今人気があり注目の家具と言えば北欧家具ですよね。北欧家具について気になるけどブランドを良く知らないかも、という方や、色々なブランドやデザイナーを見比べてみたい、という方も少なくないと思います。そんな方に向けて、今回は知っておきたい北欧家具のブランド、デザイナーをまとめてみました。是非参考にしてみてくださいね。
目次
- 1 北欧家具ブランド
- 1.1 FRITZ HANSEN(フリッツ ハンセン)
- 1.2 BoConcept(ボーコンセプト)
- 1.3 eilersen(アイラーセン)
- 1.4 CARL HANSEN & SON(カール ハンセン&サン)
- 1.5 Artek (アルテック)
- 1.6 Louis Poulsen (ルイスポールセン)
- 1.7 LE KLINT (レ・クリント)
- 1.8 & Tradition (アンド トラディション)
- 1.9 PP Mobler(ピーピーモブラー)
- 1.10 Montana (モンタナ)
- 1.11 FREDERICIA(フレデリシア)
- 1.12 J.L Moller(ジェイエルムラー)
- 1.13 Berg Furniture(ベルグファニチャー)
- 1.14 Muuto(ムート)
- 2 北欧家具デザイナー
- 3 イギリスの家具ブランド
北欧家具ブランド
まずは、有名な北欧家具ブランドについてご紹介します。ブランドの歴史や人気のアイテムなど要所をまとめましたのでどうぞご覧ください。
FRITZ HANSEN(フリッツ ハンセン)
フリッツハンセンは150年以上の歴史を持つデンマークの家具ブランドです。早くから蒸気を使った曲木技法を取り入れていた家具ブランドで、これにより椅子やテーブルの加工が飛躍的に向上しました。また、世界中の一流デザイナーと協力して家具を作ることにも熱心でした。
チェアやテーブルのコレクションが多く、他にもソファやスツール、照明、クッションなどのアイテムも揃っているのでトータルコーディネートにおすすめのブランドです。
有名なコレクションにドロップという名前の付いたチェアがあります。まさに名前の通りしずく型のチェアで、見た目の斬新さだけではなく包み込まれるような座り心地も魅力です。また、ナイト・オウルと名付けられた照明は、丸みのあるデザインで北欧家具らしさ満点。他には、リトルフレンドという名の高さ調整可能な多目的テーブルも人気です。ラウンジチェアやソファに合わせられることと、すっきりとミニマルなデザインが注目のポイントですよ。
BoConcept(ボーコンセプト)
ボーコンセプトはデンマークの家具ブランドです。デンマークデザインの力ですべての人々の生活を豊かにすることを目指しているブランドで、日本でも人気の北欧家具ブランドの一つですよ。店舗ではコーディネートのための新しい技術の搭載にも積極的で、3D modelsによるシミュレーションも対応しています。
人気のアイテムにはコーヒーテーブルのBILBAOが挙げられます。コンクリートのベースにガラスの天板を合わせたモダンなデザインが魅力的です。サイドテーブルのEXPOSEは、オブジェのようなスタイルが目を惹きます。他にも、KINGSTONシリーズ、New Yorkのダイニングセット、Pine coneの照明、Portoのチェアなど魅力的なラインナップがありますよ。ソファも1人掛けから3人掛け、さらに大きなソファまで揃っているので、欲しいサイズを探しやすいと思います。
様々なシリーズ展開から好みの北欧家具を手に入れられるのが、ボーコンセプトの強みと言えるでしょう。
eilersen(アイラーセン)
アイラーセンは日本でも有名な高級家具ブランドです。デンマークで開業した当初は馬車を作るブランドでしたが、現在ではソファを中心とした家具を生み出す一流家具ブランドに変身を遂げました。
アイラーセンのソファは非常に人気が高く、寿命が長いと評判です。特にストリームラインは人気のコレクションで、クールなルックスと吸い付くような座り心地が魅力です。へたりが出にくいという口コミも多く、長く愛用できるのもこのソファの特徴。アイラーセンの中でも後悔の無い買い物とされることが多いですよ。RAシリーズのソファは、いくつかのアイテムを組み合わせて使えるシステムソファ。カウチソファだけでなくオットマンなども揃えられる人気のシリーズです。また、サバンナソファは、アイラーセンの中でも豊富なバリエーションがあるシステムソファのシリーズ。組み合わせ次第で自由なレイアウトを楽しむことができますよ。
