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ミズメザクラ

ミズメザクラとはカバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹で、日本特産の木です。
正式名称は「ミズメ」といい、樹皮に傷を付けると水のような樹液を出すことが名前の由来となっています。
樹皮や葉がサクラの木に似ているため「ミズメザクラ(水目桜)」といわれるようになりましたが、実はサクラの類とは全く関係がありません。サクラは日本人にとって人気のある木のため、そのイメージをミズメにも結び付けたかったのではないかと考えられます。
他にも「ヨグソミネバリ」「アズサ」など他の呼び名も持っています。
枝を折ると、木に含まれたサリチル酸メチルという物質によって湿布剤のようなスーッとした独特の香りを放ちます。
実際に昔は湿布薬として使われていたそうです。
木材としての認知度は決して高くないため、初めて耳にした人もいるかもしれませんが、ミズメザクラは古来から「百木の長」といわれ尊ばれてきた重要な木といえます。
ミズメザクラは一体どのような特性と魅力を持っているのか、詳しく見ていきましょう!

ミズメザクラの種類

カバノキ属樹種は一般的には30~35種類ほどに分類され、日本国内だけで見てみると有名なシラカンバ・ウダイカンバ・ダケカンバなどをはじめ約11種類が現存しています。
トウヒやマツに並ぶ主要樹種であり、木材としてだけでなく樹皮や枝・樹液も人々の生活に活用され、カバノキ属樹種は世界各地で有用遺伝資源保全の対象となっています。
ミズメザクラ自体は1種類となりますが、カナダや北米にはミズメの近縁種で「アメリカミズメ」という木が存在しています。

ミズメザクラ

原産地は本州・四国・九州の山地に広く分布しています。
樹高は20~25mほどで、直立した樹幹からは枝葉が生い茂ります。
辺材は黄白色、心材は紅褐色で辺心材の色の差は明瞭です。
木質の良さや美しい見た目から、高級木材とされています。
流通量が少ないため希少価値は高く、山中に散在していることもあり入手が非常に困難とされています。

アメリカミズメ

原産地は北米東部。
英名でスイートバーチ・ブラックバーチ・チェリーバーチ、和名でレンタカンバ・サクラカンバ・アメリカンブラックバーチなど呼称がたくさん存在します。
樹液からシロップや精油が取れることで有名ですが、木材としても家具・内装・器具などの材料として利用されています。
ミズメザクラと同様に湿布薬のような香りがします。

ミズメザクラの魅力

硬く弾力性のある木質

重硬・緻密で狂いが少なく、粘り強さや弾力性にも優れた性質をしています。
高い弾力性を活かし古くから弓の材料として用いられてきました。縄文時代の遺跡からもミズメザクラ材の弓(梓弓)は確認されており、万葉集でも梓弓は数多く詠まれました。それほど昔から愛され活用されていたのかとその歴史の長さに驚かされます。
そして、靴の木型・家具・建築・フローリングの材料としても利用されるようになっていきます。
木質は木工品に非常に適していますが、とても硬いため加工するには熟練された職人技が必要不可欠となります。
加工が容易でなくてもプロの技術によって息をのむほど美しい姿に仕上げられていきます。
丈夫で美しいミズメザクラは一生ものとして、そして代々受け継ぐ家具としてふさわしい木材であるといえます。

美しい木目

とてもきめ細やかで、直線的な流れるような木目が大変美しく、磨くと見事な光沢が出ます。
また導管が細い散孔材であるため手触りも柔らかでスベスベしており、心地の良い滑らかな感触が魅力的です。
ミズメザクラの木目には虎の紋様に似た「トラ杢」や、細かく波を打ったような模様の「縮杢」が現れやすく、光の当たり方や見る角度によって輝きながら浮き出て見える杢目は、とても上品で高級感があふれます。
はじめは淡いピンクのような優しい色合いですが、年数を重ねると温かみと深みのある艶やかな茶褐色へと変化していきます。使い込むほど徐々に変化していく過程を見て触れて感じることができるのも、長年使う家具の楽しみの一つですね。

ミズメザクラでつくられた家具のご紹介

ミズメザクラを使ったヴィンテージ家具

知名度も人気も高い老舗の家具メーカー「松本民芸家具」は昭和23年から始まり、ミズメザクラを主要材として数多くの家具を生み出してきました。
ヴィンテージといわれる時代につくられたものは現代でもたくさん残っており、経年により味わいを増した家具の数々は今も多くの人を魅了しています。
300年以上の歴史がある松本の家具。その高い技術を有した職人が、伝統的なデザインを尊重しながら可能な限り手作業で一つ一つこだわりと情熱を持ってつくる洋家具だからこそ、時代を超えてもなお愛される家具が生まれるのではないでしょうか。


⇒ラフジュ工房の松本民芸家具の家具はこちら
⇒ラフジュ工房のヴィンテージ家具はこちら

ミズメザクラを使った現代のブランド家具

前述の通り流通量の少ないミズメザクラですが、時代が現代に移行しても松本民芸家具や九州民芸家具などを筆頭にミズメザクラ材の家具はたくさんつくられました。
松本民芸家具の家具は「日本人のための和風洋家具」であるため、和室にも洋室にも馴染みやすいです。
石や金属との相性も良いため、そうした素材を取り入れたモダンなデザインにもピッタリです。
美しい木目を最大限に活かした一枚板テーブルも人気が高く、市場でも比較的多く見られます。
一枚板として使用できるような大きな木は樹齢数百年の歳月を経たものであり、もともと希少性の高い材ではありますが、一枚板となるとその貴重さや自然の尊さをますます感じることができます。

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