無垢材(ムクザイ)とは、自然の木をそのまま切り出し、削って、製材した木材のことです。
接着剤などを一切使用しておらず、継ぎ目などもないのが特徴です。
最近人気が高まっている木材なので、すでに注目されている方も多いのではないでしょうか。
家具の材料には「無垢材」「集成材」「突板」「合板」などの種類があり、それぞれに特有の優れた面を持っているわけですが、その中でもなぜ無垢材が最近人気を集めているのか。
その理由を知るべく、無垢材の魅力について詳しく見ていきましょう!
知っておけば、家具選びの時に役立つこと間違いなしです!
無垢材の種類①「広葉樹」
無垢材を大きく種類分けすると「広葉樹」と「針葉樹」の2つに分けることができます。
広葉樹は成長が緩やかなため木目が詰まっており、重硬で強度があるのが特徴です。
そのため「ハードウッド」と呼ばれており、色味は明るいものから暗いものまで多彩にあります。
広葉樹の道管の配列パターンには「環孔材」「散孔材」「放射孔材」の3種類があり、種類によって見た目や手触りに違いが見られます。
それでは、広葉樹から切り出される無垢材の代表的な樹種をご紹介します。
オーク・ナラ
オークには300種を超える分類があり、多くは北半球の温帯地方に分布しています。
木材として主流なのは北米を産地とする「ホワイトオーク」「レッドオーク」ですが、日本のナラ材も英語でオークと呼ばれるほど見た目が酷似しているため、オーク材として流通しています。
特に北海道産の良質なナラ材は「ジャパニーズオーク」と呼ばれ世界中で称されています。
重硬で傷が付きにくく耐久性が高い、そしてナチュラルな色味と明瞭で美しい木目を持ったオーク材は、無垢材の中で一番といってもいいほど人気の高い木材です。
ビーチ・ブナ
日本では「ブナ」の名称で親しまれているビーチ。
30m以上の大木になるものも多いことから「森の女王」との異名を持ちます。
ほんのりピンク色をした優しい色合いに、繊細できめ細かい木目が描かれ、手触りがサラサラとしているのが特徴です。
ハンス・J・ウェグナー氏デザインの「Yチェア」の素材として、またアーコール社が手がけた家具に多く使用されている木材としても有名です。
ウォールナット
カナダ・アメリカに位置するアパラチア山脈に自生し、寒冷地でゆっくりと時間をかけて育つため木目の密度が高く、耐久性や耐衝撃性に優れています。
広葉樹では珍しい直線的な木目をしていること、経年変化により濃い褐色から明るい褐色へと色味を変化させることが特徴として挙げられます。
マホガニー・チークに並ぶ「世界三大銘木」の1つとして有名な木です。
チーク
上記同様こちらも「世界三大銘木」の1つとして名高い木で、耐久性・耐水性・耐腐食性に優れた強靱な性質を持ちます。
加えて経年変化によって美しさが増していく点も高く評価されていて、オレンジ味を帯びた金褐色に変化した肌は「木の宝石」といわれ、古くから人気があります。
水湿に強く油分を含んだ木質のため水回りの家具にも適し、水拭きなど普段のお手入れも簡単にできます。
ケヤキ
明瞭で艶のある美しい木目を持ち、さらに「玉杢」「如鱗杢」といった様々な珍しい杢目によって鑑賞性を一層高めるケヤキは大変人気が高く、広葉樹の代表格といえる存在です。
400年程前のケヤキ材建造物が今も現存していることから、耐久性や保存性に非常に優れていることがわかります。
色味は個体差が激しいですが、赤みを帯びたものが美しいとされており、高値で取引きされています。
タモ (アッシュ)
何といっても強度・弾力性に優れている所が特徴的で、家具材や建材の他にも野球のバット・ラケット・スキー板等の材料としてスポーツ分野でも重宝されている木材です。
そんな材質とは対照的に見た目はとてもナチュラルで優しい印象です。
心材は濃い褐色、辺材は淡黄白色で、対極な色味を繋ぐグラデーションがとても美しいです。
流れるように走るはっきりとした均一な木目、サラッとした表面の手触りも魅力といえます。
メープル
明るく清潔感のある乳白色・緻密な木目・時折現れる鳥眼杢(ちょうがんもく)という希少な杢目・滑らかな質感などいくつもの美点を持ち合わせたメープル材は、白色系の無垢材の中でも特に人気の高い木材です。
「ハードメープル」と「ソフトメープル」に種類分けできますが、名の通りハードメープルの方が硬く、その硬度は広葉樹の中でもトップクラスです。傷がつきにくく衝撃に強い性質は家具材にとても適しています。
無垢材の種類②「針葉樹」
針葉樹は比較的成長が早く、軽くて柔らかい木質を持つことから「ソフトウッド」とも呼ばれます。
