ライティングビューローは、収納機能とデスク機能が一体化した家具です。一見チェストやキャビネットなどの収納家具に見えますが、手前に倒すフラップと呼ばれる扉を操作することで、デスクとして使用できます。書くことを意味する「ライティング」と収納を意味する「ビューロー」が組み合わさり、ひとつの家具で二役を果たすユニークなデザインが誕生しました。
ライティングビューローの歴史
ライティングビューローの起源には諸説ありますが、17世紀のイギリスで誕生したといわれています。当時のイギリスでは、東インド会社を通じ、日本や中国から櫃(ひつ)と呼ばれる蓋付きの大型の箱を輸入していました。これらの櫃に脚や台を取り付け、装飾を施して収納家具として使用する文化が広まります。
やがてこのスタイルが発展し、高脚付きのキャビネット「キャビネットオンスタンド」が誕生しました。さらに、そこにフラップ式の作業台や収納機能を加えることで、現在のライティングビューローの原型が生まれたのです。
ライティングビューローの魅力
ライティングビューローの最大の魅力は、省スペースで書斎として活用できる点にあります。デスクと収納の機能が一体となっており、1台で複数の役割を果たす実用性の高い家具です。フラップを閉じた際の奥行きは約450㎜のものが多く、設置場所を選ばず使用できます。
またデスク周りが散らかりやすい場合でも、フラップを閉じることで内部をすっきりと隠すことが可能です。そのため、リビングなどの共有スペースにも適しており、デザイン性の高さからインテリアとしても魅力を発揮します。
さらに鍵付きのタイプも多く、大切な書類や貴重品の保管にも適しています。機能性と美しさを兼ね備えたライティングビューローは、限られたスペースでも快適な作業環境を確保できる実用的な家具といえます。
ライティングビューローの種類
ライティングビューローの種類は、大きくわけると3つあります。チェスト付きの「デスクタイプ」、上に書棚が付いた「ブックケースタイプ」、両サイドに戸棚がついた「キャビネットタイプ」です。
デスクタイプ
チェスト付きのデスクタイプは、一番スタンダードなライティングビューローの形です。圧迫感のないデザインと書棚部分が高くないことが特徴で、フラップを閉じればすっきりとした見た目になります。
ブックケースタイプ
上に書棚が付いたブックケースタイプは、上部に背の高い本棚が付いたデザインが特徴です。収納力を重視していることから「ビューローブックケース」とも呼ばれています。省スペースながらも背が高いため、存在感があります。 空間を華やかに演出することが可能です。
キャビネットタイプ
キャビネットタイプのライティングビューローは、両サイドにキャビネットが付いたデザインが特徴です。デスクタイプのライティングビューローの両サイドに、扉付きの収納が付属したような形をしています。「サイドバイサイド」とも呼ばれており、アンティーク市場でも珍しいデザインです。
時代や国によるデザインの違い
ライティングビューローは、時代や国によってデザインが大きく変わります。エレガントなものからスタイリッシュなものまであるので、幅広いインテリアに合わせることが可能です。
イギリスアンティークのライティングビューロー
イギリスアンティークのライティングビューローは、アンティーク家具の本場イギリスならではの逸品が揃います。 オークやマホガニーなどの上質な木材を使い、美しい杢目が楽しめます。彫刻や象嵌など装飾部分の見どころも多く、格式高い空間を演出してくれます。
⇒ラフジュ工房のイギリスアンティークのライティングビューローはこちら
北欧ヴィンテージのライティングビューロー
北欧ヴィンテージのライティングビューローは、機能性を追及したスタイリッシュなデザインが特徴です。無駄を省いたシンプルな外見で、どんなインテリアにも馴染みます。
ただシンプルなだけでなく、取っ手や脚の部分のディテールに個性があるのも北欧ヴィンテージの特色です。例えば、収納の配置にこだわったり、フラップの開閉部分にからくりや仕掛けを施すなど、使い勝手を最大限に考え抜いた設計が見られます。
⇒ラフジュ工房の北欧ヴィンテージのライティングビューローはこちら
和製アンティークのライティングビューロー
和製アンティークのライティングビューローには、畳の上で使用することを前提に作られた脚のない低い設計のものがあります。
素材にはナラや欅などの高級木材が用いられ、装飾は控えめでシンプルなデザインが多く見られます。また、日本人の体格に合わせて全体的に小ぶりなサイズで作られている点も特色です。
また、日本ではライティングビューローを「簿記机」とも呼ぶことも。これは明治以降に西洋から簿記と洋家具が伝わったことで登場したことが由来です。
現代のライティングビューロー
ライティングビューローは古くから存在する家具ですが、アンティークやヴィンテージのものに限らず、現代の住宅事情に合ったデザインのものも多くのメーカーやブランドから販売されています。
代表的なブランドとしては、松本民芸家具や北海道民芸家具といった民芸家具ブランド、横浜クラシック家具ダニエルや永田良介商店などの洋家具ブランドが著名です。それぞれのブランドが独自の個性を活かしながら、今なお高品質なライティングビューローを受け継いでいます。
⇒ラフジュ工房の松本民芸家具のライティングビューローはこちら
⇒ラフジュ工房の横浜クラシック家具ダニエルのライティングビューローはこちら
⇒ラフジュ工房の永田良介商店のライティングビューローはこちら