CARL HANSEN & SON(カール ハンセン&サン)
カールハンセン&サンと言えば、北欧家具好きならばYチェアを思い浮かべるブランドです。日本にもフラッグシップストアが東京、大阪にあり北欧家具の中でも知名度が高いブランドと言えるでしょう。カールハンセン&サンというと椅子のイメージが強いデンマークの家具ブランドですが、他にもソファやオットマン、テーブル、キャビネットなど総合的に家具を作っています。トータルコーディネートもしやすい家具ブランドと言えるでしょう。
人気のアイテムは、やはりYチェア。ミニマルなデザインの椅子ですが、優美な曲線を描く背もたれには温かみがあり、発売以来現在もなおパターンを変えて販売が続けられています。また、キューバチェアも人気のアイテムです。折りたたみ式のチェアですが、広げたときも折りたたんだときも非常に美しいルックスをしています。もちろんリラックスした座り心地も魅力になっていますよ。
Artek (アルテック)
アルテックは日本にも「Artek Tokyo store」の直営店があり、比較的なじみ深い北欧家具ブランドです。フィンランドの首都ヘルシンキにて若いデザイナー4人で設立した企業であり、家具の販売だけでなく展示会、啓蒙活動によるモダニズム文化の促進を目的としています。
そんなアルテックのレパートリーはテーブルやスツール、チェアにソファなどの家具の他、照明や雑貨など幅広いのが特徴です。そのどれもが洗練された印象で、北欧の優れたデザイン力を感じさせられます。特に注目したいのが90A、90Bテーブルです。創設者の一人であるアルヴァ・アアルトの作品ですが非常にシンプルながら曲木の脚が温かみのあるデザインです。同じくアルヴァ・アアルトがデザインした66チェアと合わせるとバランスよくすっきりとまとまりますよ。
またアルテックは「Artek 2nd Cycle」を立ち上げ、中古家具の買取販売にも乗り出しています。サスティナブルな家具ブランドとしても注目ですね。
Louis Poulsen (ルイスポールセン)
家具の中でも照明機器にスポットを当てているのがルイスポールセンです。デンマーク生まれのこのブランドでは、ラグジュアリーな照明を生み出すことに熱意を注いでいます。光の巨匠と呼ばれるポール・ハンセンとタッグを組み数々の美しい照明を生み出してきたブランドです。
例えばPH5という名のペンダントライトは、誕生から60年以上を経て今なお人気です。3層のシェードのデザインは、誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。また、テーブルランプのパンテラも人気のアイテムです。キノコのような丸みを帯びたデザインは、光を無駄なく拡散して明るさを届けてくれますよ。他にも、PH2/1、PH3、AJシリーズなどが人気で、それぞれにテーブルライトやフロアライト、ペンダントライトなどの展開をしています。ペンダントライトにはアーティチョーク、スノーボール、エニグマといった個性的なデザインのものもあり、部屋を魅力的に演出してくれること間違いなしです。
LE KLINT (レ・クリント)
同じくデンマークの明かりのブランドが、レクリントです。実は日本の折り紙をヒントにプリーツのランプシェードを作ったのが始まりということで、日本とゆかりが深いブランドと言えそうですね。一枚のシートを手で折りシェードに仕立てる技法は今も受け継がれており、熟練の職人によって一つひとつ丁寧に作られているのだそうですよ。
そんなレクリントの照明は、繊細で温かみがあるのが特徴。例えば、スノードロップのシリーズは細やかなシェードのプリーツと繊細なカーブを描く脚が上品です。レクリントのペンダントライトはどれも個性的な折りで独自の世界観を作り出しています。幾何学的な折り方だけではなく、波打つようなカーブをつけた折り方などもしているのには驚かされることでしょう。
最近では本物のキャンドルのようなデザインと揺らめきを表現したキャンドルライトも人気。レクリントの新しい可能性を広げた印象で、優しい明かりで心休まるひと時を演出してくれますよ。
& Tradition (アンド トラディション)