広葉樹に比べると明快な組織構成で真っ直ぐに育つため、木目が明瞭で濃淡もはっきり現れる傾向があります。木目の色味は明るいものが多いです。
そんな針葉樹から切り出される無垢材の代表的な樹種をご紹介していきます。
ヒノキ
世界的に知名度も人気も高い、日本を代表する銘木です。
きめ細やかな木目、ピンクがかった明るく優しい色合い、高級感ある光沢、滑らかな手触り、清々しい芳香といった魅力ある優れた面を多く持っています。
基本的に水湿に強いとされる針葉樹の中でも特に耐水性に優れ、耐久性も高いです。
スギ
日本だけに生息し全国各地で群生する固有種「スギ」は、国内での植林面積が最も多いメジャーな木材です。
真っ直ぐに成長するため木目は通直に、そして鮮明に現れます。色味はヒノキに比べて少し淡白で、艶も香りも控えめといえます。また空気を多く含むため、軽量かつ温かみのある手触りをしています。
屋久杉などの特殊な杉以外は、比較的安価な傾向があります。
パイン
日本語で「松」を指すパインは世界に多く生息し、中でも北米・欧州産のものがパイン材として主に使用されています。
淡黄褐色の明るい色味、自然味あふれる節が特徴的で、ナチュラルな見た目から木の温もりを感じることができます。
材質が柔らかく加工がしやすい上、経年と共に艶のある深い飴色へと変化する姿も楽しめる〝ローコストの無垢材〟としてとても人気があります。
無垢材の魅力
木の風合いを味わえる
家具でありながらまるで大自然の中で木に触れているかのような感覚で、木目・色合い・質感・香り・重厚感を贅沢に丸ごと味わえるのは、無垢材ならではの魅力であり醍醐味といえます。
樹種によって、または集成材や合板などに比べるとどうしても傷が付きやすいかもしれませんが、その傷さえも味となり、愛着も湧き、無垢材の良さを引き立ててくれるのです。
経年変化を楽しめる
製材したばかりの無垢材は淡い色合いであることが多いですが、家具を使い込むほどその色合いは濃く深いものへと変化していき、自然な美しい艶が生まれて木の味わいを増していくその姿は、無垢材家具の大きな魅力です。
樹種によって変化の仕方も異なるため、購入の際は事前に確認しておくのもいいかもしれませんね。
体に優しい
無垢材は「ホルムアルデヒド」等の化学物質を含んだ接着剤を使用していないため、シックハウスやアレルギーの発症リスクを下げ、体にも環境にも優しい木材といえます。
また無垢材の持つ調湿機能によって部屋の湿度を快適に保ってくれたり、熱伝導率が低いという特性を活かし夏は涼しく冬は暖かい空間を作ることが出来ます。
ただしこうした湿度を調節しようとする力、または乾燥により、木に反りや歪みが生じる場合があります。
そうした事態を極力防ぎたい場合は、冷暖房器具を近くに置かないこと・定期的にオイルを塗装することが重要となってきます。
耐久年数が長い
一度繊維を断ち切ったものを集めた集成材や、接着剤で表面材を貼り付けた合板に比べると、本来の繊維をそのままに、いつかは剥がれることとなる接着剤のダメージもない無垢材の方が強度があります。そして、釘やネジを使うことなく木と木をはめ込む「木組み」は更なる強度をつくり出します。
耐久性が非常に高い無垢材家具は、メンテナンスやお手入れをすることで「一生もの」の家具として何世代にも渡って使用し続けることができます。
無垢材でつくられた家具のご紹介
無垢材を使ったアンティーク家具・ヴィンテージ家具
アンティーク家具も、現代の家具同様に無垢材もしくは突板などを用いて家具がつくられています。
無垢材、つまり木そのものが素材であるため色や木目など全てがオンリーワンなのですが、さらに当時の家具づくりは手作業が多く一点物のデザインも数多く存在します。
無垢材を使った現代の家具
現代では家具づくりの技術が発展し、プリント合板などを用いた家具も多く見られるようになりましたが、そうした中でも無垢材にこだわった家具メーカーが数多く存在しています。
無垢材は現在人気も高いため、モダンな部屋に合うシンプルでスタイリッシュな現代家具がたくさん生み出されています。
魅力あふれる無垢材をご紹介しましたが、無垢材を使っているから必ず良いというわけでもなく、家具の材料にはそれぞれにメリット・デメリットがあります。
どのような目的で、どのように使用したいかを見極めて家具の素材を選ぶことが最善といえるかもしれませんね。
その中で無垢材の魅力を見て触れて知ることは、家具の奥深さを楽しむ上でとても意義深いことのように感じます。