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ANTIQUEFURNITURE RAFUJU STUDIO MAGAZINE

生まれはアメリカ。シンプルなアンティークのシェーカーチェアとは

「イギリス無くして、椅子のストーリーは語れない」これまでMAGでも、ヨーロッパのウィンザーチェアから広がるさまざまチェアを取り上げてきました。

でも実は、イギリス生まれのチェアとはまた違う、ユニークなウィンザーチェアを生み出しているのが「アメリカ」。そのどことなく素朴さを感じるデザインのチェアは、「シェーカーチェア」と呼ばれる、歴史的背景があるものでした。

というわけで本日は、今の暮らしでもシンプルで使いやすい、アンティークのシェーカーチェアに注目していきます。私たちがよく見かけるあのチェアも、もしかしたらアメリカン・ウィンザーがルーツかもしれませんよ。

シェーカー精神から生まれた簡素な家具

北欧シェーカーチェア まず、そもそもシェーカーチェアの「シェーカー」って何でしょうか。

シェーカーとは、イギリスの「クエーカー」の分離してできた宗教の一つ。植民地時代にシェーカー教徒がアメリカに移住したことにより、家具作りが始められました。

シェーカー教徒が旨にしたのは、労働に励むことと、簡素な生活。家具においては、木材の無駄をなくし、加工がしやすいデザインであることが前提に、実用的で使い心地の良いものを追求していきました。また、女性は家事労働に熱心だったことから、掃除の際の動かしやすさを考慮してこのように細い部材で軽量化を図っているそうですよ。

このシェーカー家具に反映され始めた "使い手の眼" は、今のチェア文化にも影響を少なからず与えていることでしょう。

アンティークから見てみる、シェーカーチェアの特徴

シェーカーフィニアルチェア シェーカーチェアを見ると、ろくろなど挽き物を活用したオランダ家具の特色が見られます。

こちらもまた、アメリカがオランダの植民地支配を受けていたことが繋がっているのです。構造の面で言うと前脚と後脚の傾きが同じであり、木材はアメリカで採れるメープルやバーチ(カバ)などが使われました。

また、写真のようにチェアの上部に "でっぱり" が付いているもの、今では普通によく目にしますよね。これはシェーカーチェアを象徴する装飾で「フィニアル」(finial=先端部分の装飾)と呼ばれ、作られた年代などによって様々な形があります。

ただシェーカー家具のデザインで言えるのはこれだけ。豪華な透かし彫り入りのスプラット(背板)などはなく、先ほどのお話通り無駄を良しとしないところは徹底していたのでした。

イギリスに逆輸入された「キャプテンチェア」

アンティークキャプテンチェア 低い背もたれにアームが回り込む「キャプテンチェア」も、アメリカンウィンザーの定番。

アメリカで作られた当初は、ミシシッピ川の水先案内人の小屋で使われていたと言われています。19世紀後半にイギリスにはイギリスへ持ち込まれたそうです。シェーカーチェアならではの細いパーツ、ろくろ挽きは健在ですが、軸としては直線的なところが目立ちます。

誕生はアメリカと言われていますが、イギリスで築かれた椅子作りのエッセンスも、少なからず入っているのはもちろんのこと。そんな伝統と開拓精神とが融合した、庶民のためのチェアだったのではないでしょうか。

「ラダーバックチェア」は、シェーカーチェアの代表的スタイル

イギリスヴィンテージラダーバックチェア 両サイドの棒に対してはしご(ladder)のように背もたれが渡された「ラダーバックチェア」。

写真のように、ラダーバックチェアは背棒と脚を一本の棒で固定しているのが特徴。座板に背棒を差し込んで固定するウィンザーチェアとは、基本的に構造が違うことが分かります。でも実は、ウィンザーチェアの原形は、ラダーバックチェアを含むイギリスの農家で使われ始めた「カントリーチェア」だと言われています。

その簡素で無駄を出さないようにしたシェーカーチェアは、北欧のチェアデザインにも影響を与えました。北欧家具ファンの方はご存知だと思いますが、ボーエ・モンセンの "シェーカーチェア" もまた、アメリカのシェーカー家具に影響を受けて作られたもの。シェーカー精神をベースにしつつ、現代のインテリア性を踏まえてリ・デザインしたものが、今もなお作られ続けています。

最後に

家具がシンプルになったのは、時代の流れ。そう考えるだけでは及ばない、もっと歴史的なことが家具作りに反映されていたんですね。

きっと今回ご紹介したアンティークのシェーカーチェアだけでなく、あなたの身の回りにある家具にも、ストーリーがきっとあるはずですよ。

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筆者のご紹介

茶園みずき

様々な人との出会いに刺激を受け、専門学校卒業後にデザイン事務所へ。グラフィックデザインに限らず、イベント企画など、人と人がつながる場づくりにも精を出す。仕事をしていく中で、ものづくりについてもっと深く知りたいと思うようになり入社。家具の向こうに見えてくる、インテリアのコーディネートをお届けできればと思います。

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