アンドトラディションは2010年に設立されたばかりの新しい北欧家具ブランドです。デンマークの伝統を基盤として独創的なデザインを発信しています。ミッドセンチュリー期の名作のリプロダクトからモダンな家具まで幅広く取り扱い、じわじわと人気を伸ばしている注目のブランドですよ。
例えばアームチェアは曲木を利用した北欧家具らしいものから、スチールをフレームに使ったミッドセンチュリー調のもの、全体にクッション性を持たせた布張りのものなど様々な展開をしています。他にもモダンなデザインのダイニングテーブルや、ソファ、スツールやベンチなど幅広く取り扱いがあります。中でも照明器具はアンドトラディションらしいコレクションの展開があり注目です。ミッドセンチュリーを彷彿とさせるアイコニックなデザインのものから無駄を極限まで省いたシンプル・モダンなデザインまでスタイリッシュな灯りを取り揃えています。
これから日本でも活動の幅を広げていくであろう注目の北欧ブランドです。
PP Mobler(ピーピーモブラー)
ピーピーモブラーは大戦後のデンマークモダンデザインの先駆けとなった北欧家具ブランドです。二人の兄弟のタッグにより設立されたこのブランドは、北欧のデザイナーであるハンス・J・ウェグナーとも協力体制にあり、デンマークの高級家具の未来を確かなものにすることに熱心でした。
現在のPPモブラーはその歴史を引き継ぎ、チェアやダイニングテーブルなどの製造に力を入れています。
pp701チェアは極限まで装飾を削ぎ落したデザインが特徴です。それでいて、エレガントさがあり座り心地の良さも魅力になっています。pp19は通称パパベアチェアとして知られており、ゆったりとした掛け心地は今なお人気があります。pp58、pp68はハンス・J・ウェグナーによってデザインされた究極のアームチェアとされており、快適さ、実用性、堅牢性に優れておりしかも手頃な価格帯なのが嬉しい椅子です。
このようにたくさんの名作家具を生み出しているのがPPモブラーの強みです。北欧家具好きにとっては外せないブランドと言えるでしょう。
Montana (モンタナ)
モンタナはシステム収納家具に特化した北欧家具ブランドです。家族経営の会社であり、デンマークでは個人宅やモダンなオフィスの収納家具のトップシェアブランドになっています。もっとも美しいシステム収納家具としても有名であり、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
モンタナの収納家具の特徴の一つに、カラフルなカラーリングが挙げられるのではないでしょうか。収納家具とは思えないほど様々なカラーのパーツを選ぶことができ、自分らしい収納を作り上げることが可能です。また、規則的な四角のパーツを組み合わせた収納は、拡張性にも優れているので必要に応じて追加していく楽しみもあります。工夫次第では壁面を覆うようなシステム収納を作ることもできれば、小ぶりなキャビネットを作ることもできます。この多様性が圧倒的な支持を得ている秘密かもしれませんね。
日本では代理店の店舗でモンタナの家具をチェックすることができます。カタログを取り寄せれば家具の詳細が分かり、イメージをつかみやすいかもしれませんよ。
FREDERICIA(フレデリシア)
フレデリシアとはデンマークモダンデザインのブランドです。デンマークの北欧家具デザインと製造を中心として活動しており、名作家具や不朽のコレクションを生み出しています。選りすぐりの素材を使用し、世代を超えて受け継がれる家具デザインを守り続けています。
そんなフレデリシアの人気のアイテムと言えば、2323の3人掛けソファでしょう。残念ながら現在は廃盤となり、中古市場に残るのみになりましたが、無駄がなくそれでいてゆったりとしたデザインにはほれぼれとします。またハンス・J・ウェグナーデザインがフレデリシアでデザインしたJ16のロッキングチェアも人気のアイテムです。しっかりと背中を支えるデザインでくつろぎのひと時を過ごせますよ。2213のソファや2461のイージーチェア、3171のベンチなど見れば北欧デザインの美しさを感じるものが揃えられています。
ダイニングチェアやキャンバス製のチェア、ハンティングチェアなどの椅子もあるので、コレクターの方も注目のブランドですよ。
J.L Moller(ジェイエルムラー)
