。真っ赤なビニールレザー製のソファ、市松模様の床、所狭しと飾られた雑貨の数々など、目が覚めるような鮮やかな色使いと遊び心がたっぷり詰まった賑やかなインテリアにインパクトがありますよね。多少ごちゃっとした印象でも、まるでおもちゃ箱に飛び込んだようなワクワク感があり、雰囲気を盛り上げてくれること間違いなしです。アメリカのレトロポップなアイテムによく使われるビニールや金属、プラスチックといった素材は気取らないカジュアル感があり、ポップな世界観も作りやすいですよ。
アメリカのレトロポップインテリアは、無駄な装飾を省いた丸みのあるシンプルなデザインが特徴の「ミッドセンチュリー家具」とも相性抜群で、そのハイセンスかつ上質な家具で、レトロポップな雰囲気に味わい深さと優れた機能性をプラスしてくれます。当時はポップアートやミニマルアートが流行していたという時代背景もあり、ミッドセンチュリー家具でもビビットカラーがよく用いられました。パキッと冴えたビビットカラーはレトロポップなインテリアによく馴染みます。
そうしたテイストとは一味違った魅力を放つ「スペースエイジ(レトロフューチャー)」のインテリア。こちらもレトロポップなスタイルに仕上げることができます。1960年代は宇宙開発競争が活発化していた時代。まだ見ぬ宇宙や近未来への関心や憧れがデザインへと反映され、流線型や球体型の個性的でユニークな家具が数々生み出されました。レトロでありながら近未来的な要素もあり何とも不思議な世界観が広がっていて面白いですよね。アート性が高く非日常的な雰囲気を楽しみたい方はぜひスペースエイジのインテリアもチェックしてみてください。
北欧のナチュラルかつスタイリッシュなレトロポップ
北欧インテリアといえば「洗練されたシンプルなデザイン」「木の風合いをたっぷり堪能できるナチュラルなテイスト」というイメージが強いですよね。レトロポップというカテゴリーにおいてもその特徴は活かされています。味のある古木でつくられた家具に懐かしさや温かみが感じられ、北欧らしい磨き抜かれた美しいデザインによってスタイリッシュな空気感を醸し出しているのが特徴です。北欧ヴィンテージ家具もまた、デザイン性の高さだけでなく優れた機能性も兼ね備えているため、快適な使い心地で長く愛用できるのも大きな魅力です。
そして北欧デザインの柄がポップなインテリア作りに大活躍します。北欧デザインの柄は、花や木や動物などの自然をモチーフにしたものが多く、ポップ感があってとても親しみやすいです。色味に関して見てみれば、アースカラーのような日本のレトロカラーにも似た彩度を抑えた色味から、北欧を代表するブランド「マリメッコ」でも印象強い鮮やかな色味まで、幅広い色調が用いられています。色の使い方によってお部屋の雰囲気に合わせたポップ感を作ることができますね。他にも幾何学模様のデザインも数多くあり、幾何学柄といえどどこか手描き感も感じさせる温もりある模様にほっこり心が和みます。
そうした色や柄をソファの張地に用いたり、壁に飾ったり、カーテンの柄で使用すれば、お部屋をポップに彩るだけでなく、どことなくモダンな風も吹かせたおしゃれな空間となるでしょう。
北欧のレトロポップインテリアで見られる温かみのあるデザインや色味は、日本のレトロポップインテリアと通ずる所があり合わせやすいので、自由な発想でミックススタイルとして楽しむのも良さそうですね。
イタリア生まれのユーモラスなデザインで作るレトロポップ
1980年代にイタリア・ミラノで誕生した「メンフィスデザイン」もレトロポップに近い要素を含んでいるので、人とは違った特別なインテリアを作ってみたい方はぜひ注目してみてください。メンフィスデザインとは、図形や線などを多用した幾何学的なカタチとビビットカラーで構成されたデザインのことで、その奇抜で独創的なデザインには賑やかさや楽しさが溢れています。レトロなお部屋のアクセントとして選りすぐりのメンフィス家具を取り入れたり、メンフィスデザインを参考にしたインテリア作りをしたならば、他と差をつけた目を惹くレトロポップ空間となります。
レトロポップと一言でいっても、使われるアイテムや国によって生み出される表情は様々で、その奥深い世界に思わず心が奪われます。もしレトロポップなインテリア作りにご興味を抱かれましたら、ぜひこちらの記事を参考にしていただき、自分好みの心ときめくお部屋を作ってみてください。