日本で作られる木製家具に、彫刻で様々な柄やモチーフが入っているのを見た事はないですか？
精巧な動物や草花などの彫り物は、その美しさや可愛らしさ、豪華さから見る人を惹きつける魅力がありますよね。
“和彫り”、“浮き彫り”、“透かし彫り”など色々な名前のついた日本の伝統的な技術のひとつである家具の彫り物。
実はそれぞれの図柄には意味が込められているのをご存知でしょうか？
今回は、家具に施された和彫りのモチーフの意味をご紹介いたします！
和彫りの意味
昔の家具に施された彫り物は、ただの装飾でなく施されたモチーフに意味が込められているものがほとんどです。縁起を担いだ物や祈願の意味合いがある物が多く、家や持ち主の幸せが続くようにと彫刻が彫られています。和彫りでは、鶴や亀、桜や松竹梅など伝統的な縁起物のモチーフが良く見られ、その見た目の美しさからも時代に関係なく人々に愛されています。
桜
春や始まりを表す桜は、「物事の幸先の良さ」を意味しています。
昔から「五穀豊穣」や「繁栄」の象徴とされていて、たくさんの花弁が描かれる事で豊かさを連想させます。
満開の桜の花の彫られた家具は、いつも前向きな気持ちにしてくれて、一年中華やかな気分になりそうですね。
菊
日本を代表する花のひとつである菊の花。
“菊を飾ると福が来る”とされ、おめでたい場やお正月飾りには欠かせない花です。
菊模様には、「邪気払い」「長寿」「無病息災」といった意味があり、家具の装飾としても定番です。
松・竹・梅
“歳寒三友（さいかんのさんゆう）”、縁起の良い植物の集まりである松竹梅。
寒い時期にも立派な緑を茂らせる松と竹、綺麗な花を咲かせる梅の３つを、「清廉」「潔白」「節操」を表現する画題として広がったのが始まりだそうです。
単体では、松は樹齢が長く厳しい環境でも育つことから「長寿」。
竹は、新芽がたくさん生え真っ直ぐ成長することから「子孫繫栄」。
梅は、厳しい寒さに耐え他の花より早く花を咲かせることから「喜び」の象徴とされています。
牡丹
奈良時代に薬草として伝わり、「不老不死」や「長寿」の意味があります。
見た目の華やかさから装束や工芸品でも重宝され、「豪華さ」や「富」の象徴。武家の家紋にも多く、「権力」の表現として使われる事もあります。
大きな牡丹の花が入った家具は、その堂々とした佇まいで自信を与えてくれる存在になりそうですね。
鶴・亀
「不老長寿」の意味が込められている鶴と亀。
古く中国から言い伝えられたとされている、“鶴は千年、亀は万年”という言葉からも分かりやすいですね。
どちらも寿命が長い事から、健康が長く続くようにと願いが込められています。
また亀は、その姿形から「金運を連れてくる」とも言われ、ゆっくり着実に幸福を掴めるように、という意味も。
鶴は、同じ相手と一生連れ添う鳥としても知られていて、「夫婦円満」の願掛けとしても有名です。
千鳥・波千鳥
可愛らしい形から、ポップな和風雑貨でも良く見られる千鳥模様。
千鳥が波を飛んでいる様子は、“荒波を一緒に乗り越えられるよう”にという願いが込められていて、「夫婦円満」、「家内安全」の意味があります。
また、“千取り”という言葉遊びから、「勝負祈願」という意味が込められる事もあります。
龍・鯉
力強く空を飛ぶ姿から「運気上昇」「生命力」の象徴とされている龍。
欄間や箪笥の金具に使われることが多いです。
架空の生き物ですが、邪気を祓い、吉祥をもたらす存在として風水的にも欠かせない存在。
また、鯉は龍に出世するという逸話から「出世祈願」の意味が込められています。
鳳凰
和箪笥の金具として使われる事も多い鳳凰。
中国の伝説の生き物で、平和をもたらす吉兆として言い伝えられています。
その事から、「幸福」「愛」の象徴とされ、幸せを運んで来るようにと願いが込められています。
欄間や屛風などに使われる事が多く、あるだけで空間が華やかで威厳のあるものになりますよね。
虎
虎は、力強く勢いが盛んな様子から「家運隆盛」を引き寄せると言われています。
また、正面を向いた虎は厄災を払うといわれていて、魔除けの意味も込められています。
家具には少ないですが、欄間や掛け軸などで竹と組み合わせて使われることが多いモチーフです。
おわりに
植物や動物、日本で生活していると縁起物としてよく見かけるモチーフたち。
詳しく由来や意味を知るとより興味深く、楽しいですよね！
和彫りの入った家具をお探しなら、ぜひそこに込められた意味も調べながら家具選びをしてみてくださいね。
↓縁起の良い動物モチーフの伝統文様についてもっと知りたい方はこちらもご覧ください。