JL Mollerはデンマークの北欧家具ブランドです。ニールス・オットー・モラーという優れた家具職人によってデザインされたダイニングチェア、椅子などを時代を超えて製造し続けているブランドであり、職人の技術と優れた美しい家具デザインが人気です。
JL Mollerの代表作と言えばコレクションno.78のチェアでしょう。角の取れた滑らかなラインとシンプルなデザインは北欧家具と言えば、のイメージにしっくりきます。no.79のチェアもまた丸みのあるデザインで見る人をほっとさせてくれます。背もたれにアクセントがありほどよいデザイン性も魅力的。また、スツールやベンチなども取り揃えられており、椅子がメインのブランドであることが伺えます。
北欧家具ならではの優しく無駄のないデザインをお求めの方にぴったりのブランドですよ。
Berg Furniture(ベルグファニチャー)
ベルグファニチャーはデンマークの家具ブランドで、椅子に特化しています。リクライニングチェアを人間工学に基づいて設計しており、その快適さは群を抜いています。リクライニングしたときの足先の角度にまで注意を払ったデザインでリラックスした座り心地を叶えてくれます。
ベルグファニチャーの製品はパーソナルチェアの他、やわらかな座り心地のソファなども展開しています。パーソナルチェアのほとんどはリクライニング機能が搭載されているので、ベルグファニチャーの醍醐味を味わうことができる仕様です。中でもNASAは、世界で最高の座り心地と言い切るほどの自信作。無段階のチルト機能がついており、どんな姿勢でも体の負担を軽減するというのだから、期待できるアイテムですね。
ゆったりくつろげるパーソナルチェアに北欧デザインの美しさを載せたベルグファニチャーの椅子は、自分の時間を大切にしたい方におすすめの北欧家具です。
Muuto(ムート)
よりリアルな現代の北欧スタイルを体感したい方におすすめなのが、デンマークのMuutoです。Muutoとはフィンランド語で新しい視点を意味する「muutos」からとったブランド名。北欧諸国のデザインの伝統を重んじつつ、新しい素材や技術、大胆な創造性をもって北欧デザインに新たな視点をもたらすことを使命としているそうです。
Muutoの家具には、椅子やテーブル、キャビネットに照明などの他、クッション、コートフックなどの雑貨も揃い、インテリアのすべてを揃えることが可能です。同じ北欧家具や雑貨でも雰囲気ががらりと変わり、親しみやすい印象なのもMuutoならではですね。
Muutoの家具は、どれを見てもカラー展開の豊富さに楽しくなります。そのカラーのチョイスも北欧らしいニュアンスカラーが多く、北欧好きなら見ているだけでもときめくこと間違いなしです。
新しい視点の北欧家具をお探しならばMuutoがおすすめですよ。
北欧家具デザイナー
続いては、北欧家具の有名デザイナーをご紹介します。巨匠とも呼ばれるデザイナーを多く世に送り出している北欧で、この人は知っておきたい、というデザイナーをピックアップしました。注目のデザイナーズチェアも紹介いたしますので、ぜひご覧ください。
Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)
アルネ・ヤコブセンはデンマーク出身のデザイナーであり建築家でもあります。彼の作る家具の多くは斬新でモダンなデザインになっています。
代表作のエッグチェアはその名の通り卵のようなフォルムが新しく、スワンチェアは優美な白鳥のような佇まい、ドロップはまさにしずくのような形状で見る人を驚かせたことでしょう。時計のデザインにも精力的で、現在も彼の名前を聞くと時計を思い浮かべる人も少なくないと思います。椅子や時計以外にも、テーブルや照明などの家具のデザインもこなしていました。
そんな彼は仕事のパートナーやメーカーに対しては非常に厳しい姿勢をとることも少なくなかったようです。一方で水彩画に熱を上げたり、自然に関して学んだり、苗木の世話などをする姿も見られました。友人に対してはユーモアを交えたおどけ役を演じていたようです。彼の多面性がその作品の魅力を生み出していたのかもしれません。
Alvar aalto(アルヴァ・アアルト)
アルヴァ・アアルトは20世紀を代表するフィンランド出身の建築家、都市計画家、デザイナーです。彼のデザインする家具は、ベーシックでありながら非常に有機的で見る人を魅了します。特に椅子やテーブルは脚にアールを付けた特徴的な造形をしており、シンプルながらどこか惹かれるデザインをしています。
曲木を利用したフレームを持つ家具が多く、有機的な美しさがあるのがアルヴァ・アアルトの作品の魅力と言えるでしょう。アルヴァ・アアルトの作品はチェアやソファ、テーブルなどの家具だけにとどまりません。照明器具やフラワーベース、グラスなどのキッチン用品に至るまで様々です。
また、彼は偉大な建築家でもありました。生涯に200を超える建築物を設計したことでも有名です。もちろん彼の自邸も彼の設計によるものです。現在はガイドツアーで見学をすることができます。中にレイアウトされた家具も全てアルヴァ・アアルトの作品ですので見逃さないようにしたいですね。
Hans J Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
ハンス・J・ウェグナーは20世紀を代表する北欧家具のデザイナーです。デンマーク出身の彼は創造的で独創性に溢れた家具を次々と作り出し、それまでの家具のイメージを覆したデザイナーと言えます。
ウェグナーといえば、椅子を思い浮かべる方も多いでしょう。椅子の巨匠としても知られている彼は、何と500脚以上もの椅子のデザインをしてきました。無駄を削ぎ落しシンプルに仕立てたチェアの数々は、現在でも人気があります。
有名な代表作にはYチェア、ザチェアと呼ばれるアームチェア、ゆったりと座れるイージーチェアのGE290などがあります。また、椅子だけではなくソファやテーブル、デスク、デイベッドなどもデザインしており、どの作品もハンス・J・ウェグナーらしい無駄のない美しさが魅力です。
装飾や余計なものをできる限り省いた彼のデザインした家具は、現代も家具の本質を知る上でお手本のような存在であり、それこそが彼が残した大きな功績と言えるでしょう。
Borge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)
ボーエ・モーエンセンは近代的な家具を手掛けたデンマークの家具デザイナーです。シェーカー様式の椅子をもとにデザインしたJ39が大ヒットし、名作椅子として現在まで途切れることなく販売が続けられています。この椅子はピープルズチェアとも呼ばれ、デンマークのベストセラーになりました。良質な素材を取り入れつつリーズナブル、そしてどこでも使えるシンプルなデザインからヒットアイテムになったと言われています。
ボーエ・モーエンセンの活躍は、椅子だけにとどまらず、丸テーブル、ソファ、キャビネットなどの収納家具に至るまで様々です。無駄がなくシンプルで洗練された印象の彼の家具は、北欧家具らしさをぎゅっと凝縮したようなデザインになっているので、人気が続いていることにも頷けます。
「シンプルかつ実用的な家具を、リーズナブルな価格で提供する」という信念のもとデザインを続けたボーエ・モーエンセン。一般庶民にとって人気のデザイナーなのも納得ですね。
Finn Juhl(フィン・ユール)
フィン・ユールはデンマークの建築家です。建築家でありながら、非常に独創的な家具を作り出したことで注目されています。「空間と家具の彫刻家」とも呼ばれる彼は、この頃の家具デザイナーとしてはめずらしく木工に関する専門知識が無く、家具職人であるニールズ・ヴォッターの強力なサポートにより家具を作成していました。
「世界で最も美しいアームを持つ」と言われているNo.45は彼の代表作の椅子の一つです。優美なカーブのアームと直角に交わる脚部が印象的なこの椅子は、不思議な浮遊感がある座面のデザインも魅力です。当時としてはデザインが斬新過ぎたため「木工のことを分かっていない」と揶揄されることもありましたが、ヴォッターの技術力により実現することが出来ました。また、ペリカンチェアと呼ばれるラウンジチェアも当時こそ受け入れられたかったものの、現代では名作として愛されています。
このようにフィン・ユールはそれまでの常識に捕らわれない家具作りをしており、それが現在も注目を集めるポイントとなっています。
Kaare Klint(コーア・クリント)
コーア・クリントはデニッシュモダンの父と称されるデザイナーであり教育者です。デニッシュモダンとは20世紀のデンマークに起こったミニマリズム運動のことで、シンプルで美しく、機能的なスタイルを追求する動きのことでした。それまでの装飾美を取り払い簡素な美しさを表現した彼の家具デザインは、その後のデザイン界に大きな影響をもたらしました。とはいえ、コーア・クリントはそれまでの伝統を否定したわけではなく、むしろ敬意をもってリ・デザインに力を入れていました。伝統から学ぶことが多いことを良く知っていたのです。
そんな彼の生み出した代表作には、美術館の展示用にデザインされたファーボーチェアや、背もたれと座面に革を使用したレッドチェア、狩猟活動時に使用された椅子をリ・デザインしたサファリチェアなどがあります。これらの伝統を引き継ぎつつモダンな作品群は、世代を問わず様々なデザイナーに影響を与えました。
イギリスの家具ブランド
さて、ここからは番外編です。本来イギリスは北欧に含まれませんが、ミッドセンチュリー期の味わいを残すイギリスの家具ブランドは、北欧家具とも非常に相性が良いのが特徴です。北欧家具ブランドと合わせてチェックしてみましょう。
ERCOL(アーコール)
アーコールはイギリスで曲木の大量生産技術を確立した家具ブランドです。特に椅子の製造を得意としており、限界まで背枠の木材を曲げて作ったクエーカーチェアや、ゆったりと座れるロッキングチェアなどはアーコールの技術の高さを表しています。椅子以外にはテーブル類も豊富で、ダイニングテーブル、コーヒーテーブルなどを作成。変わったものだと、ドロップリーフテーブルやバタフライテーブルといった、イギリスならではのデザインのものもあります。他にもキャビネットやサイドボード、ソファといった大型の家具も作られており、いずれもシンプルでどんなシーンでも使いやすい特徴があります。
アーコールの家具はどれも木材をメインとしたナチュラルな仕上げとなっているため、北欧家具とも好相性です。さりげなく北欧家具とミックスしてレイアウトしても、美しくコーディネートができるのがポイントですよ。
G-PLAN(ジープラン)
ミッドセンチュリーデザインの代表格とも言えるのが、G-PLANです。シンプルでスタイリッシュな家具の数々を生み出した家具ブランドで、家具を少しずつ買い足せるという当時としては画期的なアイデアが民衆の支持を得ました。それまでの英国家具の装飾的な家具とは異なり、北欧のシンプルなデザインを取り入れたのが特徴です。
ジープランの家具はエクステンションテーブルやコーヒーテーブル、ラウンドテーブルなどのテーブル類の他、サイドボードやキャビネット、チェストなどの収納家具、チェアにソファといった具合に豊富な品ぞろえがあります。なかでも人気なのがフレスコシリーズです。ジープランの中でも最も販売数を上げたシリーズとも言われており、現代も人気のあるコレクションです。シンプルな中にもジープランらしい遊びを加えたデザインで、北欧風の家具にワンポイントを加えたい時にもぴったりです。
A.H.McIntosh(A.H.マッキントッシュ)
スコットランドの老舗家具ブランドA.H.マッキントッシュは、ミッドセンチュリー期にデンマークの家具を手本にした家具作りを行ったブランドです。無駄のないデザイン、シンプルながら洗練されたスタイルは、まさに北欧家具の影響を受けたものです。A.H.マッキントッシュの家具は、イギリスのミッドセンチュリー期のデザインを象徴するアイコンとも言える存在になりました。
A.H.マッキントッシュの家具作り歴史は1869年に遡ります。創業からおよそ10年後、パリ万博博覧会、シドニー博覧会に出展すると、瞬く間にその人気を伸ばすことになりました。1950年代に入ると、北欧スタイルを家具のデザインに取り入れるようになり、イギリスにおけるミッドセンチュリーの家具を多く産出していきます。こうしてジープランやネイサンと並ぶ家具メーカーとなったA.H.マッキントッシュは、現在でも多くのファンを抱えています。
NATHAN FURNITURE(ネイサン ファニチャー)
ジープラン、A.H.マッキントッシュと並んでイギリスのミッドセンチュリーを代表する家具ブランドがネイサンです。キャビネットやダイニングテーブル、カップボード、チェスト、チェアなど数々の家具を生み出しており、現在もミッドセンチュリー期の家具はアンティークとして多く出回っています。
ネイサンが注目を集めることになったのは、1954年ニューヨークで開かれた家具博覧会のイギリス代表として選ばれたのがきっかけです。以降、チーク材をメインとした家具を本格的に生産するようになり、ぐんぐんと成長を続けていったのです。
ネイサンの得意分野は、イギリスクラシックと北欧風のデザインをミックスさせたスタイルです。北欧家具との相性が良いだけではなく、イギリスのクラシカルな家具の中にあっても違和感が少ないため、これから新しいインテリアスタイルを取り入れていこうという人の気持ちをがっちりとつかんだのでしょう。
A YOUNGER Ltd.(ヤンガー)
ヤンガーはイギリスミッドセンチュリー家具の中でも高品質なハイエンドモデルの家具を中心に作ったブランドです。他の北欧スタイルの家具とは一線を画した高級感と品質で、販売当初も限られた裕福層をメインターゲットにていたことが特徴でした。
卓越した技術者が選ばれた材料を使い家具を作っていたため、生産量は他のブランドに比較して圧倒的に少なく、それもヤンガーの家具の希少性を高めていた理由と言えるでしょう。
現在、ヴィンテージやアンティークと呼ばれるようになった北欧スタイルのヤンガーの家具ですが、もともとの流通している数が少なかったこともあり、滅多に出会うことのできないレアな存在となりました。それゆえ日本ではあまり知名度が無いブランドでもありますが、アンティーク愛好家の中では圧倒的な支持を集めています。それは希少であることだけでなく、丁寧に作られた家具であるとともに、時代が変わっても美しく映えるデザイン性が魅力だからです。
JENTIQUE FURNITURE(ジェンティーク ファニチャー)
ジェンティークは少し変わった経歴のイギリス家具ブランドです。創業したのは夫妻であり、二人の元の職業は何と玩具職人でした。イギリスのミッドセンチュリー期にデンマーク家具に影響を受け、モダンなデザインの家具を次々と発表していくことになります。元玩具職人という一風変わった経歴を持つ二人は、北欧風スタイルの中にも独創性があるデザインを得意としていました。
その品ぞろえは、テーブルやサイドボード、チェアなど様々。他の北欧スタイルの家具ブランドにはない独特のデザインと優れた品質で、ミッドセンチュリーを代表する家具ブランドの一つに挙げられます。シンプルな中にも個性的な遊びを感じるものが多く、北欧調の家具の中でも独自のスタイルを見つけたい方にはぴったりのブランドなのではないでしょうか。
もちろん、北欧家具との相性も良く、ミックスコーディネートをするのにもぴったりです。
Meredew(メレデュー)
20世紀初頭に創業されたメレデューは、もともとはイギリスの伝統的な家具を製造していた家具メーカーです。ところが、戦後にモダンデザインが広がるようになり、一気に方向性を転換します。伝統的なラインを全て廃止して、モダン家具の製造へと切り替えたのです。この判断が功を成し、北欧スタイルのデザインを取り入れた家具ブランドとして、イギリスを代表するミッドセンチュリーの家具ブラントに発展していきました。
メレデューの家具にはサイドボードやチェスト、テーブル、キャビネットの他ドレッシングテーブルなどもあります。椅子やミラーなどもあるので、生活に必要な家具は一通り揃うのも嬉しいですね。
思い切って北欧系スタイルへとデザインを変更したメレデューの家具は、シンプルでミニマル。無駄を極力省いたデザインは伝統的な家具を作っていたメレデューにとっては大きな挑戦だったのではないでしょうか。
Staples(ステイプルズ)
イギリスの家具ブランドの中でも異彩を放つのがステイプルズです。ステイプルズはそもそも鉄製ベッドとワイヤーマットレスの販売から大手メーカーに駆け上った経緯があります。それゆえか、家具もアイアンと木材を掛け合わせたスタイルが多く見られます。
イギリスミッドセンチュリー期に起こった北欧スタイルのブームをとらえつつ、得意のアイアン遣いを取り入れることで非常に独創的なインテリアアイテムを生み出してきました。また、家具を組み合わせて使えるシステム収納にも力を入れており、画期的なアイデアとして受け入れられました。このデザインスタイルは、当時最も近代的に見えたかもしれませんね。
北欧家具との相性は抜群ですが、それ以外にインダストリアルなインテイリアや、男前スタイルにもしっくりくること間違いなしの家具ブランドですよ。
今回は北欧家具ブランドや北欧家具のデザイナーをたっぷりとご紹介しました。北欧家具について知りたいという方には、要所をまとめた内容になっているのでお役に立てたかと思います。また、各ブランド、デザイナーの違いもお分かりいただけたのではないでしょうか。
この記事を参考に、是非北欧家具の世界に一歩足を踏み入れてみてくださいね。